今、ここで(Now ,here) by 中村真生子

自分探詩(じぶんさがし)& 山陰柴犬かれんとの日々

黒いトンボ(ハグロトンボ)

2016-06-30 11:28:07 | 自然・植物
黒いトンボ
眼鏡は水色ではなく
黒いサングラス。

オリーブの葉に止まり
ミモザの葉に移り
ハゼの葉に止まっている。

時折
犬があくびするみたいに
羽をいっぱいに広げて
すぐに閉じる。

黒いトンボ
下から見ると
あん馬の選手のように
腕で葉につかまり
体をピンと伸ばしている。

風が吹くと
葉と一緒にゆらゆら揺れて
それでも姿勢は崩れない。

黒い複眼で
きょろきょろしながら
狙っているのは
飛んでいる小さな虫?

黒いトンボ
なにゆえここに来たのか
なにを思って佇んでいるのか。

あれ?
どこかへ行っちゃった。


今朝の日野川。

川土手の麦わら帽子と 『帰郷ノート』のオマージュ

2016-06-29 15:51:18 | 
川土手の麦わら帽子と
『帰郷ノート』のオマージュ。

「偽りの微笑みを浮かべる」麦わら帽子。
「ひからびた苦悩」の麦わら帽子。
「太陽の下で腐敗していく」麦わら帽子。
「潰れた木琴よりさらに死んでいる」麦わら帽子。
「幽霊のような」麦わら帽子。
「どのプリズムも切り刻めない太陽に黄金色に輝く」麦わら帽子。
「嘘の積もった」麦わら帽子。
「響き渡る傷の空ろな」麦わら帽子。
「お道化た」麦わら帽子。
「海のかさぶたのような」麦わら帽子。
「太陽の下で悲嘆にくれる」麦わら帽子。
「不条理にも口をふさがれた」麦わら帽子。
「午後の自分の影を食む」麦わら帽子。
「司法省の用意するどのような国籍ももたない」麦わら帽子。
「叫びを自らの内に抑え込んできた」麦わら帽子。
「世界の動きに和合する」麦わら帽子。

「 」の言葉は『帰郷ノート』(エメ・セゼール著、砂野稔幸訳)より


朝日。皆生海岸にて。

海の星

2016-06-28 10:08:15 | 
願いごとをのせた
流れ星が一つ。

天に届かず
海に落ちた。

願いごととともに
海に落ちた。

そうして
浜に打ち上げられて
天を恋しく眺めてる。

遠い遠い
天の国。

波の慰めにも
出るのは
小さなため息ばかり。

けれど
七夕が来たならば
願いごとは
天の銀河へと
旅立つのでしょう。

七夕飾りに書かれた
たくさんの願いごとたちと
賑やかに。


海岸に打ち上げられていたヒトデ。

眠りから覚めて人は泣く。

2016-06-26 10:51:08 | 気持ち
眠りから覚めて
人は泣く。

眠っている間に
なつかしい夢を見て。

眠りから覚めて
人は泣く。

それが
どんな夢だったのか
覚えてはいないけど。

心にこだました
なつかしい気持ちに
ゆすぶられ。

眠りから覚めて
人は泣く。

ひとりぼっちで
目覚めた子どものように
ひとりぼっちで
目覚めたことに気づいて。

眠りから覚めて
人は泣く。

眠りから覚めて
人は泣く。


枯れ木にともった灯り。

オシロイバナ

2016-06-25 10:04:25 | 自然・植物
かつては
民家の軒先で
よく見かけたオシロイバナ。

子どもの頃に住んでいた家の庭にも
母方のおばあちゃんの家の庭にも
咲いていたと思う。

この頃
あまり見かけなくなった
オシロイバナ。

その実
おばちゃんの家も
実家も建て替わり
オシロイバナは植わっていない。

それでも
散歩の途中などに
時々見かけ
懐かしい気持ちにさせてくれる。

めぐる季節の中で
齢を重ね
今年も見られたオシロイバナ。

目を細めて
きみを見れば
在りし夏が微笑み返す。


オシロイバナ〈オシロイバナ科〉

精霊トンボ2016

2016-06-24 21:35:05 | 自然・植物
今年初めての
精霊トンボは
大風が吹く公園にて。

2~3匹現われたかと思ったら
だんだんと数を増し
風の中を
少しも休む暇なく
ビュンビュンと飛び回る。

いつも蝶々や鳥を
今日は風で飛んできた葉っぱや袋を
追いかける犬も
透明な羽と黄色い体の
このトンボは
まったくもって追いかけない。

盆トンボ、請来トンボ
とも呼ばれる精霊トンボ。
仏様や先祖の霊を乗せて
やってくるといわれるゆえか。
背中の突起が
仏様や先祖の霊とされている。

正式な名前は
薄羽黄(ウスバキ)トンボ。

今年は去年より
1週間早く見かけた。


源平小菊〈キク科〉とシジミチョウ。

ハチの弔い

2016-06-23 23:09:31 | 自然・植物
庭に横たわっていた
アシナガバチを弔っているのは
アリの中でも
小さなアリたち
(ヒメアリか)と
ダンゴムシ
あるいは
ワラジムシたち。

たくさんのものたちが集い
アリたちは列をなす。

今日
弔ったものたちも
やがて自らが弔われる。

その時は
またたくさんの弔い者。

自然の中では
ハチ一匹
ひとりひっそり
逝くことなど
できやしないのだ。

日本海と日の出。