[7月23日15:00.天候:曇 伊豆諸島某離島 村立病院]
屋上からエレベーターに乗り、地下階へと向かう。
ドアが開くと、そこは血の惨劇だった。
隊員A:「これは何という……」
BSAA隊員の死体やゾンビの死体があちこちに転がっており、その荒れ具合は地上以上だった。
壁や天井には弾痕が沢山残っており、BSAA隊員が発砲しまくったのは想像に難くなかった。
愛原:「リサ!タイラントの気配は分かるか!?」
リサ:「……分からない。多分、もうここにはいない」
愛原:「何だって!?」
第一形態の『鬼娘』の姿をしているリサの一本角が鈍く光った。
多分この角が、今のリサの弱点なのだろう。
弱点と思しき場所をBOWは光らせることがあるので、とても分かり易い。
が、リサの場合、弱点の範囲が角一本部分と、とても狭すぎる。
隊員A:「非常階段のドアがこじ開けられている!」
愛原:「ここから出て行ったのか!?」
私達は非常階段を登った。
ゾンビ:「アァア……」
途中の階段で、まだ死に切れていないゾンビが呻き声を上げて這いつくばっている。
このゾンビには下半身が無かった。
なので、スルーしても特に問題は無い。
BSAAでも弾を節約したい、だがクリーチャーからの追尾は阻止したいという場合、足を狙うのだそうだ。
足を部位破壊させることで、這いつくばってでしか移動できないようにすれば、素早く追って来ることもなくなるし、ドアをこじ開けて追い掛けてくることもないということだ。
但し、今回は初期型のゾンビウィルスだからいいが、最近の物では必ずしも当てはまらない個体が出て来たので注意が必要だ。
愛原:「1階のドアが破壊されている」
隊員A:「ここから逃げたようですね!」
非常階段の外に出ると、そこは先ほど入って来た病院のロビーだった。
隊員A:「こうなったら、まずはHQに戻りましょう。もしかしたら、生き残りがいるかもしれません」
愛原:「分かりました」
私達がエントランスから外に出ようとした時だった。
リサ:「危ない!」
リサが天井を見て叫んだ。
が、既に遅かった。
隊員A:「ぐわーっ!」
天井から一本の鎗が伸びて来て、それが隊員の頭を貫通した。
頑丈なヘルメットを被っているにも関わらずだ。
そして、屈強な隊員を軽々と天井に持ち上げ、乱暴に放り投げる。
そこに、わらわらとリッカーの群れが現れた。
愛原:「り、リッカーだ!」
私は天井を見上げた。
そこにいたのは……。
サスペンデッド:「見ィつけたぁァァァァ……!」
愛原:「さ、逆さ女!?」
リッカーもサスペンデッドも、ゾンビの成れの果てだ。
ゾンビの中で多くの生き物を捕食できた強い者が、それに変貌を遂げる。
そして、その中でも更に変異した者がリッカー達を束ねる『女王』サスペンデッドになるのだ。
そう、何故かサスペンデッドは元は人間の女性だった者しか変異しないという法則がある。
リッカーが天井やら壁やら床やら自由自在に動き回るのに対し、サスペンデッドは天井から動こうとしない。
但し、リッカーよりも更に長く鋭い舌で獲物を串刺しにし、その血を吸い上げるのだという。
サスペンデッド:「私のォ……御馳走ォォォォォォ……!!」
愛原:「くっ……!」
リサ:「だぁーっ!!」
リサは更に第2形態に変化した。
辛うじて人型を保っているものの、手足が長くなり、しかもその手は触手のように伸びてリッカーの舌のように自在に伸びたり、鎗のように串刺しにしたりする。
私はサスペンデッドの攻撃である長い舌攻撃から交わす為に、立ち止まることができなかった。
立ち止まったら、それは即座に串刺しにされることを意味する。
しかし、立ち止まらないとヤツを撃つことができない。
どうしたらいいんだ!?
幸いリッカークラスでも、タイラントを手なずけるリサの敵ではないらしい。
リッカーがリサに長い舌を伸ばして来ても、逆にそれをリサが掴んで、リッカーを振り回すほどだ。
元は人間の少女の、どこにそんな力があるのかと思うほどだ。
愛原:「リサ!そいつを逆さ女にぶつけろ!」
尚、私はサスペンデッドを勝手に『妖怪・逆さ女』と名付けている。
因みに霧生市で見た者の正体は分からなかったが、こちらはまだ白衣の切れ端が残っていることから、医師か看護師の成れの果てなのかもしれない。
リサ:「ん!」
リサがリッカーの一匹をサスペンデッドにぶつけた。
その弾みでサスペンデッドが天井から落ちた。
愛原:「今だ!」
私はサスペンデッドに向かって、手持ちのショットガンを撃った。
軍用のせいか、やたらと反動が大きい。
全く。これなら猟銃の方が良かったよ。
サスペンデッドはすぐにまた天井へと上がる。
リサ:「もう一回ぶつける!」
愛原:「頼む!」
リサの姿もなかなかどうして化け物なのだが、ここにいるリッカー達はリサを仲間だとは誤認しないんだな。
私が手こずっている間、5~6匹はいたリッカーが、既に残り1匹になっていた。
リサが再びリッカーをぶつけると、サスペンデッドは床に落ちた。
すぐに倒さないと、また天井に上がられてしまう。
と、その時だった。
愛原:「あっ!?」
ガッシャーンと音がして、エントランスから装甲車が突っ込んで来た。
あれは私達が乗って来た装甲車!?
サスペンデッド:「ギャアァァァァァァァッ!!」
サスペンデッドは天井に上がる間もなく、装甲車に轢き殺された。
その装甲車に乗っていたのは……。
善場:「お、お迎えに上がりました」
愛原:「あ……どうも」
装甲車の中で留守番していた善場主任だった。
善場:「遅いので迎えに行こうとしたんですが、この車、特殊な運転技術が必要みたいで……」
といっても、見た目はただのMT車のようだが……。
善場:「どうやら大型免許が必要な車だったみたいですね」
愛原:「善場さん、もしかして普通免許しか持ってません?」
善場:「ヘリコプターの操縦免許ならあるのですが」
愛原:「……もしこの島に、まだ飛べるヘリがあったら、操縦お願いしますよ」
と、そこへ……。
リサ:「まだ、奥から来るよ!」
ゾンビの呻き声が、ドアの向こうから聞こえた。
愛原:「ここにはタイラントもネメシスもいませんでした。長居は無用です。まずはHQまで戻りましょう」
善場:「外の駐車場に普通の車も止まっていましたから、それで行きましょう」
私達は外に出た。
屋上からエレベーターに乗り、地下階へと向かう。
ドアが開くと、そこは血の惨劇だった。
隊員A:「これは何という……」
BSAA隊員の死体やゾンビの死体があちこちに転がっており、その荒れ具合は地上以上だった。
壁や天井には弾痕が沢山残っており、BSAA隊員が発砲しまくったのは想像に難くなかった。
愛原:「リサ!タイラントの気配は分かるか!?」
リサ:「……分からない。多分、もうここにはいない」
愛原:「何だって!?」
第一形態の『鬼娘』の姿をしているリサの一本角が鈍く光った。
多分この角が、今のリサの弱点なのだろう。
弱点と思しき場所をBOWは光らせることがあるので、とても分かり易い。
が、リサの場合、弱点の範囲が角一本部分と、とても狭すぎる。
隊員A:「非常階段のドアがこじ開けられている!」
愛原:「ここから出て行ったのか!?」
私達は非常階段を登った。
ゾンビ:「アァア……」
途中の階段で、まだ死に切れていないゾンビが呻き声を上げて這いつくばっている。
このゾンビには下半身が無かった。
なので、スルーしても特に問題は無い。
BSAAでも弾を節約したい、だがクリーチャーからの追尾は阻止したいという場合、足を狙うのだそうだ。
足を部位破壊させることで、這いつくばってでしか移動できないようにすれば、素早く追って来ることもなくなるし、ドアをこじ開けて追い掛けてくることもないということだ。
但し、今回は初期型のゾンビウィルスだからいいが、最近の物では必ずしも当てはまらない個体が出て来たので注意が必要だ。
愛原:「1階のドアが破壊されている」
隊員A:「ここから逃げたようですね!」
非常階段の外に出ると、そこは先ほど入って来た病院のロビーだった。
隊員A:「こうなったら、まずはHQに戻りましょう。もしかしたら、生き残りがいるかもしれません」
愛原:「分かりました」
私達がエントランスから外に出ようとした時だった。
リサ:「危ない!」
リサが天井を見て叫んだ。
が、既に遅かった。
隊員A:「ぐわーっ!」
天井から一本の鎗が伸びて来て、それが隊員の頭を貫通した。
頑丈なヘルメットを被っているにも関わらずだ。
そして、屈強な隊員を軽々と天井に持ち上げ、乱暴に放り投げる。
そこに、わらわらとリッカーの群れが現れた。
愛原:「り、リッカーだ!」
私は天井を見上げた。
そこにいたのは……。
サスペンデッド:「見ィつけたぁァァァァ……!」
愛原:「さ、逆さ女!?」
リッカーもサスペンデッドも、ゾンビの成れの果てだ。
ゾンビの中で多くの生き物を捕食できた強い者が、それに変貌を遂げる。
そして、その中でも更に変異した者がリッカー達を束ねる『女王』サスペンデッドになるのだ。
そう、何故かサスペンデッドは元は人間の女性だった者しか変異しないという法則がある。
リッカーが天井やら壁やら床やら自由自在に動き回るのに対し、サスペンデッドは天井から動こうとしない。
但し、リッカーよりも更に長く鋭い舌で獲物を串刺しにし、その血を吸い上げるのだという。
サスペンデッド:「私のォ……御馳走ォォォォォォ……!!」
愛原:「くっ……!」
リサ:「だぁーっ!!」
リサは更に第2形態に変化した。
辛うじて人型を保っているものの、手足が長くなり、しかもその手は触手のように伸びてリッカーの舌のように自在に伸びたり、鎗のように串刺しにしたりする。
私はサスペンデッドの攻撃である長い舌攻撃から交わす為に、立ち止まることができなかった。
立ち止まったら、それは即座に串刺しにされることを意味する。
しかし、立ち止まらないとヤツを撃つことができない。
どうしたらいいんだ!?
幸いリッカークラスでも、タイラントを手なずけるリサの敵ではないらしい。
リッカーがリサに長い舌を伸ばして来ても、逆にそれをリサが掴んで、リッカーを振り回すほどだ。
元は人間の少女の、どこにそんな力があるのかと思うほどだ。
愛原:「リサ!そいつを逆さ女にぶつけろ!」
尚、私はサスペンデッドを勝手に『妖怪・逆さ女』と名付けている。
因みに霧生市で見た者の正体は分からなかったが、こちらはまだ白衣の切れ端が残っていることから、医師か看護師の成れの果てなのかもしれない。
リサ:「ん!」
リサがリッカーの一匹をサスペンデッドにぶつけた。
その弾みでサスペンデッドが天井から落ちた。
愛原:「今だ!」
私はサスペンデッドに向かって、手持ちのショットガンを撃った。
軍用のせいか、やたらと反動が大きい。
全く。これなら猟銃の方が良かったよ。
サスペンデッドはすぐにまた天井へと上がる。
リサ:「もう一回ぶつける!」
愛原:「頼む!」
リサの姿もなかなかどうして化け物なのだが、ここにいるリッカー達はリサを仲間だとは誤認しないんだな。
私が手こずっている間、5~6匹はいたリッカーが、既に残り1匹になっていた。
リサが再びリッカーをぶつけると、サスペンデッドは床に落ちた。
すぐに倒さないと、また天井に上がられてしまう。
と、その時だった。
愛原:「あっ!?」
ガッシャーンと音がして、エントランスから装甲車が突っ込んで来た。
あれは私達が乗って来た装甲車!?
サスペンデッド:「ギャアァァァァァァァッ!!」
サスペンデッドは天井に上がる間もなく、装甲車に轢き殺された。
その装甲車に乗っていたのは……。
善場:「お、お迎えに上がりました」
愛原:「あ……どうも」
装甲車の中で留守番していた善場主任だった。
善場:「遅いので迎えに行こうとしたんですが、この車、特殊な運転技術が必要みたいで……」
といっても、見た目はただのMT車のようだが……。
善場:「どうやら大型免許が必要な車だったみたいですね」
愛原:「善場さん、もしかして普通免許しか持ってません?」
善場:「ヘリコプターの操縦免許ならあるのですが」
愛原:「……もしこの島に、まだ飛べるヘリがあったら、操縦お願いしますよ」
と、そこへ……。
リサ:「まだ、奥から来るよ!」
ゾンビの呻き声が、ドアの向こうから聞こえた。
愛原:「ここにはタイラントもネメシスもいませんでした。長居は無用です。まずはHQまで戻りましょう」
善場:「外の駐車場に普通の車も止まっていましたから、それで行きましょう」
私達は外に出た。
愛原はサスペンデッドから飛んできた「槍」でBSAA隊員が死んだように言っていますが、正確には「槍のように長く鋭く尖った舌」です。
リッカーの攻撃法は鞭のように長くしなり、しかし槍のように鋭く突き刺す舌です。
ましてやその親玉となれは、リーチが長く、攻撃力も強いものとなりましょう。