業転玉と系列玉の仕入値格差で書いていた、“特約店(2者店)も販売店(3者店)への卸価格を決めるのに苦労している”様子が窺える業界紙の記事のご紹介です。
「改悪ではないか」
新・事後調整方式に異議
2月6日燃料油脂新聞より
大手元売が昨年11月から月次の事後調整額の統計修正を週決めの週ごと調整に切り替えた。
これに関して特約店主からは異議も出てきている。
「ただでさえ煩雑な仕切り価格がさらにわかりにくくなった。週ごとに調整しているので“間違いない”と元売は称しているが、
われわれ特約店としては直営SS(2者店)はまだしも、販売店(3者店)向けの仕切りの調整が判別しにくい。
販売店主は“月次でいくら”という制度にようやく慣れてきたところ。それが特約店内で再計算しなければ卸価格が出せない。
直営SSの仕切りも前月末時点の原点であるべき価格と、元売の建値と、仕切り調整後の実額との差異をとらえ直してみないと儲けがどうなっているのかわからない。
これは改悪ではないか」というもの。
他の大手系でも「1月も第4週目と第5週目の差異となっている調整額は、ガソリンでリットル1.5円、軽油2円、灯油はゼロ、A重油が0.5円としてきたが、月初めからの加重計算と締日の兼ね合いで販売店向けの卸値の値付けでは苦労もある。
慣れるしかないのか。
事後調整は否定しないが、もっと明確な方程式はないのか。
計算して月中仕切りを確定しても業転との差異はガソリンで5円、軽油で4円、灯油で10円ほど出ている。
これではいつまで経っても追いつかない。
ごまかされているのではないかと思う要因がここにある」と幹部クラス。
単純な月次調整からは抜け出したが「この方式が長期的に継続するとは思えない」とする関係者もいる。
>ごまかされているのではないかと思う要因がここにある
特約店がこう思うのですから、販売店(3者店)が疑心暗鬼になるのも無理はありません。
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消費者の皆さんに知って頂きたいのは、
1.元売→2.特約店(2者店)→3.販売店(3者店)
系列玉のこの仕入れルートの中で、元売から特約店へ卸す卸値もバラバラで、特約店から販売店に卸す卸値もバラバラだということ。
そしてそれは“建値”であって、月が替わってから(現在は週が替わってから)“事後調整”という値引きが行われているということ。
3者店へのその事後調整額も、
業界の掲示板の
>当社はもう少し安く仕切りました。
>販売店さんが市場で戦える価格で仕切りたいと思います。(JX2者)
>ウチの特約店
>毎月事後調整返さず、3ヶ月に1回なんだけど、ズルされてないかね~?
これらの投稿から、時期や額などバラバラだということがお分かりいただけるかと思います。
このように
ガソリン(燃料油)の仕切りは不透明だということです。
「何故、他店はあんな値段で売れるのか?」と、多くの販売店がそう疑問に思いながらも、
「市況」というものを完全に無視することが出来ないことが低マージン経営を強いられる所以です。
2月5日燃料油脂新聞より
フルSS価格差20円
安値圏セルフと同水準
※安値店と20円もの価格差は、卸値がバラバラなコトを知らない消費者にして見れば暴利でしかありませんよね。
この20円もの価格差ですが・・・
それでも適正マージンには届いていないかも知れません。。。。。
2月5日ぜんせきより
卸反騰なら赤字化加速
裏目に出る先取値下げ 系列量販店に打撃も
※先取値下げしてまでも価格競争をしたい量販店は自業自得と思いますが、
採算販売に徹したい3者店も市況を完全に無視することは出来ず、巻き添えを食うわけです。
そして事後調整の存在が、「量さえ捌けば元売が何とかしてくれる」という量販思考に繋がり、
元売にとっても負のスパイラルと化す。
「元売が何とかしてくれる」
販社の安値看板も、量販店など有力特約店にそう思わせる要因です。
3者店には(少なくとも当店には)、
「元売が何とかしてくれる」などという思考は、規制緩和直後から、ありません。
それにしても、“差別対価”はまぁ何とか理解できるけど・・・
“建値”・・・・消費者には恐らく理解してもらえないと思う。。。。
2月11日追記
http://st31.com/bbs/index.php
>系列のSS経営者は、今の仕入れ価格がわからず、いくらで売ったらいいのかもわからない異常な事態が続いています。
>「事後調整」があっても元売りのさじ加減で予想より高くなることがしばしばです。
※特約店が搾取しているのでしょうか?
2月9日の燃料油脂新聞によると事後調整の存在すら知らない地場系列店もあります。