詩の現場

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羽ばたきながら、降りてくる

2016-05-14 | 詩を歩く
鳥の写真を見ていて思うのだけれど、
鳥は着地する時にも、
羽ばたきながら降りてくる。
羽の動きを止めて降りてきたら、
あっという間に落下してしまうから。

…鳥はその羽毛の中に微量の風を含んだり、
放したりして、羽の角度を変えながら、
思う場所にふわりと着地するのだろう。
水辺だったり、木の梢だったり。
思いのまま。

ギリシャ神話のイカルスが、
空から落ちてしまったのは、
あまりに太陽に近づきすぎて、
翼が溶けて壊れてしまったから…。
翼を失くし、羽ばたきを止めてしまったら、
墜落してしまうばかり。

鳥が着地しようとして
足を地面につこうとする瞬間は、
だが、決して鳥の体は
空を忘れていないのだと思う。
空の記憶に満ちた羽を広げて、
降りてくるのだ。鳥は飛ぶ。
羽ばたきをやめるわけにいかない命だから。

相変わらず、外に出れば空ばかり見ている。
鳥ではないから、既に地面に足を
つけているのだが。
イカルスのように落下しないように、
空の向こうにつづく夢を見て。
透明な羽の動かし方を習っている。


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