詩の現場

小林万利子/Arim 「詩のブログ」 詩をいつも目の前に
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見えるもの 1

2014-11-22 | interest 2
りょうちゃんは、隣のクラスに転校してきた男の子。
休み時間はいつも一人きり、僕は廊下を通りかかるたびに
椅子にすわったままでいるりょうちゃんの姿が
気になっていた。
りょうちゃんとは、一度も口を聞いたことがない。
でも、りょうちゃんの目にうつるものと
僕が見えるものは、きっと同じだと感じていた。

いつだったか、りょうちゃんの机の上に
小さな宇宙が拡がっているのを見た。
扁平したもの、まん丸のもの、とがっているもの、
どれも手のひらに隠れてしまう程の小石たち。
光に閉じこめられて動かなくなってしまった黄金虫。
幼虫がはみだしてきそうな木の実の山。

僕たちは、知っていた。
家では、お母さんが洗濯槽の底に
この小さきものの残骸を見つけ、絶句していることを。
みんなの悲鳴を聞きながら、戸外に飛びでると
そこから、僕たちの宇宙ははじまると。

枯れ葉をバリバリ踏んで、砂利道をザクザク歩いて、
水たまりをジャブンといわせて。

そろそろ、冬がやってくる。



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