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報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「鉄旅」

2025-04-04 20:41:06 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[7月23日08時35分 天候:晴 宮城県仙台市青葉区中央 仙台市地下鉄仙台駅→JR仙台駅]

〔仙台、仙台。ドア付近にお立ちのお客様は、開くドアにご注意ください〕
〔「ご乗車ありがとうございました。仙台、仙台駅に到着です。お忘れ物、落とし物の無いよう、ご注意ください」〕

 仙台市地下鉄の中でも最大の乗降客数を誇る仙台駅に到着する。

 

〔せんだい、仙台。南北線、JR線、仙台空港アクセス線はお乗り換えです〕

 荷物を持って電車から降りる。

 愛原「こっちだ」

 ホームにはコンコースに上がるエレベーターもあるが、新しい地下鉄のありがたさで、エスカレーターでも上がれる。
 案外、地下鉄の駅から新幹線の乗り換えには時間を要するもので、余裕を持って乗り換えなくてはならない。
 発車の30分前に到着するようにしたのも、その為である。
 東改札から外に出て、JR仙台駅を目指した。

 愛原「それじゃ、キップは1人ずつ持とう」

 私はリサに新幹線のキップを渡した。
 乗車券と指定席特急券が1枚になった、水色のキップである。
 事前に都内の駅の指定席券売機で発券したキップである。

 リサ「先生の隣!?」
 愛原「もちろん」
 リサ「やった!」

 それで新幹線中央改札口を通過してコンコースに入るが、まだ少しだけ時間がある。
 普通車とはいえ指定席なので、そんなに慌ててホームに並ぶ必要は無い。
 コンコース内にあるNewDaysに立ち寄り、そこでリサはビーフジャーキーを買い求めた。
 それ以外にもジュースも買う。
 私はお茶だけにしておいた。

 リサ「あれ?本屋がある」

 同じコンコースには、書店もある。

 リサ「ミキに頼まれてたマンガ、売ってるかもしれない」
 愛原「頼まれてたのか?」
 リサ「田舎はなかなか買いにくいからね。逆に下宿している所の方が、一応お店とかあるみたい」

 太平山美樹は北秋田市内の高校に通っている。
 山奥の村からは通いにくいので、北秋田市内で民宿を経営している親族の所に下宿しているのだという。
 今は夏休みで下宿先を一旦引き払い、実家に帰省しているというわけである。
 そうなると却って不便で、本一冊買いにくいという愚痴を零していたとのこと。
 そこでリサが途中に本屋があったら買って来ると約束してしまったらしい。

 リサ「ちょっと覗いてみていい?」
 愛原「いいよ。あまり大きい本屋じゃないから、新刊とかメジャーなヤツしか売ってないかもよ?」
 リサ「多分売ってると思うから大丈夫」

 リサはそこでマンガ本を何冊か購入した。

 愛原「あったんかい!」
 リサ「あった。お金は後でミキからもらう」

 というわけでリサは、レシートをしっかり受け取った。

 愛原「それじゃ、ホームに行くか」
 リサ「行こう行こう」

 私達はエスカレーターで、ホームに上がった。

[同日09時04分 天候:晴 同地区内 JR仙台駅・新幹線ホーム→東北新幹線3005B列車17号車内]

 

〔ピン♪ポン♪パン♪ポン♪ 12番線に、9時5分発、“はやぶさ”5号、新青森行きと、“こまち”5号、秋田行きが、17両編成で、参ります。“はやぶさ”5号は、盛岡から先の各駅に止まります。“こまち”5号は、盛岡、田沢湖、角館、大曲、終点秋田の順に止まります。グランクラスは、10号車。グリーン車は、9号車、11号車です。尚、全車両禁煙です。まもなく、12番線に、“はやぶさ”5号、新青森行きと、“こまち”5号、秋田行きが到着します。黄色い点字ブロックまで、お下がりください〕

 BSAAの取り決めに従うと、私達の乗車車両は先頭の17号車となってしまう。
 エスカレーターを下りてから、進行方向に向かって歩く。
 夏休みに入っているということもあり、乗車口には既に乗客達が並んで列車の到着を待っていた。
 どうせ全車両指定席なので、慌てて乗ることは無いのだが。

〔「12番線、ご注意ください。9時5分発、“はやぶさ”“こまち”5号、新青森行きと秋田行きが到着致します。黄色い点字ブロックまで、お下がりください。全車両指定席で、自由席はありません。次は、盛岡に止まります。停車駅にご注意ください」〕

 

 列車が到着する。
 “はやぶさ”の方はどうだか知らないが、“こまち”の方はちょこちょこ空席が見受けられる。
 それでも、仙台駅で下車する乗客達もいるので、彼らが出した空席か。

〔「おはようございます。ご乗車ありがとうございます。仙台、仙台です。お忘れ物、落とし物なさいませんよう、ご注意ください。12番線に到着の電車は、9時5分発、“はやぶさ”“こまち”5号、新青森行きと秋田行きです。次は、盛岡に止まります」〕

 仙台駅で降りる乗客達が降りた後、私達も乗り込んだ。

 
(秋田新幹線E6系の普通車。……見た目はグリーン車っぽい)

 在来線規格の為か、フル規格の“はやぶさ”と違い、普通車でも3人席は無い。
 殆どの席が埋まっているところは、さすが夏休みといったところか。
 その中に2人分空いている席があり、そこが私が予約した席である。

 愛原「荷物載せるか」
 リサ「あい」

 私は自分のボストンバッグを網棚に載せた。
 リサは鬼型BOWとして腕力はあるのだが、背が足りない。
 それでもちょっとジャンプして、キャリーケースを網棚に上げた。
 リサ「よし」

 停車時間は1分。
 そうしている間に、列車はドアを閉めて発車した。
 車内にインバータのモーター音が響き渡る。
 座席に座るとテーブルを出して、その上に軽食や飲み物を置く。

 愛原「そういえば、“こまち”には車内販売があるんだったな」
 リサ「ほお……」

〔♪♪(車内チャイム)♪♪。本日も、JR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。この列車は、1号車から10号車が、“はやぶさ”号、新青森行き。11号車から17号車が、“こまち”号、秋田行きです。途中の盛岡で切り離しとなりますので、お乗り間違えの無いよう、ご注意ください。次は、盛岡に止まります。……〕

 リサはビーフジャーキーの袋を開けて、早速それに噛み付いていた。
 人間形態であっても、牙は完全に隠せていない。
 まあ、八重歯程度の見た目なので、それで誤魔化せる程度ではあるが。

〔「仙台から御乗車のお客様、お待たせ致しました。おはようございます。本日も新幹線をご利用頂きまして、ありがとうございます。ご乗車の電車は、秋田新幹線“こまち”5号、秋田行きです。“はやぶさ”5号、新青森行きではございませんのでご注意ください。これから先、盛岡、田沢湖、角館、大曲、終点秋田の順に停車致します。【中略】角館には、10時39分、大曲には10時52分、終点の秋田には11時25分の到着予定です。……」〕

 リサ「あ、そうだ」

 リサは何かを思い出したかのようにスマホを取り出した。

 愛原「ミキへの連絡か?」
 リサ「うん」

 リサは頷いて、ミキへのLINEを始めた。
 私も一応、善場係長へ予定通りの新幹線に乗ったとメールで報告しておくことにした。
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“私立探偵 愛原学” 「秋田へ出発」

2025-04-04 11:42:14 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[7月23日06時30分 天候:晴 宮城県仙台市若林区某所 愛原家1階・洗面所]

 私は洗面所で顔を洗っていた。

 リサ「おはよう……」

 そこへリサが起きて来た。

 愛原学「おはよう……って、どうした?!」

 リサの顔色が悪かった。

 学「まさか、具合悪いのか!?」
 リサ「いや……そうじゃなくて……。また、怖い夢見ちゃって……」
 学「ええっ!?」
 リサ「これから行く、ミキの村、きっと危険だよ。ショットガンだけじゃなくて、ロケランも持って行った方がいいかも……」
 学「いや、そんなもん持ち歩けるか!」

 ショットガンは軍用の物であるが、表向きは猟銃ということになっている。
 デイライトを通して所持許可も取ってある。
 一応他にも、閃光手榴弾とかもあるにはあるが。

 学「オマエとミキがいれば大丈夫だろうが」
 リサ「……だといいんだけどねぇ……」

 私は耳元で、リサに囁いた。

 学「鬼の男達に輪姦(マワ)される夢か?」
 リサ「…………」

 図星のようだ。
 リサもボスクラスの強いBOWなのに、それを輪姦できるほどの強い鬼が向こうにはいるのだろうか。
 もしそうだとしたら、確かにショットガンだけでは足りないだろうな。
 バイオハザード絡みでなければ、BSAAは動かないだろうし、テラセイブも動かないだろうな。

 学「オマエはここに残るか?」
 リサ「い、行く!それは行く!」
 学「そうか?無理しなくていいぞ」

 するとリサはバッと服を脱ぎ始めた。

 学「お、おい!」

 そして、私の前で全裸になると、浴室に飛び込んだ。
 直後に響く、シャワーの音。
 悪夢を見て、変な汗をかいたのだろう。
 そういう体臭はしていた。
 それにしても……リサのアソコの毛、生えてなくなかったか?

[同日07時00分 天候:晴 愛原家1階ダイニング]

 

 愛原母「朝ごはん、できたわよ。早く食べなさい」
 学「へーい。頂きゃーす」
 母「リサちゃんは?」
 学「シャワー浴びてる。今、服着てこっち来るんじゃない?」
 母「秋田での用事が終わった後、またこっちに寄る?」
 学「まだ分からんな。そもそも生きて秋田から出られるのかどうかも分からんし……」
 母「……何の仕事に行くの?」
 学「探偵の仕事の1つ。情報収集」
 母「ツキノワグマから情報でも仕入れるの?」
 学「秋田犬連れて行けば、あとは何とかなる精神で何とかなりそうなツキノワグマの方がまだマシかもね」
 母「ええっ?普段何の仕事してるの?」
 学「探偵」
 母「………」
 リサ「おはようございます」

 そこへリサがやってきた。
 リサはの半袖の黒いTシャツに、青いデニムのショートパンツを穿いていた。
 Tシャツには、赤色でバイオハザードのマークが描かれている。
 秋田にはBOWとして行く覚悟の表れか。

 学「父さんは?」
 母「コストコで買ったお酒を飲み過ぎて二日酔い。あとでシバいておくから、2人は先に駅に行きなさい」
 学「……あ、はい」
 母「荷物も大きいから、本当はお父さんに仙台駅まで車で送ってもらった方がいいんだけどね」
 学「別にいいよ。しょうがない。地下鉄で行くさ。どうせ今日は日曜日で、朝のラッシュなんて無いから」
 母「それもそうね」

[同日08時29分 天候:晴 仙台市若林区白萩町 仙台市地下鉄薬師堂駅→東西線40電車・最後尾車内]

 

 キャリーケースをゴロゴロ引き、大きなボストンバッグを抱えて、私とリサは実家をあとにした。
 そして、最寄り駅の地下鉄薬師堂駅に到着する。
 ここは陸奥国分寺の堂宇の1つ、薬師如来を祀った薬師堂の最寄りにある事からそのように名付けられた。

 
(自分で撮影しといて何だが、『異変を見つけたら引き返さないといけない』雰囲気だナ……)

 平日の同じ時間帯は有効長5両分の短いホームでも賑わうのだろうが、日曜日の今は空いている。

 愛原学「リサ、具合はどうだ?」
 リサ「今は大丈夫」
 愛原「そうか」

 リサの荷物の中には着替えの他、金棒も入っている。
 もちろん私のボストンバッグにも、ショットガンが入っているというわけだ。

〔1番線、2番線に、電車が到着します〕

 薬師堂駅は昼間だと、東西両方向の電車が同時到着・同時発車する。
 やってきた電車は、短い4両編成。
 これでも平日の朝ラッシュは吊り革に掴まることになるのだろうが、今は余裕で座席に座れる。
 ドアの横の空いている座席に隣り合って座り、荷物は開かないドアの前に置く。

〔1番線、2番線の電車が、発車します〕

 短い発車メロディがホームに鳴り響く。

〔ドアが閉まります。ご注意ください〕

 ピンポーン♪というドアチャイムが4回鳴りながら、電車のドアが閉まる。
 ホームドアも閉まり切ると発車する。
 仙台市地下鉄ではワンマン運転が行われているので、車掌は乗っていない。

〔次は連坊、連坊。仙台一高前です〕

 愛原「今朝は魚料理だったから、少し物足りなかっただろ?」
 リサ「美味しかったけどね」
 愛原「どうせこれから新幹線に乗り換えるんだ。ビーフジャーキーでも買って行けばいいさ」
 リサ「それもそうだね」
 愛原「それはそうと、村へのお土産、酒の他に、そういうおつまみだけでいいのか?」
 リサ「ミキが、『生粋の鬼は、肉を肴に酒を飲む』って言ってた。まあ多分、わたしみたいな転化組(人間が鬼化した鬼)もそうするんだと思う」
 愛原「ま、お土産を渡せば、帰りのバッグは少し軽くなる」

 お土産は“鬼ころし”だけにしておいた。
 “鬼つよし”や“鬼ふうじ”では、どんな効果があるか分からなかったからである。
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