Cape Fear、in JAPAN

ひとの襟首つかんで「読め!」という、映画偏愛家のサイト。

『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

読ませるちから

2014-09-04 00:30:00 | コラム
ここ1年で、雑誌ではなく書籍を手にしてそれを読了したことがありますか。

ある…23人
ない…75人
覚えていない…2人

※10~40代への100人アンケート@まっき~

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じつは雑誌を入れたところでたいした変動はなかったりするのだが、上のとおりである。

ここに電子書籍を加えなければ「活字が読まれなくなった」と結論づけることは出来ないが、ともかく「20年前より減っている」ことはたしかなようで、
しかし、たぶん20年前は20年前で「若いひとが活字を読まなくなった」といわれていたのだろうな・・・とは、容易に想像出来る。


先日、たいへん驚いたことがあった。

学生時代を除いて「縦書きの文章を読んだことがなかった」と豪語する年下の知り合いMくん(27歳)が、一冊の本を読んだというのである。

「なにを読んだの?」
「麻美ゆまの自叙伝です」

あぁ、なるほど。

麻美ゆまとは、AV女優である。

2013年、10月―。
彼女は境界悪性腫瘍に罹患し、子宮と卵巣の全摘手術を受けたことを動画サイトで報告した。




彼女には何度か取材をしているが、たいへんにおおらかというか、話していてじつに落ち着くいい子だった。

ロリコン体質? の自分の好みではなかったが、同郷の群馬出身というのもあって応援していた。
悪くなったのが子宮だったものだから「AVなんかに出ているからだ」なんていう悪口も書かれたりしたが、彼女は負けなかった。

Mくんも彼女のファンであり、それで自叙伝を手に取ったと。


当たり前のことかもしれないが、好きなひと・ものであれば、苦手なことにも手を出すことが出来る。
そこでは新たな発見があるはずで、ひょっとしたら本好きが100冊読むことよりも大きな意味が生まれるかもしれない。

出来ることならばMくんがこのあと、べつの本にも興味を抱くようになってほしいが・・・どうだろうね。
そういえば同じようなことが、飯島愛の『プラトニック・セックス』発売時にも起きた。

ふだん読まないひとを、読む気にさせる「読ませる力」とは文章力のことではなく、ひとの魅力を指すことばだったか。


「新規を取り込む」重要性は、なにも活字の世界だけのテーマではない。
自分の専門の話だけをすれば、格闘技や映画も同様なのである。

それが「完全にうまくいっていない」格闘技の話は、「この際」置いておいて・・・

自分は主に「映画を必要とするガキたち」に向けて偏愛的文章を書いている。

いわゆるビッグバジェットをほとんど取り上げないのは、有村昆やLiLiCoが紹介してくれるからであって、また、そういう映画を自ら進んで観ようとする少年少女は、放っておいても映画好きになるのだ。

極端な話をすれば、映画スターなんてひとりも知らない。
ブラピってジョニデってアンジーって誰?
そして知ったとしても、べつに興味ないし・・・とかいっているヒネクレモノの関心を引きたい。
そういうガキたちに、こころの穴を埋める魔性の映画を紹介したい。

なぜなら自分が、そんな風にして映画小僧になったから。

映画が必要「であろう」けれども、それに気づいていないものたち―だから社会から、暴力から、性から映画を捉え直すようなブログを発信しているわけだが、まずそういうことをやっているという事実を知ってもらわなきゃいけないんだよね。


結論。

それが彼ら彼女らに「届いている」という実感がないのだから、あきらかに自分の努力不足だろう。

努力というより、情念のほうかな。

稀に、ごく稀に「参考になった」「映画小僧になりたい」なんていうメールをもらうが、ぜんぜん足りん。


Mくんの「一気に読んだ。感動した。彼女が益々好きになった」という一直線な感想を聞き、自分の本気度はまだまだ低いぜ、なにやってんだキチガイザーメン映画小僧めが!! と、久し振りに自分のありかたを見つめたのだった。


Mくんにだけでなく、麻美ゆまにも感謝せねばならないだろう。

ありがとうね、ゆまちゃん。
そして、負けんなよ。

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本館『「はったり」で、いこうぜ!!』

前ブログのコラムを完全保存『macky’s hole』

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明日のコラムは・・・

『怒れる牡牛の物語』

コメント (2)
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