詩の現場

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鏡の国のねこ

2015-07-30 | interest 2
深夜2時をまわると
鏡の国のドアがひらく

ようこそ、
誰かがドアを開けるのを合図に
鏡の国の妖精はでかけていく

すると留守番のねこたちが
かわりばんこに顔をだし
…ねぇ、きみ、鏡の国を知りたくないかい
…きみのともだち、鏡にむかって何してる?
と きいてくる

…鏡にむかって微笑んでる
…鏡のなかは だから
 誰かの微笑みで一杯なのさ、
…窮屈なくらいさ、
…それで
…鏡の妖精たちは
 大忙しで持ち主に返しに行くのさ
…枕元にそっと微笑みの詰まった袋を
 置いてくるんだ
…朝までにね…

…さあその間、鏡の国のドアを開けた人、
…ぼくたち留守番ねこの相手をするきまりだよ、
と教えてくれる

1番目は、喋らないねこ。
私は困り果て、"今日はね、少し誰かと話をしたかったんだ"
と言うと、うなずいた

2番目は、笑うねこ。
"今日はね、もう少しばかり、悲しいままにしておいて
くれないかい"
うなずいて ねこはすわる

3番目は、逆さ言葉を話すねこ。
仲良しのねこだ。
"きみはここにいたんだね"
"でもね、今日はね、とても頭が疲れてしまっていてね、
ごめんね"
うなずいて ねこは丸くなる

さかだちをするねこ
しっぽで歩くねこ
ハープを掻き鳴らすねこ
そして
この国のノーベル賞をもらったねこ
微笑みの分量計をつくって
微笑みの永久保存の方法を発明したねこ
の話を聞いていたら、
外はだんだん、明るくなってきた

妖精が帰ってくる時間
鏡の国にはまた微笑みが山のように集まりだし。
ねこは私の悩みや疲れを、微笑みとそっくり
交換してくれて
寝床へ帰っていく

ドアに鍵をかける音が聞こえてきて
私は自分の部屋に戻る時間
鏡をとじて、目をとじて
ではまた明日…


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