今の世の中何でもありで、どんな大企業だって潰れちゃう。
ガソリンスタンドもピーク時の半数に減ったけど、本当ならもっと減っていてもおかしくなかった、と私は思っています。
JAでも採算が取れないとなると簡単に撤退する。
だけど、地域で営業している個人のガソリンスタンドは赤字でも店を閉めずに頑張ってきたし頑張っている。
ご存知ですか?
ガソリンスタンド業界って、6割くらいが赤字なんですよ。
だから普通に考えたら、もっと減っていてもおかしくない。
だけど、それでも簡単には店を閉められないのです、この業界の店主は。
「油屋っていうのはそういうもんや」とはこうちゃんの弁ですが、これは同業者の中でも、同志でなくては理解出来ないと思います。
・・・
灯油の配達をHC(ホームセンター)が始めた地域もあるようです。
巡回業者もうかうかしていられませんね。
この灯油配達の巡回業者、
「もし、何らかの理由で来なくなったら?」と考えたことはありますか?
恐らくそんなことは考えてもみないと思いますが、でも、採算が合わないとなれば巡回地域から外れることもあるのです。
全国には現にそういう地域があります。
地場の業者は採算や利益だけで商売をしているわけではないけれど、
義理もしがらみもない“よそ者”の彼らは採算が合わなければ、その事業、その地域から簡単に手を引くことも有り得るでしょう。
閉鎖したガソリンスタンドの跡地が更地にもされずそのままになっている姿を見たことがあると思います。
何故だと思いますか?
消防法改正(事後法)で、ガソリンスタンド跡地を更地にするためには地下タンクを堀り上げて、場合によっては土の入替えも行わなくてはならなくなりました。
その費用は1千万円はするだろうと言われています。
利益のためだけに店の営業を続けているわけではない地場の販売店の中には、身銭を切りながら最後の最後まで営業を続けてしまうところもあります。
廃業せざるを得なくなったときにはもう、ガソリンスタンドを解体して更地にするだけの資金が残っていないのではないでしょうか。
恐らくそこまでやってしまうのです。
「油屋っていうのはそういうもんや。言ってみたらアホや」と、これまたこうちゃんの弁ですが(~~;(汗)
この人、本当にやりかねなくてmasumiさんはとても不安。
だけど申し訳ないけどそれだけは断固阻止しようと思っています。
*****
ガソリンスタンドは、地下にタンクを埋めています。
土地の上だけを利用している箱物商売とは違います。
消防法による厳しい規制を受けながらの商売です。
徴税施設として国にも大いに貢献してきました。
車への給油でしかガソリンスタンドを利用されていない消費者にはピンと来ないかも知れませんが・・・
配達などをしていないセルフの減少は、地域社会や地域経済に大した影響を与えないでしょうが、
フルはこれ以上減らしてはいけないと思います。
それは系列もPBも関係なく、系列100%も浮気組も関係なく。
掛けの法人客を持ち、採算が合わない小口でも燃料油や工業用オイルの配達を続けているような販売店は、残さなくてはいけないと思います。
先日、お客さんから言われました。
「灯油がなかったら本当に困る。もし灯油がなかったら凍死する年寄りも出るんじゃないか?灯油はライフラインだよ。店を続けて、これまでと同じように年寄りのところへ配達してやってくれよ」
・・・赤字でも店を続けている販売店は皆同じ気持ちでしょう。
「私の使命は理解している。地域へのエネルギー供給は誰かがしなければならない。だが赤字では苦しい」
九州の販売店主さんの言葉です。
このブログで何度も使わせてもらっています。
まさしくこの通りなのです。
Tポイントをつけてあげたりゴミを捨ててあげたりするために商売をしてるわけじゃない。
当店にも自動車を手放して、徒歩や自転車で灯油を買いに来られる方が数名いらっしゃいます。
徒歩の方はまだお若い方ですが、事情により車を手放されました。
ポリ容器にいっぱい入れると重たいので毎回5リッターづつ買って、坂道を登って帰られます。
昔のように全てに配達してあげられれば良いのですが、今の状況では配達を新規で受けるのは無理です。
でも、心配になります。
今は徒歩や自転車で買いに来られる身体でも、年数が経ち足腰が弱くなったら、こういった方たちはどうされるのだろう?
配達に行ってあげたくても行ってあげられない私たちは又自分を責める事になるのだろうか?
いや、もうそれはないでしょうね。
私たちの“一線”は越えてしまいましたから。
それに「ライフラインだから頼む」と言われても、
私たち販売店のライフラインが、元売や国の愚策でとんでもないことになっているからね・・・(==;
地下タンクを備えて、そこに在るガソリンスタンド。
消防法で堅牢に造られ、消防法で規制されて、その場所に在るガソリンスタンド。
どこの誰が運営しているのか、顔が見える、そこに在るガソリンスタンド。
一度でいいから想像してみて下さい。
近所のガソリンスタンドが閉鎖したら・・・
利用するしないは関係なく、
そこで営業して 在るのと無いのとでは大違いのはずです。
自由化以前は元売に代わって燃料油を販売してきた、ガソリンスタンド。
規制緩和以前も以降も、徴税に協力して来たガソリンスタンド。
国も元売も、国民消費者のライフラインを一販売店の自己責任に押し付けている。
私たちは必死で頑張っていても、消費者の要望に応えられなくて、それで非難されたりもしています。
元売は営利企業だから仕方ないかも知れないけど、
国は、国民のライフラインを守ろうと必死で頑張っている販売店を簡単に潰すようなことをしていたらダメだと思います。
国には国民生活を守る義務があるはずです。
(と書きながら虚しさを感じるケド・・・)
補助金なんて対症療法にしかならない。
延命措置にしても、効果は知れている。
今配達している高齢者が済んだら肩の荷が下りるかなと思っていたけど、
そうじゃなかったよ。
皆、順番に歳を取っていくんだもん。
ヤバイよ。
仕切り格差や発券店値付けカードが無くなって、販売店が適正利益を得られるようになれば、雇用も確保できるようになるだろうし、そうすれば新規での配達も受けてあげられるようになると思います。
ガソリンスタンドが減って不便になったからといって新規業者を誘致する事は、特にソレが広域業者なら尚更、
今在る地場のガソリンスタンドを減らしてしまうことになるでしょう。
今、そこに在る。
既にそこに在って、地域へのエネルギー供給のために営業を続けているガソリンスタンド。
それを存続させることが、誰にとっても都合が良いのではないでしょうか。
PS
前記事で書いた市の公用車への燃料供給も、私個人は断りたい。
業転価格を元にしたような価格では、系列100%仕入れの当店では割に合いません。
でも、理由を説明して断ったとしても、“それ”が問題になることはないと思います。
提携業者の名簿から当店の名前が消えるだけで終わるでしょう。
そしてソレは、消費者には、「あの店は、市との提携を、“外された”」としか映らない。
そういう世の中でしょう?
そう思いませんか?
12月17日 燃料油脂新聞
業転購入が命綱 系列仕入れ組からは怒りの声
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初めてご訪問くださった方へ
このブログの現在一番の目的はガソリンスタンド(昔ながらの)が置かれている現状を知ってもらうことです。
ガソリンスタンドカテゴリーの記事を全て読んで頂きたいのですが、あまり一般の方が興味を引く話題でもありませんので、
規制緩和以降のガソリンスタンドが置かれた現状を予備ブログ「masumi_iのブログ」にアップしました。
是非ご一読下さい。