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fromイーハトーヴ ーー児童文学(筆名おおぎやなぎちか)&俳句(俳号北柳あぶみ)

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2014年下半期おもしろかった本

2014年12月13日 | 日記

 今年まだ半月ありますが、あげておきます。順不同です。

・コレクター 不思議な石の物語(宝島社)   深津十一     冒頭、おばあさんが亡くなった後、おばあさんの遺言を果たすため、主人公がとった行動と石との関連から物語が展開します。この作者にとっては、デビュー作。「このミステリーが読みたい」という公募の受賞作です。これがおもしろかったので、2作目も読んでみましたが、こちらはイマイチでした。残念。

・冬虫夏草(新潮社)  梨木香歩    『家守奇譚』がとても好きな本のひとつなのですが、これはその続編。行方不明の愛犬ゴローの目撃情報を聞いて、鈴鹿山中を彷徨います。同じ作者の『海うそ』(岩波書店)もよかったですが、どっちが好きかというと、犬と主人公との繋がりが嬉しいので、こっちかな。それにしても、難しいけれど、趣のある言葉がちりばめられていて、それが全編を通じて雰囲気を作っている。言葉の力を感じるところ大です。

・クラスメイツ(前期・後期) (偕成社) 森 絵都  もともと児童文学を書いていた作家さんなので、中学生を主人公にした作品では、ぐんと力を発揮すると思います。中学の一クラスひとりひとりを主人公にした短編連作。そして全編でひとつのクラスが浮き彫りになるという。どの子も、いいんですよ。

・島はぼくらと (講談社) 辻村深月   この半月ごとの自分が読んだ本を揚げるとき、この作者の出る率が高いなあと思います。つまりこの方の書くものが好きなんですね。これもよかったです。瀬戸内海の小さな島からフェリーで本土の高校へ通う4人の男女と島の住人たち(都会からの移住組も多い)の暮らしが描かれていました。同じ作者の他の本の主人公が脇役で出てくるというお楽しみも、この本でもあり、ファンは「おお」と思うのです。

・明日はいずこの空の下(講談社)  上橋菜穂子  エッセイです。上橋さんは、『鹿の王』という新作も出され、こちらも読みました。「さすが」とうなされる作品でしたが、好きかどうかというと、ここに揚げるには、このエッセイの方かなと。人類学者として、普通の人は遭遇しないようなエピソードも中にあり、こういうのがファンタジーを書く上で、厚みを与えているのだなあと思いました。

・アキハバラ@deep (文藝春秋)  石田依良   10年前に刊行されている作品なのですが、初めて読みました。10年経っているので、本の裏表紙にあるラジオデパートなど、なくなっていると、秋葉原も変化しているはず。ITの世界もしかり。でも、古いと感じない。私がITにうといからかもしれませんが、主人公たちが魅力があるからだと思います。一人では、社会に適応できないであろうアキバのオタク達(ひどい吃音だったり、潔癖症の三次元の女性嫌いだったり)が、アキバの裏通りで、世界があっというような検索サイトを作り出す。そして……という話。石田依良は、「池袋ウエストゲートパーク」もだったけど(こっちはドラマを見ました)、徹底的に街の雰囲気を書ける。さすがというより他にないです。読んだ後、調べたらテレビドラマや映画にもなっていて、DVDを借りて見てしまいました。ドラマだと10時間以上かかってしまうので、映画のほうを。当然省略もあって、そこは寂しかったけれどよかったです。主人公を成宮くんが好演していました。荒川良々もいい。当たり前だけど、映像化には、すごくお金もかかっていて、原作はそれだけの価値があるんだなあと思ったり。GYAO!で、ドラマをやってくれないかなあ。

 と、6冊ありましたね。そして、長々ととりとめなく書いています。読んでくださって、ありがとうございました。もしかしたら、一人でも、(へえ、この本おもしろそう、読んでみようかな)と思ってくださる方がいると嬉しい。自分の記録としても書いています。