報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「斉藤早苗について」

2024-06-16 20:51:20 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[4月11日19時00分 天候:曇 東京都墨田区菊川2丁目 愛原家3階]

 いつもより1時間遅い夕食が始まる頃、1時間ほど降り続いた雷雨が止み始めた。

 

 リサ「あー、お腹空いた」

 後から3階に下りて来たリサは、ブルマ姿になっていた。
 私の気を引く為らしい。
 そういえば中等部代替修学旅行の時も、『魔王軍』の部屋だけその恰好をしていた。

 リサ「あっ、先生。エレンからLINEが来たよ。今度は大丈夫みたい」
 愛原「どれどれ……」

 私がリサからスマホを受け取ると……。

 
(イラスト拝借。https://x.com/777_shintaより、『しんた』様)

 愛原「何で体育の時の写真しか無いんだ?」
 リサ「何でだろうね?自分はブルマが恥ずかしいとか言ってた癖に、わたしや他の女子のブルマを見るのは喜んでたんだよ」
 高橋「さすがは変態レズビアンガキだ」
 パール「まあ、LGBTのBな私らもヒトのことは言えないけどね」
 愛原「えーと……、写真左のショートカットのコが斉藤早苗さんだね?」
 リサ「そうだね」
 愛原「髪型はリサに似てるな。それで絵恋さん、少し気にしてるのかな?」
 リサ「どうだろうね」
 愛原「しかも、斉藤早苗さんの体操服、色が違うな……」
 リサ「沖縄中央学園では、そっちがむしろ本当の色だよ。あそこ、スクールカラーが『青』だから」
 愛原「なるほど、沖縄らしい」

 ブレザーもネイビーブルーであるという。

 愛原「で、『魔王軍沖縄支部』は空気を読まずに東京中央学園のスクールカラーである緑を持ち込んだと?」
 リサ「まあ、そういうことだね」
 愛原「『魔王軍沖縄支部』はともかく、どうしてそうじゃない斉藤早苗は当時のブルマを穿いてるんだ?沖縄中央学園も、表向きブルマは廃止になってるだろう?」
 リサ「『魔王軍』に興味があるからってことで、同じ格好をしようとしたみたいだね。で、今は緑色のブルマと体操服を買って、それを着てるんだって」
 愛原「学校的にはOKなのか?」
 リサ「沖縄中央学園はブルマ廃止と同時に、規定の体操服自体も廃止したんだって。だから、体育の時は皆して好きなジャージを着るらしいよ。でもそれだと問題があったみたいで、一応、学園の標準的な体操服は売ってるみたい。それでもさすがにもう、ブルマは無いと思うけど。ブルマ着用が禁止されたわけじゃないから、別に穿いててもいいみたい」
 愛原「なるほどな」

 因みに言っておくと、東京中央学園と沖縄中央学園は姉妹校の提携は結んでいるが、同じ学校法人というわけではない。
 他にも仙台中央学園の『青緑』、東海中央学園の『オレンジ』もある。

 リサ「青もいいよね。『沖縄中央学園は青でいいんじゃない?』って言っとこうかな」
 愛原「また買い直すの大変だろうが」
 リサ「うん。青いブルマはまだ持ってないな。もし沖縄中央学園で売ってるんなら、お土産に買って行ってみよう」
 愛原「沖縄旅行のお土産w ってか、沖縄中央学園の中、入れるのか?」
 リサ「姉妹校交流イベントがあるのが、他の学校の修学旅行とは違う点」
 愛原「そうなんだ」
 リサ「北海道に行く年は、北海道中央学園に行くんだよ」
 愛原「北海道中央学園もあるのか」
 リサ「姉妹校でね。でもあそこ、ブルマが無い」
 愛原「そりゃこの御時世、廃止が当たり前なんだし、向こうには『魔王軍』も無いんだから、復活なんかせんだろう」
 リサ「そうじゃなくて、元々ブルマが無いんだって」
 愛原「元々?それって、昔からってこと?」
 リサ「そう。最初から。ジャージしか無いんだってさ」
 愛原「なるほど。北海道は寒いから、ブルマじゃ寒いのか」

 短い夏の間だけとか、或いはスカートの下に穿く用としての需要くらいは有りそうなものだが……。

 リサ「そういうことか。わたしは暑いんだけどね」
 愛原「そりゃBOWは体温高いからな。分かった。じゃあ、この顔写真を善場係長に送っておこう。このコに関して、何か詳しいことは分からんのかね?どこに住んでるのかとか、東京にいたことあるのかとか……」
 リサ「違うクラスのコだから、あんまりそこまで分からないみたいだよ。まあ、私から詳しく聞いておくように、後でLINE送っとくよ」
 愛原「宜しく頼む」

 差し当たりまずは、この画像を私のスマホに送ってもらうことにした。

 リサ「この画像で変なことしちゃダメだよ?w」
 愛原「あ、あくまでも報告用の画像だ!」
 リサ「ブルマ穿いた女子高生なら、ここにいるからね?」
 愛原「分かった分かった!」
 高橋「先生、早く食べないとホッケが冷めちゃいますよ?」
 愛原「おっと、そうだった!」

[同日20時00分 天候:晴 同地区内 愛原家4階・愛原の部屋]

 食事が終わると私は部屋に戻り、そこのノートPCで善場係長にメールを送っていた。
 リサから転送してもらった画像を添付し、斉藤早苗の顔写真を送る為だ。
 今はもう夜だが、恐らく明日、出勤してきた善場係長がメールを開いて確認してくれるだろう。

 リサ「おー、もうすっかりいい天気」

 リサは私の部屋にいた。
 窓を開けて、夜空を眺めている。
 いつもはカラッとした空気だが、今夜はゲリラ豪雨があったせいか、少しジメッとしている。
 しかし、空は嘘みたいに雲が殆ど無くなり、月が出ていた。
 ジメッとはしているが、やはりまだ4月も中旬に入ったばかりだからだろう。
 少しヒンヤリしていた。
 リサにとっては、涼しい風なのだろう。

 愛原「満月をあまり眺めるなよ?オマエは暗示に掛かりやすいんだから、満月を見て暴走する恐れがある」
 リサ「大丈夫。今は三日月だよ」
 愛原「よし、こんな所でいいか。送信っと」
 リサ「ねぇ、後でそのパソコン貸して?」
 愛原「何でだよ?オマエ、自分用のが部屋にあるだろ?」
 リサ「ううん。先生の『秘蔵エロ動画』観たい」
 愛原「ダメだ、こら!!」
 リサ「ケチー。エレンと斉藤早苗のエロ画像は保存したくせに」
 愛原「あのなぁ。元々ブルマは正式な女子の体操服であって、別にエロアイテムでも何でも無かったんだぞ?」
 リサ「知ってるよ。……ん?」

 その時、リサは私のPCの画面に映る2人の少女の画像を見た。

 リサ「この斉藤早苗って……もしかして……」
 愛原「知ってるのか?」
 リサ「ねぇ。このコだけ、もう少し拡大できる?」
 愛原「ああ。やってみよう」
 リサ「お願い」

 私が画像を拡大している間、リサは自分の部屋に戻って行き、そしてすぐに戻って来た。
 手には、白い仮面を持っている。
 宗教法人天長会の『巫女』が着ける白い仮面だ。
 目の部分に2つの横長の切れ目があるだけで、あとは白い面だけとなっている。
 リサが持ってきたのは、小さい方の仮面だった。
 リサは小学生の頃からその仮面を着けさせられている。
 あれから割と体が成長したリサには、今はその仮面はサイズが合わない。
 そこで天長会が、今のリサのサイズに合う仮面を用意してくれた。
 前の仮面は日本アンブレラに関する証拠品として、今もリサが預かっている。
 その仮面を拡大した斉藤早苗の顔に当ててみた。

 リサ「やっぱり!“トイレの花子さん”そっくり!」
 愛原「なにぃっ!?すると、やっぱりこのコは……!?」
 リサ「白井が乗っ取っているかもしれないって言う、斉藤早苗で間違いないかも……!」
 愛原「でかした、リサ!これも併せて係長に報告だ!」
 リサ「エヘヘ……役に立った?」
 愛原「立った立った」
 リサ「じゃあ、キスして?」

 リサは自分の唇を指さした。

 愛原「とりゃっ!」

 私は急いでリサの唇にキスしてやった。

 リサ「きゃあー!し、し、しあわせぇぇぇぇぇぇっ!!」

 リサは鬼形態に戻ると、私のベッドに背面ダイブし、バタバタと悶絶したのだった。
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“私立探偵 愛原学” 「雨の帰宅」

2024-06-16 16:15:52 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[4月11日18時40分 天候:雨 東京都墨田区菊川2丁目 愛原家]

 雷雨が降る中、私達を乗せたタクシーは菊川の自宅へと向かう。
 夕方のラッシュで大雨ということもあり、幹線道路は軒並み渋滞していた。
 なので、いつもより時間が掛かってしまう。
 それでも何とか、タクシーは事務所兼自宅の建物の前に着いた。
 頼んでいた通り、ガレージのシャッターが開いている。

 愛原「あ、そこで止めてください」
 運転手「こちらで宜しいですか?ありがとうございます」

 タクシーは車体に大雨が打ち付ける中、ハザードランプを点滅させて止まった。
 私がタクシーチケットで払っていると、リサのスマホからLINEの着信音が鳴った。

 リサ「あ……」
 運転手「ありがとうございました」
 愛原「どうも」

 私は領収証を受け取り、助手席後ろに座っていたので先に降りた。
 リサはスマホを眺めながら、後から降りて来る。
 スマホに気を取られていた為か、足を大きく広げて降りる形になる。
 しまったな、リサを助手席の後ろに座らせておくべきだった。
 短いスカートを穿いているものだから、足を広げると中が見えてしまう。
 今日は体育があった為か、緑色のブルマを穿いているのがすぐに分かった。

 愛原「リサ、早く来い」
 リサ「ん!」

 私達はガレージの中に走り込んだ。
 そして、すぐに内側からシャッターを閉める。
 ゲリラ豪雨ということもあり、風も強く吹いている為、閉めるとシャッターに雨風が吹き付ける音が響いてくる。

 愛原「早々と春も終わりか?今年も暑くなりそうだなぁ……」
 リサ「桜、散っちゃうね」
 愛原「んー……。で、何かLINEあったのか?」
 リサ「エレンから。斉藤早苗を名乗るコなら、別のクラスにいるんだって。で、『魔王軍沖縄支部』に凄く興味があるんだってさ」
 愛原「まだあるのか……」
 リサ「わたしやエレンが卒業するまではね。沖縄中央学園もブルマが復活したから、良かったね!」
 愛原「これは見に行かないとダメか……」

 修学旅行、沖縄は3泊4日だったはず。

 リサ「で、エレンに写真を頼んだら、来たよ」
 愛原「おー!見せて見せて!」
 リサ「それが……」

 リサが見せたのは……。

 
(イラスト拝借。https://www.pixiv.net/artworks/117855361より、『ゲエリラ』様)

 恐らく学校の屋上、もしくはベランダ?から外を見ているブルマ姿の少女の後ろ姿だった。
 これを見る限り、確かに沖縄中央学園も『魔王軍沖縄支部』の暗躍……もとい、活躍により、ブルマが復活したものと思われる。
 だが、しかし……。

 愛原「後ろ姿かぁ……。顔写真が欲しいんだよな」
 リサ「だよね。しかもこのアングル、何か悪意を感じるし」

 まるでお尻を強調した、盗撮写真のようだ。
 まあ、絵恋ならやりかねん。
 LGBTのLである絵恋ならではと言える。
 ブルマ復活運動に加担したのも、表向きは『リサの為』としながらも、内実は『自分の為』でもあったのではないだろうか。

 愛原「顔写真をお願いしてくれないか?」
 リサ「分かった。『顔写真用意しないと絶交』と送っとく」
 愛原「うわ……さすがは魔王様」
 リサ「いえい♪」

 リサは得意げにスマホを操作した。
 その間、私はエレベーターのボタンを押す。
 エレベーターが上階から降りて来るまでの間、私はエレベーター横の内線電話を取って、3階に連絡した。
 そこには高橋が出た。

 愛原「あー、俺だ。今、下に着いた。ちょっと着替えてから3階に行くから。……ああ、それじゃ」

 電話を切ると、エレベーターがスーッと降りて来る。
 そして、2枚扉のサイドオープン式のドアが開く。
 内側のボタンの横にはスイッチ鍵が差さっていて、これを回して4階に行けるようにする。
 少し古いエレベーターだから、この辺はアナログだ。
 新しいデジタル式だと、それもカードキーで操作できたりするのだが。
 予算があれば、そのようにしようかな。
 ドアを閉めて、私達は4階に向かった。
 マンションのエレベーターのようにドアには窓が付いていて、それで外の様子を見ることができる。
 3階を通過すると、高橋夫婦がこっちを見てお辞儀していた。

 リサ「あっ、また来た」
 愛原「今度は何だ?」

 エレベーターが4階に着く頃、またリサのスマホからLINEの着信音が鳴る。

 リサ「これならどう?」
 愛原「どれどれ……」

 
(イラスト拝借。 https://x.com/777_shintaより、『しんた』様)

 愛原「えーと……これは体育の授業中かな。よく授業中に写真撮ったな」
 リサ「たまに写真部が、授業でも写真を撮りに来るんだって。東京中央学園より自由だね」
 愛原「うーむ……。真ん中に映っているのは絵恋さんだが、右に映ってるのが斉藤早苗さんってコか?」
 リサ「何か違うみたい」
 愛原「えっ、違う!?」
 リサ「奥に写ってるのがそうみたいだよ?」
 愛原「いや、分かんねーよ!ボヤけてて!次!」
 リサ「『今度こそハッキリした写真を出さないと絶交』って送っておくね」
 愛原「そうしてくれ」

 ここまでくると、気になって仕方がない。
 私は取りあえず自分の部屋に入って、スーツから私服へと着替えた。
 着替えは私の方が早く、お腹も空いていたこともあり、先にダイニングに向かわせてもらうことにした。
 階段で行こうと階段室に向かうと、リサの部屋の方から微かにLINEの着信音が聞こえて来た。
 どうやら、今度こそ期待に応えてくれるかもしれない。
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