Cape Fear、in JAPAN

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にっぽん男優列伝(244)東野英治郎

2014-09-11 00:30:00 | コラム
07年9月17日生まれ・94年9月8日死去、享年86歳。
群馬出身。

なんかトップに、どえらい画像を持ってきてしまいましたが・・・笑

製糸場の世界遺産登録で湧きに湧いている群馬は富岡出身の東野英治郎(とうの・えいじろう)さん、
一般的には長寿ドラマ『水戸黄門』(TBS)のシリーズで、69年から83年まで徳川光圀を演じ続けた「黄門様おじいちゃん」として有名です、、、が、じつは自分、このドラマをマトモに観たことがないんですね。

幼心に「権威主義のドラマだし!」と思っていたのかもしれません。

そんなはず、ねーって。

ともかく自分にとって東野さんとは、黒澤映画における「主人公を助けるおじちゃん」です。

『野良犬』(49)で黒澤組に初参加、『七人の侍』(54)、『生きものの記録』(55)、『どん底』(57)を経た61年、『用心棒』で居酒屋の権爺を演じる。

金のない桑畑三十郎に酒と飯を与え、宿場町「事情」を分かり易く説明―ある意味で、狂言回しのようなキャラクターでした。

『天国と地獄』(63)では靴工場の工員として登場、「現場の人間で権藤さんを恨むようなヤツは居ないです」と警察に答えて権藤さんをサポート。

『赤ひげ』(65)までの7本の黒澤映画に参加、小津作品にも顔を出していますが、やっぱり黒澤組のひとだよね、、、と。




<経歴>

実家は造り酒屋だったそうです。
明治大学在学中に左翼運動に参加、それがきっかけでプロレタリア演劇研究所の第一期生になる。
その後も社会性の強い戦う舞台の出演をつづけるも、政府による「新劇弾圧」で検挙されたりしました。

戦中からいくつかの映画には顔を出していました―『兄いもうと』(36)、『海援隊』(39)、『海軍』(43)、『陸軍』(44)―が、本格的参入は戦後になってから。

40年代後半より映画出演の機会が増え始め・・・
『月の出の決闘』(47)、『女優須磨子の恋』(47)、『破戒』(48)、『無頼漢長兵衛』(49)などで派手さはありませんが安定感のある演技を披露しています。

ここからドドッと映画のキャリアを並べますが、面白いなぁと思うのが、教師・校長など教育関係者のキャラクターを演じることが異様に多いこと。
あぁ、たしかに似合いますものねぇ!!

51年…『中山安兵衛』『自由学校』
52年…『山びこ学校』『原爆の子』『慟哭』
53年…『浅間の鴉』『雁』『赤い自転車』『東京物語』
54年…『勲章』『太陽のない街』『潮騒』
55年…『ここに泉あり』『警察日記』『愛のお荷物』
56年…『夕やけ雲』『夜の河』『森は生きている』『あなた買います』『早春』

大番シリーズ…加東大介が主演するコメディのシリーズで、東野さんは「チャップリンさん」を好演する
『大番』(57)、『続大番 風雲篇』(57)、『大番 完結篇』(58)

57年…『柳生武芸帳』『雪国』『純愛物語』『黒い河』

警視庁物語シリーズ
『警視庁物語 夜の野獣』(57)、『警視庁物語 一〇八号車』(59)、『警視庁物語 血液型の秘密』(60)

58年…『手錠』『楢山節考』『裸の大将』『悪女の季節』
59年…『キクとイサム』『野獣死すべし』『浪花の恋の物語』『お早よう』
60年…『大いなる旅路』『国定忠次』『武器なき斗い』

社長シリーズ…森繁久彌が主演する東宝の看板シリーズ
『サラリーマン忠臣蔵』(60)、『続サラリーマン忠臣蔵』(61)、『サラリーマン清水港』(62)、『続サラリーマン清水港』(62)、『社長洋行記』(62)、『社長忍法帖』(65)、『社長行状記』(66)、『社長えんま帖』(69)、『続・社長えんま帖』(69)、『社長学ABC』(70)、『続・社長学ABC』(70)

61年…『豚と軍艦』『永遠の人』『世界大戦争』
62年…『キューポラのある街』『秋津温泉』『秋刀魚の味』
63年…『古都』『海軍』『武士道残酷物語』『江分利満氏の優雅な生活』

クレージー映画シリーズ
『クレージー作戦 くたばれ!無責任』(63)、『クレージーだよ天下無敵』(67)、『クレージーの怪盗ジバコ』、『クレージーのぶちゃむくれ大発見』

64年…『傷だらけの山河』『乾いた花』
65年…『侍』『無法松の一生』『四谷怪談』
66年…『とべない沈黙』『本能』『白い巨塔』


全キャリアを載せると、映画だけで300本を超えるそうです。

素直に、すごい!!

このあとも『斬る』(68)や『復讐の歌が聞える』(68)、『トラ・トラ・トラ!』(70)、『獄門島』(77)などできっちり仕事をこなしつつ、テレビでは黄門様を演じていたわけです。

タフですなぁ!!

78年には映画版の『水戸黄門』でもタイトルロールを演じ、『居酒屋兆治』(83)、『千利休 本覺坊遺文』(89)と、本数は減ったものの映画の現場にも顔を出しつづけました・・・が、90年の『あげまん』を最後にスクリーンに登場しなくなります。

94年9月8日、自宅で心不全のため死去。
享年86歳ですが、なんだかずっと前から80歳を超える印象があったのは、やっぱり黄門様の影響かしら?

このひとの演技を見ていると、なんだか不思議と落ち着きます。
怒鳴ってばっかりの『用心棒』でさえも。

あぁまた「あばよ!」を聞きたくなったので、『用心棒』のDVDを流そうかしら。


次回のにっぽん男優列伝は、時任三郎さんから。

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明日のコラムは・・・

『サンプルがいっぱい』

コメント (2)
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