報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「市街戦」

2020-11-22 19:47:15 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[11月7日14:00.天候:曇 某県霧生市内市街地(市役所付近)]

 リサ・トレヴァー『8番』と『9番』と思しきBOWによってゾンビ化させられたBSAA隊員が攻撃してくる。
 持っている銃は狙いを定めず、ただ乱射するだけ。
 でも流れ弾には注意だ。
 また、装甲車を運転中にゾンビ化したか、高速度で電柱に突っ込む装甲車もあった。

 善場:「意外と多いですね、ゾンビ」
 隊長:「市街戦を展開していた部隊は全滅したようです」
 高橋:「弱ェな、BSAA!」
 隊長:「あくまでも我々はバイオテロを鎮圧するのが目的であって、BOWを倒すのが目的ではないのだ」
 愛原:「クリス・レッドフィールド氏やジル・バレンタイン氏は?」
 隊長:「“オリジナル・イレブン”は格別なのだ!」
 愛原:「リサ!『8番』と『9番』はどこだ!?」
 『2番』:「臭いが分からない!」

 BSAA隊員ゾンビが銃を乱射したり、火炎放射器を乱射したりして、辺りには火薬や焦げ臭い臭いが広がっている。
 そのせいで、リサの鼻が利かなくなってしまったのだ。

 隊長:「皆さん、目を瞑って耳を塞いで!」

 BSAA隊長は閃光手榴弾をゾンビ達に放った。
 眩しい閃光と大きな音で耳がキィーンとなる。
 目を閉じて耳を塞いでいてもそうなるのだから、そうしていないゾンビ達は右往左往した。
 さすがにゾンビ化しても、目がチカチカし、耳はキィーンとなるらしい。

 高橋:「死にさらせ、死にぞこない共!」

 高橋はゾンビが落としたマシンガンを拾い上げると、それで動きが止まったゾンビ達に乱射した。
 絶叫や断末魔を上げてバタバタと倒れるゾンビ達。
 これで粗方片付いたかのように思えたが……。

 愛原:「うわっ、また来た!」

 またもや運転中にゾンビ化したBSAAのトラックが突っ込んで来た。
 先ほど突っ込んだ装甲車に思いっ切りぶつかる。
 そこから漏れ出した燃料が……。

 隊長:「爆発するぞ、逃げろ!!」
 愛原:「マジかよ!?」
 高橋:「先生、早くこっちへ!」

 高橋に引っ張られて、私は地下への階段を転がり落ちた。
 と、上から大爆発の音がした。

 愛原:「く、崩れたぞ!どうする!?」
 『2番』:「ここ、どこ?」

 どうやら地下への階段に飛び込んだのは、私と高橋とうちのリサの3人のようだ。

 愛原:「ほ、他の皆は!?」

 私達は地上に戻ろうとした。
 だが、階段の途中にあったシャッターが爆発のショックで閉まってしまった。
 それが歪んだか、手で開けようとしても開かない。
 真っ暗なので、大山寺探索の時に持って来たマグライトの明かりが頼りだ。
 リサは夜目が利くので必要無い。

 高橋:「わ、分かりません」
 『2番』:「ここ、駅みたいだよ?」

 リサが指さした所をライトで照らすと、『霧生電鉄南北線 市役所前駅』と書かれた看板があった。
 確か、霧生電鉄の市街地の区間は地下を走るのだったか。

 愛原:「市街地の駅なら、他にも出入口があるはずだ。一旦、駅の中に行って、他の出口を探そう」
 高橋:「はい!」

 私達は階段を下りた。
 所々に死屍累々の白骨死体が転がっている。
 餓死したゾンビの成れの果てか、或いはゾンビに食い殺された人達の成れの果てか……。
 その数の多さからして、やはり市街地が一番被害が大きかったようである。

 愛原:「南北線の隣の駅が『五十嵐記念病院前』になってる。多分これは、あの日本アンブレラの五十嵐社長のことだろう」
 高橋:「あの大火事起こしてた総合病院っスかね?」
 愛原:「多分な」

 途中に十字型の路線図があった。
 霧生電鉄には南北線と東西線の2つがある。
 それが交差する場所が、『霧生中央駅(日本アンブレラ前)』となっていた。
 東西線の霞台団地駅と大山寺駅の間には研究所が、市街地には日本アンブレラの支社とか支店でもあったのだろう。
 中央駅に副駅名が付けられるほどなのだから、如何にこの町が日本アンブレラの企業城下町だったかということだ。

 愛原:「栗原姉妹の家があったというのは、東西線の東端の駅か。駅名が……何か焦げ跡があって見えないぞ」
 高橋:「どっちみち、電車では行けないスよね」
 愛原:「動いてるわけねーだろ。とにかく、別の出口を探すぞ」
 高橋:「はい」
 愛原:「リサは辺りを警戒してくれ。どこからBOWが現れるか分からんから」
 『2番』:「うん」

 とっくに電源の落ちたキップ売り場の券売機の前を通る。
 その横には自動改札機があった。
 2両~4両編成の電車で運転されるだけのローカル線なのに、随分と駅は近代化されている。
 これも日本アンブレラの力によるものなのだろうか。

 愛原:「ぅわっ!」
 高橋:「わっ!」
 『2番』:「なに!?」

 私が一番先に驚いた。
 いや、びっくりしたのは人がいたからだ。
 もちろん、それは生きている人間ではなかったが……。
 たまたま私が改札口の方を照らしたら、有人改札口の方に駅員が座っていたのだ。
 それは既に白骨化しているが、ちゃんと制服を着ており、制帽まで被っていた。
 な、何でこんな状態で死んでるんだ?
 他の白骨死体は転がったり、或いは壁を背にしたまま倒れた状態で死んでるのに……。
 気になったので近づいてみると、その駅員は右手に改札鋏を持っていた。
 そして、左手には定期券サイズのキップを持っている。

 愛原:「だ、誰がこんなことをした?!」

 恐らくこの駅員も、この近くで死んでいたのだろう。
 それを誰かが意図的にこのような状態にしたに違いない。

 高橋:「先生、これを!」

 高橋がキップを照らした。
 そこには赤い文字で『A3出口へ行け 遠藤』と書かれていた。

 愛原:「遠藤って……」
 『2番』:「『8番』と『9番』の人間だった頃の名字だ。私達を……呼んでるんだよ、あいつら……」

 リサが深刻な顔をして言った。

 愛原:「……行くか」
 高橋:「マジっスか、先生!姉ちゃん達と合流してから行った方が……」
 愛原:「もちろん俺と高橋だけならそうする。しかし、こっちにはリサがいる。リサ、『8番』と『9番』相手と戦って勝つ自信あるか?」
 リサ:「…………」

 リサは肯定も否定もしなかった。

 愛原:「マジか」
 『2番』:「『8番』と『9番』が別行動してくれてるなら勝てる。だけどあの2人がタッグを組んでいたら……私は勝てても、先生達が危ない」
 愛原:「何だ、そんなことか。大丈夫だ。俺達は大丈夫。なあ、高橋?」
 高橋:「うっス。まあ、俺達で何とかしましょうや。少なくとも、ここに来ているBSAAはハンターまでしか倒せそうにないみたいっスから」
 愛原:「でもリサ、お前が頼りだ。頑張ってくれ」
 『2番』:「頑張ったら御褒美にキスしてくれる?」
 愛原:「わ、分かった」

 するとリサ、少し鼻息を荒くした。

 『2番』:「わたし、頑張るね!」

 ということで、指定されたA3出口に向かった。
 因みに、さっきいた場所はB1出口である。
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“私立探偵 愛原学” 「『8番』と『9番』の影」

2020-11-22 15:46:46 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[11月7日12:30.天候:曇 某県霧生市西部郊外 新日蓮宗大本山大山寺境内]

 私達は大山寺の南側に移動した。
 そこは壱之坊と弐之坊という宿坊のある所で、どちらも同じ構造をしている。
 そのうち、1つの宿坊で化け物と化した主管僧侶と戦闘になったんだっけ。
 広い広場にはBSAAの大型トラックや装甲車が何台も止まっており、天幕も張られていた。
 私達はそのうちの1つの天幕に入った。
 まずはそこで昼食。
 BSAAは本来は独立した国連組織なのだが、一般的には国連軍の一派として知られている。
 なので職員達も軍人同然である。
 だからというわけではないだろう。
 出された昼食がカレーだというのは。
 今でこそカレーは金曜日に出るが、昔は土曜日だった。
 今日が土曜日だからだろうか。
 食事が不味くなるからだろうか、食事中は一切市街地の様子は教えられなかった。
 後で聞いたところ、戦況は悪いらしい。
 リサ・トレヴァー達は体内に宿したウィルスを相手に送り込み、感染させることができる。
 感染させても活性化させるかどうかは、リサ・トレヴァーが決める。 
 つまり、感染させられた者は生殺与奪の権を奪われ、リサ・トレヴァーに従うしか無くなるのである。

 BSAA隊長:「感染させられた隊員達はゾンビ化したり、銃を乱射して同士討ちを始めるといった有り様です」
 善場:「それはいけませんね。やはりここは、『2番』と『退魔士』に行ってもらいましょう」
 愛原:「市街地にいるリサ・トレヴァーというのは何番ですか?」
 善場:「分かりません。ですが、2人と聞いています」
 愛原:「2人か……。そのうちのどちらかが『1番』かな」
 隊長:「もう既に何人も隊員が食い殺されています。これほどまでに手強いBOWは初めてです。どうか頼みます」
 愛原:「分かりました」

 BSAAからの報酬は高い。
 私はHQから休憩所に戻った。

 愛原:「リサと蓮華さん、市街地に行きますよ。リサ・トレヴァーが2人暴れているそうです」
 蓮華:「分かりました」
 『2番』:「2人……」

 リサは考え込んだ。

 愛原:「どうした、リサ?何か心当たりがあるのか?」
 『2番』:「もしかして、アクアとミリアかな」
 愛原:「知ってるのか?」
 『2番』:「リサ・トレヴァーの中で、唯一人間だった頃の名前を覚えてるコ達。双子の姉妹なんだって」
 愛原:「なに?てことは、『1番』じゃないか」
 善場:「それは何番ですか?」
 『2番』:「『8番』と『9番』。本名は遠藤天空海(あくあ)と遠藤美里愛(みりあ)」
 愛原:「DQNネームかい!」
 善場:「しかも姉の方は大相撲の力士に同じ名前のがいますね……」
 『2番』:「でも手強いよ。あいつら、私と初めて会った時点で人間を70~80人は食べてるから」
 愛原:「はあ!?」
 善場:「海外からの輸入組でしょうか。それだと海外で大勢食べて来た可能性もあります」
 『2番』:「そして、今もね」

 リサ・トレヴァー達は体臭がキツい。
 それは人食いをしているからだ。
 人食いでなくても、肉食が好きな人は体臭が強くなる傾向がある。
 それと同じだ。
 人を食べたことがないリサが1番体臭が弱いのだ。
 さっきの『7番』ですら、それが分かるほどだった。

 善場:「これ以上被害がヒドくならないうちに現地に向かいましょう」

 私達は今度は装甲車に乗り込んだ。
 これなら外から攻撃されても、ビクともしない。

 愛原:「『8番』と『9番』はリサより年上?」
 『2番』:「いや、私と同じくらい。区別を付ける為に、アクアは黒い服、ミリアは白い服を着てる。アクアは髪が長くて、ミリアは髪が短い」

 双子が外から区別してもらう為に違う服を着るのと、髪形を変えるのと同じことだ。
 ところで学生時代、学校に一組は双子がいるわけだが、何故だか全員もれなく髪形まで同じにするものだから区別が付かなかったな。

 善場:「他に情報は?」
 『2番』:「……あ、そうだ。あの2人、研究所から出たんだけど、『真っ当なお金でちゃんと買われた』って聞いたよ」
 愛原:「買ってる時点でまともじゃないんだよ」
 善場:「唯一、『商品として』売れた個体ですか。しかし、それがどうしてここで暴れているのでしょう?」
 『2番』:「それは知らないよ」
 愛原:「商品!?」
 善場:「商品ですよ。アンブレラにとって、TウィルスもGウィルスもタイラントもネメシスも、日本ではリサ・トレヴァーも商品なんですよ。ただ、本当に商品として売れるレベルに達せたのは『1番』と『2番』だけということらしいですが、実際に商品として売れたのは、検品で弾かれたはずの『8番』と『9番』だったということですね。どうして売れたか知ってる?」

 リサは少し考え込んだ。

 『2番』:「……双子だから?」
 愛原:「どうかな?」
 蓮華:「双子でも何でも、化け物は斬る」
 善場:「もし話ができるようでしたら、先にそのコ達と話をさせてください。彼女らを購入したのがどこの誰かを突き止めたいのです」
 蓮華:「分かりました」
 愛原:「もしかしたら『1番』の行方も知ってるでしょうからね」
 蓮華:「そうですね」

 『7番』は『1番』はいないと言っていたが、どうも『7番』はウソツキのようなので、あまり信用できない。
 『8番』と『9番』に聞いてみることにしよう。

[同日13:30.天候:曇 霧生市内市街地(市役所付近)]

 BSAAゾンビ:「ヒーハー!」

 狂気的な笑いを浮かべてマシンガンを乱射してくる、ゾンビ化したBSAA隊員。
 しかし、ゾンビ化すると銃器を使う知能すら無くなるはずだ。
 確かに今は乱射に近い撃ち方をしているが、ちゃんと撃っている。
 こっちのBSAA隊員が対応した。
 かつての仲間を射殺するのは忍びないだろうが、しかしもう医学的には死んでいる状態なのだから致し方ない。

 善場:「まるでCウィルスのゾンビみたいですね」
 愛原:「Cウィルス?」
 善場:「Tウィルスよりも感染力や毒性が強く、感染するとあっという間にゾンビ化します。しかし、肉体の腐敗は起こるものの、劣化はそこまでではなく、知能も低下はしますが、武器が使えるくらいのそれは残ります」

 Cウィルスのゾンビは走ることができたり、フェンスをよじ登ったりすることができる。
 Tウィルスのゾンビは肉体の腐敗や劣化が激しい為、走ったりすることはできない。
 また、先ほども述べたように、乱射状態ではあるものの、銃を撃つこともCゾンビはできる(もちろん、生前の残った記憶だけでそうしているだけで、当の本人は自分が何をしているか全くわからないらしい)。

 善場:「どうやってCウィルスを取り込んだのかは不明ですが、どうやら『8番』『9番』はCウィルスを使って攻撃してくるようです」
 愛原:「気を付けることは?」
 善場:「Cウィルスは全体的に青いです。青いガスなどを見かけたら注意してください。そこから感染します。因みに、Tウィルスと違って空気感染しかしません。Tウィルスのように、血液感染や接触感染はしません」

 実際、Cウィルスのゾンビが現れた香港やトールオークス市でも、そのゾンビに噛まれた人がゾンビ化した例は報告されていないという。

 愛原:「分かりました。それでは、私達も行きます」
 善場:「その前に、Cウィルスの予防接種をしてください」
 愛原:「あ、ワクチンあるんですねw」
 善場:「Cウィルスの事件が発生したのは2013年で、それはもう解決済みです。当然、ワクチンも開発されています」

 『2番』のリサを除く、人間全員がワクチンを接種した。
 これでもう怖いモノ無しだ。

 『2番』:「『8番』と『9番』、近くにいる。気をつけて」

 リサは鼻をフンフン鳴らしながら言った。
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“私立探偵 愛原学” 「大山寺内を探索」

2020-11-22 12:42:07 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[11月7日11:30.天候:曇 某県霧生市西部郊外 新日蓮宗大本山・大山寺]

 私の名前は愛原学。
 都内で小さな探偵事務所を経営している。

 愛原:「大山寺は意外と無事なんですね」
 善場:「そのようです」

 西部郊外の山の中腹に位置する山寺、大山寺。
 駅前が荒れ果てている中、こちらは本当にただの廃墟といった感じだ。
 所々に白骨死体が落ちているのは、餓死したゾンビやクリーチャーなどであろう。
 さしものゾンビも腐乱死体で徘徊することはあっても、白骨死体で歩き回るということはないようだ。

 愛原:「でも、ここにリサ・トレヴァーはいませんでしたよ?」
 善場:「それは所長達が気が付かなかっただけのことです」
 愛原:「んん?」
 善場:「この広いお寺を総合的に監視する場所があるはずです。所長は御存知ですか?」
 愛原:「あ、はい。それはもう」

 それは大講堂の地下だろう。
 あそこには警備室があって、境内を全体的に監視していた。
 私は大講堂を案内した。

 高橋:「この寺でアネゴと初めて会ったんでしたね」
 愛原:「そうだ。懐かしいな。忘れもしない。……きっと、一生忘れないんだろうな」
 善場:「高野事務員が、どうして大山寺に来たか知っていますか?」
 愛原:「確か彼女は地元の新聞記者で、このバイオハザードの真相がこのお寺に隠されていると知って来たって言ってたような……」

 実際はこの寺というよりは、鉄道トンネルの中にあったのだが。

 善場:「そうですか」

 善場主任はそれだけ言った。
 大講堂に到着する。
 入口のガラスは割られ、シャッターも破られていた。
 私達がここを出てから、何者かが侵入したりしたのだろう。
 もう誰もいないはずだが、私達は一応警戒しながら、地下の警備室に向かった。
 既に境内は停電しており、マグライトを装備している。

 愛原:「ここが警備室です。……って、わっ!?」

 地下の警備室はメチャクチャに荒れていた。
 よく見ると、血の跡などがあっちこっちに見受けられる。

 愛原:「何だこれ!?俺達が来た時はこんなんじゃなかったぞ!?」
 『2番』:「ハンターの臭いが残ってる。ここにハンターが侵入したんだ」
 愛原:「ハンターだって!?」

 私達が出た後、奴らが侵入してきたというのか。
 一体どうしてだ?

 善場:「やられましたね」

 善場主任は散乱した書類やら何やら探していたが、その中から1枚の紙を取り出した。
 そこには、こう書かれていた。

 『敵を探してハンター連れて来た。いなかった。でも取りあえず、カメラの機械は壊しておいた。「1番」に頼まれた。 7番』

 『2番』:「『7番』のしわざか!」

 『7番』はハンター達を使役する。
 でも確かに、タイラントを使役する『2番』のリサから見れば弱い部類なのだろう。

 愛原:「『1番』に頼まれたというのは?」
 善場:「私達の調査では、この寺の境内に『1番』が来たことを把握しています。その動きを押さえる為、ここのカメラの録画ビデオを押収しようと思っていたのですが、『1番』も同じ事を考えていたようです」
 愛原:「頭いいんですね」
 善場:「……ええ。私が『1番』の脅威的な所は、『人間と何ら変わらない思考』であることだと考えています」
 愛原:「『人間と何ら変わらない思考』?」
 善場:「『2番』のリサもそうではあるのですが、でも、やはり感覚が普通の人間とズレている部分はあるでしょう?」
 愛原:「確かに……」

 ただ、教育して修正できるレベルではあるので、それで学校に入れて教育させるプランが発動している。
 でも今でもたまに羞恥心が欠如していたり(今では無くなったが、かつては私の前で平気で裸になっていた)、食生活がズレていたり(生肉を食したり)することはあるな。

 高橋:「姉ちゃん、機材はダメだ。全部ぶっ壊れてやがる。中のDVDもごっそり無くなってるぜ」
 善場:「それは残念です。ここでの探索は無意味なものとなりました。引き上げましょう」

 私達は警備室を出た。

 愛原:「『1番』はここへ何しに?」
 善場:「『1番』こそ五十嵐社長達の忠実な下僕だったわけです。バイオハザードの最中、日本アンブレラの悪事の露呈防止に動いてたのでしょうね」
 愛原:「その割には栗原さん達を捕食したり、悪事を重ねてますけど?」
 善場:「リサ・トレヴァー達にとって、食人はただの食事です。悪事でも何でもないのですよ」

 再び大講堂のエントランスホールに出る。
 そこでは栗原姉妹が待っているはずだが、何故かいなかった。

 愛原:「あれ?いない」

 しかし、『2番』リサがフンフンと鼻を鳴らして言った。

 『2番』:「トイレにいるみたいだよ」
 愛原:「何だ、そうか」

 すると、トイレの方からライトを持った栗原姉妹が出て来た。

 栗原蓮華:「妹がトイレに行きたいと言って……。でも、水が流れないんですよ」
 善場:「そりゃそうですよ。今はライフラインは全て止まってる状態ですから。HQに行けばトイレもありますよ」
 愛原:「BSAAの本部か。どこにあるんですか?」
 善場:「ここの境内ですよ」
 愛原:「え?」
 善場:「市街地は他のリサ・トレヴァーやBOWが現れています。今現在、安全が確保されているこの境内にHQが設置されました」
 蓮華:「早く言ってくださいよ」
 善場:「申し訳ありません。午前中までに、『1番』の動きを押さえておきたかったのです。で、それは無理だと分かりました。次はHQに向かいましょう。そこで休憩を取ります」
 愛原:「ちょうど昼休みくらいの時間だな」

 私達は大講堂の外で待っているBSAA隊員に先導されてHQに向かった。

 『2番』:「老廃物なら、私が吸い出してあげるよ」

 ヒョイと栗原姉妹の前に現れる『2番』のリサ。

 栗原愛里:「ひぅ……!」

 びっくりした愛里が姉の後ろに隠れる。

 蓮華:「ちょっと!妹に近づかないで!斬るよ!」

 蓮華はスカートの腰の部分にベルトを通し、そこに刀を差している。
 歩く度にカチャカチャと音がした。
 それが二重に聞こえるのは、左足の義足からも金属音がするからだろう。
 動きだけ見ると、まるで義足ではなく、本物の足みたいに見えるから不思議だ。
 ベルトで腰の部分を上げているのでその分、裾が短くなっているが、義足を隠さないのは、偏に『1番』に対する主張の意味が大きい。
 いくら『2番』を除くリサ・トレヴァー達が多くの人間を捕食してきたとはいえ、左足しか食わなかったことは憶えているだろうから、それで的確に仇討ち相手を探すという意味が込められているんだな。

 愛原:「いいから、リサ。こっちに来い」
 『2番』:「はーい」

 私はリサを引き寄せて、栗原姉妹から離した。
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