Cape Fear、in JAPAN

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『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

ハッとしてグー?

2014-09-24 00:30:00 | コラム
北野武が本領を発揮した映画『アウトレイジ』(2010)に、こんなシーンがある。

警察署の前で、警戒杖を持って立つ「立ち番」と呼ばれる警察官―彼に目がけて、ヤクザの椎名桔平が煙草の吸殻を放る。
すると、通りかかったイカツイ刑事が「なにしてる、煙草を拾え!!」と怒鳴る。

椎名ヤクザは、不機嫌に吸殻を拾った・・・。

このイカツイ刑事は、たぶんマルボウ(=警視庁捜査四課、対ヤクザのための刑事たち)なのだろう。


観客が驚くような描写ではない。
ないが、たぶんほかの監督はやらない。
そのことに感心し、ハッとする。

これが、この監督なりのリアリティなんだなぁって。

自分は、そういう描写が多い作品を「優れた映画」だと解釈している。

今宵はそんな、ハッとしてグーな作品を集めてみた。


※自分の好みを最優先したら、かなり物騒な描写ばかりになっちゃった


(1)『キッズ・リターン』(96)

ヤクザの石橋凌が殺されるシーン。
殺し屋は、ママチャリに乗ってやってくる。

つまり北野映画は、ハッとするシーンの宝庫なんだ。

(2)『羅生門』(50)

多襄丸(三船)と金沢(森雅之)の対決。

それぞれの回想では「色がついて」勇ましい感じだが、ほんとうは杣売り(志村喬)が回想した「ぜんぜん勇ましくない」戦いだったと思われる。

次点の映画にも通ずるが、ひとを殺すさまは、じつは、ちっとも格好よくないのである。

(3)『許されざる者』(92)

相手がたとえ丸腰だったとしても、なかなか仕留め切れない。

黒澤とイーストウッドは、ひとを殺すことの難儀さを描いている。

(4)『フルメタル・ジャケット』(87)

教官ハートマンは射撃の講義において、チャールズ・ホイットマンの話をする。
「彼の能力は素晴らしい」と。

ホイットマンとは、テキサスタワーから乱射して10人以上を殺した実在する犯罪者。

犯罪者を「教材」とするところに、戦争の狂気が見て取れよう。

(5)『風と共に去りぬ』(39)

スカーレットの愛娘が落馬して死ぬシーン。

最初に観たとき、まだガキだった自分は落馬で死ぬという展開に慄いたものだった。

(6)『ゆきゆきて、神軍』(87)

喧嘩を吹っかけたら、逆に羽交い絞めにされてしまった奥崎さん。

「(カメラを)止めろって。俺がやられているじゃないか!!」

ドキュメンタリーだからこそ起きた、映像的ハプニング。
そして奥崎さんが「格好よく撮られたがっていた」ことを知ると、余計に面白い。

(7)『ピアノ・レッスン』(94)

エイダの娘が母親の浮気現場を目撃、別の男に捧げる「魂の恋文」を、エイダの夫に届けてしまうくだり。

残酷だけれど、あり得ると思った。

(8)『アマデウス』(83)

ハッとするシーンが沢山。

ひとつ選ぶとするならば・・・
暖炉に放った十字架―それが掛けられていた壁には、十字架のところだけ「跡」がついている。

この「跡」だけで、サリエリの信心深さが表現されていて見事。

(9)『十九歳の地図』(79)

♪ ぴっちぴっち、ちゃっぷちゃっぷ、らんらんらん ♪

これはハッとするというより、「業界的あるある!!」かもしれない。

雨の日―これから新聞配達をしなければならない配達員たちが、『あめふり』を大合唱するシーン。

(10)『グッドフェローズ』(90)

ヘンリーが逮捕されるまでの1日を描いた、クライマックスのシークエンスすべて。

彼にとっては、料理することも麻薬の売買をすることも、同価値なのである。




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コメント (2)
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