始まりを告げる
一筋の涙。
終わりを告げる
一筋の涙。
その間に横たわる
さまざまな気持ち。
天国から地獄へと
突き落とされ
再び天からの光を
見たものだけが知る…。
音楽というより
音語という言葉を
思い起こさせるその曲。
始まりを告げる
一筋の涙。
終わりを告げる
一筋の涙。
壮絶な物語を
読み終えたような
コンサートのあと。
（6月28日大阪フェスティバルホールにて）
チェリーセージ（ホット・リップス）〈シソ科〉
copyright Maoko Nakamura
コンサート会場で見かけた
ピンク色の
ヴァイオリンケース。
携えていたのは
まだ幼い女の子。
薄暗い会場にあって
夜明けに咲く
一輪のコスモスのごとく。
ケースの中には
ヴァイオリンと夢の蕾。
幾つもの夜明けを重ね
やがて
美しい音色を
咲かせるのだろう。
客席ではなく
ステージの椅子に座って。
萩〈マメ科〉
copyright Maoko Nakamura
空を見つめる
あの子の
小さな瞳に
幾つもの光の輝き。
真っ黒な宇宙に耀く
星のごとく。
吸い込まれて
瞳の中の
宇宙を旅する。
癒しという名の
宇宙船に乗って。
紫陽花〈アジサイ科〉
copyright Maoko Nakamura
確かに
笑かけていた。
朗らかに。
つられて
私も笑い返す。
花は
いつも笑っている。
笑うことしか
知らないように…。
花は
いつも笑っている。
それぞれの笑顔で…。
つられて
私も笑い返す。
百日草〈キク科〉
copyright Maoko Nakmaura
空が泣き
我が家も
ポタポタ
もらい泣き。
「梅雨の空な
泣きそ
泣きそ…」
南天〈メギ科〉
copyright Maoko Nakamura
山桜やオリーブ
ミントやゼラニウム…
雨上がりの庭で
伸び放題に
なっていたものたちを
カットする。
背中に汗がにじみ
ゴミ袋は
瞬く間にいっぱいに。
ふと見れば
ドクダミの葉の上に
カマキリの子。
小さな鎌をあげて
お手伝い。
ルドベキア（手前からチェリーブランデー、カプチーノ、プレリーサン）〈キク科〉
copyright Maoko Nakamura
「世の中は
不条理だ」
とあなたは言う。
けれど
あるのは
きっと
互いの条理。
互いが
互いの条理を
受け入れることで
互いの条理が
少し広がり
互いの不条理が
少し減っていく。
アスチルベ〈ユキノシタ科〉
copyright Maoko Nakamura
机の上に置いてある
本のタイトルを読む。
そのことに集中する。
それから
机上にあるものを
ゆっくりと眺める。
やりかけの仕事や
電話や文具や
苔玉やポストや…。
今ここにあるものに
心を合わせる。
心が今に帰ってくる。
今にいるはずなのに
しばしば居留守を使ってる。
ルドベキア〈キク科〉
copyright Maoko Nakamura
日照りのあとは
大量の雨。
「いいところも
そうじゃないところも
ひっくるめて天」。
雨上がりの朝
空を見上げて
あるいは
うつむき加減に
花たちはつぶやく。
それぞれの美しさを
言葉に換えて…。
（2013年6月22日 今のところまとまった雨が数回しかない空梅雨の年）
るりやなぎ〈ナス科〉
copyright Maoko Nakamura
定めることができず
ゆらゆらと揺れ動く心。
いろいろな人に
少しずつ
肩をたたいてもらって
心を定める。
言葉によって…
行いによって…
存在そのものによって…。
決心は生まれる。
たくさんの人に育まれて…。
それを
意識しようが
意識しまいが…。
ダツラ〈ナス科〉
copyright Maoko Nakamura
わたしの中に
蓄積された
思いや記憶を
寄せ集めて
あなたは
わたしの心に像を結ぶ。
夜の車窓に映る
姿のように…。
おぼろげだけど
はっきりと…。
わたしの心に
映っているあなた。
わたしの分身。
その姿をとくと見る
車窓に映る姿のごとく…。
旅で出会った他生の縁。
アブチロン チロリアン・ランプ〈アオイ科〉
copyright Maoko Nakamura
赤い色は情熱 ひたむきな心
オレンジ色は温もり 幸せ与える心
ひかりという名前つけ
あなたに送るよ
素敵な心輝くようにと…
ひかり ひかり
虹の色に輝け
あふれるその笑顔で
黄色は優しさ 気遣う心
緑色は穏やかさ 安らぎ与える心
ひかりという名前つけ
あなたに送るよ
きれいな心輝くようにと…
ひかり ひかり
虹の色に輝け
あふれるその笑顔で
青い色は慈しみ 分かち合う心
紫色は気高さ 凛とした心
ひかりという名前つけ
あなたに送るよ
豊かな心輝くようにと…
ひかり ひかり
虹の色に輝け
あふれるその笑顔で
ひかり ひかり
あなたに送るよ
素敵な心輝くようにと…
ひかり ひかり
あなたに送るよ
素敵な心輝くようにと…
藍の色は愛しさ 愛する心
ひかりmy love
ヤロー〈キク科〉とバラ〈バラ科〉
copyright Maoko Nakamura
烏が羽ばたき
止まっていた枝が
揺れている。
体を曲げ
体を反らし
揺れている。
やがて
枝は揺れることをやめ
何ごとも
なかったように佇む。
烏はとっくに
枝のことを忘れ…
枝はさっぱり
烏のことを忘れ…。
ダスティーミラー（白妙菊）〈キク科〉
copyright Maoko Nakamura
音楽の歩んできた時間…
楽器の歩んできた時間…
奏者の歩んできた時間…
それぞれの
歩んできた時間が
重なり合って
一つの世界が生まれる。
それぞれが
それぞれの歩みを保ちながら…。
それでも
だからこそ
世界は一つになるのだと…。
一つ一つの音色に
耳を傾ければ
生まれし世界が
銀河のごとく輝きだす。
コスモス〈キク科〉
copyright Maoko Nakamura
まどろみの中で
今が
今となり
アフリカの
サバンナのように
今が広がっていく。
時系列を解放された
過去と未来が
草木の陰から
湧き上がり
大地の上で踊り出す。
懐かしくも新しい。
あるいは
新しくも懐かしい。
今が
今となり…。
ある部分はまどろみながら
ある部分は目覚めて…。
シャスタ・デージー〈キク科〉
copyright Maoko Nakamura