洗濯機の下に水が溜まっていた。
少しずつ水漏れしていたのだろう。
ずらしてみると
床が茶色く変色していた。
ガタガタと音もやたらと大きくなっていた。
新しい洗濯機を購入した。
新しいものは美しく輝かしい。
古くなった自分でさえ
新しいものを嬉しく思うのだから
古いものは追いやられて行くのだろう。
しかしだからこそ
古いものの価値を忘れるな。
遥かなる時が育んだ太古の森や
古から脈々と続く物語や
時だけが紡ぐことのできる味を。
懐かしい友や故郷や思い出を。
そして何人も追いやるな。
自らも含めて・・・。
世界を狭く貧しくさせないために。
バラ〈バラ科〉
copyright Maoko Nakamura