報恩坊の怪しい偽作家!

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 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「ネメシス現る!」

2020-08-10 17:06:31 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[7月23日15:00.天候:曇 伊豆諸島某離島 村立病院駐車場→村役場前]

 愛原:「キーが付いてる車が軽トラだけだと!?」

 駐車場に行くと、離島だからか、軽自動車がやたら止まっていた。
 それはいいのだが、キーが付いていて、今すぐ動かせる車が軽トラしか無かった。

 善場:「しょうがないですね。これで行きましょう。私が運転しますので、愛原所長は助手席に。リサ・トレヴァーは荷台で、敵襲来に備えてください」
 愛原:「わ、分かった」

 私は助手席に、第二形態から第一形態に戻ったリサは荷台に乗り込んだ。
 善場主任はエンジンを掛けて、すぐに軽トラを出した。
 軽トラはMT車だったが、普通に善場主任は運転していた。
 いくら大型免許が必要だったといっても、装甲車を病院に突っ込ませたのはワザとじゃなかったのか。
 一旦、エントランスの前を通ると、生き残ったゾンビ達がわらわらと出て来たが、もちろん走る軽トラを捕まえることはできない。

 愛原:「リサ!タイラントやネメシスの気配を察知したら、すぐに教えてくれ!」

 私は窓を開け、荷台にいるリサを振り向いて言った。

 リサ:「うん、分かった!」

 来た道を戻るだけだ。
 途中で跋扈していたであろうゾンビ等は、既にBSAAが掃討してくれている。
 だから、途中でそのようなクリーチャーと遭遇することはなかった。

 愛原:「あれ?途中に分かれ道が……?」

 Y字路交差点があった。
 元々交通量が少ないせいか、信号機は無い。

 善場:「市街地……村役場の方に行くか、港の方に行くかで分かれているみたいですね。HQは港の方です」
 愛原:「なるほど」

 どちらも舗装されているが、道幅はそんなに広くない。
 装甲車のような大型車が来たら、すれ違いは不可能だろう。
 だが、少し進んで私達は進路を阻まれた。

 愛原:「これは……!」

 道を倒木で塞がれていた。
 それも、何本とかいうわけではない。

 リサ:「私が退かそうか?」

 リサが言った。
 確かにリサが変化したらできるかもしれない。

 善場:「いえ、別の道を行きましょう」

 別の道は市街地を通って行くルートか。
 善場主任は軽トラをUターンさせると、さっきの分かれ道に行き、今度は村役場の方へハンドルを切った。

 愛原:「それにしても、ネメシスといい、タイラントといい、どこへ行ったんだ?」
 善場:「HQの跡地にいるか、或いはこれから通る市街地かもしれませんね」
 愛原:「ええっ!?」

 市街地に差し掛かる。
 ここでも大惨事の後であることが分かった。
 火災に見舞われたのが、黒焦げの廃車や全焼した建物がある。
 それどころか、役場の庁舎にはBSAAのヘリコプターが墜落して突っ込んでいた。
 役場は2階建てである。

 愛原:「こりゃひょっとすると、BSAAは全滅か?」
 善場:「もしそうだとしても、増援が来るはずですよ。もっとも、離島ですから少し時間が掛かるかもしれませんが」
 リサ:「ねぇ!あれ見て!」

 リサが指さした所を見ると、役場の屋上に巨漢の者が立っていた。
 そして、BSAAの隊員達の頭を片手で握り潰したのである。

 愛原:「うわ……エグ……!」
 善場:「ここは危険です。急いでHQに行きましょう。タイラントがいる可能性もありますが、こちらにはリサ・トレヴァーがいます。ネメシスよりは安全です」
 愛原:「確かに」
 リサ:「あっ、こっちに気づいた」
 愛原:「だ、大丈夫だろ。ネメシスの目的はBSAAを全滅させることにあるんだろ?だったら、俺達に用は無いはずだ」

 ところが、だ。
 ネメシスがこちらに気づいたかと思うと、2階から飛び下りてダッダッダッと走って来た。

 リサ:「用があるみたいだよ?」
 愛原:「冗談じゃない!」
 善場:「逃げます!」

 善場さんは軽トラを急発進させた。
 だが!

 リサ:「あっ!」

 その弾みでリサが荷台から投げ出された。

 愛原:「善場さん!リサが!」
 善場:「リサ・トレヴァーなら大丈夫でしょう!後で回収します!まずはHQに……」
 愛原:「そのHQにタイラントがいたら、リサのいない私達はあっという間に襲われますよ!?」
 善場:「! そうでした!」

 善場主任は今度は急ブレーキ。
 シートベルトをしていなかったら、フロントガラスに突っ込んでいたところだ。

 愛原:「ウソだろ!?」

 私が振り向くと、リサはネメシスに拉致されようとしていた。

 リサ:「放せ!放せ!」

 リサはジタバタと暴れているが、ネメシスはそんなこと気にしていない。

 愛原:「り、リサを放せ!」

 私は軽トラから降りると、ショットガンの銃口をネメシスに向けた。
 だが、ネメシスは全く動揺しない。
 完全にスルーしている。

 愛原:「撃つぞ!」

 そう言って、私はネメシスにショットガンを発砲した。
 それはネメシスの背中に当たったが、ヤツにとっては小石が当たった程度にしか感じていないらしい。
 やはり、ダメか。
 アメリカでは変化に変化を重ね、やっとこさ超電磁砲(レールガン)で倒されたというのだから。

 愛原:「追いましょう!」
 善場:「危険です!あいつはBSAAを全滅させた上級BOWです!」
 愛原:「でもこのままだと、リサが殺される!」

 そうだ。
 BOW同士、仲間意識は実は無い。
 斉藤絵恋さんがBOW化したものの、それが免れた時、リサはホッとした。
 その理由が、『サイトーがBOWになったら、ライバルになるから』だそうだ。

 善場:「私はHQに戻ってBSAAの増援を待ちます。それが来次第、役場に向かいます。どうか愛原所長、無理をなさらぬように」
 愛原:「分かってるよ」

 私は銃を抱えて、役場の正門を潜った。

 愛原:「普通に庁舎の中に入って行きやがったな……」

 ネメシスはリサをどうするつもりなのだろう?
 まさか、食べる気じゃないだろうな?
 ゾンビ同士は共食いすることもあるらしいが、BOWはどうなのだろう?
 私は距離を取りながら、奴の後ろを付いて行った。

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1 コメント

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つぶやき (雲羽百三)
2020-08-10 21:56:23
https://news.goo.ne.jp/article/sponichi/entertainment/sponichi-spngoo-20200810-0193.html

 これはネタ出しをする原作者が「車掌」で、そのネタを漫画にする漫画家が「運転士」のようなもの。
 車掌が逮捕され、運転士だけが残されても列車の運行継続はできないということか。
 漫画も小説も基本は「ワンマン」であるが、このようにツーマン運転をしている所もあり、片方が何かやらかしても運転打ち切りになるという例である。
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