Cape Fear、in JAPAN

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『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

にっぽん男優列伝(243)でんでん

2014-09-10 00:46:30 | コラム
50年1月23日生まれ・現在64歳。
福岡出身。

公式プロフィール


「透明にしちゃえばいいんだよ」(殺しちゃえばいいんだよ)

この台詞で映画小僧を震え上がらせた「でんでん」さんは、かつてお笑い芸人をやっていました。
そのころの芸名を変えずに芸能活動を続けているわけですが、このひとにかぎっていえば、これが功を奏しているといえそうです。

パンダじゃないですが、やっぱり覚え易いんですよ「繰り返すことば」というものは。

ちなみに芸名の由来は、「でんでん太鼓」と「でんでん虫」からきているのだとか。
ここまではウィキペディアに載っていることですが、じゃあ載っていないトリビアをひとつ。

芸人をやっていたころ、弟子がつきました。
その弟子につけた芸名が、「第二でんでん」。

・・・笑

これたぶん、35歳以上のひとには通用する笑いだと思います。

NTTとKDDIくらいしか知らない若い子は、クスッともしないでしょうねぇ。


さて。
ちょっとしか顔を出さなかったとしても「おおいなるインパクト」を残すひとですが、それは2000年代後半からの話であり、それまでは長い出演場面であったとしても「出てた?」なんていわれていました。

まさに遅咲きのひと。
人生、なにが起こるか分かりませんよねぇ!!




<経歴>

尊敬するひとは、俳優の渥美清。
高校卒業後、渥美さんの弟子になろうと上京するも本人にさえ会えなかったそうです。

芸能人になる夢を抱きつつも就職、しかし4年経っても諦め切れずに退社して「劇団ひまわり」に入団する。

80年―『お笑いスター誕生!!』(日本テレビ)に出演し金賞を獲得、芸能界デビューを果たす。

なんとなく、ほんとうになんとなくではありますが、芸人としてのでんでんさんの活躍を覚えている、、、ような気がしています汗汗

翌年の81年、森田芳光の『の・ようなもの』で俳優業に初挑戦。
落語家を題材としたライト・コメディで、だからでんでんさんのような芸人を起用したのでしょう。
北野武が(暴力描写の効果を狙って)渡嘉敷勝男や薬師寺保栄を起用したことに似ている―はずなのですが、でんでんさん本人にとって演じることは思いのほか気持ちよかったようで、これをきっかけにして俳優業のほうにスライドしていきました。

とはいえ前述したように、ブレイクは2000年代後半からです。
映画にかぎっていえば・・・『ペエスケ ガタピシ物語』(90)、『怖がる人々』(94)、『CURE』(97)、『のど自慢』(99)、『ゴジラ2000』(99)、
『呪怨』(2000)、『EUREKA』(2001)、『赤い橋の下のぬるい水』(2001)、『さよなら、クロ』(2003)・・・という具合で、まぁ『EUREKA』のような「大」傑作もありますが、映画小僧が期待する「でんでん、際立つ」みたいな強烈なキャラクター性を放つことは出来ませんでした。
このころまでは、たぶん誰にとっても「テレビドラマで、ときどき見るおじさん」程度の認識だったんですよね。

風向きが変わり始めるのは、2006年の『雪に願うこと』あたりから。
2007年は『どろろ』、『松ヶ根乱射事件』、『パッチギ! LOVE&PEACE』、『屋根裏の散歩者』、『遠くの空に消えた』、『サッド ヴァケイション』と話題作に連続出演を果たしました。

ここから急に出演作が増えるので、年表形式で。

2008年…『母べえ』『歓喜の歌』『クライマーズ・ハイ』『グーグーだって猫である』『イキガミ』

2009年…『蟹工船』『ちゃんと伝える』『銀色の雨』

2010年…『ボーイズ・オン・ザ・ラン』『ゴールデンスランバー』『孤高のメス』『悪人』

2011年…『冷たい熱帯魚』『大木家のたのしい旅行 新婚地獄篇』『犬飼さんちの犬』『大鹿村騒動記』『神様のカルテ』『極道めし』『モテキ』『CUT』


重要なのは、やはり、2010年から11年にかけてのキャリアでしょう。
『悪人』なんて、ふつうのタクシー運転手なのに不思議と印象に残ります。
「でんでんさん、いい味出してきたな」などと思いながらこの映画を観た数ヵ月後に、衝撃作『冷たい熱帯魚』が発表されました。

邪魔になったものを片っ端から殺していく「狂気のおっさん」を嬉々として演じ新境地開拓、現在もつづく絶頂期に突入するのです。


2012年…『ヒミズ』『ライク・サムワン・イン・ラブ』『希望の国』『その夜の侍』『黄金を抱いて翔べ』

2013年…『鈴木先生』『ひまわりと子犬の7日間』『二流小説家 シリアリスト』『地獄でなぜ悪い』『清須会議』『リターン』

2014年…『ジャッジ!』『春を背負って』『TOKYO TRIBE』


でんでんさんを「発掘した」といってもオーバーではない園子温監督には頭が上がらないようで、このひとのオファーに対しては脚本も読まずに快諾するのだとか。

公開中の園組による『TOKYO TRIBE』でも、じつに楽しそうに演技をしていて、観ているこっちまでうれしくなっちゃうのでした。

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明日のコラムは・・・

『にっぽん男優列伝(244)東野英治郎』

コメント (3)
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