[2月3日01時30分 天候:曇 栃木県日光市某所(奥日光) 地下2階カジノ]
愛原「先に、他に何か無いか探してから行こうよ。これは多分、もうそこに入ったら引き返せないバターンだぞ」
高橋「それもそうっスね。……お、バーがあるじゃないっスか。高そうな酒があったら、頂いて行っていいっスかね?」
愛原「荷物になるだけだからやめろ」
高橋「サーセン。じゃあ、ちょっと試飲だけ……」
確かにバーカウンターの奥を見ると、高級洋酒なんかも見受けられる。
だが、ここで勝手に持ち出しては火事場泥棒の悪名が付いてしまうことだろう。
リサ「おー!鬼ころしもある!」
愛原「カクテル用かもしれないな。今は飲むんじゃないぞ」
リサ「分かってるよ。ここに来る時、さんざん無理やり飲まされたんだから」
愛原「そ、そうなのか」
恐らく、リサの力を封じる為だろう。
栗原家にとっては、『鬼封じの酒』という異名もあるようだ。
高橋「ヒューッ!このブランデー、美味いっスよ!」
愛原「そ、そうか?じゃあ、俺も一口だけ試飲をば……」
リサ「そんなことしてる場合じゃないでしょ。それより、ちょっとトイレ行ってくる」
リサはカジノの奥にあるトイレを指さした。
愛原「分かった。行ってこい」
リサはトイレに向かった。
その間、私と高橋はカウンターの奥にある酒を物色。
高橋「マジで持って行きてー!」
愛原「さすがに火事場泥棒は探偵のやることじゃないって」
本当に緊急事態だったのか、まだ中身のあるシェーカーや、作りかけのマティーニが放置されている。
カウンターの上には、飲みかけのグラスやつまみが放置されていた。
愛原「たまには、こういうバーでゆっくり酒を飲んでもいいんだろうがな」
高橋「今度、良さげなバーを探しておきますよ」
愛原「ぼったくりバーはダメだぞ?」
高橋「大丈夫っスよ。俺達にはボらせません。むしろ奢りにさせます」
愛原「……何か、まるでその店を知ってそうな言い方だな?」
高橋「い、いえ、何でも……」
リサ「先生!」
その時、リサが慌てて戻って来た。
愛原「どうした?鬼狩り隊でもいたか?」
リサ「違うよ!トイレのドアを開けるのにメダルがいるからちょうだい!」
高橋「はあ?」
愛原「そんなことがあるのか?」
リサ「きっとあのゴールドコイン、トイレで使うんだよ!」
愛原「有料トイレってことか?」
高橋「随分高ェ有料トイレっスね」
愛原「取りあえず行ってみよう」
私達はトイレに行ってみた。
当然ながら男女別になっているのだが、まず入口のドアを開けるのに、コインを投入しないといけないらしい。
リサ「メダルを1枚入れないと開かないんだって」
愛原「カジノ客以外にトイレを使わせない対策かな?高橋」
高橋「うス」
高橋は持っていたメダルから1枚、ドアノブ上の投入口に入れた。
すると、ドアが開いた。
カジノのトイレらしく、中はミラーがふんだんに使われていて、シックな雰囲気を出す為か、やや薄暗くなっている。
但し、雰囲気が不気味にならないようにする為か、トイレ内にもジャズの音楽が流れていた。
愛原「出る時は大丈夫かな?」
高橋「内側にはコイン投入口が無いから大丈夫でしょう」
リサ「先生!個室に入る時は3枚だって!」
愛原「はあ!?」
高橋「下痢ってる時はアウトなトイレっスね」
愛原「そ、そうだな」
私は一応、リサにメダルを10枚渡しておいた。
まさかとは思うが、ウォシュレットやトイレットペーパー使用にまでそれが求められたら困るからだ。
メダルは、まだ100枚以上ある。
愛原「一応、男子トイレにも何か無いか調べてみよう」
高橋「分かりました」
愛原「リサ!俺達、隣の男子トイレにいるから!」
リサ「分かったー。良かった。こっちは洋式」
リサは喜んで個室の中に入っていった。
案の定、出る時はメダルは要らないらしい。
そして、隣の男子トイレ。
雰囲気は女子トイレとだいたい同じ。
違うのは個室の数が少なく、その分、小便器が設置されていること。
高橋「先生w こっちの個室は、メダル無しで開きますよ?」
愛原「本当だ。差別だな、こりゃ」
不思議なのは、1番奥の個室だけメダルが10枚も必要なことだった。
他の個室は普通の洋式トイレ。
もちろん、ウォシュレット付き。
となると、これは?
高橋「VIP用トイレですかね?」
愛原「だったら、VIPルーム内に無いか?」
高橋「それもそうっスね」
愛原「まだ、メダルは足りるか?」
高橋「大丈夫っス」
高橋はメダルを10枚投入した。
そして、ドアが開く。
すると、そこにあったのは金庫だった。
いや、金庫というか……。
高橋「何か、貴重品ボックスって感じっスね」
愛原「それだ!」
便器は無く、何故かそれがドンと置かれている。
しかも、稼働しているようだ。
愛原「ん?もしかして、ゴールドコインはここて使うのか?ほら、ここに『ゴールドコイン投入口』って書いてある」
高橋「本当だ!」
愛原「1枚だけで開く扉がある。ちょっと入れてみろ」
高橋「はい」
高橋はゴールドコインを1枚入れた。
すると、蓋がパカッと開く。
それぞれの大きさは、本当にスーパー銭湯とかに設置されている貴重品ボックスのようなものである。
恐らくそういった物を用意して、改造したものなのだろう。
愛原「これは……」
中に入っていたのは、1台のスマホだった。
しかも、見覚えがある。
愛原「これはリサのスマホじゃないか!」
高橋「ここにあったんスね!」
愛原「なるほど。ここは圏外だ。こんな所に置かれてたら、いくらこっちが掛けても繋がるわけがないか」
当然、私はリサのスマホを回収した。
愛原「他にもあるかもしれんぞ。ゴールドコイン、全部使っちゃおう!」
高橋「はい!」
高橋は手持ちのゴールドコインをありったけ投入して、物が入っているボックスを根こそぎ開けていく。
因みに物が入っているボックスは赤いランプが点いているので、それで分かる。
高橋「先生。コイン2枚の所に鍵が入ってました!」
愛原「どこの鍵が分からんが、ここに入っている以上、貴重な物だろう。頂いて行こう」
高橋「はい!……で、コイン3枚の所には、温泉旅行券がありました」
愛原「何故に温泉旅行?」
高橋「コイン4枚の所は札束が入ってました」
愛原「本当に貴重品入れじゃないのか?」
高橋「頂いて行きます」
愛原「おい!」
高橋「コインを当てたのは俺っスよ?てことは、俺がもらっていいはずです」
愛原「いや、しかしだな……」
高橋「他のコインも入れてみます」
愛原「あ、ああ」
高橋「……今度はJTB旅行券が入ってました」
愛原「一体、何なんだ、このボックスはァ!?」
他にも開けてみたが、少なくともこの事件の真相に辿り着けるようなものは無かった。
高橋「オラぁっ!インゴット発見!」
愛原「ま、マジか……」
最後に開けたところ、三菱マテリアルの社名が入ったインゴットが入っていた。
愛原「証拠品だ、証拠品!後でデイライトに提出するんだ!」
高橋「えー?賄賂渡したら捕まりますよ?」
愛原「賄賂じゃねーって言ってだろ!さっさと行くぞ!」
高橋「へーい……」
私達は男子トイレから出た。
愛原「先に、他に何か無いか探してから行こうよ。これは多分、もうそこに入ったら引き返せないバターンだぞ」
高橋「それもそうっスね。……お、バーがあるじゃないっスか。高そうな酒があったら、頂いて行っていいっスかね?」
愛原「荷物になるだけだからやめろ」
高橋「サーセン。じゃあ、ちょっと試飲だけ……」
確かにバーカウンターの奥を見ると、高級洋酒なんかも見受けられる。
だが、ここで勝手に持ち出しては火事場泥棒の悪名が付いてしまうことだろう。
リサ「おー!鬼ころしもある!」
愛原「カクテル用かもしれないな。今は飲むんじゃないぞ」
リサ「分かってるよ。ここに来る時、さんざん無理やり飲まされたんだから」
愛原「そ、そうなのか」
恐らく、リサの力を封じる為だろう。
栗原家にとっては、『鬼封じの酒』という異名もあるようだ。
高橋「ヒューッ!このブランデー、美味いっスよ!」
愛原「そ、そうか?じゃあ、俺も一口だけ試飲をば……」
リサ「そんなことしてる場合じゃないでしょ。それより、ちょっとトイレ行ってくる」
リサはカジノの奥にあるトイレを指さした。
愛原「分かった。行ってこい」
リサはトイレに向かった。
その間、私と高橋はカウンターの奥にある酒を物色。
高橋「マジで持って行きてー!」
愛原「さすがに火事場泥棒は探偵のやることじゃないって」
本当に緊急事態だったのか、まだ中身のあるシェーカーや、作りかけのマティーニが放置されている。
カウンターの上には、飲みかけのグラスやつまみが放置されていた。
愛原「たまには、こういうバーでゆっくり酒を飲んでもいいんだろうがな」
高橋「今度、良さげなバーを探しておきますよ」
愛原「ぼったくりバーはダメだぞ?」
高橋「大丈夫っスよ。俺達にはボらせません。むしろ奢りにさせます」
愛原「……何か、まるでその店を知ってそうな言い方だな?」
高橋「い、いえ、何でも……」
リサ「先生!」
その時、リサが慌てて戻って来た。
愛原「どうした?鬼狩り隊でもいたか?」
リサ「違うよ!トイレのドアを開けるのにメダルがいるからちょうだい!」
高橋「はあ?」
愛原「そんなことがあるのか?」
リサ「きっとあのゴールドコイン、トイレで使うんだよ!」
愛原「有料トイレってことか?」
高橋「随分高ェ有料トイレっスね」
愛原「取りあえず行ってみよう」
私達はトイレに行ってみた。
当然ながら男女別になっているのだが、まず入口のドアを開けるのに、コインを投入しないといけないらしい。
リサ「メダルを1枚入れないと開かないんだって」
愛原「カジノ客以外にトイレを使わせない対策かな?高橋」
高橋「うス」
高橋は持っていたメダルから1枚、ドアノブ上の投入口に入れた。
すると、ドアが開いた。
カジノのトイレらしく、中はミラーがふんだんに使われていて、シックな雰囲気を出す為か、やや薄暗くなっている。
但し、雰囲気が不気味にならないようにする為か、トイレ内にもジャズの音楽が流れていた。
愛原「出る時は大丈夫かな?」
高橋「内側にはコイン投入口が無いから大丈夫でしょう」
リサ「先生!個室に入る時は3枚だって!」
愛原「はあ!?」
高橋「下痢ってる時はアウトなトイレっスね」
愛原「そ、そうだな」
私は一応、リサにメダルを10枚渡しておいた。
まさかとは思うが、ウォシュレットやトイレットペーパー使用にまでそれが求められたら困るからだ。
メダルは、まだ100枚以上ある。
愛原「一応、男子トイレにも何か無いか調べてみよう」
高橋「分かりました」
愛原「リサ!俺達、隣の男子トイレにいるから!」
リサ「分かったー。良かった。こっちは洋式」
リサは喜んで個室の中に入っていった。
案の定、出る時はメダルは要らないらしい。
そして、隣の男子トイレ。
雰囲気は女子トイレとだいたい同じ。
違うのは個室の数が少なく、その分、小便器が設置されていること。
高橋「先生w こっちの個室は、メダル無しで開きますよ?」
愛原「本当だ。差別だな、こりゃ」
不思議なのは、1番奥の個室だけメダルが10枚も必要なことだった。
他の個室は普通の洋式トイレ。
もちろん、ウォシュレット付き。
となると、これは?
高橋「VIP用トイレですかね?」
愛原「だったら、VIPルーム内に無いか?」
高橋「それもそうっスね」
愛原「まだ、メダルは足りるか?」
高橋「大丈夫っス」
高橋はメダルを10枚投入した。
そして、ドアが開く。
すると、そこにあったのは金庫だった。
いや、金庫というか……。
高橋「何か、貴重品ボックスって感じっスね」
愛原「それだ!」
便器は無く、何故かそれがドンと置かれている。
しかも、稼働しているようだ。
愛原「ん?もしかして、ゴールドコインはここて使うのか?ほら、ここに『ゴールドコイン投入口』って書いてある」
高橋「本当だ!」
愛原「1枚だけで開く扉がある。ちょっと入れてみろ」
高橋「はい」
高橋はゴールドコインを1枚入れた。
すると、蓋がパカッと開く。
それぞれの大きさは、本当にスーパー銭湯とかに設置されている貴重品ボックスのようなものである。
恐らくそういった物を用意して、改造したものなのだろう。
愛原「これは……」
中に入っていたのは、1台のスマホだった。
しかも、見覚えがある。
愛原「これはリサのスマホじゃないか!」
高橋「ここにあったんスね!」
愛原「なるほど。ここは圏外だ。こんな所に置かれてたら、いくらこっちが掛けても繋がるわけがないか」
当然、私はリサのスマホを回収した。
愛原「他にもあるかもしれんぞ。ゴールドコイン、全部使っちゃおう!」
高橋「はい!」
高橋は手持ちのゴールドコインをありったけ投入して、物が入っているボックスを根こそぎ開けていく。
因みに物が入っているボックスは赤いランプが点いているので、それで分かる。
高橋「先生。コイン2枚の所に鍵が入ってました!」
愛原「どこの鍵が分からんが、ここに入っている以上、貴重な物だろう。頂いて行こう」
高橋「はい!……で、コイン3枚の所には、温泉旅行券がありました」
愛原「何故に温泉旅行?」
高橋「コイン4枚の所は札束が入ってました」
愛原「本当に貴重品入れじゃないのか?」
高橋「頂いて行きます」
愛原「おい!」
高橋「コインを当てたのは俺っスよ?てことは、俺がもらっていいはずです」
愛原「いや、しかしだな……」
高橋「他のコインも入れてみます」
愛原「あ、ああ」
高橋「……今度はJTB旅行券が入ってました」
愛原「一体、何なんだ、このボックスはァ!?」
他にも開けてみたが、少なくともこの事件の真相に辿り着けるようなものは無かった。
高橋「オラぁっ!インゴット発見!」
愛原「ま、マジか……」
最後に開けたところ、三菱マテリアルの社名が入ったインゴットが入っていた。
愛原「証拠品だ、証拠品!後でデイライトに提出するんだ!」
高橋「えー?賄賂渡したら捕まりますよ?」
愛原「賄賂じゃねーって言ってだろ!さっさと行くぞ!」
高橋「へーい……」
私達は男子トイレから出た。