報恩坊の怪しい偽作家!

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 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「検査終了後の夜」 1

2023-02-18 15:57:36 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[10月15日18時00分 天候:雨 神奈川県相模原市緑区 国家公務員特別研修センターA棟1階食堂]

 夕食の時間になり、私達は宿泊しているC棟から食堂のあるA棟へと向かった。
 間にある研修施設のB棟も含め、それらの建物は内側で繋がっていない為、移動するには一旦外に出なければならない。
 当然、雨が降っている場合は傘が必要になる。
 無人のフロントの上にある内線電話で管理室を呼び出し、そこで傘について聞くと、エントランスの傘立てにある傘を使用して良いという。
 黒いナイロン傘を開くと、『国家公務員特別研修センター』と白地で書かれていることから、本当に貸出用の傘らしい。

 リサ「闇人零式リサ・トレヴァー!」
 愛原「“SIREN2”じゃねぇ!」

 もっとも、第1形態に戻ったリサが黒いローブを羽織り、ボロボロの傘を持って踊れば【お察しください】。
 まあ、ゾンビが屍人なら、確かにリサ達のようなBOWは闇人になるのか?
 雨の中、黒い傘を持ってリサが歩くと、そんな気がする。

 リサ「あの研究施設、ハンターとかの臭いもしたよ?」
 愛原「実験用に飼われてるんだってよ。もちろん研究目的は、アンブレラとは違うだろうがな」
 リサ「わたしにとっては、どっちも似たようなものだよ」
 愛原「まあな」

 雨の中、A棟に向かった。
 構内は水銀灯の明かりくらいしかない。
 もしも本館などが使用されているのであれば、その明かりもあるのだろうが、今回、宿泊施設を利用するのは私達だけだという。

 愛原「こんばんはー」

 さすがにA棟1階は、照明が点いていて明るかった。
 ロビーの柱時計が、ボーンボーンと鐘を6回鳴らす。

 善場「お疲れ様です。愛原所長」
 愛原「夕食を頂きに参りました」
 善場「どうぞ、こちらです」

 ロビーを通って、食堂に向かう。
 テーブルの上には、既に夕食が用意されていた。
 ご飯は御ひつに入っている状態、みそ汁は鍋に入っている状態だった。

 善場「今日はお疲れ様でした。また明日も、よろしくお願いします」
 愛原「分かりました」
 善場「飲み物、注文して良いですよ」
 愛原「え?いいんですか?」

 無料の飲み物はお茶と水だけである。

 リサ「オレンジジュースいい!?」
 善場「どうぞ」

 私は瓶ビールを希望したが、その際、善場主任が食堂のスタッフに、何かチケットのようなものを渡しているのを見た。
 恐らく、善場主任が何がしかの立場を利用して、1ドリンク無料券でも手に入れていたのだろう。
 飲み物は全て瓶である。
 キリンと契約しているのか、ビールもオレンジジュースもキリンだった。
 そういえば、この本館の自販機コーナーにも、キリンビールとキリンのソフトドリンクの自販機があったような気がする。
 そして、C棟の自販機もだ。
 C棟の自販機はソフトドリンクのそれしか無いのだが、本館であるこのA棟の自販機は種類が多い。
 ついでに利用して良いとのことなので、帰りに買い込んで行こう。

 高橋「先生、まずは一杯!」

 ビール瓶は中瓶。
 高橋は私のグラスに、ビールをなみなみと注いだ。

 愛原「善場主任、私からもどうぞ」
 善場「ありがとうございます」
 リサ「むー……!」

 その様子をむくれ顔で見るリサ。
 しかし、日本版リサ・トレヴァーの先輩である善場主任には頭が上がらない。
 善場主任は表向きは人間に戻ったことになっているということもあって、変化はしないものの、それでも何がしかの特殊能力は持っていることは分かっている。
 もちろん、これは国家機密であるが。
 リサですら逆らえないようにする、『眼力』とかがそうじゃないかなと思っている。
 夕食はハンバーグ定食だった。
 私達『人間』のそれは普通の定食だったが、リサの場合は明らかに大きかった。

 リサ「おお!わたしだけ大きい!」
 善場「今日は検査を頑張りましたからね。特別に、大きさを2倍にしてもらいました」
 高橋「これに人参ブッ刺したら、ウマ娘の人参ハンバーグだぜ?」
 愛原「確かに」

 ハンバーグの上には目玉焼きが乗っていたが、さすがにリサの方も2個というわけではなかった。

 愛原「今回の検査の結果は、いつ出るんですか?私や高橋のはすぐに出ましたが……」
 善場「簡単なものについては、一両日中に出る予定です」
 愛原「早いですなぁ」
 善場「まあ、簡単なものに関しては、ですが……。難しい物に関しては、もう少し時間を頂きます」
 リサ「召し上がれ」
 善場「時間は食べ物じゃないのよ?」

 善場主任、冷たい目をリサに向ける。
 心なしか、その目が赤く光ったような気がした。

 リサ「はぁーい……」

 リサは肩を竦めて、またハンバーグの方に目をやった。

 善場「私達の場合、メインは体内のウィルスの状態を確認するのが目的です。あと、リサの場合は寄生虫の状態ですね」
 愛原「なるほど……」
 善場「他にも東京中央学園上野高校に蔓延していた、特異菌の感染状況についても確認します」
 愛原「でもそれは、ワクチンか何かを打ったから治ったのでは?」
 善場「普通の人間はそうです。高濃度の特異菌に感染した場合、モールデッドに転化してしまうような人間ですね。でも、中にはそうでない者もいるので」
 高橋「そうでないヤツ?」
 愛原「適合者のことですね。感染してもモールデッドに転化することもなく、見た目は普通の人間のままの姿でいられる状態……」
 善場「そうです。それは、ここにいるリサもそうではないかと思っているのです」
 リサ「んー?わたし、GウィルスとTウィルスを持ってて、更に特異菌?」
 高橋「ばい菌のオンパレードだな」
 リサ「がぁーっ!」
 高橋「よっ、バイキンマン!」
 リサ「あんぱんち!」
 愛原「やめなさい、2人とも!」
 善場「残念ながら、その全てを兼ね備えたBOWは、まだ前例がありません」
 愛原「特異菌って、Gウィルスより強いんですかね?何なら、Gウィルスに食われてしまっている場合も……」
 善場「ええ。ですので、それを今回は検査したかったのです。入念なチェックが必要です。恐らく、1週間は掛かるでしょう」
 愛原「そんなに……!」

 これで本当に特異菌まで備わったとしたならば、本人の言う通り、リサは一体どんなBOWになるんだろうな?
 今のところは、特に変わった所は見受けられないが……。

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