報恩坊の怪しい偽作家!

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“愛原リサの日常” 「『1番』の置き土産」

2022-02-26 20:14:56 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[2月23日14:30.天候:曇 福島県南会津郡南会津町 たかつえスキー場]

 梅田美樹:「ぎゃっ!」

 突然、上空から銃声が聞こえたと思うと、美樹の頭が吹っ飛んだ。

 リサ:「!!!」

 リサは銃弾の飛んで来た方向を見た。
 すると、グリーンのいた木とは別の木の上に、誰かがいた。
 それは黒光りする狙撃銃を持っていた。
 恐らく、軍用のライフルだろう。

 絵恋:「リサさん!」

 絵恋も慣れたもの。
 狙撃されたことで、拘束力が無くなった美樹の触手から逃げて来た。

 リサ:「逃げろと言っただろ!」
 絵恋:「ごめんなさい。どうしてもリサさんが心配で……」
 リサ:「BOWの私が雪山程度で死ぬわけないだろう!いいから、お前はさっさと逃げろ!」

 リサは絵恋の背中を押した。
 案の定、美樹は死んでいなかった。
 吹き飛ばされたはずの頭が再生していく。
 頭が無くなっても首が無事だった為、再生したのだ。
 首を刎ねなくても良い場合は、頭と心臓を同時に撃ち抜くこと。

 美樹:「そう……そうなの……。オマエもBOWだったのか……!」
 リサ:「そうだよ。本当は邪魔するつもりはなかったんだけど、変な痴漢野郎が来てから少しおかしくなったね。それと……」

 また更に銃声がした。

 少女A:「きゃあっ!?」
 少女B:「なに?!なになに!?」

 それはネット。
 全裸の少女達はそれに絡め取られた。
 と、そこへ今度はヘリコプターが飛んで来る。

 リサ:「“青いアンブレラ”か!BSAAじゃなくて!」

 少女達はその網ごと上空に持ち上げられた。

 リサ:「おーい!人権無し!?……え?もしかして、あれもBOWだった?」
 美樹:「フザけるな!私の邪魔をしやがって!殺してやる!!」

 完全に頭が元に戻った美樹は、爪を立ててリサに向かってきた。

 リサ:「あんたも分かってないね。もう既に包囲されているってのに」

 山影から一斉にBSAAの隊員達が現れて、美樹にマシンガンを一斉掃射!

 美樹:「わ、わたしは……イチカ様の……後継者……!」
 リサ:「イチカ?ああ、『1番』の名前か。因みに私は『2番』。あんたの崇拝するイチカ様とやらの同族だよ」
 美樹:「ええっ!?」
 リサ:「諦めな」

 再び狙撃銃が発射される。
 被弾して怯んだ美樹に対し、リサは爪を長く鋭く伸ばして心臓に突き刺した。

 美樹:「そ、その姿は……!」
 リサ:「日本版リサ・トレヴァー『2番』、天長会では『最も危険な12人の巫女たち』の1人、愛原リサ。地獄で『1番』によろしく」

 リサが離れると、今度はロケットランチャーが放たれた。

 リサ:「ろ、ロケランはやり過ぎじゃない!?」

 リサは急いでその場を離脱。

 女性隊員:「リサ・トレヴァーの亜種だもの。あれくらいやらないとダメよ」

 ライフルを持った女性隊員がやってくる。
 彼女は“青いアンブレラ”の制服を着ていた。
 ヘルメットにサングラスを掛けていたから、すぐに正体は分からなかったが、声で気が付いた。

 リサ:「高野さん!」
 高野:「都合良く首だけ刎ねるなんてできないからね。だったら、タイラントやネメシスみたいに、ロケランで体ごと吹っ飛ばすのが一番なのよ」
 リサ:「な、なるほど」

 山中に響く爆発音。
 振り向くと、美樹のいた場所にはもう何も無くなっていた。

 高野:「さあさあ、梺まで送りましょ。うかうかしてたら、私達がBSAAに捕まっちゃうわ」
 リサ:「え?」
 高野:「ロケランでの攻撃なんて、許可されてないもの」

 高野はサングラスを外すと、軽くウインクした。

 リサ:「ええーっ!?」

 リサはこの時思った。

 リサ:(BSAAじゃなくて、“青いアンブレラ”の方に気をつけなくちゃ……)

 と。

[同日16:00.天候:曇 同町内 会津アストリアホテル]

 リサ達はスキー場内に隣接する、1番大きなホテルに入った。
 本当は17時に入る予定だったのだが、冬眠できなかった熊の群れが現れた(ことになっている)ことにより、スキー場が閉鎖された為、1時間早いチェックインとなってしまった。

 淀橋:「こんなスキー場の近くで熊が出るなんてねぇ……」
 小島:「ホテルの中にいれば安全でしょう。多分」
 リサ:(あの銀髪女、熊扱いかい!)
 男子生徒A:「スキー場の近くで遭難者も見つかったらしいぞ?」
 男子生徒B:「マジかよ?死んでた?」
 男子生徒A:「いや、生きてたって。しかも、全員まっぱの女子高生らしいぞ?」
 男子生徒B:「えっ?それ、ガチな話?」
 男子生徒A:「ガッチガチやで!しかもそれ、聖クラリスだって」
 男子生徒B:「マジかよ!見てみたかったなぁ……」
 リサ:「しかもオシッコ・ウンチ出しまくりのスカトロプレイ付き!」
 男子新聞部員:「愛原さん、その情報kwsk!」
 リサ:「魚心あれば水心でシクヨロ」
 男子新聞部員:「んもう、取材費は部費からたんまり払わせて頂きます!」
 リサ:「むふー!」( ̄▽ ̄)

 リサ、絵恋、淀橋、小島の4人は和洋室に入った。

 リサ:「おー!広い!」
 絵恋:「本当に4人で使っていいのかしら?」
 淀橋:「本当は8人部屋らしいんだけど、コロナ対策で半分の4人で使うようにするんだって」
 小島:「この部屋の他にも洋室があって、それもエキストラベッドを使えば4人泊まれる部屋らしいんだけど、それもコロナ対策で2人までにするってね」
 リサ:「密防止か」
 絵恋:「そういうことね。で、どうする?ベッドには誰が寝る?」
 リサ:「フーム……」

 リサは少し考えたが、

 リサ:「わたし、たまには布団でいいかな。いつもベッドだし」
 絵恋:「はいはーい!私もリサさんの隣に布団で寝まーす!」
 淀橋:「了解。それじゃ、私と小島さんはベッドで寝ましょうか」
 小島:「りょ!」
 リサ:「夕食は何時から?」
 絵恋:「18時からですって」
 リサ:「もうお風呂に入れるのかな?」
 絵恋:「入れるみたいよ」

 こういう修学旅行では、入浴時間もキッチリ決めるのが普通だろう。
 しかし、あのやり方は昔の教育法と同じ詰め込みである。
 コロナ前ならそれでも良かったが、さすがに今は大浴場に大勢詰め込んで、密になるのはよろしくない。
 そこで、あえて入浴時間は自由にすることで分散させ、密にならないようにした。

 リサ:「それなら、先に入って来ちゃおうかな。後からの方が混みそう」
 絵恋:「それもそうね」

 因みに一般客には標準装備の浴衣などは、修学旅行生の部屋には省略されていた。
 リサ達はそれは織り込み済みで、体操服にジャージを持って来た。
 夜はこれで過ごすことになる。

 リサ:「で、3人とも、アレは持って来た?」
 絵恋:「もちろん!」
 淀橋:「う、うん。まあ……持ってきたけど……」
 小島:「ま、まさか本当にあるなんてねぇ……」
 リサ:「よし。わたしの言う通りにするんだよ?」
 絵恋:「はーい!リサさんの言う事は絶対!」
 淀橋:「ま、まあ、皆でやれば怖くないかな?」
 小島:「そ、そうだね……」

 リサは一体、何を企んでいるのだろう。
 実はリサもまた、梅田美樹とは大して本質の変わらぬ存在であることが後ほど露呈することになる。

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