報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「そういえば……」

2024-06-07 20:20:26 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[4月10日10時00分 天候:曇 東京都港区新橋 NPO法人デイライト東京事務所・会議室]

 

 善場「アプリの不具合については、BSAAに申し入れしておきました。近いうち、改善されると思います」
 愛原「承知しました。……本当にアプリの不具合だったのでしょうか?」
 善場「そういうことにしておきます」
 高橋「マジか……。ただ単に電波が悪かっただけじゃねーの?」
 愛原「高橋。『それ以上いけない』」
 高橋「あ、ハイ」
 愛原「というわけで、これはお土産です」
 善場「お気遣い無く、所長。今後とも何卒、業務の受託をお願い致します」
 愛原「お任せください」
 善場「リサの進路については、どうなりましたか?」
 愛原「今日の放課後、担任の先生と進路相談をすることになってますので、その時にリサが決めるかと。ただ……」
 善場「ただ?」
 愛原「どうも悩んでいるようです」
 善場「と、仰いますと?」
 愛原「リサは我那覇絵恋さんと東京中央学園大学に行くという約束をしていたそうなのですが、どうも絵恋さんのお母さんがそれを許さないらしいのです」
 善場「よほど警察や私共の事情聴取が辛かったと見えますね」
 高橋「ねーちゃん達の取り調べかぁ……。キツそうだな」
 善場「よもや、高橋助手は、エイダ・ウォン・コピーと何か親交があるのでしょうか?」
 高橋「アネゴと!?あるわけねーだろ!」
 善場「私は何も、誰とは言っていませんが?」

 善場係長の目が一瞬、金色に光ったように見えた。
 公式には人間に戻ったとされる係長も、かつてBOWだった名残を見せることがある。

 高橋「俺達にとっちゃ、エイダ・ウォン・コピーって言われたらアネゴ一択だろうが!」
 愛原「まあ、そりゃそうだ。善場係長、私も高橋の意見の通りです。そもそも、エイダ・ウォン・コピーなんて何人もいるのですか?」
 善場「少なくとも、カーラ・ラダメスはその1人ですね」
 愛原「彼女は香港のバイオハザードの最中、本物のエイダ・ウォンに倒されたと聞きましたが……」
 善場「そうですね。ですが、高野芽衣子を名乗る2人目がいたことから、私共は複数のコピーがいると見ていますよ」
 愛原「そういうものですかね……。あ、そういえば……」
 善場「何でしょうか?」
 愛原「最近、鬼型BOWの事ばかりだったのですっかり忘れていましたが、白井伝三郎が使用しているという斉藤絵恋の肉体はどこに行ったのでしょう?まだ死亡確認とか、逆に確保とかしていませんよね?」
 善場「あいにくとまだです。何しろBOWと違い、肉体は普通の人間ですから、そういうセンサーが役に立たないのです。本人がカミングアウトしなければ、誰も分からないでしょう」
 愛原「でも、顔は分かりますよね?実際の人物なんだから、例えば卒業アルバムとかで……」
 善場「それが分かりません。斉藤早苗はイジメを苦に自殺してしまっています。今でしたら、集合写真にも顔写真が掲載されるでしょうが、当時の東京中央学園は転出や退学した生徒の顔写真は載せない決まりだったようです」
 愛原「そうなんですか」

 幽霊でも一時交流のあるリサなら顔が分かるかもしれないと思ったが、よくよく考えてみたら、“トイレの花子さん”だった頃は白い仮面を着けていたのだ。
 それを白井伝三郎が真似して、日本版リサ・トレヴァー達にはセーラー服を着せて、白い仮面を着けさせたのだ。
 この白い仮面は、宗教法人天長会の『巫女』が着ける物だったということが判明している。
 因みにリサ、その白い仮面を今も持っている。
 小学生の頃に着けていた物だから、さすがにサイズが合わなくなっているが、元が天長会の品だっただけに、新たにそこから自分のサイズに合っている仮面をもらっている。
 鬼化したリサがそれを隠し切れない場合、白い仮面を着けさせるのもアリかなと思っている。

 愛原「素顔はとても愛らしいコだったようですね」
 善場「リサに頼んで、似顔絵でも描いておきますか」
 愛原「それはいいですね」
 善場「リサが家にいる時に、お伺いします。似顔絵のプロを連れて行きますから」
 愛原「ほお、係長にそんなツテが?」
 善場「警察関係者ですけどね」
 高橋「さ、サツぅ?」
 愛原「確かに、犯人の似顔絵とか描く警察官とかいますね。そういった人ですか」
 善場「そういうことです」
 高橋「お、俺、用事思い出したんで」
 愛原「今日じゃねーよ」
 善場「怪しいですねぇ?高橋助手、何か警察が動くようなことでも?」
 高橋「し、してねーし!バイクでサツなんか振り切ってねーし!」
 愛原「何度目かの免停、おめでとう!」
 善場「しばらくはまた、電車かバスでの移動になりますか?」
 愛原「そうかもしれませんねぇ……」

 私も免許は持っているのだが、運転にはあまり自身が無く、八丈島のような車の少ない離島で軽自動車を借りて走るのがせいぜいだ。

[同日18時00分 天候:晴 東京都墨田区菊川2丁目 愛原家3階ダイニング]

 愛原「というわけで、お前が仲良くしていた“トイレの花子さん”こと、斉藤早苗さんの素顔を似顔絵にするから、特徴を話して欲しいんだ」
 リサ「わたしに顔は似てるみたいだね。わたしの遠い親戚みたいだし」
 愛原「『かもしれない』ってだけで、断言はできないだろう。お前なら“花子さん”の素顔を見ているから、その特徴を覚えているはずだ」
 リサ「まあねぇ……。で、いつになるの?」
 愛原「今週の土曜日とかはどうだ?平日はお前も学校だしな」
 リサ「分かったよ。その日は開けておくよ」
 愛原「悪いな」
 パール「できました。今日はハンバーグです」
 リサ「おー!」
 愛原「目玉ハンバーグだな。あー、そうそう、パール」
 パール「何ですか?」
 リサ「似顔絵描きの人は警察官だそうだ。高橋は疚しいことがあるようだが、お前は無いだろうな?」
 パール「……土曜日、有給を取っても宜しいでしょうか?」
 愛原「お前もかーい!」
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

“愛原リサの日常” 「リサの悩み」

2024-06-07 15:33:37 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[4月10日12時45分 天候:晴 東京都台東区上野 東京中央学園上野高校]

 昼休み。
 昼食を食べたリサは、スマホで我那覇絵恋と電話をしていた。
 絵恋もまた沖縄中央学園那覇高校に通っている。

 リサ「放課後、進路相談がある。エレンはどうしても東京中央学園に来ないの?」
 絵恋「私も行きたいんだけど、お母さんが許してくれないのよ!大学は行っていいんだけど、沖縄の大学にしなさいって」
 リサ「うへー……」
 絵恋「私が独り暮らししたり、お母さんが1人になるのが寂しいのよ」
 リサ「じゃあ、どうする?」
 絵恋「リサさんが沖縄に来れないかだって」
 リサ「いや、ムリ!わたしだって、愛原先生と離れたくないし!」

 斉藤元社長と離婚したことで、金持ちから庶民に堕ちた為に、生活に余裕が無いのも一因となっている。
 絵恋の母親は、それまで東京中央学園時代はママ友カーストナンバー1だったのに、最下位に転落してしまった。
 それに耐えられなくなり、実家のある沖縄に引っ越したというのもある。
 沖縄中央学園ではPTAに入ることもなく、授業参観にも来ない有様だという。

 リサ「毒親?」
 絵恋「毒親だよ!リサさんのGウィルスが欲しいくらいだよ!」
 リサ「そんなことしたらエレン、死ぬよ?」
 絵恋「リサさんと同じ鬼になれないの!?」
 リサ「Gウィルスが合うかどうかは、実際に胚を植え付けてみないと。あとはTウィルスだね」
 絵恋「それをちょうだい!」
 リサ「だからTウィルスは無いし、Gウィルスも偽の特異菌食わされておとなしくなってるから」

 その為、リサから直接寄生虫の新規植え付けも不可能となっている。
 但し、既に植え付けた寄生虫に関しては引き続き操縦可能。
 その為、『魔王軍』メンバーは表向きには新規募集停止ということになっているが、裏ではそうでもない。
 四天王達が、どうも新しい寄生虫を生んでいるらしく、それで新規募集可能のようだ。
 リサは直接操れないものの、大元の四天王の寄生虫は操れるので、実質的な孫請けのようなもの。
 それで新1年生を準メンバーとして募集は可能だとされている。
 ブルマーの復活も旧スク水の復活も、リサが卒業するまでの一時的なものとなりそうである。

 絵恋「そんなぁ……」
 リサ「わたしも人間に戻る努力をしているところだから」
 絵恋「私が人間を辞めたいよ……」
 リサ「オマエ何言ってるんだ?!とにかく、修学旅行でそっちに行くから、それまで早まるなよ?」

 リサは電話を切った。

 リサ「エレンのヤツ、わたしよりヤバくない?」

[同日15時00分 天候:晴 同地区内 同学園1階・進路指導室]

 リサは進路指導室で、担任の阪上から進路相談を受けていた。

 坂上「やっぱり進学先は、東京中央学園大か。リサの成績なら、国立大も狙えるだろうが、何か制限があるのか?」
 リサ「いや、無いと思う。デイライトは、わたしの好きなようにしていいらしい」
 坂上「だったら……」
 リサ「実は転校したエレンが上京して、東京中央学園大に行くかもしれないってことで、それでわたしも志望しただけ」
 坂上「エレン?ああ、斉藤絵恋か。今は我那覇絵恋になってるんだったな。また沖縄から来るのも大変だな」
 リサ「それ以前に、お母さんが許してくれないんだって」
 坂上「家庭の事情かぁ……」
 リサ「エレンが来ないんなら、わたしも行かない」
 坂上「えっ?じゃあ、どうするんだ?他の大学に行くのか?」
 リサ「それも何だか……」
 坂上「じゃあ、就職か?もうNPO法人デイライトさんからスカウトが来ているようだが……」
 リサ「それもちょっと……」
 坂上「えっ?じゃあ、どうするんだ?」
 リサ「もう少し考えたい。今度の修学旅行、沖縄に行くでしょ?自由行動の時、エレンと会って説得したい」
 坂上「説得ったって、我那覇さん本人じゃなく、そのお母さんだろ?どうやって説得するんだ?」
 リサ「それは……」
 坂上「とにかく、愛原……保護者の愛原さん達ともう1度よく相談するんだ。時は待ってくれないぞ?」
 リサ「うん……はい……」

[同日15時30分 天候:晴 同地区内 同学園・校庭]

 レイチェル「お疲れ、リサ」
 リサ「あー、レイチェル、待っててくれたの」
 レイチェル「図書室で本を読んでました。ここの図書室は、とても大きいですから」
 リサ「あー、そうだね」
 レイチェル「“学校の七不思議”で、『本棚でも潰れなかった女』という話が紹介されてましたが、もしかしてリサのことですか?」
 リサ「もしかしなくても、わたしのことです」

 大きめの地震が発生した時、固定が甘かった本棚が倒れて来たことがある。
 リサはその下敷きになったが、何事も無く本棚を持ち上げ、ケガについても持ち前の回復力ですぐに回復させてしまった。
 それには多くの目撃者達がおり、その年の“学校の七不思議”にノミネートされてしまったわけである。

 レイチェル「さすがですね。オリジナルのリサ・トレヴァーは、落ちて来たシャンデリアに挟まれて身動きが取れなかったというのに……」
 リサ「そうなんだ!」

 落ちて来たシャンデリアに体を挟まれ、身動きが取れなくなっていたところ、施設の自爆装置が作動。
 リサ・トレヴァーはその不幸な生涯に幕を下ろしたとされているが、いかんせん死体が回収されていない為、死亡が確認されていない。
 日本アンブレラがGウィルスのサンプルを入手していたことから、実はその後、日本アンブレラが死体を回収したのではと噂されているが、明確な証拠が無く、推測の域を出ない。

 リサ「そういえば、斉藤早苗ってどうなったんだろう?」
 レイチェル「誰ですか?お友達?」
 リサ「いや……」

 リサは旧校舎の方を見た。
 今は教育資料館として再生されている。
 とある事件があって半壊してしまったが、現在は再建工事中である。
 東京中央学園創立当時の木造校舎である。
 その女子トイレには、長らく“トイレの花子さん”がいた。
 “学校の七不思議特集”にも、何回か登場するほどの有名人であった。

 リサ「今は白井がその斉藤早苗に成りすましている」
 レイチェル「?」
 リサ「今は一体、どこにいるのか……」
 レイチェル「リサ、後で詳しい話を聞かせてください」
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする