報恩坊の怪しい偽作家!

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 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「愛原家の引っ越し」 2

2023-08-02 16:18:01 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[1月4日09時00分 天候:晴 東京都墨田区菊川2丁目 愛原家・新居]

 時間通りに引っ越し先の新居に行くと、既にトラックが待機していた。

 運転手「おはようございます」
 愛原「おはようございます。今日は宜しくお願いします」

 私はすぐに持っていた鍵で、電動シャッターのスイッチボックスを開けると、それでガレージのシャッターを開けた。
 元々は機械設備保守会社が入っていた建物ということもあり、ガレージの高さは3メートルほどある為、普通トラックくらいなら難無く入れる。
 ガレージは乗用車2台分止まれるスペースがあった。
 トラックには、そこに入ってもらう。
 それから私は、ガレージ奥にあるエレベーターの電源を入れた。
 住居兼事務所の建物は4階建てで、1階が駐車場、2階が事務所、3階と4階が住居といった感じになっていた。
 小型のエレベーターもあり、それは4人乗りという小さいもの。
 2~3人乗りのホームエレベーターよりは一回り大きく、しかし小さなマンションや雑居ビルにあるエレベーターよりも一回り小さい。
 恐らく前のオーナーは、ホームエレベーターを設置したかったのかもしれない。
 ところが、この建物が建てられた当時は、まだホームエレベーターが普及しておらず、やむ無く業務用かつ乗用のエレベーターで、最も小さなサイズを導入したのだろう。
 おかげで今は、引っ越しの荷物の搬入に使えるわけだが。
 運送会社の運転手達は、こういうことに慣れているのか、テキパキとエレベーターに養生シートを貼り付けた。

 高橋「おう、オメーラ!遅ぇぞ!」
 元ヤン「おはざーっス!」

 高橋やパールの知り合い達も、続々と集結し始めた。

 愛原「今日は新年早々、御協力ありがとう。バイト代は弾むから、家の引っ越しと事務所の引っ越しの手伝い、よろしく頼む」
 高橋「オメーラ!先生に恥かかすんじゃねーぞ!」
 元ヤン一同「ヨロシクー!!」
 運転手「そ、それで、私達は何をすれば……?」
 愛原「ああ。このバイトのコ達に、トラックから荷物を渡してくれればいいです」
 運転手「分かりました」
 愛原「まずは大きい物から運ぼう。冷蔵庫とか、ベッドとか……」
 高橋「うっス!」

 エレベーターはあるとはいえ、4人乗りの小型タイプだ。
 あまり大きい物は、逆に積めない。
 冷蔵庫は乗せられるが、ベッドは1度解体、机も事務机以外の物は解体しないと乗せられなかった。
 それらは上で組み立てる必要がある。
 こういう時、高橋やパールが仲間を呼んで人海戦術をやってくれるのは助かった。

 パール「本当に、私も住んで宜しいのでしょうか?」
 愛原「うちで高野君の代わりに事務員やってくれるんだろ?寮として提供してやるよ」
 パール「ありがとうございます」

 正直、事務所を空にして、新しい仕事の依頼を受けられないというのは痛かったからな。
 パールならメイドとして働いていたこともあるし、斉藤家では電話の取次ぎなんかもやっていた。
 メイドだから掃除もできると、正に女版高橋といった感じである。
 高橋もそうだが、根はハイスペックなのに、家庭環境の悪さでこうもグレてしまうのは何だか複雑だ。
 高野君も何気にそうだが、パールも戦闘力は高い。

 愛原「事務所で留守番してくれる人が欲しかったんでね。キミなら高野君の代わりをやれるだろうし、戦闘力もある。ただ、不審者がよほどのことで無い限り、殺人は無しな?」
 パール「先生の御命令は絶対がこの事務所の掟でしたね。かしこまりました」
 愛原「あ、ああ。まあ、よろしく頼む」
 元ヤンA「マサのセンセー!マサとパールの『愛の巣』はどこっスか?」
 愛原「え?なに?どういうことだ?」
 元ヤンB「うちで経営するリサイクルショップから、マサとパールへの引っ越し祝いっス!売れ残りの品で申し訳ないんスけど、ダブルベッドをタダでプレゼントです!」
 高橋「テメ、コラ!なにシレッと在庫処理してんだよ、あぁっ!?……先生、どこに運べばよろしいでしょうか?」
 愛原「結局受け取るんかーい!……一応、お前達の部屋は3階を考えている」

 3階は玄関があり、最初にすぐトイレがある。
 その隣にキッチンとダイニング。
 それとリビング。
 リビングの隣に洋室の8畳間があり、そこを高橋とパールの部屋に充てようと考えている。
 尚、3階には他にも風呂がある。
 リビングには前の事務所で使っていたカウチソファを転用しよう。
 これなら、誰かが泊まりに来ても、そこで寝れる。

 高橋「おう!3階だとよ!」
 元ヤンB「了解っス!」
 愛原「でも、エレベーターは使用中……あれ?」
 高橋「ひゃっは!あいつ、階段で行きましたよ!」
 元ヤンA「リサイクルショップでも、客先に商品配達しに行く時、アパートやマンションの階段を上るらしいんで」
 愛原「若いっていいねぇ。それじゃ、高橋とパールは3階の部屋に行って、ベッド組み立てて来なよ」
 高橋「分かりました!」

 高橋とパールも、階段を駆け上って行った。

 リサ「あの2人、内縁の夫婦でしょ?そのうち、子供できちゃうかもよ?」
 愛原「もしそうだったら、デキ婚ってことで、また引っ越しだな」
 リサ「ええっ?」
 愛原「いや、あいつらがだよ?あくまでもここは、『独身寮』として提供しているだけだから」
 リサ「ああ……。お兄ちゃん達が出て行ったら、わたし達2人っきりになれるね?」
 愛原「あ、ああ……。そうだな……」
 リサ「大丈夫!御飯なら、お兄ちゃん達から作り方教わってるから任せて!」
 愛原「それは頼もしい……」

 もう少し大きな家を買って、『家族寮』にしても良かったかなと今更考えた私だった。

 リサ「ねぇ、リサイクルショップ屋さん!」
 元ヤンB「何スか?」
 リサ「ダブルベッド、まだ無いの?」
 元ヤンB「ダブルベッドっスか?」
 愛原「どこに設置するんだ、どこに!?」
 リサ「わたしか先生の部屋。で、わたしが先生と一緒に寝るー」
 愛原「アホか!」
 元ヤンB「そういうことでしたら、ヤリ部屋仕様のベッドが、お買い得っスよ?」
 愛原「いらんっちゅーに!てか、ヤリ部屋仕様って何だよ?!」

 ラブホにあったベッドということだろうか?

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