報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「リサの角の変化」

2024-02-20 20:41:25 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[2月28日午前06時30分 天候:晴 東京都墨田区菊川2丁目 愛原家3階ダイニング]

 愛原「リサ、どうしたんだ、頭?」

 朝、起きて来たリサの頭には角が生えていた。
 これだけなら、いつものことだ。
 変化前は額中央の上部から1本角が生えていたのだが、今は両脇からの2本角になっている。
 その角が異様に長く伸びて、まるで牛の角のようになっていた。

 リサ「いやあ……何か変な夢見て、目が覚めたらこのザマで……」
 愛原「体の具合は?」
 リサ「いや、全然。だからわたしも、洗面所に行くまで気が付かなかった。何か、頭が重いなぁ……とは思ってたけど……」
 愛原「心当たりは無いのか?」
 リサ「今日は少し生理が……」

 リサは下半身を指さした。

 リサ「それのせいかなと思ってたんだけど……」
 愛原「それ以外は無い?」
 リサ「無いねー。今日はいつもより少し『多い』というだけで……。体育は見学にしておくかなと思ってたけど……」
 愛原「で、引っ込まない?」
 リサ「それが引っ込まないんだ。それどころか、人間に化けれなくなってる」
 高橋「よし。更なる化け物への道、1歩前進だな。今のうちに、頭撃ち抜かせてもらうぜい」

 高橋はジャキッとマグナム弾使用のライトニングホークを取り出した。

 リサ「それくらいじゃ、わたしは死なないって」

 頭が無くなるほどの威力を持つが、それでもリサの頭は再生してしまう。
 何故なら、そこが急所じゃないから。
 そう、目の見えるリサの頭は、人間では急所である頸部とはまた違うのである。
 リサの体内の状態を知った時、私はリサはもう人間に戻れないのではと悟った。
 オリジナルのリサ・トレヴァーは見た目にも化け物だったが、ここにいる日本のリサは人間の姿(と鬼の姿)を保ちつつ、体内は化け物状態なのだ。

 愛原「リサはラスボスだからなぁ……」
 高橋「うう……」

 だから、リサは死なない。
 ルーマニアのラスボス、マザー・ミランダよりも恐らくリサの方が強い。

 愛原「角の事、一応、善場主任に報告しよう。今日は学校を休んだ方がいいかもしれない」
 リサ「うん、分かった」

 私はまずは学校に電話することにした。
 リサの見た目の変化は角の長さと太さくらいで、BSAAが開発したアプリも、別に今リサが危険な状態であるとの通知は無かった。
 学校に電話をして、取りあえず今日、リサは休むという連絡をしておく。
 それから、善場主任だ。
 私はリサの写真を撮ると、それを主任のスマホに送信した。
 するとすぐに返信があり、すぐに浜町のクリニックまで連れて来るようにとのことだった。

 愛原「そういうことだ。分かったな?」
 リサ「分かった。食べたら、着替えて来る」

 リサは一応学校に行くつもりだったので、制服を着ていた。
 で、朝食は普通に食べた。
 どうやら、食欲も普通にあるらしい。
 本当に見た目が違うのは角だけ。

[同日09時00分 天候:晴 東京都中央区日本橋浜町 某クリニック]

 取りあえず朝食だけは食べ終わり、私服にリサを着替えさせて、行きは高橋に車を出してもらってクリニックに向かった。
 角を隠す為、パーカーのフードを被せるが、それでも、フードが変な形になってしまった。
 すぐに機械室に模した特別処置室に入る。
 そこでリサは、様々な検査を受けた。
 そうしているうちに、善場主任もやってくる。

 善場「! 立派な角になりましたね……」

 いつもはポーカーフェイスの善場主任も、リサの角を見て目を丸くした。
 今のところは、検査での異常は出ていない。
 角の部分のレントゲンも取ったが、特に角の中に何かがあるわけでもなかった。

 医師「気になるところは、レントゲンの方ですね……」
 愛原「レントゲン?」
 医師「はい。肺がまるで肺炎を起こしたかのような写り方をしているんですよ」
 愛原「肺炎!?」

 しかし、その割にはリサは咳をしていない。
 そもそもリサ、あまり咳をしないのである。
 風邪のウィルス程度、体内に入ったところで、Gウィルスや特異菌のエサになるだけなので。

 愛原「リサ?」
 リサ「? 別に、苦しくないよ?」

 肺炎になったら、呼吸困難で、まともに喋ることもできないだろう。
 しかし、検査着を着用しているリサは至って普通だった。

 医師「あとは、角の方ですが、こちらも一応……」
 リサ「……ックシュ!……ックシュ!ックシュ!!」

 その時、リサが連続で3回くしゃみをした。
 初めて見たような気がする。
 が!

 愛原「リサ!?」

 その時、頭の角がグラついた。
 まるで、抜けかかった歯のようだ。

 善場「! これはまさか……!」

 善場主任はリサの角を掴んで引っ張った。

 リサ「いてててて!!」
 善場「ガマンなさい!」
 愛原「しゅ、主任!?」

 そして、何と主任はリサの取れ掛かっていた角を取ってしまった。
 取られても、出血するわけではない。

 リサ「おー……頭が軽くなった……」

 リサはスッキリしたような顔になった。

 善場「この角を保存して、よく分析をお願いします」
 医師「わ、分かりました」

 今現在、リサは鬼でありながら、角の無い状態となっている。
 このまま角の無い状態になるのか、それともまた新しく生えるのかは不明である。
 角を抜いた部分だけ、取りあえず消毒した。

 善場「取りあえず、一旦帰りましょうか」
 リサ「学校へは行く?」
 善場「今日は1日、家で安静にしていた方がいいでしょう。また、何か変化があるかもしれません」
 リサ「そっかぁ……」
 善場「髪の色も変わりましたしね」
 リサ「あっ、本当だ!」

 

 リサの髪は黒から、脱色したような色になっていた。

 愛原「うん。今日は家で様子見といた方がいいな」
 リサ「マジか……」
 善場「また角が生えたら、教えてください」
 愛原「分かりました」

 それから再度検査が行われたが、不思議と肺炎のような写り方をしていた肺が、元に戻っていたという。
 それと角が抜けたことと、何か関係があるのかは、現段階では不明である。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« “私立探偵 愛原学” 「リサ... | トップ | “愛原リサの日常” 「角無し... »

コメントを投稿

私立探偵 愛原学シリーズ」カテゴリの最新記事