[6月26日22:00.アルカディアシティ1番街 魔王城新館 視点:稲生勇太]
横田:「今般の祝勝会における大感動は、しばらくの間、冷めやらぬものでありましょう。これを冷ますには、何としてでも広宣流布……もとい、ミッドカード共和国の大戦に勝利し、我が国挙げての祝賀会を催す他には無いこと、確信的であります。偏に唯一無二の師匠、浅井……失礼、安倍春明総裁におかれましては……」
パーティーがお開きになり、ほろ酔い加減の横田理事が最後の挨拶をする。
稲生:「安倍総理が言ってましたよ。この程度の勝利で、本来パーティーをやっちゃいけないって」
イリーナ:「そうね。でも、見方を変えれば、本当の勝利の前祝とも言えるのよ」
エレーナ:「おう、そうだぜ。イリーナ先生の仰る通りだ。この戦争、アルカディアが勝つぜ。イリーナ先生の召喚獣の強さを見て、私はそれを確信したぜ」
イリーナ:「そうね。そこはエレーナの見方が正しいわ」
稲生:「どういうことなんです?まさか、核兵器でも使うつもりですか?」
イリーナ:「核兵器なんて非人道的なもの使わなくても、ちゃんと戦争に勝つ方法はあるのよ」
稲生:「Tウィルスをばら撒く?」
エレーナ:「だったら人間界の新型コロナウィルス感染者、何人かミッドガードに配置させればいいんじゃね?」
マリア:「狂犬病感染のイヌ科動物、何十匹か放逐する?」
イリーナ:「あなた達も随分と非人道的な考え方になったわねぇ……」
エレーナ:「まあ、冗談ですよ」
稲生:「何だ、エレーナ?キミは真相を知ってるのか?」
エレーナ:「だいたいな」
稲生:「教えてくれよ」
エレーナ:「だったら今夜一晩だけ、私の部屋で過ごしてくれ」
マリア:「勇太、真相は自分で掴むものだぞ」
稲生:「そ、そうだね。あははは……」
イリーナ:「ドラゴンを召喚獣としているのは、私だけじゃないのよ。そしてそれは私のリシーちゃんよりも強く、そして勇太君も恐らく知っているドラゴン達……」
稲生:「ファフニールとか、ケツァルコアトルとかですか?」
イリーナ:「惜しい!ちょっとそれじゃないのよ。具体的に言えば、バハムートとリヴァイアサンよ」
稲生:「凄い!」
因みにリヴァイアサンは悪魔レヴィアタンと同一視されることがあるが、ここでは全く別物として取り扱う。
稲生:「どなたが召喚獣の契約してるんですか?」
イリーナ:「ナスっちとマルファ先輩」
稲生:「え……?」
イリーナ:「んじゃ、事の成り行きを確認したい人は屋上へ集合!」
イリーナは終始ハイテンションだった。
パーティーで酒を飲んだというのもあるが、そもそも既に勝利の美酒に今から酔いしれているのだろう。
[同日23:00.ミッドガード共和国首都ミズガルズシティ(和名:中津国市)上空・大統領府及び国会議事堂付近 視点:稲生勇太]
イリーナの召喚獣、スタンダードドラゴンのリシーツァの背中に乗り、アルカディア王国の敵対国となった共和国ミッドガードに向かった稲生達。
元々は王国だったこともあってか、町の外側を大きな壁で囲われている所はアルカディアシティとよく似ている。
ミッドガードもミズガルズも北欧神話に登場する地名から取られている。
要は魔界の帝王バァルの敵は神々である為、その支配を受けないという意味でその名前を付けたのだとか。
その首都ミズガルズは日本語で『中つ国』と呼ばれ、それで魔界民主党は『中津国市』という和名を付けた。
イリーナ:「おお~!もうおっ始めてるか~!」
大統領府や国会議事堂は火に包まれ、2匹のドラゴンが火を吐いていた。
ミッドガード軍が下から大砲を撃っているが、超有名ドラゴン、バハムートやリヴァイアサンにとっては小石が当たった程度にしかならない。
また、攻撃ヘリや戦闘機が応戦しようとしているものの、やはり2匹のドラゴンにとっては小型のドローンが飛んで来たくらいにしか思わない。
イリーナ:「ナスっち~、派手にやってるじゃない」
イリーナは水晶玉を出して、それでアナスタシアと交信した。
アナスタシア:「いちいち見学に来るんじゃないの!ここは私とマルファに任せて、さっさと帰りなさい!」
イリーナ:「大統領は殺したの?」
アナスタシア:「まだよ。大統領府内に立てこもってるみたい」
イリーナ:「私達が捜して来ようか?」
アナスタシア:「危険なことは好きなようね」
イリーナ:「たまにはスリリングなことをしないと、心も老いそうでねぇ……」
アナスタシア:「ま、いいわ。マルファに攻撃を一旦やめさせるから、そのタイミングで捜して来なさい」
イリーナ:「ラジャ!というわけでリシーちゃん、屋上のヘリポートに着陸よろ!」
リシーツァ:「了解した」
リシーツァは大きな黒いコウモリの翼をはためかせ、ゆっくりと屋上のヘリポートに着陸した。
大統領府は火に包まれていると書いたが、火が回っているのは下層階だけで、上層部はまた火が回っていなかった。
どうやら先に下層階を焼き払って、高層階にいる大統領をジワジワ嬲り殺すつもりだったらしい。
で、すぐに大統領は見つかった。
大統領:「おぉーい……助けてくれぇ……!おーい……!誰か、いないのか……!?」
屋上の片隅に墜落したヘリコプターが火災を起こしており、その近くで大統領が屋上の縁に手を掛けて、何とか転落を免れた。
どうやらヘリコプターで脱出しようとしたところ、ドラゴンの攻撃に遭い、墜落。
機体から投げ出され、屋上から転落し掛かったところ、何とか縁に掴まって免れたらしい。
だが、それでも……。
大統領:「だ、誰か……助けてくれ……!手が限界だ……」
大統領は60歳くらいの男で、高そうなダブルのスーツを身を包んでいた。
イリーナ:「元はアルカディア王国の一政党であり、一時は王制を廃止して共和制を敷いた魔界民主党。しかしその人間最優先の強権的な政治手法は、魔族や亜人族達の反感を招き、内政は却って混乱。現在の政権与党である魔界共和党の反撃を受けて衰退し、ついには国外追放処分を受けた一派。それが隣国のミッドガード王国に逃げ込み、そこで国政を掌握。ここでも王制を廃止して共和制を敷き、党首は自ら大統領となった。その大統領の名は大東健作」
大統領:「た、頼む!助けてくれ!しゃ、謝礼ならいくらでもする!だから……」
稲生:「先生、早く助けましょう!」
稲生が屋上の柵を乗り越えようとした時だった。
それをイリーナが制した。
代わりにイリーナ本人がふわりと柵を乗り越える。
大魔道師クラスの者が使える浮遊の魔法を使ったようだ。
そして大統領の前に来ると、不気味な笑みを浮かべてしゃがみこんだ。
イリーナ:「おカネじゃないのよねぇ……」
大統領:「な、何でも望みを叶えてやろう!」
エレーナ:「けっ、魔法で望みは何でも叶えられるグランドマスターに言うセリフじゃないぜ」
イリーナ:「私の望みはいくつかあるけれど、その中で今一番大きなことを言うわ。あなたが死ねば、9割は叶えられたも同然」
大統領:「の、残りの1割の話をしようじゃないか!?な?」
イリーナ:「さすが大統領にのし上がるだけあって、大したタマね。こんな状況でも、たった1割の可能性に賭けるなんて」
イリーナは魔法の杖を出すと、フワリと大統領を浮かび上がらせた。
イリーナ:「あいにくと、交渉するのは私じゃないわ。そこの彼女と交渉しなさい」
イリーナが着地させたのは、パーティードレスから鎧に着替えたアリス。
手には剣を握っていて、全身から殺気を漲らせている。
大統領:「は、話せば分かる!」
アリス:「問答無用!」
アリスは大統領の首を掻っ捌いた。
アリス:「父上の仇!!」
イリーナ:「アリスにとってはお父さんの仇、そして私達にとっては……東アジア魔道団と結託してケンカを売って来たバカ野郎ってところね。アンタ、ケンカ売る相手、間違えたわよ」
稲生:(先生達を怒らせると、ドラゴンをけしかけられて、こんな目に遭うのか……)
稲生が震え上がっていると……。
エレーナ:「おい、アリス!鯨の解体ショーでもやる気か!持って行くのは大統領の首だけでいいんだろ!?」
アリス:「こいつは私のお父様を捕えて、公開処刑にしやがった!首だけじゃ足りない!バラバラにした体を公開してやる!」
エレーナ:「誰得だ、バカ野郎!それはさすがに騎士道精神に反するだろうが!」
アリス:「放せ!放せ!」
エレーナ:「マリアンナ!このぶっとび騎士、縛り上げるの手伝え!」
マリア:「承知!」
稲生:「うわ……」
震え上がる男を尻目に、3人の女は死体の始末の仕方で盛り上がっていた。
横田:「今般の祝勝会における大感動は、しばらくの間、冷めやらぬものでありましょう。これを冷ますには、何としてでも広宣流布……もとい、ミッドカード共和国の大戦に勝利し、我が国挙げての祝賀会を催す他には無いこと、確信的であります。偏に唯一無二の師匠、浅井……失礼、安倍春明総裁におかれましては……」
パーティーがお開きになり、ほろ酔い加減の横田理事が最後の挨拶をする。
稲生:「安倍総理が言ってましたよ。この程度の勝利で、本来パーティーをやっちゃいけないって」
イリーナ:「そうね。でも、見方を変えれば、本当の勝利の前祝とも言えるのよ」
エレーナ:「おう、そうだぜ。イリーナ先生の仰る通りだ。この戦争、アルカディアが勝つぜ。イリーナ先生の召喚獣の強さを見て、私はそれを確信したぜ」
イリーナ:「そうね。そこはエレーナの見方が正しいわ」
稲生:「どういうことなんです?まさか、核兵器でも使うつもりですか?」
イリーナ:「核兵器なんて非人道的なもの使わなくても、ちゃんと戦争に勝つ方法はあるのよ」
稲生:「Tウィルスをばら撒く?」
エレーナ:「だったら人間界の新型コロナウィルス感染者、何人かミッドガードに配置させればいいんじゃね?」
マリア:「狂犬病感染のイヌ科動物、何十匹か放逐する?」
イリーナ:「あなた達も随分と非人道的な考え方になったわねぇ……」
エレーナ:「まあ、冗談ですよ」
稲生:「何だ、エレーナ?キミは真相を知ってるのか?」
エレーナ:「だいたいな」
稲生:「教えてくれよ」
エレーナ:「だったら今夜一晩だけ、私の部屋で過ごしてくれ」
マリア:「勇太、真相は自分で掴むものだぞ」
稲生:「そ、そうだね。あははは……」
イリーナ:「ドラゴンを召喚獣としているのは、私だけじゃないのよ。そしてそれは私のリシーちゃんよりも強く、そして勇太君も恐らく知っているドラゴン達……」
稲生:「ファフニールとか、ケツァルコアトルとかですか?」
イリーナ:「惜しい!ちょっとそれじゃないのよ。具体的に言えば、バハムートとリヴァイアサンよ」
稲生:「凄い!」
因みにリヴァイアサンは悪魔レヴィアタンと同一視されることがあるが、ここでは全く別物として取り扱う。
稲生:「どなたが召喚獣の契約してるんですか?」
イリーナ:「ナスっちとマルファ先輩」
稲生:「え……?」
イリーナ:「んじゃ、事の成り行きを確認したい人は屋上へ集合!」
イリーナは終始ハイテンションだった。
パーティーで酒を飲んだというのもあるが、そもそも既に勝利の美酒に今から酔いしれているのだろう。
[同日23:00.ミッドガード共和国首都ミズガルズシティ(和名:中津国市)上空・大統領府及び国会議事堂付近 視点:稲生勇太]
イリーナの召喚獣、スタンダードドラゴンのリシーツァの背中に乗り、アルカディア王国の敵対国となった共和国ミッドガードに向かった稲生達。
元々は王国だったこともあってか、町の外側を大きな壁で囲われている所はアルカディアシティとよく似ている。
ミッドガードもミズガルズも北欧神話に登場する地名から取られている。
要は魔界の帝王バァルの敵は神々である為、その支配を受けないという意味でその名前を付けたのだとか。
その首都ミズガルズは日本語で『中つ国』と呼ばれ、それで魔界民主党は『中津国市』という和名を付けた。
イリーナ:「おお~!もうおっ始めてるか~!」
大統領府や国会議事堂は火に包まれ、2匹のドラゴンが火を吐いていた。
ミッドガード軍が下から大砲を撃っているが、超有名ドラゴン、バハムートやリヴァイアサンにとっては小石が当たった程度にしかならない。
また、攻撃ヘリや戦闘機が応戦しようとしているものの、やはり2匹のドラゴンにとっては小型のドローンが飛んで来たくらいにしか思わない。
イリーナ:「ナスっち~、派手にやってるじゃない」
イリーナは水晶玉を出して、それでアナスタシアと交信した。
アナスタシア:「いちいち見学に来るんじゃないの!ここは私とマルファに任せて、さっさと帰りなさい!」
イリーナ:「大統領は殺したの?」
アナスタシア:「まだよ。大統領府内に立てこもってるみたい」
イリーナ:「私達が捜して来ようか?」
アナスタシア:「危険なことは好きなようね」
イリーナ:「たまにはスリリングなことをしないと、心も老いそうでねぇ……」
アナスタシア:「ま、いいわ。マルファに攻撃を一旦やめさせるから、そのタイミングで捜して来なさい」
イリーナ:「ラジャ!というわけでリシーちゃん、屋上のヘリポートに着陸よろ!」
リシーツァ:「了解した」
リシーツァは大きな黒いコウモリの翼をはためかせ、ゆっくりと屋上のヘリポートに着陸した。
大統領府は火に包まれていると書いたが、火が回っているのは下層階だけで、上層部はまた火が回っていなかった。
どうやら先に下層階を焼き払って、高層階にいる大統領をジワジワ嬲り殺すつもりだったらしい。
で、すぐに大統領は見つかった。
大統領:「おぉーい……助けてくれぇ……!おーい……!誰か、いないのか……!?」
屋上の片隅に墜落したヘリコプターが火災を起こしており、その近くで大統領が屋上の縁に手を掛けて、何とか転落を免れた。
どうやらヘリコプターで脱出しようとしたところ、ドラゴンの攻撃に遭い、墜落。
機体から投げ出され、屋上から転落し掛かったところ、何とか縁に掴まって免れたらしい。
だが、それでも……。
大統領:「だ、誰か……助けてくれ……!手が限界だ……」
大統領は60歳くらいの男で、高そうなダブルのスーツを身を包んでいた。
イリーナ:「元はアルカディア王国の一政党であり、一時は王制を廃止して共和制を敷いた魔界民主党。しかしその人間最優先の強権的な政治手法は、魔族や亜人族達の反感を招き、内政は却って混乱。現在の政権与党である魔界共和党の反撃を受けて衰退し、ついには国外追放処分を受けた一派。それが隣国のミッドガード王国に逃げ込み、そこで国政を掌握。ここでも王制を廃止して共和制を敷き、党首は自ら大統領となった。その大統領の名は大東健作」
大統領:「た、頼む!助けてくれ!しゃ、謝礼ならいくらでもする!だから……」
稲生:「先生、早く助けましょう!」
稲生が屋上の柵を乗り越えようとした時だった。
それをイリーナが制した。
代わりにイリーナ本人がふわりと柵を乗り越える。
大魔道師クラスの者が使える浮遊の魔法を使ったようだ。
そして大統領の前に来ると、不気味な笑みを浮かべてしゃがみこんだ。
イリーナ:「おカネじゃないのよねぇ……」
大統領:「な、何でも望みを叶えてやろう!」
エレーナ:「けっ、魔法で望みは何でも叶えられるグランドマスターに言うセリフじゃないぜ」
イリーナ:「私の望みはいくつかあるけれど、その中で今一番大きなことを言うわ。あなたが死ねば、9割は叶えられたも同然」
大統領:「の、残りの1割の話をしようじゃないか!?な?」
イリーナ:「さすが大統領にのし上がるだけあって、大したタマね。こんな状況でも、たった1割の可能性に賭けるなんて」
イリーナは魔法の杖を出すと、フワリと大統領を浮かび上がらせた。
イリーナ:「あいにくと、交渉するのは私じゃないわ。そこの彼女と交渉しなさい」
イリーナが着地させたのは、パーティードレスから鎧に着替えたアリス。
手には剣を握っていて、全身から殺気を漲らせている。
大統領:「は、話せば分かる!」
アリス:「問答無用!」
アリスは大統領の首を掻っ捌いた。
アリス:「父上の仇!!」
イリーナ:「アリスにとってはお父さんの仇、そして私達にとっては……東アジア魔道団と結託してケンカを売って来たバカ野郎ってところね。アンタ、ケンカ売る相手、間違えたわよ」
稲生:(先生達を怒らせると、ドラゴンをけしかけられて、こんな目に遭うのか……)
稲生が震え上がっていると……。
エレーナ:「おい、アリス!鯨の解体ショーでもやる気か!持って行くのは大統領の首だけでいいんだろ!?」
アリス:「こいつは私のお父様を捕えて、公開処刑にしやがった!首だけじゃ足りない!バラバラにした体を公開してやる!」
エレーナ:「誰得だ、バカ野郎!それはさすがに騎士道精神に反するだろうが!」
アリス:「放せ!放せ!」
エレーナ:「マリアンナ!このぶっとび騎士、縛り上げるの手伝え!」
マリア:「承知!」
稲生:「うわ……」
震え上がる男を尻目に、3人の女は死体の始末の仕方で盛り上がっていた。
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