masumiノート

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コストコの現状と今後

2016年08月10日 | ガソリンスタンド2

8月3日ぜんせきより


年間売上14兆3千億円、パート勤務を含む従業員数20万人の会員制量販店「コストコ」(本社・米国シカゴ)が日本でSSを開業してから約1年。
山形、富山、岐阜、愛知、宮城と安売りSSを次々とオープンさせ、年内には静岡県浜松市で新店舗の着工にかかる計画だ。
とりわけ愛知県常滑市の中部空港倉庫店は、地元PBなど隣接店との価格競争をエスカレートさせ、独占禁止法に違反する不当廉売行為で公正取引委員会から「警告」が下された注目店。
岐阜羽島店、浜松市の影響も受ける全国一の“コストコ被害県”愛知の経緯と現状を追った。

***

止まらぬ安値競争 市況下落は各地に波及

(略)


浜松にも来夏開店 各地で“地域最安値”を標榜

(略)



※地域最安
コストコSSが掲げるキャッチコピー。
会員制で多くの商品を大量に安く販売するコストコ商法をSSにも取り入れ、地域のどこよりも安いガソリンスタンドだと米国など各国店舗で実績をあげてきた。
だが、同様に知多地方を拠点に地域最安「安売り王」として拡大してきたPBバロン・パークが常滑で強硬に対決姿勢を貫き、コストコより常に1~2円安く設定し販売しているため、全世界のコストコSSで中部空港店だけが地域最安を果たせていないとされている。



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「不当な安値」何度でも訴える 愛知石商・協 宇佐美三郎理事長


災害時に被災地が最も必要とし、生きるための“最後の砦”といわれるガソリンや灯油の安定供給に、地域のSSは日ごろから努力を積み重ねている。
そうした同業者を窮地に追い込んで、自社だけ売れればいいという販売手法は無視できない。

インフラとして欠かせないSSが会員しかできず、従業員も電車通勤で夜間は無人というのでは、いつ発生するかわからない災害時の対応は不可能だ。
そのうえ官公庁などと災害時協定を結ぶ組合にも加入しない業者が地域の安心安全な暮らしも守れるとは到底思えない。

非常識な安売りで同業者を排除し、自社だけ生き残りを図る。
その先、競争相手がなくなったら値上げに転じるのか。
自由競争の時代とはいえ、異業種からの参入はこれら深刻な問題をはらんでいる。

外資系、とりわけ米国企業はコンプライアンス遵守には厳しいと聞いているので、これまで公正取引員会や資源エネルギー庁の幹部に何度もあって実態を説明してきた。

同時に常滑のコストコ給油所など不当な価格販売を確認した際は、公取委に対し直ちに調査依頼申告し、その数は11回に及んでいる。

残念ながら警告処分が1度、最も軽い注意処分が1度出されただけ。

組合の主張を聞き入れての処分ならせめて営業停止などを伴う排除措置命令、或は課徴金納付命令を下して地元の同業者を救うべく処分してほしい。
組合の対抗手段としては法的に厳しい処分を求めるしかない。

コストコの岐阜羽島店や静岡浜松店で不当な価格販売が確認された時はそれぞれの県石商が対応してくれる。
1年後に浜松店がオープンすると、愛知はコストコ3店舗に囲まれた全国一影響を受ける地域になっていく。
その中心となる常滑を警戒注視し、不当な安値販売については今後、何度でも公取委に訴え続けていく。

もう一点指摘しておきたいのは、いくら大資本の米国系企業、或はいま利益を削っているPBとはいえ、通常では考えられない安値販売が可能なのは、商社や大手問屋、元売のどこかが超安値で卸しているから。

送り主が名乗り出ないので背後実態がつかめないが、一部業者を優遇するような行為はぜひやめてもらいたい。
もしそうした低価格でいいというなら、卸元は我々組合員にも公平に堂々と同じ価格、条件で玉を送るべきだ。




***以下masumi

・・・、地場零細店の当店からすれば、ユニーオイルもコストコも、この愛知県石商・協の理事長さんが社長をされている宇佐美のガソリンスタンドも、皆“同じ類のガソリンスタンドなのですが...


それと、
前にも書いたように私はコストコに対して当地へのセルフSSの新規出店を希望しています。

自店の仕入れ値やそれ以下で販売する安値店が商圏に次々と新設出店してきて20年、その数は既存の地場店を上回っています。
全て元売マークを掲げたガソリンスタンドです。

この間、公取委に不当廉売の申告をしたことも組合に助けを求めたこともありません。

自力で営業を続けて来たし、“全量系列仕入れで”今後も営業を続けられます。

(生身の人間ですから永遠にというわけにはいきませんが)

コストコセルフSSとは客層が違います。



PB化率20%超時代

2016年08月10日 | メモ(GS業界紙より)

8月3日ぜんせきより


2府4県で18%がPB化 元売統合ごとに脱系列加速

近畿二府四県のSS総数は約3700ヵ所
かつて12の元売があった時代に比べ、半数にまで激減した。
当時はPBSSは全体の5%に満たないといわれ、JA系も元売のサインポールを掲げるものが多かった。

20年を経た現在、元売は6社に集約され、それとともに増え続けたのがPBSSである。
元売が合併、統合されるたびに脱系列の動きが加速し、精販関係の絆が緩み始めたことは事実だ。


「これまでのような信用取引を打ち切られた」
「仕入れ枠が減らされた」
「営業が訪問してこない」
「業転を入れるな、供給証明は出さないといわれた」など、

系列を飛び出した業者からは様々な声が上がる。


この20年で元売との関係を清算し、経営を続ける多くの業者は、商社系販売店として供給源を維持してきたが、いくつかの業者は独自の供給源を構築することでPB化を一つのビジネスモデルに押し上げたとも言われる。
結果として広域PB業者といわれる複数のSSを運営する企業が近畿圏を基点に成長し、いまや全国ネットでSS展開を始めている。

地場系列業者が運営SSを集約化する中、閉鎖したSSを借りたり買う事でSS網を広げてきた広域PB業者は、ある意味「元売再編が生み出したビジネスモデル」ともいえる。

実際、近畿二府四県の全SS数に占めるPBSSの在籍数は約7000ヵ所に達し、全体の18%がPBSSという数字も出ている。






系列離脱の「理由」様々 不信感、卸価格、感情論も

近畿地区のPBSSの多くは商社の供給を受けSSを運営している。
最大の理由は「仕入れが安い」ことだが、それ以外にも個々の事情は多岐にわたる。
奈良県で複数のPBSSを運営する業者は元売から委託を受けたカンパニーSSの運営方針についての温度差が決定的だったという。
「あまりにリース料金が高かった。しかも売ってほしいという量も実態とかけ離れていた」という。
物件を返せば済む話にならなかった背景には、「他の特約店にも同じ条件を提示しているのか」という不信感が払拭できなかったという。

兵庫県の地場業者は仕入をめぐるトラブルがあったことを明かす。
「ガソリンは100%元売仕入れをしていた。しかし、中間3品は元売の仕入では入札で応札できない。仕方なく業転を入れていたのを咎められた」という。
中間3品まで系列仕入れを強要され、顧客をなくすという判断はできなかったという切実さが脱系列を踏み切らせた。

大阪府の地場業者は元売系列の利点を感じられなくなった。
「安い玉が目の前にあり、それを仕入れれば普通に儲かる。いまの時代にブランド料を払って仕入れる理由がない」


様々な理由から脱系列化へ進む業者が増え、それに伴いPB化が進んできたが、その中にはブランドへの愛着が系列離れを生んだ事例もある。

京都府の業者は元売の合併で意識が大きく変化したことを打ち明ける。
「シェア争いをしてきた競争相手と同じサインポールとなることが我慢ならない。元売の一方的な理由でなぜ」と感じたことがPBへの決断を呼んだという。

経営面から感情論まで様々な理由でPB化率が高まってきたことは事実だが、結果的にPBSSが増えたことで市場が大きく変質していることは間違いない。




突出する和歌山県は32% 激戦地・岩出市域中心に拡大

近畿だけでなく全国屈指のPBSSが在籍するのがPB化率32%の和歌山県。
現在、岩出市域の半数以上がPBSSで占められ、地場系列SSとの価格差は常にガソリン価格で10円以上、

競争激化の末、広域フリートSSなどが撤退、地場SSがPB化、さらに県別地域からPBSSが進出し、地域のPB化率が一気に高まった。
こうしたPB間の価格競争は、業転市場に連動し極端な安値に突入、常に県下最安値の市場となり、系列SSのシェア競争時代とは全く異なる不毛な市場へと変容している。



「2強」に次ぐSS勢力へ “経路”崩れ供給不安定化も

近畿二府四県のPBSSはいまも増え続けている。
JA系SSを除く商系SSだけでいえば、PB化率は19%に達しているとみられ、来年度には20%の大台に達するという予測が一般的だ。
近畿全域で5SSに1SSが元売のサインポールを掲げない時代が目前に迫っている。

さらに元売再編が実現し、「2強時代」が到来すると、過去の事例から系列離脱が加速する可能性もある。
これまで精販関係で成り立ってきた供給網、物流、ひいては仕入れ形態のあり方が問われることになる。

供給網でいえば、これまで元売の効率的なSS展開を目指す流れは完全に崩壊し、最悪の場合、供給不安地域を拡大させる可能性も指摘されている。
物流形態はこれまで以上に系統化が進み、関連業界も経営的な岐路にたつこともあり得る。

元売再編においては需給適正化が先行しない限りPB化の流れが加速され、「PB化率20%」を一気に超える事態も想定される。

「PBSSが増えることはそれだけ経営の独自性が保持されることだ」という意見もあるが、商流においてこれまで精製、卸、販売との経路で成り立ってきた石油業界が、大きく変化していくことを意味している。

20%を超えるPBSSの存在は、2強といわれる元売系列SSに次ぐ影響力を持つSS群を作り上げることでもある。