報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「両親と合流」

2024-06-30 21:20:36 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[4月15日05時41分 天候:晴 東京都新宿区西新宿 都営地下鉄(京王新線)新宿駅→渋谷区千駄ヶ谷 バスタ新宿]

〔「まもなく新宿、新宿です。お出口は、右側です。この電車は、笹塚行きです。本日も都営地下鉄新宿線をご利用頂きまして、ありがとうございました」〕

 私もついうとうとしてしまった。

 愛原「……はっ!リサ、そろそろ降りるぞ!」
 リサ「ん?……うん」

 私に寄り掛かって座っていたリサは、大きな欠伸をした。
 マスクをしていなければ、人間形態であってもそのままな牙が覗いていただろう。
 白いマスクをしているということは、今、リサの下着は白だということだ。
 スカートの下に、ブルマを穿いているかどうかは分からない。
 電車が地下の京王新線ホームに到着する。
 都営地下鉄新宿線としては、ここが始発駅。
 但し、駅の管理は京王電鉄が行っている。

 

〔「おはようございます。ご乗車ありがとうございました。新宿、新宿です。お忘れ物の無いよう、ご注意ください。4番線の電車は、42分発、笹塚行きです」〕

 私とリサは、寝過ごすことなく、電車を降りることができた。
 だが、リサは……。

 リサ「危うく乗り過ごすところだった」

 とのこと。
 私はリサに付いてくるよう言うと、まずは改札口に向かうエスカレーターに乗った。
 リサは後ろから付いて来たが、私の手を掴んで来る。

 愛原「バスの到着時間は5時50分だそうだ。東北からの夜行便だから、そう遅れたりはしないと思う」
 リサ「そう……」

 改札口を出て、バスタ新宿の方に向かう。
 私は事前にルートを調べたので、特に迷いもせず、バスタ新宿に着くことができた。
 JR新宿駅を基点にすると、バスタ新宿はその南側にある。
 なので、同じく南側にある都営地下鉄新宿駅は、比較的バスタ新宿にアクセスしやすい駅と言える。
 難しいのは北側にある東京メトロ新宿駅とか、更に北にある西武新宿駅だろう。

 

 まるで空港ターミナルのフライト案内板のような案内板を横目に、バスタ新宿の中に入る。
 ここは乗り場が4階、降り場とタクシー乗り場が3階にある。
 なので、3階に行けば良い。

 愛原「あのバスだ」

 しばらくバスを待っていると、『KEIO』と書かれたバスがやってきた。
 京王バスである。
 行先表示には『渋谷マークシティ』とあり、ここが終点というわけではない。
 バスは降車場に停車すると、大きなエアーの音を立てて、スライド式のドアを開けた。
 そこから眠そうな顔で降りて来る乗客達。
 金曜日夜の出発ということもあり、それなりの乗客数があったようである。
 ターミナルの係員達がバス側面のハッチを開けて、そこから乗客達の大きな荷物を降ろしている。

 父親「やっと着いたよ……」
 母親「よく寝た……」
 愛原「よく寝たんだ!凄いね!夜行バスで!」

 両親達も欠伸をしながら、バスを降りて来た。

 父親「おー、学!迎えに来てくれたのか!」
 愛原「迎えに行くって、LINEで言ったじゃん!」
 父親「そうだったそうだった」

 多少天然ボケ入っているところは、公一伯父さんに似てるな。

 母親「リサちゃんも迎えに来てくれたのね。ありがとう」
 リサ「お、おはようございます!お義母(かあ)様!!」
 愛原「おい!」

 するとうちの母親、リサの緩んだ制服のリボンをキュッと留め直した。

 母親「学との結婚は、この制服を着なくなってからね?」
 リサ「はい!」
 愛原「それでも十分早いぞ!?」
 父親「それより、ちょっとトイレだ。ギリギリまで寝てたせいで、トイレに行ってなかった」

 父親はバス後方のトイレを指さして言った。

 愛原「はいはい。トイレはあっち!」
 母親「私も行っておこうかしら」
 リサ「お供します!」
 愛原「……せんでいい」

 あれ?
 何かこのくだり、どこかで見たような……?

 愛原「父さん、バスん中で寝れたの?」
 父親「ああ。昔の夜汽車のボックスシートよりは、凄い快適だったぞ?」
 愛原「そりゃまあ……」

 14系客車や583系のボックスシートと比べてはいけない。

 父親「母さんと隣り合わせのリクライニングシートだったが、かなり深く倒れたし、レッグレストもフットレストもあったし、毛布やスリッパまであったぞ?」
 愛原「うん、まあ、確かにこの装備は、夜汽車には無いね」
 父親「だろぉ?それでいて、6000円くらいで乗れるんだからお得だよ」

 仙台市内~東京都区内の高速バス片道運賃6000円は、相場通りであるものの、他に格安高速バスがあることから、高めの運賃と見られることも多々ある。
 とはいえ、新幹線よりは明らかに安いし、ややもすれば、昔走っていた夜行列車よりも安いのかもしれない。

 愛原「設備を見る限り、明日乗るジェットスターより広そうだね」
 父親「そのジェットスターも、なるべくいい席は確保したつもりだぞ」
 愛原「1番前の席とかね」
 父親「そう、そこ!」
 愛原「やっぱり」

 尚、トイレには私も一応、ついていった。
 それから……。

 愛原「じゃあ、取りあえず家に行こう。うちの従業員達も、父さん達に挨拶したいって言ってるし。朝食も用意しているから」
 父親「それはありがたい」

 トイレを済ませた後、私達は再び都営地下鉄新宿駅まで向かった。
 もちろん、先導役は私である。

[同日06時14分 天候:晴 東京都新宿区西新宿 都営地下鉄新宿駅→都営新宿線602T電車・最後尾車内]

 父親「こんな端っこの車両まで来ないといけないとは……」
 愛原「悪いね。国家機関からの命令で、リサは電車の先頭車か最後尾に乗らないといけない決まりなんだ」
 父親「兄さん……公一伯父さんが色々言ってたアレか」
 愛原「まあ、そんなところ」

〔まもなく、5番線に、各駅停車、本八幡行きが、10両編成で、到着します。ドアから離れて、お待ちください〕

 轟音を立てて入線してきたのは、東京都交通局の車両。
 まあ、往路に乗って来た電車とは違う車両のはずだが。

〔「おはようございます。ご乗車ありがとうございました。新宿、新宿です。お忘れ物の無いよう、お降りください。5番線の電車は、15分発、各駅停車の本八幡行きです」〕

 まだ電車は空いている。
 両親達には開いている座席に座ってもらい、私とリサも向かい側の席に座った。

〔「おはようございます。本日も都営地下鉄新宿線をご利用頂き、ありがとうございます。各駅停車の本八幡行きです。終点、本八幡まで各駅に止まります。まもなく、発車致します」〕

 ホームに発車ベルが鳴り響く。

〔「5番線から、各駅停車の新宿行き、発車致します。ドアが閉まります」〕
〔5番線、ドアが閉まります〕

 ホームドアと電車のドアが閉まる。
 今度は駆け込み乗車があったか、再開閉があった。
 そして、今度こそドアが閉まって発車する。

〔都営新宿線をご利用頂きまして、ありがとうございます。この電車は、各駅停車、本八幡行きです。次は新宿三丁目、新宿三丁目。丸ノ内線、副都心線はお乗り換えです。お出口は、右側です〕

 取りあえずは家に帰って、まずは朝食。
 それから事務所の様子を見てもらって、後はスカイツリー見に行きたいとか言ってたな、うん。
 沖縄では見られない物を見ておきたいということか。
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“私立探偵 愛原学” 「両親の上京」

2024-06-30 11:46:48 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[4月14日18時00分 天候:曇 東京都墨田区菊川2丁目 愛原家3階ダイニング]

 
(画像拝借「@もつ」様 https://x.com/kikomotu)

 夕食の時間になり、私達は3階のダイニングで食卓を囲んだ。
 今日のおかずは、豚肉の生姜焼きだ。
 私はばら肉と玉ねぎではなく、ロース肉数枚派である。
 リサもこの方が肉が多くなると思ったのか、こちらに一票入れてくれている。
 ただ、学食に出て来る生姜焼きは、ばら肉と玉ねぎなのだそうだ。
 まあ、栄養のバランスとしては、そちらの方がいいのかもしれない。

 愛原「リサ、食事中のオッサンじゃあるまいし、スマホを見ながら飯は食わないように」
 リサ「なーに、それ?」
 高橋「先生だけの特権だってこった!分かれや!」
 パール「まあまあ」
 リサ「あ、そういうこと!そういうことなら……」
 愛原「テレビなら観ていいから」

 私ら氷河期世代の中には、団塊世代の親達から、食事中のテレビ視聴を禁止された所もあったらしいな。
 だが幸い私の家では、両親もテレビ好きだったこともあり、禁止された記憶は無い。
 さすがに帰省中、スマホは注意されたがな。
 まさかアラフォーになって、未だに親に注意されるとは思わなかったよ。
 リサがスマホをテーブルの片隅に置いた時、そこからLINEの着信音が流れた。

 リサ「あ、エレンからLINE」
 愛原「絵恋とLINEしてたのか。何か新しい情報あった?」
 リサ「何かね、斉藤早苗のことなんだけど、学校には来てるみたいなんだよ」
 愛原「それで?」
 リサ「でも、デイライトの関係者とか、それっぽい人が来ると、いつの間にかいなくなってるんだって」
 愛原「ふーん……。でも、その斉藤早苗は、エレンと一緒に行動してることが多いんだろ?そこを狙って行けばいいんじゃないかな?」
 リサ「それが、そういう時は来ないみたいなの」
 愛原「何だか、ルイジアナ州ベイカー事件の特異菌みたいだな」
 リサ「ねー」

 もしかして沖縄中央学園って、実は特異菌まみれになってるのでは?
 いや、しかし、だとしたら、とっくにデイライトの関係者に発見されているはずだ。

 愛原「他には?」
 リサ「『ブルマ復活計画は進んでるか?』と聞いたら、色んなブルマ画像送りつけてきやがった。多分、エレンなりの成果報告」

 そう言ってリサは、画像を見せた。

 
(画像拝借「ぶる万次郎 ~AIブルネッサンス~」様 https://x.com/bm89632067)

 愛原「緑ブルマが浸食している……」
 リサ「東京中央学園に合わせてるらしいよ。沖縄中央学園は青なのにね」

 この中にエレンは映っていなかったので、自分が撮影したのだろう。

 リサ「あとは仙台、静岡、北海道か。さすがに『魔王軍』の侵攻は難しいねぇ……」
 愛原「別にいいよ。……ってか、侵攻って何だ、侵攻って!」
 高橋「先生。明日は先生の御両親が上京されるんでしたね」
 愛原「そうなんだ。迎えに行かないと」
 高橋「東京駅まででしたら、車出しますよ?」
 愛原「いや、残念ながら東京駅じゃない」
 高橋「ん?と、言いますと……?」
 愛原「バスタ新宿だよ」
 高橋「は?」
 愛原「うちの両親も変わっていてねぇ……。交通費はケチッて、その分、現地で金使おうってハラなんだ」 
 高橋「そういうことでしたか。え、でも、沖縄だから、飛行機っスよね?」
 愛原「当然だよ。でも、LCCだ」
 高橋「ああ!それなら安く行けますね。で、ついでに先生、空港の下見ですね?」
 愛原「それが、そうもいかないんだ」
 高橋「え?」
 愛原「両親、ジェットスター予約したらしくて、あれ、成田から出るんだよ」
 高橋「ええっ、マジっすか!?」
 愛原「そこで、俺が考えているのはな……」

[4月15日05時21分 天候:晴 同地区内 都営地下鉄菊川駅→都営新宿線501T電車・最後尾車内]

 リサ「ねむ……」
 愛原「だから言っただろ。両親連れて来るまで、寝てていいって」
 リサ「嫌だ……。先生と一緒に行く……」

 翌日早朝、私とリサは菊川駅にいた。
 両親は夜行バスで来るという。
 本当に、団塊世代はバイタリティが凄い。
 バブル世代はそれ以上だが。

〔まもなく、1番線に、各駅停車、笹塚行きが、10両編成で、到着します。ドアから離れて、お待ちください〕

 乗る電車も、始発電車の次の電車。
 強風を巻き起こしながらやってきた電車は、東京都交通局の車両。
 週末の早朝ということもあり、車内の乗客はそんなに多くない。
 リサは学校の制服を着ていた。
 これがリサなりの、『正装』らしい。
 もしも大学に行ったら、スーツでも着るつもりだろうか?
 それとも……『なんちゃって制服』か?
 リサなら、まだ制服が似合うんだよなぁ……。

〔1番線の電車は、各駅停車、笹塚行きです。きくかわ~、菊川~〕

 

 ホームドアと電車のドアが開いて、私達は電車に乗り込んだ。
 空いている座席に並んで座る。
 すぐに短い発車メロディが鳴る。

〔1番線、ドアが閉まります〕

 電車のドアとホームドアが閉まる。
 特に駆け込み乗車は無かったか、再開閉することなく、乗務員室から発車オーライのブザーの音が聞こえて来た。
 エアーの抜ける音がして、電車が動き出す。
 モーターを積んでいる車両に乗れば、インバータ制御のモーター音が聞こえて来るのだろうが、最後尾ではあまり聞こえない。

〔次は森下、森下。都営大江戸線は、お乗り換えです。お出口は、右側です〕

 リサは座席に座るとスマホを取り出すわけでもなく、私に寄り掛かって目を閉じた。
 今は角を生やしているわけでもなく、普通の人間の姿である。
 こうしている間は、本当に普通の人間と変わらない。
 これが当たり前になるには、あとどのくらい先になるのだろうか。

 
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