報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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 実際のものとは異なります。

“愛原リサの日常” 「LHR」

2024-06-10 20:24:41 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[4月11日14時30分 天候:晴 東京都台東区上野 東京中央学園上野高校・3年3組]

 体育が終わって、制服に着替えたリサ達の次の授業はLHRだった。
 中には制服ではなく、ジャージに着替えている者もいる。
 その為、リサはスカートの下には緑色のブルマを穿いている。
 この学園のスクールカラーはグリーンであり、体操服もそれに準じたものだからだ。

 リサ「暑い……」

 4月はまだ冬服の時期である為、緑色のダブルのブレザーを着用している。
 しかし、リサは暑がってブレザーを脱ぎ、椅子に掛けていた。
 ブレザーの下は白いブラウスである。
 グレーのニットのベストがあるのだが、これも暑いからと着ていない。
 スカートを短くしているのも、ただ単に暑いからである。

 淀橋「リサは暑がりだね」
 リサ「どうして鬼が薄着なのか、何となく分かるよ」
 小島「薄着かな?」

 リサは“ラムちゃん”をイメージしたが、小島は“鬼滅の刃”の鬼をイメージした。

 小島「あー、薄着なのもいるか……」
 淀橋「どうして、そんなに暑がりなの?」
 リサ「ウィルスのせいだよ。こいつが体温上げてんの」

 リサは自分の体を指さした。

 リサ「Tウィルスと同居してた時は、もっと暑かったけどね。ウィルス同士だったし」
 小島「なるほど……」

 今は無毒化されている特異菌を投与し、それをGウィルスに食べさせることで、暴走を抑えている状態。
 それでも多少の変化は抑えられなかったようで、再び電撃を使えるようになったし、辛い物を飲み込むという条件付きで火を吹くこともできるようになった。

 坂上「ほら、そこ。無駄話しない」
 リサ「はーい」
 坂上「修学旅行の班決めやってるんだから、静かにしろ」
 リサ「サーセン」
 坂上「お前達は『魔王軍』関係ですぐに班が決まるだろうが、他の皆はそうとは限らないんだからな」
 リサ「はーい」
 淀橋「というわけで、『魔王様』は班長お願いします」
 リサ「わたしが班長……」
 小島「班長になれば、点呼の時、愛原先生と会えるかもよ?」
 リサ「そ、それならわたしがやってもいい。……って!前回の代替修学旅行の時もそうじゃなかったか?」
 淀橋「それもそうだね」
 小島「じゃあ、『班長』にリサの名前書くよ」
 リサ「うむ。それにしても、最近の修学旅行は変わったね。昔は大人数で、班だって最低でも5~6人はいてさ……」
 淀橋「魔王様、何言ってるの?」
 リサ「え……?うっ……!」

 リサに突然現れる強い頭痛……。

 小島「リサ……?」
 淀橋「リサ!?大丈夫!?」

 リサ、机に突っ伏してしまう。

 坂上「おい!何度言ったら分かるんだ!?もう少し静かにしろ!」
 淀橋「違うんです、先生!リサさんが急に……」
 坂上「どうした、愛原?」
 リサ「……いえ、何でも無いです」
 坂上「何でも無いわけあるか!角が出てるぞ!」
 リサ「ちょっと頭が痛くなっただけ……」
 坂上「……本当に大丈夫なんだな?」
 リサ「大丈夫です」
 坂上「具合が悪くなったら、すぐに言えよ」
 リサ「はい」
 淀橋「ちょっと、本当に大丈夫なの?」
 レイチェル「リサ、取りあえず、ツノ引っ込めましょうか」
 リサ「了解……。あれ?今、何してたんだっけ?」
 レイチェル「修学旅行のグループ決めです。リサが班長、リーダーですよ」
 リサ「そ、そうだった」
 淀橋「やっぱり愛原先生達が付いてくるの?」
 リサ「愛原先生はPTA会長、そして高橋兄ちゃんは助手」
 小島「やっぱりね」

 すると、坂上がまたやってきた。

 坂上「キミ達、班は決まったのか?」
 小島「はい、これです」

 小島がメンバー表を提出した。

 坂上「なるほど、そうか……。ベストメンバーだな。ちょっとベストメンバーのキミ達に、話がある。ちょっと生徒指導室まで」
 リサ「え……?」

[同日15時00分 天候:晴 同高校・生徒指導室]

 リサ「ロングホームルームとはいえ、まだ授業中でしょ?先生がいなくてどうするの?」
 坂上「副担任の倉田先生がいらっしゃる。まあ、適当に座ってくれ」
 小島「私達、そんなにうるさかったです?」
 坂上「まあ、それだけでここに呼んだわけじゃないんだが……。今度の修学旅行の飛行機の座席割、キミ達だけ特殊なものになるということだけ先に話しておこうと思って。校長先生や学年主任の三上先生からは、もう少し先まで黙っていた方がいいと言われたんだが……やっぱり先に言っておくべきだと思ってね」
 小島「校長先生にも口止めされてるのに、勝手に話していいんですか?」
 坂上「どうせ後で分かることだから。いざとなったら、先生が怒られるさ。でも、言い触らしたりはしないでくれよ?」
 リサ「分かった。で、なに?」
 坂上「席割りは班ごとに固まって乗るのは、中等部の修学旅行と同じなんだが……やっぱ図に書いて説明した方がいいかな」

 生徒指導室には黒板ではなく、ホワイトボードがある。
 坂上はペンを取って、それでホワイトボードに書き込んだ。

 坂上「座席は3人席が並んでて、窓側に愛原が乗ってもらう。そして、その隣にPTA会長の愛原さんとその助手の人が乗ってもらう」
 淀橋「えっ?魔王……リサさん、私達と一緒じゃないんですか?」
 坂上「その後ろにキミ達3人が乗ってもらう。で……レイチェルは愛原……リサの後ろに乗ってもらいたい」
 レイチェル「I understand.要はリサを警戒せよということですね?」
 坂上「そういうことだな。リサ、これは俺が勝手に決めたことじゃない。デイライトさんやBSAAからのお達しだよ。嘘だと思うなら、保護者の愛原さんにも聞いてみるといい。そちらにも話が言ってると思うから」
 リサ「うへー……。わたしは飛行機に乗っても大丈夫ってことになってるのに……」
 レイチェル「私が聞いた話では、あくまでも『搭乗許可』が出ているというだけで、『監視対象』から外すというわけではないようです。しかもリサの場合、まだ『注意』から外されていません。飛行機内でのBOWの暴走は危険過ぎますから、万が一のことを考えてのことです」
 リサ「うーん……。何か全然信用されてないなぁ……」
 淀橋「ある意味、VIP待遇だね。なるべく私達、後ろの席に座るって感じ?」
 坂上「そういうことになるな。コクピットからなるべく離れて……ということだから」
 レイチェル「その方がいいです。2013年のネオ・アンブレラによるバイオテロでは、アメリカの政府専用機が狙われました。あの時のデータを解析するに、BOWはコクピットから離した方がいいでしょう」
 坂上「……というわけだ。愛原だけ何か皆と違う席に座らせられることから、少し違和感があるかもしれないと思って、先に言っておくことにした次第だ」
 リサ「分かりました」

 リサにとっては、愛原の隣に座れることが最大の妥協点だったようだ。
コメント
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