8月17日ぜんせきより
「論説」業転業者OBの見た 今
それまで「無印」と呼ばれてきた非系列業者のSSがネットワークを広げ、元売と商社の合併会社は解体し、残されたSSは元売が自らの子会社を使い社有物件として運営に乗り出す。
業転玉は市場の3割に達するほど間口を広げ、「外販」として市場を席捲したのはつい2年ほど前まで。
それがいま、跡形もない。
40年以上石油に関わってきた商社マンOBはこの状況に驚きを隠せないが、同時に自らの経験を踏まえ口にするのは
「あの時代が正しかったとは思わない」ということ。
いま転籍を持ち掛ける相手も、業転をこっそり売れる相手もいない。
なにより商売を成立させる安い業転玉がない。
自らの経験が否定されるような話だが、「それが商売としての常道だろう」という。
公正な市場でだれもが納得する商売の方が良いことは、一人の消費者となった今だからわかる。
「石油は変わった。しかも本来商売としてあるべき方向に向かっている」というのが、人生を賭け石油と向き合ってきた実感だ。
8月21日燃料油脂新聞より
大阪府内 卸一段と厳しい環境に
元売「計画配送」促進で 系列外仕入れ減少へ
近畿市場 系列マーク掲出が困難
PB系業者SS運営限界も
近畿市場では独立系PB業者のSS経営維持が厳しい情勢にある。
PB業者の間には商社系ブランドマークなどを求める声も出ているが、ハードルは一段と高くなっている。
昨年来の需給改善、ローリー不足などを要因として石油製品の仕入れが滞るなど、PB業者にとっての経営環境は一段と厳しくなっている。
「条件的に厳しい各地域の独立系PB業者の淘汰は加速されていく」(商社筋)との見方が強まっている。
※
業界紙には元売統合最終章で安値の業転玉が無くなり、独立系PBはピンチという記事が多いのですが、
知り合いのPB業者さんたちは、決してそんなことはなく、玉の心配もされていないようですし、何よりバリバリドンドン儲けておられます。
知り合いではありませんがこのマサさんとおっしゃる方などはこれからPBになろうとされているくらいです。
確かに系列と業転の卸格差が縮小したとはいえ、それは2者店レベルの話ですからね。
それにしてもリッターマージン25円とは!!
(系列仕入れでも19円とありますのでかなりの好市況地域と推測されます)
全両系列仕入れでマージン一桁しかないのとでは確実にモチベーションが違ってきますね。
それはそうと、
業転玉の、本当のところは一体どうなっているのでしょう?
規制緩和(自由化)で消費者が先ず期待するのが「安くなる」こと。
規制緩和(自由化)は価格競争の始まり。
コスト削減のため、効率化、省力化、無人化・・・
非効率で不採算な部分は切り捨てる。
それは、新しく参加する外資や異業種には容易い。
けれども
既存店、特に地場で生業として運営している者には、難しい。
生まれ育った土地だから、「情」が勝る。
不採算を承知でも、断り切れない。
だから「労多くして益少なし」
8月17日燃料油脂新聞より
ポリ缶配達増える 背景に高齢者世帯増加
配送効率の悪化懸念
高齢者世帯の増加が原因とみられ、また「ポリ缶の配達を断り始めている業者がいる」という指摘があり、配送員の人手不足から手間のかかるポリ缶の配達を敬遠する業者が増え始めたことも影響しているとみられる。
業者は「これ以上ポリ缶の配達が増えると(他の)配達に支障をきたしかねない。
しかし年配のお客さまからの注文なので断ることもできない」と頭を悩ませている。
「マージンはリットル20円以上取れているが、やりたくないというのが本音だ。しかしお年寄りからの注文なので気の毒で断り切れない」とため息をつく。
*****
※
私は断ろうとしたことがあります。
当時は店頭での燃料油マージンは一桁しか取れず、配達は何とか二桁マージンを確保、という有り様でした。
ポリ容器1つ2つでは・・・です。
そのために小一時間
こうちゃんが配達に出ているその間に、オイル交換のお客さんを逃すこともある。
従業員がいなくなって、こうちゃんが配達に出ると私一人で、
ガス欠バッテリー上がり脱輪など、電話で助けを求められても応じることが出来ず、
店頭での油外(作業)の注文も同じで、
「それでもフルか!」
「せっかく注文してやっているのに(来てやっているのに)!」
「そんなことでは潰れるぞ!」
「もう来てやらんからな!」
「人を雇えよ!」
「人件費をケチってまで儲けようとせんでもええやろ!」等々
お叱りを受けることがしょっちゅうで、
何というか、もう、私の心が限界だったので
灯油の巡回業者やセルフやホームセンターが現れてから当店の常連さんではなくなっていた方からの、電話でのポリ容器2つの配達依頼をお断りしようとしたのです。
「灯油の配達は会社関係だけで、小口の新規は承っておりません」
そう言って、いくらお断りしようとしても、
灯油を切らしてしまって手が紫色に腫れている。
身体が弱いから死にそう。
灯油が無かったら寒くて死んでしまう。
一人暮らしのお婆さん(※)にそう言われたら、
(2者店クラスの店なら断れたとしても)
地場3者店は、断り切れない。
(※)20年という時を経て、この方も車を持たない独居老人となったのです。
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今は開き直って、
「こうちゃんが配達中の油外は最初からなかったものとする」
「文句を言う人はうちのお客さんではない、こちらを疲弊させるだけの単なる消費者」と思うようにしています。
(そうでも思わなければ店を続けることが出来ませんでした)
でもこんな当店でも、2度3度と出直して来て下さる有り難い本当のお客様もいて下さることがわかり、心にも少し余裕が生まれました。
そして元売統合効果で粗利も少し回復してきたので
車を持たない独居老人などからの小口配達の依頼にはなるべく応えてあげようと思えるようになっています。
ただし近隣に限ります。
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少し話は逸れますが
月刊SSMAGAZINEガソリン・スタンド8月号より
これはPBセルフです。
「空気入れ/ゴミ箱ありません」
写真の下には“徹底したノンサービスでローコストを実現”と書かれています。
経営のやり方はそのお店それぞれですから、これをとやかく言うつもりはありません。
しかし、ここで給油をされる消費者がタイヤの空気圧点検充填のために利用しようとするのは?
多分その多くは地場フル店ではないでしょうか?
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コスト削減のため、効率化、省力化、無人化・・・
非効率で不採算な部分は切り捨てる。
それは、新しく参加する外資や異業種には容易い。
けれども
既存店、特に地場で生業として運営している者には、難しい。
生まれ育った土地だから、「情」が勝る。
不採算を承知でも、断り切れない。
だから昔ながらの地場フル店は、「労多くして益少なし」
疲弊の末に廃業に至った店も多い。
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元売も更なる効率化を進めようとしているようです。
元売「計画配送」促進で
8月21日燃料油脂新聞より
追記
抗議のためのバス廃止届
8月20日燃料油脂新聞より
原油高市況明暗分ける
セルフ 収益拡大、経営好転
フル マージン改善進まず
セルフSS優勝劣敗鮮明 大手拡大 中小撤退
新設は量販型が主流
価格競争は資本力の戦い。
「記者の眼」 質の低い“安値志向客”
セルフでも燃料油マージンは15円?@セルフ給油客は神様です。