山茶花散る

凍えながら歩く

道すがら

満面の笑みで

勇気づけてくれた

紅い花。

山茶花散る。

ひっそりと。

山茶花散る。

冬が散る。

山茶花〈ツバキ科〉　　　　　　　　　　　　　　　　　　太ももがセクシーな「かれん」

copyright Maoko Nakamura

きみと暮らして…

いつも待ってくれて

ありがとう。

それが

仕事であるように…。

いつも喜んでくれて

ありがとう。

それが

全てであるように…。

かけがえのない

幸せをありがとう。

きみと暮らして

１月半。

そんな思いで

きみを見れば

大きくなったきみが

何か言いたげに

首をかしげる。

水仙〈ヒガンバナ科〉　　　　　　　　　　　　　　　　　　　庭を散策中の「かれん」

copyright Maoko Nakamura

鶯鳴く

気温が

グンと上がった

今朝の庭。

仔犬と遊べば

近くの藪から

今年初めての

鶯の声。

また一つ

春の兆し。

福寿草〈キンポウゲ科〉　　　　　　　　　　　　　タイムの上でお気に入りタイムの「かれん」

copyright Maoko Nakamura

行方（ゆくえ）

あの冷たい風は

どこへ行ったのか？

確かに

ここで吹いていた。

あの鬱々とした雨は

どこへ行ったのか？

確かに

ここに降っていた。

どこへも行かず

ただ消えた。

どこへも行かず

ただ上がった。

あの冷たい風も

あの鬱々とした雨も

どこからか

来たものではないゆえに

どこかへ行く術はなく…。

クロッカス〈アヤメ科〉　　　　　　　　　　　　　　　　　海を見つめる「かれん」

copyright Maoko Nakamura

綯う（なう）

求め

求められ

一条の

藁（わら）を綯っていく。

あなたと

わたしで。

綯われた藁は

もう藁ではなく

注連縄にも

わらじにもなる

縄（なわ）となる。

クロッカス〈アヤメ科〉　　　　　　　　　　　　　　　　　　実家の庭に佇む「かれん」

copyright Maoko Nakamura

庭の手入れ

我が家の庭にもクロッカス。

今日は天気も良く

春に向けての手入れをする。

去年までと違うのは

今年のテーマが

「犬と遊べる庭」であること。

通路の突起物や

カミカミしそうなものも

取り除く。

犬の遊び場になって

時折り踏みつけられる

花たちもさることながら

いちばん受難者は

楽園のごとく暮らしていた

バッタやカマキリなどの

虫たちに違いない。

クロッカス〈アヤメ科〉　　　　　　　　　　　　　　　　　庭を闊歩する「かれん」

copyright Maoko Nakamura

春の使者

訪ねた

ホテルのロビーに

菜の花やボケの花。

日増しに濃くなる

光をまとい

とりどりの色の

春の使者。

ほうら

あなたの周りにも…。

菜の花（切り花）〈アブラナ科〉　　　　　　　　　　　　　新しいリードで散歩中の「かれん」

copyright Maoko Nakamura

たい焼き

バスに座りて

手のひらに感じる

心地よい温もり。

焼きたての

六尾のたい焼き。

袋のなかからは

芳ばしい

小麦の香り。

食べる前から

幸せをくれる

六尾のたい焼き。

桜草〈サクラソウ科〉　　　　　　　　　　　　　　   　おおいぬのふぐりと「かれん」

copyright Maoko Nakamura

春の芽生え

語りながら

耕すのは

自らの心。

けれど

種は

撒かれるのではなく

すでにじゅうぶん

埋められている。

それぞれの

心の中に…。

耕され

柔らかくなった

心に

春の芽生え。

ろうばい〈ロウバイ科〉　　　　　　　　　　　　　　　  　紐をかみかみの「かれん」

copyright Maoko Nakamura

梅の花

何年も前から

住む人のいなくなった

家の庭に

今年も

咲き始めた梅の花。

開くことのない

扉の前で

今年も

ほろほろと

梅の花。

梅〈バラ科〉　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ポーズをとる（？）「かれん」

存在

喜びと

心配と…。

充足と

不安と…。

心を

疼かせながら

人は

他者を

取り込んでゆく。

自らの

かけがえのない

一部として…。

クリスマスローズ〈キンポウゲ科〉　　　　　　　　　　笑顔の「かれん」

copyright Maoko Nakamura

春の息吹

2月も半ばとなり

数日前から

風呂上りに喉が渇くように…。

コップに水を入れて

ゴクリと飲む。

水は

瞬時に体を駆け巡り

「おいしい」という

言の葉が届けられる。

まだ寒いけれど

体の奥のどこかで

春の息吹。

水仙〈ヒガンバナ科〉　　　　　　　　　　　　　　　　　　花壇で苔を食べる「かれん」

copyright Maoko Nakamura

笑顔への道

食い意地が張っているのは

元気な証拠。

飛びついてくるのも

元気な証拠。

なんでもカミカミするのも

元気な証拠。

元気がいちばんなのに

裏側ばかりを見て

不安に思う。

そんな顔を見て

当の本人も

首をかしげて思案顔。

表に返すことで

笑顔への道。

スノードロップ〈ヒガンバナ科〉　　　　　　　　　バリバリと竹炭を食べる「かれん」

copyright Maoko Nakamura

芽吹き

正月飾りの

金色に

コーティングされた

枝から緑の芽吹き。

正月は

終わったのではなく

今に続いている。

それぞれの

祈りし願いを

叶えるべく…。

クロモジ〈クスノキ科〉　　　　　　　　　　　　　　　最初は段ボールにおびえていた「かれん」

copyright Maoko Nakamura

便りの風

ゴーゴーと

冷たい風。

「まだまだダメだね」

風の中で声がした。

「気づいたことを

誇りに思え」

風の中でまた声がした。

ゴーゴーと

冷たい風。

冷たいけれど

確かにある春を

少しずつ運んでくれる

便りの風。

アリッサム〈アブラナ科〉　　　　　　　　何気ないふりをしながら、ねねさんをちら見するかれん

copyright Maoko Nakamura