報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「カジノからの脱出」

2023-12-07 20:30:27 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[2月3日02時30分 天候:曇 栃木県日光市某所(奥日光) 栗原家関連施設地下カジノ]

 迫り来るモールデッドから逃げる為、男子トイレの扉はしっかりと閉めた。
 但し、外側から入るにはメダルが無いとドアが開かないが、内側からだと、ドアノブさえ回してしまえば簡単に開いてしまう。
 もっとも、元人間とはいえ、その面影が普通のゾンビよりも無くなっているのがモールデッド。
 手の形も人間だった頃のそれと全く異なっており、形状からしてドアノブを開けられる感じではない。

 愛原「このバニーガールのマネキンに、メダル100枚を投入するといいらしい」
 高橋「どこに入れるんスか?」
 愛原「……ここだ!」
 リサ「ム!」

 コイン投入口はバニーガールのドールの、豊かな胸の谷間にあった。

 愛原「おっぱいにコインが一杯になると、ドアが開くらしい」
 高橋「リサにはまだできねーな」
 リサ「ぐぎぎぎ……!」

 リサ、牙を剥き出しにして歯ぎしりをする。
 高校2年生でありながら、中学3年生とかに見えてしまうリサであった。
 まだギリギリ、中等部時代の制服が着れてしまうほどだ。
 さすがに、小学生だった頃、アンブレラの研究所で着せられていたセーラー服はもう着られないがな。
 それでも何だかんだいって、リサは成長してはいる。
 ただ、遅いだけだ。
 いずれはリサも、もっと背が伸びて胸も大きくなるものだと私は信じている。

 愛原「よし、100枚入れたぞ」

 するとドールが動き出し、右手をドア横のタッチセンサーに当てる。
 そして、鍵が開いた。
 それと同時に、メダルがドールの胸の中に吸い込まれていく。

 リサ「あっ!」

 その時、カジノの入口のドアをぶち破って、モールデッドが何体もなだれ込んで来た。
 と、同時に男子トイレのドアも破られた。

 高橋「くっ……!」

 アンバランスな体型をしているくせに、意外と動きは速い。
 BSAAのマニュアルでは、動きを封じる為、足を撃てということになっているらしい。
 モールデッドの足は繁殖したカビのせいで脆く、何発か撃ち込めば足が折れたり、千切れてしまうのだという。
 そして、モールデッドの体には再生能力は無い。
 とはいえ、素人の私達がそこまですることもあるまい。

 愛原「高橋!早く中に入ろう!」
 高橋「は、はい!」

 幸いVIPルームの入口は二重扉になっているし、その扉も頑丈な鉄製だ。
 いくらモールデッドが力持ちとはいえ、そう簡単にブチ破ることはできないだろうと思った。

 モールデッド「ギャアー!」
 リサ「うるさい!」

 ドアを閉める直前、先頭を走って来たモールデッドに対し、リサはバニーガールのドールを思いっ切り蹴飛ばした。
 それはそのモールデッドにまともにぶつかり、仰け反ったモールデッドは、その後ろを付いて来ていた別のモールデッドにぶつかり、更にそのモールデッドはその後ろの……といった感じで、後ろに将棋倒しになっていった。

 愛原「今だ!」

 私はその隙を突いて、鉄扉を閉めた。
 トイレの入口扉と違い、こちらは内鍵になっていて、それを閉めた。

 愛原「よし、行こう!」
 高橋「はい!」

 そして、もう1つの鉄扉を開ける。
 そこはまるで、高級クラブのサロンのような佇まいになっていた。
 中央には、バカラの賭博台がある。
 やはり、VIPルームといったらバカラ賭博だな。
 というか、本当に賭博をしていたというのなら、それは完全に違法行為だぞ。
 単なる娯楽施設としての、『カジノのようなもの』じゃないのだろうか?
 VIPルーム内には、カジノや周りの施設の監視カメラのモニタなんかもある。
 当然、今は私達を追って、複数のモールデッド達が扉をこじ開けようとしているところだ。
 しかし、中には諦めて、ホール内を徘徊し始めた者もいる。
 アメリカのインディアナ州で発生したバイオハザードでは、エブリンという指揮者がいたが、ここにもいるのだろうか?
 少なくとも、同じ特異菌持ちのリサも敵と看做しているようだが……。

 愛原「出口はどこだ?」
 高橋「あそこです!」

 反対側には非常口誘導灯があり、その下には鉄扉があった。
 こちらも内鍵になっており、これを開けて反対側に出た。
 すると、そちら側には階段があった。

 愛原「よし!どうやら、この階段を上って1階まで行って避難するようだ。付いてこれるか?」
 高橋「もちろんです!」
 リサ「う、うん……。頑張る……」

 リサが1番疲労が激しい。
 いくらBOWとはいえ、1度は首を斬られるという大ケガをしたのだから、あまり無理はできない。

 高橋「俺が先に行って安全を確保します」

 高橋は手持ちのマグナム44を構えながら言った。

 愛原「ああ、頼む」

 私達が階段を上ると、再び遠くから爆発音がした。

 愛原「それにしても、外はどうなってるんだ?“青いアンブレラ”の高野君は、何しに来たんだ?」
 高橋「それに、BSAAはどうしたんスかね?」
 愛原「まあな」

 相変わらず圏外だ。
 せめてケータイの電波でも入れば、善場主任に連絡できるというのに……。
 地下1階を通り過ぎようとした時だった。
 バンッと鉄扉をこじ開け、モールデッドが現れた。

 高橋「しゃらぁーっ!」

 高橋はドゴン!ドゴン!と大型拳銃をモールデッドに放つ。
 倒れると、バール(のようなもの)に持ち替え、それでモールデッドの頭に突き刺した。

 高橋「今です、先生!」
 愛原「ありがとう!」

 地下1階も通り過ぎ、更に1階へ向かう。

 高橋「あー!ちくしょうっ!」

 その時、高橋が何かを叫んだ。

 愛原「どうした!?」
 高橋「鍵が掛かっています!」
 リサ「えっ!?」
 愛原「マジか……」

 階段から附室に入る為のドアが施錠されていたのである。
 その時、私はふと思い出した。

 愛原「なあ!さっきのカジノのボックス。中に鍵が入ってただろ?それって、もしかして、ここの鍵だったりしない?」
 高橋「あ……!」

 私はその鍵を取り出した。
 すると、その鍵はピタリと合った。

 愛原「やっぱりだ!」
 高橋「さすが先生です!」

 さすがに1階まで出れば、スマホの電波も入るだろう。
 こうして私達は、階段から附室に入った。
 しかし……。

 高橋「先生!今度は、ドアノブがチェーンで固定されています!」

 附室から外に出る為のドアもまた施錠されていた。
 それだけでなく、何故かドアノブにチェーンが巻かれていて、南京錠も取り付けられているという状態。

 愛原「落ち着け!お前、バールと一緒にチェーンカッターも取っただろうが!」
 高橋「そうでした!」

 高橋、チェーンカッターを取り出すと、それでドアノブを固定していたチェーンを切った。
 鍵は内鍵になっているので、こちら側から開けられる。

 高橋「脱出!」

 そのドアは確かに外に繋がっていた。
 そして、外はどうなっていたかというと……。
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“私立探偵 愛原学” 「モールデッド登場」

2023-12-07 15:41:41 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[2月3日02時00分 天候:曇 栃木県日光市某所(奥日光) 栗原家関連施設地下カジノ]

 トイレから出ると、リサがスロット台に座っていた。
 どうやら床に落ちていたメダルを拾い集めて、リサもスロットをやっていたようである。

 リサ「見て見てー!わたしも『目押し』やったら、5枚の元手が50枚に!」
 高橋「ほお……」
 愛原「元手が10倍か。そりゃ凄い」

 私はリサの頭を撫でてやった。

 リサ「エヘヘ……」(∀`*ゞ)
 高橋「それで、ゴールドコインはゲットしたのか?」
 リサ「5枚ゲットしたよ」
 愛原「だいたい、10枚に1枚の割合で手に入るって感じなのかな?」
 高橋「そうかもしれませんね。まだ、開けてねぇボックスがあります。これで開けてみましょう」
 リサ「それとね、あそこの引換機で引き換えできるみたいだよ」
 愛原「そうなのか?」

 リサが指さしたところは、恐らく景品交換所的な場所。
 当然ながら、この状況では無人である。
 しかし、カウンターの横にはジュークボックス的な物が置かれていた。
 普通のメダル10枚で、1枚のゴールドコインと交換できるようであった。
 リサが稼いだのは50枚。
 それで、更に5枚のゴールドコインを頂戴する。
 これで10枚となる。

 愛原「これで開けられるかな?」
 高橋「開けてみましょう」

 私達は男子トイレに再び入った。

 リサ「カビ臭い……?」
 愛原「あれ?そういえば……。さっき、こんなカビの臭いなんてしたか?」
 高橋「い、いえ……。何スかね?」

 リサは鬼形態になった。

 リサ「そこ!」

 リサが天井のダクトを指さした。
 すると、そこから黒カビの塊のような物が落ちて来たかと思うと……。
 ガチャンとダクトの金網を破って、黒い人型の化け物が落ちて来た。
 全身を黒カビの塊に覆われた、特異菌の化け物、モールデッドだった。

 愛原「モールデッドだ!」
 高橋「お任せください!」

 高橋はジャンパーの内ポケットから、マグナム44を取り出した。
 因みにモールデッドとは特異菌ゾンビのことで、新種の黒カビから製造された特異菌に感染したものの、適応できずに転化した元人間である。
 リサが両手から触手を出してモールデッドの足を絡め捕り、床に引き倒す。
 そこを高橋がマグナムで頭を撃ち抜いた。
 黒い血を噴き出して絶命するモールデッド。

 愛原「まずいな。モールデッドに見つかった。他のモールデッドも、ここに押し寄せてくるかもしれん」
 高橋「急いで残りのボックスも開けて、ズラかりましょう」
 愛原「ああ」

 私達は頭の無くなったモールデッドの死体を乗り越えると、ボックスのある個室に入った。
 それで10枚のゴールドコインで、残りのボックスを開ける。

 高橋「うらぁーっ!」
 愛原「何でそんなに気合入ってるんだ?」
 高橋「インゴット、ゲットォ!」
 愛原「……じゃないみたいだぞ」
 高橋「ええーっ!?」
 愛原「全国百貨店共通券……10万円分くらいあるな。やっぱり、景品保管庫じゃないのか?」
 高橋「こんなトイレの奥に……」
 リサ「他にも開けてみよう」

 

 愛原「何だこりゃ?ブルマ3色セットだぞ!」
 高橋「しまった!ハズレですかね!?」
 愛原「いや、今やブルマも骨董品だ。メーカーや商品によっては、オークションで相当の高値が付くと聞く。それかもしれんぞ」
 高橋「メーカーは……アシックスですね」
 愛原「それだ!今やアシックスもまた学校体育用のブルマは製造していない。その為、現在は希少価値が高まって、コレクターの間では高値で取引されてるということだ」
 高橋「く、詳しいっスね……」
 リサ「先生、それモノのエロ画像ばっかり観てるもんね!いいよ!わたしが穿いてあげるから!」
 愛原「シーッ!バカッ!声がデケぇ!」
 リサ「新品よりかは『現役女子高生が穿いた後のブルマ』の方が高値になるでしょお?」
 高橋「おう。その通りだな」
 愛原「ブルセラか!いいから、これはリサ用にしておく!」
 高橋「だから、その後で転売っスよね?」
 愛原「リサで勝手に商売してることがバレたら、俺はデイライトやBSAAに消されることになる。とにかく、これはリサが持ってろ」
 リサ「分かった」
 愛原「ボックスはあと1つだ。それも開けろ」
 高橋「はい。今度はスクール水着が出て来たりして?」
 愛原「それは無いだろう。ブルマと違って、スクール水着は特に廃止運動とかが無かったこともあって、未だに旧スクも普通に製造されているくらいだ。つまり、ブルマほどの希少価値は無い。だから、わざわざゴールドコインでゲットするような商品じゃないってことさ」
 愛原「なるほど。そういうものですか」

 最後に開けたボックスには、封筒が2枚ほど入っていた。

 高橋「呆気無いっスね」

 私はそれを取り出して、中身を確認した。
 1枚はどうやら都内の百貨店のギフトコーナーで、何か商品と引き換えする為の引換券が入っていた。
 もう1通の封筒には、手紙が入っていた。

 愛原「これは詫び状だ。俺やリサに対する……」
 高橋「ええっ!?」
 愛原「要は勝手なことをして申し訳なかった。どうしても、栗原蓮華を元に戻してあげたい。その為には恥も見栄も外聞も全部捨てて、鬼の血が必要だった。この詫びは、この手紙とボックスの中身でさせて頂く。……みたいなことが書かれてる」
 リサ「一応の罪悪感はあったんだ……」
 高橋「こんな手紙如きで、先生の貴重なヒマな時間を無駄に使わせやがったこと、許されると思ったら大間違いですぜ!」
 愛原「さりげなく、俺をディスるなよ……。その代わり、インゴットはお前にやるよ」
 高橋「ガチっスか!俺、転売ルート知ってるんで!」
 愛原「だろうな。もっとも、デイライトさんには報告しないとな」
 高橋「えー……没収されません?」
 愛原「証拠品として、預かられることにはなるかもな。でもまあ、証拠品として役に立たないと分かったら、遺失物扱いになるだろう。しかし、この手紙を読む限り、栗原家はこのボックスの中身については、所有権を放棄……というか、俺達に譲渡するつもりのようだ。ということは、結局のところ、最終的には俺達の物になるってことだ」
 高橋「な、なるほど。さすがは先生です」
 リサ「それより先生。早いとこ、ここから出た方がいいみたいだよ」
 愛原「なにっ!?どういうことだ?」
 リサ「またカビの臭いが迫って来てる。新たなモールデッドがここに向かって来てるみたい」

 リサは天井のダクトを指さした。

 愛原「なるほど。爆発は治まったみたいだが、うかうかしてられんな。よし、VIPルームへ行こう」
 高橋「はいっ!」

 私は男子トイレを出て、VIPルームに向かった。
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