報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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 実際のものとは異なります。

“大魔道師の弟子” 「帰省最終日」 3

2022-06-05 14:48:33 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[5月7日17:31.天候:曇 埼玉県蕨市 JR蕨駅→京浜東北線1686C電車10号車内]

〔本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。今度の2番線の電車は、17時31分発、各駅停車、大宮行きです〕

 イオンモールで手に入れた戦利品は、宅急便で送っておいた。
 エレーナが大荷物抱えて配達しに来るのが、今から目に見えるようだ。

〔まもなく2番線に、各駅停車、大宮行きが参ります。危ないですから、黄色い点字ブロックまで、お下がりください〕

 電車がやってくる。
 いつもの通りのスカイブルーのラインカラーだ。
 平日だと夕方ラッシュで混んでいるだろうが、週末だとそれほどでもない。

〔わらび、蕨。ご乗車、ありがとうございます〕

 稲生家の面々とマリアは先頭車に乗り込んだ。
 真冬ならもう真っ暗な時間だが、晩春の今はまだだいぶ明るい。

〔2番線、ドアが閉まります。ご注意ください。次の電車を、ご利用ください〕

 今回の帰省において、最後の利用となる京浜東北線。
 その蕨駅発車は、スムーズなものだった。

〔次は、南浦和です〕
〔The next station is Minami-Urawa.JK42.〕

 晴れていれば、西日が電車内に差し込んで眩しい。
 しかし、今はどんよりと曇って、そのようなことはない。

 宗一郎:「着く頃までは、雨は持つかね?」
 マリア:「恐らくは……」
 宗一郎:「最後のレジャーだというのに、ゲリラ豪雨でケチが付くのではたまらんからね」
 マリア:「そうですね」

 イリーナなら、もしかしたら天気を変えられる力を持っているかもしれない。
 何しろ、使い魔のドラゴンが吐くブレスで雲を掃うことができるというからだ。
 悪魔と契約し、使い魔のいないマリアには到底できないことだった。

[同日17:46.天候:曇 埼玉県さいたま市大宮区 JR大宮駅→湯快爽快おおみや送迎バス]

〔まもなく終点、大宮、大宮。お出口は、左側です。新幹線、高崎線、宇都宮線、埼京線、川越線、東武アーバンパークラインとニューシャトルはお乗り換えです。電車とホームの間が広く空いている所がありますので、足元にご注意ください。今日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございました〕

 蕨から大宮までは、凡そ15分ほど。
 まだ、雨が降る様子は無い。
 またもや、ポイント通過で電車が大きく揺れる。
 マリアは今度は人形達が落ちないよう、ポイントを通過し終わってからバッグを下ろした。
 荷棚に置くのは、人形達がそこに乗りたがるからである。

〔「まもなく大宮、大宮、終点です。1番線に入ります。お出口は、左側に変わります。電車が大きく揺れますので、お立ちのお客様はご注意ください。また、前方の車両におきまして、ホームがカーブしている為、電車とホームの間が広く空いている所がございます。お降りの際は、足元にもご注意ください。本日も京浜東北線をご利用頂きまして、ありがとうございました」〕

 電車がホームに停車する。
 まだ大宮駅の京浜東北線ホームには、ホームドアが無い。
 設置する予定はあるようで、その工事らしきものは行われているが、今の所はまだだ。
 その為、電車が停車すると、すぐに車両のドアが開いた。

〔「ご乗車ありがとうございました。大宮ぁ、大宮、終点です。傘などお忘れ物の無いよう、ご注意ください。……」〕

 ここで電車を降りる。
 階段を昇るが、乗客が多いので、電車到着直後は混雑する。

 宗一郎:「ここはいつも混むからね」
 勇太:「ある意味、大宮駅の名物だよ」

 コンコースも人が多い所は、さすが埼玉県一のターミナル駅といったところだろう。
 改札口を出て、西口に向かう。
 みどりの窓口前付近では、何かしらイベントが行われていることがある。
 もっとも、今日は通過するだけだ。
 西口のペデストリアンデッキに出ると、様々な営業活動が見られる。
 様々なチラシ配りやティッシュ配りはもちろん、日本赤十字社による献血呼びかけも日常の光景だ。

 マリア:「無料でティッシュ貰えるの、日本だけらしい」

 マリアはどこぞのエステサロンのティッシュをもらって言った。
 女性向けサロンであるから、ティッシュ配りのアルバイトも、基本的には女性にしか渡さない。

 勇太:「場合によってはマスクをくれたりもするよ」
 マリア:「マジ!?」

 この御時世、むしろ外国ではタダでマスクがもらえる事の方が多いらしい。
 尚、作者は蕨駅東口で、大宮駅近辺のラブホのチラシとマスクをもらいました。
 ペデストリアンデッキを下りて、西武バスの降車バス停を越えた辺りに、日帰り温泉施設行きの送迎バスが停車している。
 施設のラッピングがでかでかと貼られたマイクロバスだ。

 宗一郎:「よろしく」
 運転手:「はい、どうぞー」

 バスに乗り込んで、1番後ろの4人席に並んで座った。
 こういうバスの場合、出入口付近から席が埋まって行くようだ。
 なので、後ろの席は空いている。
 バスの中は、スピーカーからラジオの音声が流れて来ている。

 勇太:「宴会でも予約してるの?」
 宗一郎:「いや、そうしたかったんだが、どうも今はコロナ禍で中止にしているようだ。しょうがないので、夕食は普通に取ることになるよ」
 勇太:「そうなんだ」

[同日18:00.天候:曇 送迎バス車内]

 発車の時間になり、運転手がエンジンを掛けた。

 運転手:「はい、それでは出発しまーす!」

 バスの自動ドアが閉まる。
 マイクロバスにはエアブレーキが搭載されていない為、自動ドアの開閉もドアエンジンを使わず、電動で行う(中・大型バスの乗降扉の開閉は、エアブレーキのエアを利用して行っている)。
 バスロータリーの中を通って、方向を反転させ、入浴施設に向かう。
 この時、新大宮バイパスに出るまで西進する形となるのだが、やはり晴れていれば西日が眩しいはずである。
 ところが、今にも雨が降り出しそうな程に曇っている為、運転手もサンバイザーを使わずに運転していた。

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