詩の現場

小林万利子/Arim 「詩のブログ」 詩をいつも目の前に
小林万利子/Arimの詩とエッセイと音楽Arim songs

満月のかけら

2009-10-13 | My詩集から
満月のかけらを ひろった
きのうも 今日も

あすの朝になると きっと
ここにも あそこにも 見つかるだろう

時計の止まった 部屋のすきまに
無数のかけらが しきつめられていく
飲みかけの ワイングラスの中に
かたくなったパンの上に
冷えきったベッドに
骨ばった手にも

かけらを かんでみる
ちいさな音が 生まれる
光のような音符が
つぎつぎに つながり
かけ足で 朝がめざめてしまいそうだ

満月のかけらは つめたくて あたたかくて
かたくて やわらかくて
思い出せそうで 思い出せない味
すぐ そばで
いつも 一緒にいながら
まだ 見たことのないものたちとの
おしゃべりのような

             詩集「ひかり」より



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