報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「総武快速線の旅」

2024-06-03 21:13:08 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[4月9日18時10分 天候:晴 東京都千代田区丸の内 JR東京駅→総武快速線1685F電車5号車内]

〔「まもなく東京、東京です。総武線地下ホーム4番線に到着致します。お出口は、右側です。この電車は、総武快速線直通の千葉行きです。東京駅で5分ほど停車致します。本日も横須賀線をご利用頂きまして、ありがとうございました」〕

 電車は品川駅から、地下トンネルを走行する。
 このトンネル、錦糸町駅の手前、両国駅の横まで繋がっているのだが、名前を品川~東京間は『東京トンネル』、東京~両国間を『総武トンネル』という。
 両国駅の脇にそのトンネルの出入口がある為、このトンネルを出入りする線路には両国駅のホームが存在しない。
 総武快速線が両国駅に止まらないのは、これが理由である。

 

〔とうきょう~、東京~。ご乗車、ありがとうございます。次は、新日本橋に、停車します〕

 愛原「5分停車か、ちょっと善場係長に電話してくる」
 リサ「う、うん」

 私はスマホを持って席を立った。
 そして、ホームに降りる。

〔本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。4番線に停車中の電車は、18時15分発、快速、千葉行きです。発車まで、しばらくお待ちください。次は、新日本橋に、停車します〕

 愛原「あ、もしもし。善場係長ですか?」
 善場「愛原所長、お疲れ様です」
 愛原「日曜日なのに、お騒がして申し訳ございませんでした」
 善場「事情は伺いました。不可抗力で仕方の無いことです。次回はからは『注意報』であっても、アラームが鳴るように改良を申し入れた方が良さそうですね」
 愛原「はあ……」
 善場「現在はGPSで追跡できています。今は東京駅ですね」
 愛原「はい。東京駅の地下総武線ホームです。これから、錦糸町まで行きますので」
 善場「総武線の地下ホームでもGPSが入るのに、地上区間を走る電車のトイレだけが切れるというのは不思議ですね」
 愛原「今は大丈夫のようなので、もしかしたら、一時的に何か不具合でも発生したのかも……」
 善場「まあ、過ぎたことなので。仮に不具合があるとしたら、それはアプリの方でしょう。とにかく、BSAAに改良と対策を申し入れておきますので」
 愛原「申し訳ありません」
 善場「それでは明日、報告をお待ちしております」
 愛原「承知致しました」
 善場「計画書では錦糸町で夕食を取った後、バスで帰宅するというものですね?」
 愛原「はい。今のところ、変更はございません」
 善場「かしこまりました。それでは、お気をつけて」
 愛原「ありがとうございます」
 善場「BSAAはBSAAでトラブルがあったそうですが、まあ、所長方は気になさらなくて結構です」
 愛原「は?」
 善場「では、失礼致します」
 愛原「し、失礼致します」

 私は電話を切った。
 一体、BSAAで何があったのだろう?
 私は首を傾げながら、車内に戻った。

〔この電車は、総武快速線、千葉行きです。停車駅は新日本橋、馬喰町、錦糸町、新小岩、市川、船橋、津田沼、稲毛、終点千葉の順です。……〕

 愛原「戻ったぞ。善場係長は、今回の件は気にするなだって」 
 リサ「良かったぁ……」
 愛原「ところで、BSAAで何かあったらしいが、リサは何か知らないか?」
 リサ「レイチェルが、ボブって男のケツにピストル撃ったんだって」
 愛原「マジ?」
 リサ「撃ったのは訓練用の模擬弾なんだけど、ボブが痛さでのた打ち回ったせいで、飲み物やら食べ物やら、指令室の機械にブチ撒けちゃって、機械が壊れたらしいよ?」
 愛原「……もしかして、その中にリサを追跡するGPSを操作する奴とかあったりする?」
 リサ「あったんじゃないかなぁ?」
 愛原「リサのGPSの不具合って、それのせいかぁ!?」
 リサ「ああっ!」

 な、なるほど。
 もしもそうなら、確かに私達に責任は無い。
 だから善場係長も、気にするなと言ってたのか。

[同日18時24分 天候:晴 東京都墨田区江東橋 JR錦糸町駅→テルミナ3]

〔まもなく錦糸町、錦糸町。お出口は、右側です。総武線各駅停車と地下鉄半蔵門線は、お乗り換えです。錦糸町の次は、新小岩に停まります〕

 久里浜駅から凡そ1時間40分、ついに今日の旅行の鉄道旅が終わろうとしている。
 もう、外もだいぶ暗くなった。

 愛原「名残惜しいが、ここで降りるぞ」
 リサ「早く焼肉食べよ!」
 愛原「お前はよく食うなぁ……」
 リサ「お腹の中身、だいぶ出したからね!」

 リサはトイレの方を指さして言った。

 愛原「あー、そうかい」

 下水道と直接繋がっているわけではない列車のトイレを、リサが利用して大丈夫なのかという不安については、特に問題は無いとのこと。
 体から排出される時点でウィルスは死んでいる、または瀕死の状態であるし、JRなら車両基地でタンクに溜まった汚物を適切に処理するだろうとの考えから。
 その場に捨てるとバイオハザードの恐れがあるが、キチンと汚水処理すればその心配は無いというのがBSAAの見解だ。

 

〔きんしちょう~、錦糸町~。ご乗車、ありがとうございます。次は、新小岩に、停車します〕

 私達はここで列車を降りた。

 愛原「それじゃ、南口の方に行くぞ」
 リサ「南口!」
 高橋「ヨドバシカメラのある方っスね」
 愛原「そうだ!ラーメン青葉のある所だ!」
 高橋「ああ、あそこっスか。確かに、焼肉屋ありましたねぇ……」
 愛原「行きやすくていいだろ。食べ放題もあるし」
 高橋「よく食い過ぎて、出禁にならないっスね」
 リサ「わたしも気を使ってるの!先生に迷惑を掛けないように!」
 高橋「分かってんじゃねーか」
 リサ「わたしも、もう高校3年生なんだから当然だよ!」
 高橋「中学校から通わせてくれた先生に対する大恩、忘れんなYo?」
 リサ「分かってるって」
 愛原「ハハハ……。まあ、通わせて正解だったわけだ」

 私達は多くの利用客が往来するコンコースに下りると、南口改札へ向かった。
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“愛原リサの日常” 「横須賀線・総武快速線の旅」

2024-06-03 16:57:38 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[4月9日17時40分 天候:曇 神奈川県横浜市 JR横須賀線1684S電車5号車内]

〔この電車は横須賀線、総武快速線直通、千葉行きです。グリーン車は、4号車と5号車です。グリーン車をご利用の際には、グリーン券が必要です。グリーン券を車内でお買い求めの場合、駅での発売額と異なりますので、ご了承ください。次は、新川崎です〕

 リサ達を乗せた電車は、ほぼダイヤ通りに運転していた。
 今は横浜駅を出たところである。
 さすがに個室感覚の平屋席であっても、ここまで来ると、空席に他の客が座るようになった。
 と、そこへ愛原が4号車側のドアを開けて入ってくる。

 愛原「戻ったぞ。トイレきれいだったぞ」
 リサ「ほんと?」
 愛原「ああ。さすがは新型車両だ」
 リサ「わたしも行ってくる」
 愛原「ああ」

 リサも4号車側のドアを開けた。
 尚、ドアはタッチセンサー式の自動ドアである。

 リサ「これか」

 特急車両のデッキのような構造になっている。
 途中に乗務員室があるが、これは車掌室ではなく、グリーンアテンダントの待機室である。
 そこを通り過ぎて、リサは愛原が使用していたトイレに入った。
 さすがに特急や新幹線と違い、トイレは男女兼用である。

 リサ「あん……先生の匂い、残ってないなぁ……」

 新型車両ゆえに窓の無い密室であるが、換気はしっかりしているらしい。
 逆を言えば、昔の車両は特急車両であっても開く窓が付いていたのは、あまり換気が宜しくなかったからだろう。

 リサ「先生のウ○チ残ってないしぃ……」

 リサは残念そうにスカートの中に手を突っ込み、ショーツを脱ぐと便座に腰かけた。
 ジョロロっと放尿を開始する。

 リサ「ん……大きい方も出ちゃうかも……」

 リサは右手で、自分の腹を撫でた。

 リサ「もう少し……もう少し……」

 よく食べるリサである。
 その分、排泄物の量も大きなものだった。
 Gウィルスが栄養を横取りするとはいえ、不必要な老廃物は発生するということだ。
 これが新型の特急や新幹線のグリーン車のトイレなら、ウォシュレットが付いていることがある。
 しかし、普通列車のグリーン車では、そんなことは無かった。
 そもそも旧型車両の普通車では和式も現存するような中、洋式トイレというだけでも本来は贅沢なのである。

 ビーッ!ビーッ!ビーッ!

 リサ「うわっ、ビックリした!」

 その時、リサのスマホからけたたましいアラームが鳴り響いた。
 パーカーのポケットに手を突っ込み、そこからスマホを取り出す。
 それは、BSAA製作のアプリからのアラームだった。
 しかしリサがインストールしているのは、愛原達用の物とは違い、BOW用。
 BSAAがBOWに警告を与える時などに使用される。
 今回は何の警告かというと……。

 『GPS追跡不能区間に入りました。直ちに、電波状況の良い所へ移動してください。あなたは指定の移動区間を外れている恐れがあります。このまま対処をしない場合、暴走したとみなし、付近のBSAAが出動します。その際、命の安全は保障できません』

 というもの。

 リサ「何それ!?わたしは愛原先生と一緒だよ!?」

 リサは文句を言って、アラームを止めた。
 しかし、アラームが止まっても、表示が消えるわけではない。
 しばらくすると、またアラームが鳴り出す。
 そして、止める。
 これの繰り返し。
 手動でアラームを止めていれば暴走していないという判断ができるのではないかと思うところだが、そこまでBSAAは甘くない。
 そして当然、リサ側のアプリが鳴っているということは、愛原達のアラームも鳴っているということである。

 愛原「リサ!大丈夫か!?何かあったのか!?」
 リサ「別に!わたしはただトイレしてるだけだよ!?」
 愛原「んんっ!?じゃあ、何でアプリが鳴ってるんだ!?」
 リサ「知らないよ、そんなの!」
 愛原「とにかく、早くトイレから出て来い!」
 リサ「分かったよぉ……!」

 リサはショーツを穿いて、トイレの流すボタンを押した。
 旧型車両のE217系のトイレは、昔ながらの薬液をジャーッと流すタイプだが、新型のE235系のトイレは少量の水をチョロっと流し、あとは真空で一気にタンクへ吸い込む真空式である。
 それからリサはトイレから出た。

 愛原「一体、どうしたんだ?」
 リサ「知らないよ!わたしが聞きたいよ!」

 リサがトイレから出ると、アラームが鳴り止んだ。
 そして画面も、赤い表示から緑の表示へと変わる。

 『GPS追跡が可能となりました』

 愛原「んん?」
 リサ「トンネルとか入った?」
 愛原「いや、三浦半島を出れば、あとは品川~錦糸町間までトンネルは無いぞ」

 それに、トンネルに入ったところで、GPSは機能しているはずである。
 地下鉄構内であっても、グーグルマップやナビタイム等のナビ機能は使用可能だろう?
 それと同じである。

 愛原「ちょっとスマホ貸してくれ」
 リサ「うん」

 リサは愛原にスマホを貸した。
 それをトイレに持って行く。

 愛原「んん?」

 そして、実際にトイレに入ってドアを閉める。

 愛原「ああ、なるほど」

 愛原が納得したように言うと、またドアを開けた。

 愛原「ほら」

 すると、画面の色が黄色に変わっている。

 『【注意!】GPS追跡不能です。直ちに電波状況の良い所へ移動してください。5分以内に対処しない場合、【警戒】フェーズに移項し、BSAA出動案件となります』

 リサ「えっ!?」

 そして、愛原がトイレに出ると、また画面が緑色に変わった。

 愛原「どうやら、トイレの中は電波状況が悪いらしいな」

 リサ「珍しい!」

 リサは新幹線や特急列車のトイレを使用したことはあるが、そんなことは無かった。

 愛原「この電車のトイレがそうなのか、あるいはたまたまこの区間だけなのか分からないが、取りあえず大丈夫みたいだな。これも善場係長に報告しておこう。【警告】が出たら、報告案件になるから」
 リサ「ビックリしたねぇ……。おちおちトイレにも行けないよ」
 愛原「あまり、BOWがこういう旅行に行くなんて想定、していないのかもな。とにかく、席に戻ろう」
 リサ「うん」

 リサは愛原と一緒に、座席に戻った。
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