報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「愛原事務所の年始」

2021-01-18 14:39:24 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[2020年12月31日23:45.天候:晴 東京都墨田区菊川 愛原のマンション]

〔「ほぉたぁ~るのひかぁ~り♪窓の雪~♪……」〕

 まもなく年が明けようとしている。
 NHK紅白歌合戦で“蛍の光”が流れると、そんな気にさせてくれる。
 台所では高橋が年越し蕎麦を茹でてくれている。

 リサ:「下りの“ひかり”♪名古屋行き~♪」
 愛原:「22時3分発、“ひかり”669号、名古屋行き発車致します。……ってか」
 高橋:「2人とも、何やってんスか」
 愛原:「もうすぐ今年も終わるねぇ……」
 リサ:「終わるねぇ……」
 愛原:「リサは年越し蕎麦食べたら、さっさと寝るんだぞ」
 リサ:「はぁーい」

 リサはそう答えると、大きな欠伸をした。
 完全にリラックスしているせいか、第1形態に戻っている。
 なので大きく口を開けると、牙が剥き出しになる。
 しばらく“ゆく年くる年”を眺めていると……。

 愛原:「そろそろカウントダウンだ」

 私がスマホを取り出すと、時計が23時59分を指している。
 そして……。

 愛原:「ほい、時間だ。2021年1月1日。明けまして、おめでとう!」
 リサ:「おめでとうございます!」
 高橋:「おめでとうございます!」
 愛原:「というわけで、これはお年玉」
 リサ:「おー!ありがとう!」

 クリスマスプレゼントとも相まって、額は【相場通り】。

 高橋:「先生。年越し蕎麦できました」
 愛原:「お~、さすがだな」

 といっても、掛けそばである。
 ネギとカマボコが乗っかっているくらい。
 だが、それがいい。

 愛原:「うん。コシがあって美味い」
 高橋:「あざっス」
 愛原:「食べたら、さっさと風呂入って寝よう」
 高橋:「はい」
 愛原:「リサから先に入っていいから」
 リサ:「分かった」

[2021年1月1日06:30.天候:晴 愛原のマンション]

 この時間に私は起きた。
 初日の出を拝む為である。
 着替えてからコートを羽織り、屋上へ向かう。
 まだ、日は昇っていなかった。

 高橋:「先生、おはようございまっス!」
 愛原:「高橋。別に寝てていいんだぞ。ってか、リサも……」
 リサ:「私も特殊部隊のヘリ、迎撃するー!」
 愛原:「ネメシスじゃないからな!ロケランもってないし!……そうじゃなくて、初日の出だよ」
 リサ:「ああ。去年も見た」
 愛原:「今年も拝もうと思ってね」

 そう話しているうちに、初日の出が昇って来た。

 愛原:「昇ったねぇ……」
 高橋:「昇りましたねぇ……」
 リサ:「私は太陽の下にいられる。太陽の下も歩けない化け物とは違う」
 愛原:「あれのメカニズムが分からんな。だけど、アンブレラが造るBOWは太陽の下でも大丈夫なのが多いな」
 リサ:「兵器として造るわけだから、夜しか活動できないなんて出来損ない過ぎるよ」
 愛原:「まあな。よし、戻って朝飯にしよう」
 高橋:「早速昨日ついた餅を食べましょう」
 愛原:「そうだな」

 私達は初日の出を拝むと、部屋に戻った。

[同日08:46.天候:晴 都営バス菊川駅前停留所→都営バス東20系統車内]

 朝食にお餅とお節料理を自分用に食べた。
 それから出発の準備をし、私達は最寄りのバス停に向かった。
 元旦ということもあり、通りを歩いている人も車も少ない。
 高橋は断熱バッグを持っていた。
 この中に、実家への土産用としてのお餅やお節料理が入っている。
 まるでウーバーイーツだな。
 しばらくしてバスを待っていると、フロント部分に国旗を交差させた物を装着したバスがやってきた。

 愛原:「これで行けばいいな」

 バスに乗り込む。
 後ろの空いている席に座った。

 高橋:「先生。乗る新幹線の目星、もう付いてるんですか?」
 愛原:「いや、まだだな。適当に空いてる列車でいいと思うよ」
 高橋:「そうですか」
 愛原:「だいたい、このバスだって時間通りに走るかどうか不明だし」
 高橋:「まあ、それもそうですね」

〔発車致します。お掴まりください〕

 ドアが閉まってバスが走り出す。

〔ピンポーン♪ 毎度、都営バスをご利用頂き、ありがとうございます。この都営バスは東京都現代美術館前、門前仲町、日本橋経由、東京駅丸の内北口行きでございます。次は森下五丁目、森下五丁目でございます〕

 意外にも乗客が多いのは、このバスが門前仲町に行くからだと分かった。
 そこには富岡八幡宮や成田山東京別院深川不動尊があり、そこへ初詣に行く人達が多く乗っているのだろう。
 富岡八幡宮は宮司が内ゲバ事件を起こし、呪いの遺書を残して自殺した曰く付きの場所であるが、未だに呪いは発動されていないようだ。
 1990年代だったら、呪いが発動したことになったかもしれない。


 愛原:「しかし、昨年もあっという間に終わったもんだ」
 高橋:「そうですね」
 愛原:「あと1ヶ月ちょっと経てば、もう節分だ。今年は2月2日だそうだ」
 高橋:「そうなんですか。節分……鬼……」
 リサ:「何でそこで私を見るの?」
 高橋:「リアル鬼がそこにいますけど、豆ぶつけていいんスよね?」
 愛原:「本人に聞いてみたら?」
 リサ:「節分が終わったら、鬼の逆襲」
 高橋:「リアル鬼はマグナム撃ち込まないと倒せないみたいですよ?」
 愛原:「それが、マグナムでも倒せないんだって」
 リサ:「ロケランだったら、私もヤバいかもね」
 高橋:「善場の姉ちゃんに頼んで、ロケラン借りていいっスか?」
 愛原:「何に使うんだって絶対聞かれるぞ?」
 高橋:「節分の豆まきっス」
 愛原:「多分却下されるだろうな」

 そもそもロケランで豆まきなんかできるわけがない。
 せいぜい、マシンガンかガトリング砲のいずれかだな。

 リサ:「私は恵方巻が食べたい。豆よりそっちの方がいい」
 愛原:「まあ、そうなるわな。それより、今はお節だ。早く向こうに行って食べないとな」

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