[2月28日15:00.天候:晴 埼玉県さいたま市中央区上落合 斉藤家]
私の名前は愛原学。
都内で小さな探偵事務所を経営している。
今日は斉藤家の昼食会に招かれた。
その後で再び斉藤社長と話をしていたら、いつの間にか午後になってしまった。
愛原:「リサ達の卒業旅行ですかぁ……」
斉藤秀樹:「できればまたお願いしたいですな」
愛原:「そりゃもう喜んでって感じですけど……」
秀樹:「何しろ春休みを満喫できるのは学生だけで、私共社会人はそうはいきません。ですが愛原さんになら、仕事としてそれをお願いできるのがいいですね」
愛原:「まあ、検討させて頂きます」
と、そこへ応接室のドアがノックされた。
新庄:「失礼致します。そろそろ御出発の御時間ですが……」
秀樹:「おお、もうそんな時間か。長話に付き合わせてしまいまして、申し訳ありませんな」
愛原:「いえいえ、とんでもないです」
秀樹:「車の用意は?」
新庄:「整ってございます」
秀樹:「というわけです。また送らせて頂きますので」
愛原:「申し訳ありません。ちょっと、リサを呼んで来ませんと……」
秀樹:「ああ、それは……」
新庄:「パールが呼びに向かいましてございます」
秀樹:「……とのことです」
愛原:「何から何まで申し訳ありません」
私と高橋は席を立った。
それから家の外に出ると、往路で乗った黒塗りのアルファードが門の前に止まっていた。
斉藤家にはこの他に、社長の通勤用レクサスと自家用ガリューがある。
少し前まではベンツのSクラスに乗っていたが、最近になってレクサスLS(旧・セルシオ)に乗り換えている。
このアルファードと同様、ハイブリット車であることから、税金対策か何かだろうか。
そのうち、光岡のガリューも別の車に交換されるかもしれない。
高橋:「あのベンツ、売っちゃったんスか!?」
新庄:「ええ」
高橋:「売るんだったら、俺にくれりゃいいのによォ……」
愛原:「アホか」
愛原:「失礼ながら、税金対策か何かでしょうかねぇ?」
新庄:「いや、まあ、その……」
どうやら図星らしいな。
最近の役員車がこぞってベンツなどの外車を止め、ゼロ・クラウンやレクサスになっているのは税金対策らしい。
高橋:「あいつら、遅っせぇな」
高橋が少し苛立った感じで家の方を見る。
愛原:「まあ、『女は支度に時間が掛かる』とはよく言うからねぇ……」
もっとも、今のセリフをJOCや国会議員のおエラいさんが言ったら、またマスコミに叩かれるだろうな。
時間が掛かるのは本当だろうが。
リサ:「お待たせ」
斉藤絵恋:「お待たせー」
高橋:「遅ぇぞ!」
リサ:「ごめんなさい。着替えに時間が掛かってたの」
愛原:「着替え?」
リサ:「サイトーの家のプールに入ってた」
斉藤家の地下には10メートルくらいのプールがある。
冬は温水プールとして入ることが可能。
愛原:「ああ、それでお前、冬なのに水着引っ張り出して来たのか」
絵恋:「リサさんのスク水萌え……でへへへへ……!」
高橋:「……それ、オッサンのセリフだからな?」
絵恋:「それより愛原先生、リサさんにスク水以外の水着も買ってあげてください。……何なら、私が見立ててプレゼントしてあげてもいいですけどォ……うふふふふふ……」
高橋:「気持ち悪いィな、レズビアン」
絵恋:「バイセクの方が気持ち悪いじゃないのよ!」
高橋:「ンだとコラ!」
愛原:「まあまあまあ!」
リサ:「サイトー、落ち着いて」
全く。
LGBT同士、仲が良いとは限らない。
霧崎:「御嬢様、そろそろお車に……」
絵恋:「そ、そうね」
リサ:「去年来てた水着を持って行こうかと思ってたんだけど、何故か無くて。しょうがないから学校の水着を持って来たんだけど」
絵恋:「リサさんはどんな水着でも似合うわ!むしろリサさんのおかげで旧スクがまた学校で流行りだしたらしいわよ!」
高橋:「お前、よく旧スクとか新スクとか分かるな。オッサンのロリコン趣味じゃあるまいし」
絵恋:「うっさいわね!リサさんなら旧だろうが新だろうが何でも似合うって言いたいだけよ!」
愛原:「そうだぞ、高橋。オマエは黙ってろ」
高橋:「さ、サーセン」
愛原:「あ……。リサの水着、俺が預かってたw」
絵恋:「ファッ!?」
高橋:「え!?」
リサ:「ん!?」
私は往路と同じ運転席の後ろに座った。
愛原:「じゃ、新庄さん、運転お願いします」
新庄:「かしこまりました。それでは出発致します」
絵恋:「ちょっと!何さらっと流してんのよ!?愛原先生!どういうことなの!?どういうことなの!?正直に全部言いなさい!全部言うまで車は出させないわ!」
愛原:「どういう経緯だったっけ……?」
リサ:「サイトー、落ち着いて。確か、私から先生に預けた。それだけじゃなく、研究所時代の時に着てた服も先生に預けてる」
愛原:「あ、そういえばリサがリサ・トレヴァーとして着てたセーラー服、まだあったな!?」
絵恋:「それ、私にください!できれば、リサさんが着てた服全部!お金なら出します!!」
高橋:「だからオマエの発言の方がヘンタイだろうが!」
リサ:「サイトー、落ち着いて。本当は私の服、あげたいんだけど、多分サイトーの方が体大きいから着られないよ?」
絵恋:「そういうことじゃないの!私はリサさんが着てた服が欲しいのよ!」
リサ:「……うん。確かにサイトーの方がヘンタイ」
高橋:「だろォ!?先生はまだまだ全然ノーマルでいらっしゃる!……ですよね、先生?」
愛原:「あ、ああ」
だが、ここだけの話、リサのヤツ、私をかなり縛りたいらしく、例えば高橋の目を盗んで、私の前でスカートの中に入れて下着を脱ぎ、それを私に渡してくることがある。
それは『私が学校に行ってる間、私のことを忘れないように』とのこと。
私はすぐにツッコミを入れておいたが、いくら人間の女の子よりも感覚がズレているのはある程度仕方が無いとはいえ、私はリサの方が一番性癖が歪んでいるような気がする。
早いとこ人間に戻して、取り返しの付かなくなる前に対処したいと思う。
下着だが、リサの機嫌を損ねて暴走させてしまうと、私にも責任が及んでしまう。
しょうがないので軽く窘めておいた上で受け取り、後で洗って返すようにしている。
この際、説教でもしようものなら、リサの性格上、拗ねるどころか逆ギレして暴走しかねないので、なるべくやんわりとした物言いで返しておく。
するとリサのヤツ、嬉しそうに笑って受け取るのだが、結局また後日同じことをしてくる。
そんな日が何日か続いたことがあった。
どうもリサ・トレヴァーの奴ら、研究所で過ごしていた時、性癖を歪められる実験とかさせられたらしいな。
当然ここにいるリサも例外なく受けさせられただろうから、しょうがないと言えばしょうがない。
ヘンタイ研究員どもめ。
新庄:「それでは改めまして、出発致します」
落ち着いたところで、やっと車が出た。
私の名前は愛原学。
都内で小さな探偵事務所を経営している。
今日は斉藤家の昼食会に招かれた。
その後で再び斉藤社長と話をしていたら、いつの間にか午後になってしまった。
愛原:「リサ達の卒業旅行ですかぁ……」
斉藤秀樹:「できればまたお願いしたいですな」
愛原:「そりゃもう喜んでって感じですけど……」
秀樹:「何しろ春休みを満喫できるのは学生だけで、私共社会人はそうはいきません。ですが愛原さんになら、仕事としてそれをお願いできるのがいいですね」
愛原:「まあ、検討させて頂きます」
と、そこへ応接室のドアがノックされた。
新庄:「失礼致します。そろそろ御出発の御時間ですが……」
秀樹:「おお、もうそんな時間か。長話に付き合わせてしまいまして、申し訳ありませんな」
愛原:「いえいえ、とんでもないです」
秀樹:「車の用意は?」
新庄:「整ってございます」
秀樹:「というわけです。また送らせて頂きますので」
愛原:「申し訳ありません。ちょっと、リサを呼んで来ませんと……」
秀樹:「ああ、それは……」
新庄:「パールが呼びに向かいましてございます」
秀樹:「……とのことです」
愛原:「何から何まで申し訳ありません」
私と高橋は席を立った。
それから家の外に出ると、往路で乗った黒塗りのアルファードが門の前に止まっていた。
斉藤家にはこの他に、社長の通勤用レクサスと自家用ガリューがある。
少し前まではベンツのSクラスに乗っていたが、最近になってレクサスLS(旧・セルシオ)に乗り換えている。
このアルファードと同様、ハイブリット車であることから、税金対策か何かだろうか。
そのうち、光岡のガリューも別の車に交換されるかもしれない。
高橋:「あのベンツ、売っちゃったんスか!?」
新庄:「ええ」
高橋:「売るんだったら、俺にくれりゃいいのによォ……」
愛原:「アホか」
愛原:「失礼ながら、税金対策か何かでしょうかねぇ?」
新庄:「いや、まあ、その……」
どうやら図星らしいな。
最近の役員車がこぞってベンツなどの外車を止め、ゼロ・クラウンやレクサスになっているのは税金対策らしい。
高橋:「あいつら、遅っせぇな」
高橋が少し苛立った感じで家の方を見る。
愛原:「まあ、『女は支度に時間が掛かる』とはよく言うからねぇ……」
もっとも、今のセリフをJOCや国会議員のおエラいさんが言ったら、またマスコミに叩かれるだろうな。
時間が掛かるのは本当だろうが。
リサ:「お待たせ」
斉藤絵恋:「お待たせー」
高橋:「遅ぇぞ!」
リサ:「ごめんなさい。着替えに時間が掛かってたの」
愛原:「着替え?」
リサ:「サイトーの家のプールに入ってた」
斉藤家の地下には10メートルくらいのプールがある。
冬は温水プールとして入ることが可能。
愛原:「ああ、それでお前、冬なのに水着引っ張り出して来たのか」
絵恋:「リサさんのスク水萌え……でへへへへ……!」
高橋:「……それ、オッサンのセリフだからな?」
絵恋:「それより愛原先生、リサさんにスク水以外の水着も買ってあげてください。……何なら、私が見立ててプレゼントしてあげてもいいですけどォ……うふふふふふ……」
高橋:「気持ち悪いィな、レズビアン」
絵恋:「バイセクの方が気持ち悪いじゃないのよ!」
高橋:「ンだとコラ!」
愛原:「まあまあまあ!」
リサ:「サイトー、落ち着いて」
全く。
LGBT同士、仲が良いとは限らない。
霧崎:「御嬢様、そろそろお車に……」
絵恋:「そ、そうね」
リサ:「去年来てた水着を持って行こうかと思ってたんだけど、何故か無くて。しょうがないから学校の水着を持って来たんだけど」
絵恋:「リサさんはどんな水着でも似合うわ!むしろリサさんのおかげで旧スクがまた学校で流行りだしたらしいわよ!」
高橋:「お前、よく旧スクとか新スクとか分かるな。オッサンのロリコン趣味じゃあるまいし」
絵恋:「うっさいわね!リサさんなら旧だろうが新だろうが何でも似合うって言いたいだけよ!」
愛原:「そうだぞ、高橋。オマエは黙ってろ」
高橋:「さ、サーセン」
愛原:「あ……。リサの水着、俺が預かってたw」
絵恋:「ファッ!?」
高橋:「え!?」
リサ:「ん!?」
私は往路と同じ運転席の後ろに座った。
愛原:「じゃ、新庄さん、運転お願いします」
新庄:「かしこまりました。それでは出発致します」
絵恋:「ちょっと!何さらっと流してんのよ!?愛原先生!どういうことなの!?どういうことなの!?正直に全部言いなさい!全部言うまで車は出させないわ!」
愛原:「どういう経緯だったっけ……?」
リサ:「サイトー、落ち着いて。確か、私から先生に預けた。それだけじゃなく、研究所時代の時に着てた服も先生に預けてる」
愛原:「あ、そういえばリサがリサ・トレヴァーとして着てたセーラー服、まだあったな!?」
絵恋:「それ、私にください!できれば、リサさんが着てた服全部!お金なら出します!!」
高橋:「だからオマエの発言の方がヘンタイだろうが!」
リサ:「サイトー、落ち着いて。本当は私の服、あげたいんだけど、多分サイトーの方が体大きいから着られないよ?」
絵恋:「そういうことじゃないの!私はリサさんが着てた服が欲しいのよ!」
リサ:「……うん。確かにサイトーの方がヘンタイ」
高橋:「だろォ!?先生はまだまだ全然ノーマルでいらっしゃる!……ですよね、先生?」
愛原:「あ、ああ」
だが、ここだけの話、リサのヤツ、私をかなり縛りたいらしく、例えば高橋の目を盗んで、私の前でスカートの中に入れて下着を脱ぎ、それを私に渡してくることがある。
それは『私が学校に行ってる間、私のことを忘れないように』とのこと。
私はすぐにツッコミを入れておいたが、いくら人間の女の子よりも感覚がズレているのはある程度仕方が無いとはいえ、私はリサの方が一番性癖が歪んでいるような気がする。
早いとこ人間に戻して、取り返しの付かなくなる前に対処したいと思う。
下着だが、リサの機嫌を損ねて暴走させてしまうと、私にも責任が及んでしまう。
しょうがないので軽く窘めておいた上で受け取り、後で洗って返すようにしている。
この際、説教でもしようものなら、リサの性格上、拗ねるどころか逆ギレして暴走しかねないので、なるべくやんわりとした物言いで返しておく。
するとリサのヤツ、嬉しそうに笑って受け取るのだが、結局また後日同じことをしてくる。
そんな日が何日か続いたことがあった。
どうもリサ・トレヴァーの奴ら、研究所で過ごしていた時、性癖を歪められる実験とかさせられたらしいな。
当然ここにいるリサも例外なく受けさせられただろうから、しょうがないと言えばしょうがない。
ヘンタイ研究員どもめ。
新庄:「それでは改めまして、出発致します」
落ち着いたところで、やっと車が出た。
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