私が小学生の4年生から5年生にかけて、福島県の原ノ町(今の相馬市)に、父の仕事の関係でいたことがあった。
そこは初めての転校先だった。
(このあと、松本→長野→函館と転校する)
わたしがゆうこちゃんと仲良くなったのは、何がきっかけか忘れてしまった。
席がとなりだったとか、家が近かったとかいうのではなかったと思う。
今、考えると父同士の仕事の関係だったような気がする。
私たちはすぐにとても仲良しになり、毎日、互いの家を行ったり来たりして遊んだ。
彼女はS材木店の一人娘で、家も大きく庭も広く、そしてお琴を習っていた。
目がくりくりっと大きく可愛らしい、本当のお嬢様だったのだ。
私は公務員の、しかも転勤族の娘。
いったい何が私たちを結びつけたのだろう
あるときゆうこちゃんが言った。
「双子だったらよかったのにね」
そう、私もそう思っていた。
双子だったら毎日、一日中一緒にいることができる。
それほど私たちは仲がよかったのだ
そんな楽しい日も、父のまたの転勤で終わってしまった。
しばらくは手紙のやり取りもあったような気がする。
あんなに仲がよかったのに、いまはもう、どこにいるのかも解らない。
この間の地震のとき彼女はどこにいたのだろう。
その消息すら聞く事が、もうできない。
子供の頃の夢。
それはすぐに忘れる夢とずっと覚えている夢があり、そしてすべて夢以外のなにものでもないのかもしれない。