報恩坊の怪しい偽作家!

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 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「両親の上京」

2024-06-30 11:46:48 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[4月14日18時00分 天候:曇 東京都墨田区菊川2丁目 愛原家3階ダイニング]

 
(画像拝借「@もつ」様 https://x.com/kikomotu)

 夕食の時間になり、私達は3階のダイニングで食卓を囲んだ。
 今日のおかずは、豚肉の生姜焼きだ。
 私はばら肉と玉ねぎではなく、ロース肉数枚派である。
 リサもこの方が肉が多くなると思ったのか、こちらに一票入れてくれている。
 ただ、学食に出て来る生姜焼きは、ばら肉と玉ねぎなのだそうだ。
 まあ、栄養のバランスとしては、そちらの方がいいのかもしれない。

 愛原「リサ、食事中のオッサンじゃあるまいし、スマホを見ながら飯は食わないように」
 リサ「なーに、それ?」
 高橋「先生だけの特権だってこった!分かれや!」
 パール「まあまあ」
 リサ「あ、そういうこと!そういうことなら……」
 愛原「テレビなら観ていいから」

 私ら氷河期世代の中には、団塊世代の親達から、食事中のテレビ視聴を禁止された所もあったらしいな。
 だが幸い私の家では、両親もテレビ好きだったこともあり、禁止された記憶は無い。
 さすがに帰省中、スマホは注意されたがな。
 まさかアラフォーになって、未だに親に注意されるとは思わなかったよ。
 リサがスマホをテーブルの片隅に置いた時、そこからLINEの着信音が流れた。

 リサ「あ、エレンからLINE」
 愛原「絵恋とLINEしてたのか。何か新しい情報あった?」
 リサ「何かね、斉藤早苗のことなんだけど、学校には来てるみたいなんだよ」
 愛原「それで?」
 リサ「でも、デイライトの関係者とか、それっぽい人が来ると、いつの間にかいなくなってるんだって」
 愛原「ふーん……。でも、その斉藤早苗は、エレンと一緒に行動してることが多いんだろ?そこを狙って行けばいいんじゃないかな?」
 リサ「それが、そういう時は来ないみたいなの」
 愛原「何だか、ルイジアナ州ベイカー事件の特異菌みたいだな」
 リサ「ねー」

 もしかして沖縄中央学園って、実は特異菌まみれになってるのでは?
 いや、しかし、だとしたら、とっくにデイライトの関係者に発見されているはずだ。

 愛原「他には?」
 リサ「『ブルマ復活計画は進んでるか?』と聞いたら、色んなブルマ画像送りつけてきやがった。多分、エレンなりの成果報告」

 そう言ってリサは、画像を見せた。

 
(画像拝借「ぶる万次郎 ~AIブルネッサンス~」様 https://x.com/bm89632067)

 愛原「緑ブルマが浸食している……」
 リサ「東京中央学園に合わせてるらしいよ。沖縄中央学園は青なのにね」

 この中にエレンは映っていなかったので、自分が撮影したのだろう。

 リサ「あとは仙台、静岡、北海道か。さすがに『魔王軍』の侵攻は難しいねぇ……」
 愛原「別にいいよ。……ってか、侵攻って何だ、侵攻って!」
 高橋「先生。明日は先生の御両親が上京されるんでしたね」
 愛原「そうなんだ。迎えに行かないと」
 高橋「東京駅まででしたら、車出しますよ?」
 愛原「いや、残念ながら東京駅じゃない」
 高橋「ん?と、言いますと……?」
 愛原「バスタ新宿だよ」
 高橋「は?」
 愛原「うちの両親も変わっていてねぇ……。交通費はケチッて、その分、現地で金使おうってハラなんだ」 
 高橋「そういうことでしたか。え、でも、沖縄だから、飛行機っスよね?」
 愛原「当然だよ。でも、LCCだ」
 高橋「ああ!それなら安く行けますね。で、ついでに先生、空港の下見ですね?」
 愛原「それが、そうもいかないんだ」
 高橋「え?」
 愛原「両親、ジェットスター予約したらしくて、あれ、成田から出るんだよ」
 高橋「ええっ、マジっすか!?」
 愛原「そこで、俺が考えているのはな……」

[4月15日05時21分 天候:晴 同地区内 都営地下鉄菊川駅→都営新宿線501T電車・最後尾車内]

 リサ「ねむ……」
 愛原「だから言っただろ。両親連れて来るまで、寝てていいって」
 リサ「嫌だ……。先生と一緒に行く……」

 翌日早朝、私とリサは菊川駅にいた。
 両親は夜行バスで来るという。
 本当に、団塊世代はバイタリティが凄い。
 バブル世代はそれ以上だが。

〔まもなく、1番線に、各駅停車、笹塚行きが、10両編成で、到着します。ドアから離れて、お待ちください〕

 乗る電車も、始発電車の次の電車。
 強風を巻き起こしながらやってきた電車は、東京都交通局の車両。
 週末の早朝ということもあり、車内の乗客はそんなに多くない。
 リサは学校の制服を着ていた。
 これがリサなりの、『正装』らしい。
 もしも大学に行ったら、スーツでも着るつもりだろうか?
 それとも……『なんちゃって制服』か?
 リサなら、まだ制服が似合うんだよなぁ……。

〔1番線の電車は、各駅停車、笹塚行きです。きくかわ~、菊川~〕

 

 ホームドアと電車のドアが開いて、私達は電車に乗り込んだ。
 空いている座席に並んで座る。
 すぐに短い発車メロディが鳴る。

〔1番線、ドアが閉まります〕

 電車のドアとホームドアが閉まる。
 特に駆け込み乗車は無かったか、再開閉することなく、乗務員室から発車オーライのブザーの音が聞こえて来た。
 エアーの抜ける音がして、電車が動き出す。
 モーターを積んでいる車両に乗れば、インバータ制御のモーター音が聞こえて来るのだろうが、最後尾ではあまり聞こえない。

〔次は森下、森下。都営大江戸線は、お乗り換えです。お出口は、右側です〕

 リサは座席に座るとスマホを取り出すわけでもなく、私に寄り掛かって目を閉じた。
 今は角を生やしているわけでもなく、普通の人間の姿である。
 こうしている間は、本当に普通の人間と変わらない。
 これが当たり前になるには、あとどのくらい先になるのだろうか。

 

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