報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「鬼の影」

2024-03-28 14:39:45 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[3月12日13時52分 天候:曇 東京都千代田区神田岩本町 都営地下鉄岩本町駅→都営新宿線1310T電車・最後尾車]

 私達はヨドバシAkibaを出ると、昭和通りに出て地下鉄の岩本町駅に向かった。
 日曜日ではあるが、善場主任にメールで報告はしておく。
 また、レイチェルも自分もスマホで報告していた。
 まさかということもあり、残念ながら先ほどの通話内容は録音していない。
 だが、明らかに着信履歴は残っているから、けして気のせいではない。

 レイチェル「私は部隊に報告しておきます。もしかしたら、愛原センセイのスマートフォンを確認させて頂くかもしれません」
 愛原「分かったよ」
 リサ「じゃあ、BSAAに調べられる前に、わたしのエロ画像消しとかないと」
 愛原「んなわけないだろ!」
 レイチェル「Huh?」
 愛原「何でもない!何でもないんだ!」
 レイチェル「そうですか」

 秋葉原駅前で、レイチェルと別れる。
 私達は徒歩で岩本町駅に向かった。

 愛原「それにしてもこのご時世、公衆電話なんてそうそう無いと思うんだ。辛うじて、駅とかにあるくらいだな」
 リサ「さっきのヨドバシには?」
 愛原「見当たらなかったなぁ……。まあ、フロアガイドを見ると、1階に辛うじてある程度らしい」
 リサ「そこから掛けたんじゃない?」
 愛原「真っ昼間だぞ?」
 リサ「あ、そうか……」

 いくら窓が殆ど無いヨドバシAkibaでも、1階のエントランスは開放されており、そこから日光が差し込むくらいはしている。
 まあ、今は何だか曇って来たが……。
 地下鉄の駅に入る。

 愛原「大丈夫か?いくら中身はまだ何も入ってないとはいえ、少し重いだろ?」
 リサ「わたしの力なら大丈夫だよ」

 リサはヨドバシAkibaで購入した、真新しいキャリーバッグを持っている。
 ダークレッド1色の重厚感あるバッグだが、血のような色がリサの鬼型BOWとしての琴線に触れ、1発でそれに決めた次第。

 リサ「帰ったら、早速荷造りする」
 愛原「まだ1週間あるぞ?」

 買ってあげた新しい下着なんかは、何着も持って行く必要があるだろう。
 リサがどういう所に泊まって、しかも洗濯もできるかどうか不明だからだ。
 国家機密の場所ということもあり、善場主任は機密漏洩防止の為として、直前にならないと教えてくれない。
 重そうなバッグだが、リサはそれを片手でヒョイと持ち上げ、階段を下りている。
 ホームで電車を待っていると、善場主任からメールの返信が来た。

 善場「デイライトから調査を行います。電話の着信履歴は切らないよう、お願いします。明日、事務所にお伺いして、事情を聴かせて頂きます」

 とのことだった。
 BSAAのレイチェルも知っている旨を報告したのだが、デイライトはデイライトで独自に動くようである。

〔まもなく4番線に、各駅停車、本八幡行きが、10両編成で到着します。ドアから離れて、お待ちください〕

 中線ではなく、外側の本線ホームで電車を待っていると、強風と共に轟音が近づいて来た。
 そして、強風と共に入線してきたのは都営の車両。
 京王電車と違い、東京都のマークであるイチョウの葉が車体にペイントされている。

〔4番線の電車は、各駅停車、本八幡行きです。いわもとちょう、岩本町。秋葉原〕

 最後尾の電車に乗り込む。
 私とリサは空いている座席に腰かけたが、高橋とパールはドアの前に立っている。
 短い発車メロディが鳴る。

〔4番線、ドアが閉まります〕

 ドアが閉まる。
 ドアチャイムが鳴るが、こちらの音色はJR東日本の首都圏在来線車両と同じ。
 リサは自分の前に、キャリーバッグを置いた。
 電車が走り出す。

〔次は馬喰横山、馬喰横山。都営浅草線、JR総武快速線はお乗り換えです。お出口は、左側です〕

 愛原「なあ、リサ」
 リサ「なに?」
 愛原「この電話に掛けて来たのが蓮華だったとして、どうやって俺達の会話はピンポイントで聞いてたんだろうな?」
 リサ「わたしも、それはできる。ただ、蓮華にそれができるかどうかは分かんないね」
 愛原「お前もできるのか?」
 リサ「うん、わたしの寄生虫を使う。わたしの寄生虫、盗聴できるから。わたしの耳とリンクして。もちろん、『目』もね。それで生徒会室のブルマ復活反対の連中の会話、盗み聞きしたりしたなぁ……」
 愛原「そういうことか。でも、蓮華は寄生虫使いじゃないだろう?」
 リサ「だからねぇ……。でもあいつも鬼なら、盗聴できる何かの力は持ってるかもしれない」
 愛原「マジか……」

 仮にそうだとしたら、ちょっとマズいかもしれない。
 何せ、リサが気づかないほどの高精度だということになるからだ。
 一応、返ったら盗聴器仕掛けられてないか確認しようと思った。

[同日13時59分 天候:曇 東京都墨田区菊川2丁目 都営地下鉄菊川駅→愛原学探偵事務所]

 電車は特にトラブル無く走行した。

〔2番線の電車は、各駅停車、本八幡行きです。きくかわ~、菊川~〕

 そして電車を降りてから、高橋とパールに……。

 愛原「ちょっと事務所に寄るぞ。盗聴器が仕掛けられてないか、確認するんだ」

 と言うと、この2人は少し驚いた顔をした。
 そう簡単に、盗聴器の有無を調べられるのかと思うだろうが、幸い私の稼業は探偵。
 探偵事務所には、盗聴や盗撮に関しての依頼もあるものだ。
 だから、事務所には盗聴器を発見する為の道具も置いてある。
 金属探知機とか、あるいは盗聴器が発する特殊な電波を探知する機械とか。
 急ぎ足で帰宅した後、早速それを使って、私を含む全員の服や荷物を調べた。
 服にいつの間にか小型の盗聴器が付けられている場合もあるからだ。
 しかし、いくら調べても、盗聴器の類は見つからなかった。

 愛原「これは一体、どういうことなんだ???」
 リサ「やっぱり、血鬼術か何かかなぁ……?」

 リサでさえ、首を傾げるほどだった。
 明日になって、善場主任が来てから相談するしかなさそうだ。
 或いは、BSAAの調査だな。

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