今、ここで(Now ,here) by 中村真生子

自分探詩(じぶんさがし)& 山陰柴犬かれんとの日々

時のグラス

2012-06-30 09:52:23 | 気持ち

早いもので

今日で1年の半分が終わる。

明日から後半の始まり。

「もう半分しか残っていない」。

「まだ半分残っている」。

“半分のグラスの水”に

想いを馳せながら

残りの時に想いを馳せる。

「もう半分…」。

「まだ半分…」。

注ぎ足すことのできない

グラスの時に思いを馳せれば

残りの時がゆらり輝く…。

ロンドン塔のダイヤモンドのように…。

Photo

マリーゴールド〈キク科〉

copyright Maoko Nakamura


転がる石

2012-06-29 15:42:19 | 物語

山を離れた石は

勢いよく転がり始めた。

尖った角が山肌にぶつかると

思わぬ方向に転がり

違う角をぶつけた。

そしてまた思わぬ方向に転がり

また違う角をぶつけた。

石は飛び跳ねるように

転がっていった。

「なんて気まぐれなやつなんだ」

見ていた木が言った。

石は痛かった。

石はいろんな角を

何度も何度もぶつけた。

やがて角は角でなくなり

石はころころと

気持ちよさそうに転がった。

もう痛みを感じなかった。

あの夢のような日々が

そうさせてくれていることを

石は知っていた。

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萩〈マメ科〉

copyright Maoko Nakamura


ありふれた奇跡

2012-06-28 09:42:02 | 自然・植物

互いが互いのそばに

たた佇む

庭の花たちよ。

心の笑顔を絶やさず

互いが互いのそばに

ただ佇む

人々のように…。

仰ぎ見れば

青い宇宙ときらめく光。

緑の草木も喜びぬ。

今ここにある奇跡を…。

互いが互いのそばに

ただ佇みながら…。

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るりやなぎ〈ナス科〉

copyright Maoko Nakamura


「おめでとう」

2012-06-27 15:24:10 | 

それは

一瞬の出来事だった。

彼は笑った。

取り繕う間もなく

気持ちを放って…。

初めて見る彼の笑顔は

完璧な笑顔だった。

どんな厳しい審査員も

10点満点を出すような…。

彼は笑った。

世界でいちばんの

幸せ者のように…。

心のシャッターを切った。

その傍らには

笑顔がもう一つ…。

今こそ言おう。

「おめでとう」と。

心よりの祝福を込めて…。

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ネジバナ〈ラン科〉 島根県庁前

copyright Maoko Nakamura


向日葵さん

2012-06-26 18:44:01 | 

明るい笑顔と元気な声と…。

彼女がやってきて

みんなの心が輝いた。

彼女は

あふれんばかりのエネルギーで

自ら楽しみ

みんなを楽しませた。

通りの花壇の向日葵は

まだ固い蕾だったのに

もう向日葵を見た気がした。

太陽に向かってすくっと立ち

満面の笑みを向ける向日葵を…。

彼女は

確かに向日葵だった。

私の心に

夏の太陽を連れてきた。

Photo_2

ブタナ〈キク科〉

copyright Maoko Nakamura


木に伝わる詩

2012-06-25 11:32:04 | 物語

人間が言うところの太古に

父と母は5人の子どもを産んだ。

母はすべてを与え

父はそれぞれを導いた。

人間が言うところの

時が流れている間

木はいつも詩っていた。

父と母のことを…。

けれど木は切り倒されて

詩を忘れた者たちは

きょうだいたちに刃を向けた。

直接的にあるいは間接的に。

残された木は詩う。

「父はひとり、母はひとり」と。

だれもが

母なる海と父なる太陽から

生まれたきょうだいなのだと。

伝え聴いた男は詩う。

東ティモールの森のそばで。

「父はひとり、母はひとり」と。

それ以上はなく

それ以下もないという

澄み切ったまなざしで…。

傍らで子どもたちが

笑ながらその詩を聴く…。

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ホザキナナカマド〈バラ科〉

copyright Maoko Nakamura


カンタ! ティモール

2012-06-24 23:42:14 | 歴史・神話

彼らの悲しみは

昨日の私たちの悲しみ。

彼らの悲しみは

明日の私たちの悲しみ。

彼は歌う

悲しみが癒されるよう。

彼は歌う

悲しみが喜びに変わるよう。

彼の歌が森に響く

神々の住む森に…。

彼の歌が大地に響く

血と涙に染まった大地に…。

「カンタ(歌え)! ティモール」。

世界に

新しい夜明けを

告げるために…。

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カラー〈サトイモ科〉

copyright Maoko Nakamura


心の窓

2012-06-23 22:42:01 | 気持ち

静かに目を閉じ

歩いてきた道のりを

振り返れば

道の途中が

陽だまりのように温かく…。

静かに目を閉じて

歩いてきた道のりを

振り返れば

そのありがたさが

少し深いところでありがたく…。

静かに目を閉じ

振り返えれば

薄闇の中で

心の窓が開いていく…。

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チョコレートクローバー〈マメ科〉

copyright Maoko Nakamura


待ちぼうけ

2012-06-22 18:42:32 | 自然・植物

待ちぼうけ

待ちぼうけ。

けれど夕焼け空は美しく

この空を

待っていたことを思い出す。

待ちぼうけ

待ちぼうけ。

けれどそよ吹く風は心地よく

この風を待っていたことを

思い出す。

待ちぼうけ

待ちぼうけ。

なんて幸せな待ちぼうけ。

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ルドベキア〈キク科〉

copyright Maoko Nakamura


赤い実と黄色い実

2012-06-21 22:54:55 | 食べ物

緑の葉陰に

赤い実と黄色い実。

赤い実は

元気のお守り。

黄色い実ば

幸せのお守り。

今年も

垣根に実った

おいしいお守り。

そっともぎ取りほおばれば

梅雨曇りの空の下

夏がにわかに愛おしく。

Photo Photo_2

ラズベリー、イエローラズベリー〈バラ科〉

copyright Maoko Nakamura


とある感情

2012-06-20 14:52:11 | 気持ち

その時

とある感情が

心の底から湧き上がる。

その湧き上がった感情が

覆っていた垣根を

一つ取り除く。

その様に

自らがたくさんの垣根を

作っていたことを気づかされる。

画期的な発見!

だからといって

すべて取り除けるはずはなく

再びぐるぐると歩き出す。

けれどほんの少し明るくなって…。

雲の切れた梅雨空のように…。

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アスチルベ〈ユキノシタ科〉

copyright Maoko Nakamura


雨の贈り物

2012-06-19 22:34:33 | 

大地に染み込む

雨のごとく

友の優しさが

染み込んでいく。

雨がもたらしてくれた

ありがたい贈り物。

そんなふうに

優しさをもらって

生きていることを

これから時々

思い出すのだろう。

今日のような

降りしきる雨の日には…。

忘れまじき。

Photo

ラムズイヤー〈シソ科〉

copyright Maoko Nakamura


小さなマジック

2012-06-18 22:36:58 | 自然・植物

置きっぱなしの椅子と

咲き始めた白いアジサイの間の

小さな隙間に

こぼれ種で芽吹いた

ゼニアオイが

赤紫色の花をつけていた。

遅れて咲いて

小さな茎に

小さな花一つ。

けれど

なんだか誇らしそうで

なんだかこちらも嬉しくなった。

今日もどんより梅雨曇り。

けれど

パーッと心に陽が差した。

庭が時々見せてくれる

小さなマジック。

Photo

ニゲラ〈キンポウゲ科〉

copyright Maoko Nakamura


器の中の夏

2012-06-16 10:24:30 | 食べ物

葛アンがかかった

見た目も爽やかな

茶碗蒸しの具は

黄色い銀杏でもなく

白い百合根でもなく

赤い梅干し。

茶碗蒸しも

夏のしつらえ。

優しさの中の

酸っぱさが心地よく…。

その心遣いも

ありがたく…。

Photo

南天〈メギ科〉

copyright Maoko Nakamura