報恩坊の怪しい偽作家!

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“私立探偵 愛原学” 「我那覇絵恋来る!」

2023-05-18 15:23:09 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[12月5日16時00分 天候:曇 東京都墨田区菊川 愛原学探偵事務所]

 リサ「ただいま」

 善場主任との打ち合わせが終わる頃、リサが帰って来た。

 善場「あら、お帰り。テストはどうだった?」
 愛原「テスト?」
 善場「あら、愛原所長?この時期は期末テストの最中ですよ?」
 愛原「そ、そうだったけか……」
 リサ「別に。普通にできたよ」
 高橋「このやろ!よゆーブッこきやがって!」
 愛原「さすがは地頭は良い。やっぱり、上野医師の娘かもしれませんよ?」
 善場「そうだといいですね」
 リサ「それより、言い忘れてたことがある」
 愛原「何だ?」
 高橋「あぁ?」
 善場「なに?」
 リサ「今度の冬休み、サイトー……じゃなかった。エレンがこっちに来る」
 愛原「エレン……って、斉藤絵恋……もとい、我那覇絵恋さん!?」
 リサ「そう」
 高橋「あのレズガキが来るだとォ!?」
 愛原「オマエもLGBTのBだろうが」
 リサ「本当は冬休み、わたしが行きたいところなんだけど、わたしは単独行動が禁止されてるし」
 善場「それはそうね。どうしても沖縄に行く場合、愛原所長の同行が必要よ」

 当初は陸路交通以外の交通機関の利用も禁止されていた。
 それまでBOW(人工生物兵器)が、それら交通機関内で引き起こしたバイオハザードを危惧してのことだろう。
 しかし八丈島との往復に船舶や航空機を利用した際、特に何の問題も無かったことから、その規制は緩和された。
 但し、未だにパスポートの取得は禁止されている。

 愛原「いやあ、すっかり忘れてたな」
 リサ「わたしは『引越しが忙しいから行けない』って言ったんだけど、『そしたら私から行く!』だって」
 高橋「マジかよ……」
 愛原「沖縄の冬休みって、いつからいつまでだ?何か短いイメージがあるんだが……」
 善場「確かに短いですね。それこそ企業や役所の年末年始休みに、毛を生やした程度の長さですよ」
 愛原「そんなに短いのか!」
 善場「その分夏休みは長いですし、それにプラスして、台風シーズンの時は臨時休校になったりするので、そのせいでしょうね」
 愛原「そういうことか」

 雪国では厳冬期の登下校を避ける為、逆に冬休みが長くなっている。

 リサ「来年の春は修学旅行で東京に来るって言ってたし」
 愛原「なるほど。沖縄県の高校生にとっては、東京が修学旅行の行先か」
 リサ「わたしはわたしで、沖縄行くー」
 愛原「修学旅行ならいいよ。……ん?善場主任、この場合は?学校行事だからいいんですかね?」
 善場「そうですね。それは構わないと思います。BSAA極東支部の幹部達は中国人や韓国人が多いですが、幸いかの国々でも修学旅行は行われていますので」
 愛原「へえ!中国や韓国でも修学旅行ってあるんだ!」
 善場「日本統治時代の名残らしいですよ。なので、詳しい説明は不要と思われます」
 愛原「それはいい。お土産よろしくなー」
 リサ「何言ってるの?先生も一緒に行くんだよ?」
 愛原「何で?」
 リサ「この前の中等部代替修学旅行、一緒に来たじゃん」
 愛原「あれは俺がPTAの会長代行だったから……あ!」
 リサ「PTAの会長は、引率者の1人になるんだよ?」
 愛原「マジかー!」
 善場「リサの監視、よろしくお願いしますね。くれぐれも、BSAA北米支部を出動させることのないように……」
 愛原「どうして沖縄で、北米支部?」
 善場「お忘れですか?沖縄には広大な米軍基地があります」
 愛原「それは知っています」
 善場「BSAAの構成員は、主に各国の軍隊からの出向者で賄われています。当然、北米支部の隊員の殆どはアメリカ軍からの出向者です。そして、北米支部の出張所みたいな所が沖縄の米軍基地にあるのですよ。管轄は確かに極東支部日本地区本部ですけどね。自分達の近所に暴走BOWが現れたら、管轄など差し置いて、緊急出動するに決まってるじゃないですか」
 愛原「マジかー!」
 リサ「まあ、来年の話だよ」

 リサは笑いながら言った。
 『来年の事を言えば鬼が笑う』そのものであった。

 愛原「で、絵恋さんの上京の話に戻って……。具体的に、沖縄中央学園の冬休みっていつからだ?」
 リサ「今年はクリスマス・イブからだって」
 善場「沖縄県立高校では、概ね12月25日からになってますね。今年は25日は日曜日なので、週休2日制を取っている所では、更にその前日の土曜日である24日から休みになるのでしょう」
 愛原「で、終業式が23日か……」
 リサ「そういうことになる」
 愛原「東京中央学園は?」
 リサ「開始時期は沖縄と同じだね。ただ、1月の方が長い」
 善場「沖縄では概ね1月4日までとなっています」
 愛原「短いな!正月三が日に、プラス1日だけ!?」
 善場「そのようです」
 愛原「東京中央学園は?」
 リサ「来年は9日まで。10日に始業式」
 愛原「東京の方が、沖縄より1週間弱長いんだ」
 リサ「そういうことになる」
 愛原「ふーん……。そうなのか」

 本当に地方や地域によりけりだな。
 因みに仙台市は、だいたい東京基準。
 だいたいね。

 善場「ちょうど良かった。我那覇さんにも色々と聞きたいことがあるので、こちらから向かったり、呼んだりする手間が省けました。我那覇さんにそう伝えておいてください」
 リサ「うん、分かった。後でLINEしとく」
 善場「お願いしますよ」

[同日18時00分 天候:晴 同地区内 愛原のマンション]

 善場主任が帰り、事務所を閉める時間となった。
 結局新しい依頼は無かったが、少なくともデイライトさんと繋がっている限りは、そちら方面からの仕事の依頼は多々あるので、まあいいだろう。
 斉藤社長がいた頃は、そちら方面からの仕事の依頼もあったので、本当に食いっぱぐれの心配は無かったのだが。

 高橋「お帰りなさい。夕飯、もうすぐできますんで」
 愛原「おー、いつも悪いな」
 高橋「いえ。これくらい、弟子として当然です」
 愛原「今日の夕飯は何だ?」
 高橋「カレイの煮付けにしてみました」
 愛原「おー、それはいいな。たまには魚も食わなきゃ」
 高橋「ですよねー?」

 高橋はリビングのソファに寝転がってスマホをいじっているリサをチラッと見て言った。

 高橋「明日はサンマでも焼こうかと思っています」
 愛原「なるほど……」

 リサは既に制服から体操服にブルマへと着替えていた。
 ブルマは学校用の緑色ではなく、紺色のブルマである。
 無地の紺色ブルマなら、実はまだ一部の学生服取扱店で購入できるというトリビア。
 体育用と何ら変わらないのだが、スカートの下に穿くインナー用として需要が若干あるらしい。

 愛原「リサー、そろそろ飯だってよ」
 リサ「んー」

 リサは起き上がった。

 愛原「『魔王軍』とLINEか?」
 リサ「そう。『魔王軍沖縄支部』」
 愛原「ん?」
 リサ「こっちは『魔王軍東京本部』。エレンのいる所は、沖縄支部」
 愛原「そんなのがあるのか。何だか、暴走族のチーム名みたいだな?」
 高橋「ンなワケないっすよ、先生!そんな中二病みたいな名前なんかダサくて付けらんないスよ」
 愛原「そうかな?関東連合みたいに、シンプルでいいと思うけど?」
 高橋「連合というからには、色んなチームが寄り集まってるわけですよ。で、その1つ1つのチーム名を見たら面白いっスよ」
 愛原「だから、中には中二病みたいな名前があるんだろ?」
 高橋「いや、まあ、中にはそういうのもありますけど……」
 リサ「その『魔王軍沖縄支部』の『四天王』がこっちに来るって」
 愛原「ふーん……って、ええっ!?」
 高橋「あー、そうかよ……って、えーっ!?」

 来るのは絵恋さんだけじゃないの!?

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