今、ここで(Now ,here) by 中村真生子

自分探詩(じぶんさがし)& 山陰柴犬かれんとの日々

鈴虫とツユクサ

2012-08-31 06:44:45 | 自然・植物

海のそばの空き地の

咲き誇る露草の陰から

鈴虫たちの大合唱。

互いの季節を祝うように…。

銀色の羽色が

羽花の青の中にとけていく…。

しばし立ち止まり

祝いの末席に加えてもらう。

朝が明けていく…。

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ツユクサ〈ツユクサ科〉

copyright Maoko Nakamura


トマトの匂い

2012-08-30 10:13:28 | 食べ物

ほったらかしにしていた

小ぶりのトマトが3つ。

サラダに入れようと

トンと包丁を入れる。

酸味を帯びた

青くさい匂いが広がり

ミルク色の霧のように

懐かしさが立ち込める。

去りゆく夏が懐かしいのか

それとも遠い日に

畑でもいで食べた思い出か…。

夏休みに出会った友に

さようならを言う日のような、

しまって忘れていた

子どもの頃の宝物のような、

トマトの匂い…。

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仙人草〈キンポウゲ科〉

copyright Maoko Nakamura


ポトスに降る雨

2012-08-29 09:51:29 | 自然・植物

昨日から久しぶりの雨。

大地の草木が

庭の花々が

瑞々しさを取り戻す。

机の上のポトスの、

新しい葉先にも水の粒。

雨は外にだけ降るものでないことを、

大気を潤すことで

すべての生き物に注がれることを、

一粒の水滴を結んで

教えてくれる。

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ポトス〈サトイモ科〉

copyright Maoko Nakamura


アフリカの舞踊

2012-08-28 10:34:02 | 歴史・神話

鼓動に似たリズムで

踏みならすは聖なる大地。

身も心も捧げるために…。

鼓動に似たリズムで

踏み鳴らすは己の心。

聖なるものに近づくために…。

踏み鳴らせ

踏み鳴らせ

光のごとくたゆまなく

風のごとく大らかに

雨のごとく激しく…。

踏み鳴らせ

踏み鳴らせ

聖なる大地に届くまで

己の胸に響くまで

それが互いにこだまするまで…。

鼓動に似たリズムで

踏みならすは聖なる大地。

人は

それぞれの大地で

それぞれの祈りを捧げながら

人になっていく…。

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萩〈マメ科〉

copyright Maoko Nakamura


刻みこまれた子守唄

2012-08-27 06:59:32 | 自然・植物

母なる大地から

生まれたばかりの太陽は

赤子のごとく瑞々しく…。

やがて高みを目指して

父なる空へと駆け上がる。

幼子のように瞳を輝かせながら…。

そして先祖の眠る彼岸へと

伏し目がちに沈んでいく…。

その間に

生きとし生いける

すべてのものを育みながら…。

だたそれだけを

毎日毎日行うことで…。

鳥は舞い

魚は跳ね

あるものは糸を垂れ

またあるものは走る。

刻みこまれた

子守唄をそれぞれの胸に…。

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ジニア〈キク科〉 トレニア〈ゴマノハグサ科〉

copyright Maoko Nakamura


初めての夜明け

2012-08-26 09:34:10 | 自然・植物

夜明けは思い出させる

初めての頃を。

その柔らかな光で

少しずつ世界を染めながら…。

夜明けは思い出させる

初めての頃を。

そのきらめく光で

すべてをときめかせながら…。

初めての頃

朝日が大地を染めるように

心はバラ色に染まった。

初めての頃

朝日が川面を輝かせるように

心はキラキラと輝いた。

夜明けはいつも思い出させる

初めての頃を。

そこに佇めは惜しみなく。

夜明けはいつも

初めての夜明けだから…。

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ブルーサルビア〈シソ科〉

copyright Maoko Nakamura


岸辺の朝

2012-08-25 09:12:07 | 自然・植物

早朝、岸辺に佇む。

1日目は日の出の

美しさに心奪われる。

2日目は水面と足元に

虫たちの営みに出会う。

3日目は川底に

砂模様の魚を見つける。

4日目は山並みの

美しさに魅せられる。

同じ頃

同じ場所に佇みながら

心に映る風景は

少しずつ違ってくる。

第一印象から細部へ

細部から深部へ

深部から全体へ。

印象は少しずつ食べられ

心の一部となっていく。

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copyright Maoko Nakamura


胸の上の『コタムリト』

2012-08-24 09:44:29 | 気持ち

うだるような暑さの中に

開け放たれた窓から

涼しい風がやってくる。

ほんの一瞬…。

風は言う。

「お前を暑さで焼いたりはしない」

「だからもう目覚めよ」と。

うだるような暑さの中で

目を覚ます。

胸の上には

読みかけの『コタムリト』。

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バラ/スキャボロフェアー〈バラ科〉

copyright Maoko Nakamura


夜明けの三重奏

2012-08-23 09:32:22 | 自然・植物

空の太陽。

川のアメンボ。

岸のクモ。

彼らは奏でる

それぞれの音楽を…。

太陽は宇宙に

七色の光を放って…

アメンボは水面を

透明な波紋で飾って…

クモは大地に

銀色の巣を輝かせて…。

奏でられた音楽が

輪と和を描きながら

夜明けの地球に響きあう。

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copyright Maoko Nakamura


いつものように…

2012-08-22 09:42:51 | 

お盆でお休みをしていた

ボランティアのカフェを再開。

間があいたせいか

「なんか調子出ないね」と

話していたのもの束の間。

やってきた

常連さんの子どもたちから

たくさんの元気をもらう。

いつの間にか

みんな調子を取り戻し

いつものように店じまい。

いつものように家路へと向かう。

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ヒルガオ〈ヒルガオ科〉

copyright Maoko Nakamura


夕べ、満天の星の下で

2012-08-21 10:33:15 | 自然・植物

窓辺の光に誘われて

川土手まで出かけてみる。

見上げれば満天の星。

天上で一際明るく輝くのは

夏の大三角形。

うっすら雲のように

横たわる天の川。

海を挟んで

北斗七星とカシオペア座。

遥か彼方から

旅してきた光たちを

人は名付けて迎え入れる。

その偉業に想いを馳せながら…。

人もまた時の旅人なればこそ…。

*夏の大三角形=こと座のベガ、わし座のアルタイル、はくちょう座のデネブ

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バラ〈バラ科〉

copyright Maoko Nakamura


心の風

2012-08-20 16:33:14 | 気持ち

風は教えてくれる

心にも風が要ることを。

時折、気持ちの良い風を

フーッと吹かせて…。

心の風はどうして起きる?

きっと相手の立場に

なろうとすることで起こる。

気圧の差が

風を起こすように…。

風は教えてくれる

心にも風が要ることを。

時折、気持ちの良い風を

フーッと吹かせて…。

心の風がフーッと吹けば

湧き上がった雲は消えていく…。

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バラ〈バラ科〉

copyright Maoko Nakamura


語りの形

2012-08-19 11:41:30 | 気持ち

口で語る…

胸で語る…

腹で語る…

足で語る…。

口で語られた言葉は

耳に響き

胸で語られた言葉は

心を震わせ

腹で語られた言葉は

背中を押し

足で語られた言葉は

手を取る

ともに歩もうと…。

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ヤナギハナガサ〈クマツヅラ科〉

copyright Maoko Nakamura


夏の終わりの山の夜

2012-08-17 09:44:03 | 自然・植物

その夜

確かに聴いた。

山に棲むものの声を…。

その夜

確かに触れた。

山に棲むものの体に…。

灯に導かれ山に入り

木立の中に佇みながら…。

その声は

山に響き渡り

心に響き渡った。

その体は

山を包み

心を包んだ。

夏の終わりの夜の山で

至福に出会う。

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大山参道ライトアップ

copyright Maoko Nakamura