[5月19日16:30.天候:晴 宮城県仙台市宮城野区福室 大江戸温泉物語・女湯]
ルーシー:「こういうのがあったとは……。ネットの情報だけじゃ分からないもんだねぇ……」
露天風呂に入るマリアとルーシー。
マリア:「私の体の傷痕を勇太が気遣ってくれて、『それなら温泉です!』と、こういう所に連れて行ってくれたのが始まりなんだ」
ルーシー:「なるほど。これなら傷痕も治りそうなものだ」
その温泉の成分にもよる。
マリア:「師匠がね、『それだけじゃなく、精神の傷も治さないとダメ』と言ってたんだ。逆に、精神の傷を治してからでないといくら温泉に浸かっても意味が無いみたい」
ルーシー:「ゼルダもロザリーも死んじゃって、一体どうすれば……」
マリア:「(師匠が言うには、『女の悦びを知ること』なんて言ってたけど、多分今のルーシーじゃ……)大丈夫、きっと何とかなるって。また新しい後輩が入ってくればいいのよ」
ルーシー:「それがいつになるか分からないから……」
マリア:「まあまあ。それじゃ、そろそろ上がろうかな」
ルーシー:「待って。まだ100まで数えてない」
マリア:「えー?うるさいなー」
100まで数えた2人。
白い肌が温浴効果によって赤くなっている。
ルーシー:「せっかくゆっくりしたと思うのに、パジャマじゃなく、また普通の服を着ないとダメって面倒くさいね」
マリア:「しょうがない。師匠達を迎えに行かなきゃいけないんだから。ていうか、またあの地下鉄に乗ることになると思うけど大丈夫?」
ルーシー:「えっと……。先生をお迎えに行く為だから、負けていられない」
マリア:「そう。せめて帰りは別のルートを使えないか、勇太に聞いてみるよ」
雲羽百三:「はい、OK!」
多摩準急:「次は『稲生勇太と合流し、鶴巻バス停から宮城交通に乗るシーン』行こう!」
ケンショーグリーン:「ハァハァ……!か、カントク……!わ、私の登場シーンは無いのですか!?」
雲羽:「あぁ?」
グリーン:「私のエロカッコ良さは、きっとこの作品に華を……嗚呼」
多摩:「女湯のシーンに出てぇだけだろが」
雲羽:「トチロ〜さんから出演禁止令出たんだからしょうがないだろ」
多摩:「オマエはブルーと同じく、あそこのパチ屋にでも行ってろ」
AD:「それじゃあ、次のシーン行きまーす!」
グリーン:「嗚呼!そんな御無体な……!」
雲羽:「どっか行け早く!“慧妙”のアポ無し折伏隊呼ぶぞ」
多摩:「そこは報恩坊じゃねーのかよw」
[同日17:13.天候:晴 同地区 ミヤコーバス鶴巻バス停]
雲羽:「それじゃ行こう」
AD:「本番いきまーす!5、4、3、2……」
🎬カチン!
稲生:「そろそろバスが来ます。また地下鉄に乗る予定ですけど、大丈夫ですか?」
ルーシー:「トラウマに立ち向かうのもまた修行……」
マリア:「もう魔道士なんだから、テロくらいじゃ死なないよ。今は師匠の庇護下にあるしね」
その代わり、受けた傷は体に残ってしまう。
エレーナがマフィアと戦った時に受けた銃弾の痕とか。
その為、マリアが人間時代に受けた暴行の痕が消えたことに対し、門内各所から注目を受けたというわけだ。
それで実際来日したのが、ルーシー達だった。
実質的には、ほとんど日本観光になってしまっているが。
稲生:「あのバスだ」
往路とは違い、別のバス会社のバスがやってきた。
もっとも、オレンジ色のLED表示機には『荒井駅』と書いてある。
仙台市営バスは大型車であるが、ミヤコーバスは中型のワンステップバスがやってきた。
〔「荒井駅行きです」〕
バスに乗り込むと車内には5〜6人ほどの乗客が乗っていた。
1番後ろの席に並んで座る。
このミヤコーバス荒井多賀城線は土休日しか運転しない路線バスで、アウトレット仙台港や松島水族館から移転したうみの杜水族館を経由して来た為、その辺りの乗客だろう。
鶴巻バス停から乗ったのは稲生達だけであった。
〔「発車します。ご注意ください」〕
バスが走り出す。
冬ならもう真っ暗という時間帯だが、この時期は6月の夏至に向けてまだまだ外は明るい。
〔次は岡田西町、岡田西町でございます〕
稲生:「先生が仰るには直接ホテルに行くのではなく、仙台駅周辺で夕食を取りたいということでした」
マリア:「師匠の奢りか。日本のセレブから相当せしめたかな?」
ルーシー:「そういうこと言わないの」
マリア:「店選びは勇太の仕事だよ?」
稲生:「分かってますよ。日本食レストランをメインに選びました」
マリア:「まあ、そうなるかな」
ルーシー:「日本に来てまでローストビーフを食べたいとは思わないでしょ?」
マリア:「そりゃそうよ。勇太だって、イギリスに行って寿司を食べたいとは思わないでしょ?」
稲生:「あー、確かに。むしろローストビーフ食べたいです」
マリア:「そういうものよ」
稲生:「てか、ロンドンに寿司屋あるんですか?」
マリア:「あるよ」
ルーシー:「あるよ」
探せばあるだろう、そりゃあ……。
[同日17:30.天候:晴 仙台市若林区荒井 仙台市地下鉄荒井駅]
〔本日もミヤコーバスをご利用くださいまして、ありがとうございました。次は終点、荒井駅、荒井駅でございます。……〕
西日が車内に差し込む頃、バスは荒井駅前に到着した。
稲生:「日曜日だから夕方のラッシュは無いですね。だからバスも地下鉄も空いてる」
マリア:「混んでるよりはマシだね」
バスを降りた乗客達は殆どが荒井駅の構内に入って行った。
もちろん、稲生達もそうする。
マリア:「大丈夫、ルーシー?」
ルーシー:「ええ。何とか」
既に出発ホームに停車している電車。
まだ各車両には数えるほどの乗客しか乗っていない。
〔お知らせ致します。この電車は、八木山動物公園行きです。発車まで、しばらくお待ち願います〕
〔「17時37分発、仙台方面、八木山動物公園行きです。まもなく発車致します。ご乗車になりまして、お待ちください」〕
始発駅で空いていたので、青い座席に並んで座る。
ルーシーは片手でマリアの手を掴み、もう片手は座席脇の手すりを掴んでいた。
因みに最後尾に乗っているのだが、それは1番テロに遭いにくい車両だからだ。
2005年に起きたロンドンの地下鉄テロでも、爆破されたのは先頭車やそこから2両目である。
日本の地下鉄サリン事件でも、最後尾は直接やられることはなかった。
もっとも、この東西線はたったの4両編成なので、あまり変わらないかもしれない。
え?東京メトロの支線は3両編成だって?
支線はそもそもテロの対象にはならない(利用者が少なく、被害が大きくならない為。オウムやイスラム過激派でさえ、支線は眼中に無かった)。
〔2番線から、八木山動物公園行きが発車致します。ドアが閉まります。ご注意ください〕
発車サイン音が鳴り、車両のドアとホームドアが閉まる。
〔ドアが閉まります。ご注意ください〕
利用者の少ない駅で駆け込み乗車は無く、電車はすぐに走り出した。
〔次は六丁の目、六丁の目、サンピア仙台前でございます〕
〔The next stop is Rokuchonome station.〕
〔本日も仙台市地下鉄をご利用頂き、ありがとうございます。お客様にお願い致します。……〕
稲生:「先生達、新幹線で来るみたいですね」
マリア:「そりゃそうでしょ」
稲生:「それも“はやぶさ”だ。さすが狙い所が違いますね」
マリア:「勇太の影響かもな」
稲生:「ええっ?」
ルーシー:(“はやぶさ”……?)
ルーシー:「こういうのがあったとは……。ネットの情報だけじゃ分からないもんだねぇ……」
露天風呂に入るマリアとルーシー。
マリア:「私の体の傷痕を勇太が気遣ってくれて、『それなら温泉です!』と、こういう所に連れて行ってくれたのが始まりなんだ」
ルーシー:「なるほど。これなら傷痕も治りそうなものだ」
その温泉の成分にもよる。
マリア:「師匠がね、『それだけじゃなく、精神の傷も治さないとダメ』と言ってたんだ。逆に、精神の傷を治してからでないといくら温泉に浸かっても意味が無いみたい」
ルーシー:「ゼルダもロザリーも死んじゃって、一体どうすれば……」
マリア:「(師匠が言うには、『女の悦びを知ること』なんて言ってたけど、多分今のルーシーじゃ……)大丈夫、きっと何とかなるって。また新しい後輩が入ってくればいいのよ」
ルーシー:「それがいつになるか分からないから……」
マリア:「まあまあ。それじゃ、そろそろ上がろうかな」
ルーシー:「待って。まだ100まで数えてない」
マリア:「えー?うるさいなー」
100まで数えた2人。
白い肌が温浴効果によって赤くなっている。
ルーシー:「せっかくゆっくりしたと思うのに、パジャマじゃなく、また普通の服を着ないとダメって面倒くさいね」
マリア:「しょうがない。師匠達を迎えに行かなきゃいけないんだから。ていうか、またあの地下鉄に乗ることになると思うけど大丈夫?」
ルーシー:「えっと……。先生をお迎えに行く為だから、負けていられない」
マリア:「そう。せめて帰りは別のルートを使えないか、勇太に聞いてみるよ」
雲羽百三:「はい、OK!」
多摩準急:「次は『稲生勇太と合流し、鶴巻バス停から宮城交通に乗るシーン』行こう!」
ケンショーグリーン:「ハァハァ……!か、カントク……!わ、私の登場シーンは無いのですか!?」
雲羽:「あぁ?」
グリーン:「私のエロカッコ良さは、きっとこの作品に華を……嗚呼」
多摩:「女湯のシーンに出てぇだけだろが」
雲羽:「トチロ〜さんから出演禁止令出たんだからしょうがないだろ」
多摩:「オマエはブルーと同じく、あそこのパチ屋にでも行ってろ」
AD:「それじゃあ、次のシーン行きまーす!」
グリーン:「嗚呼!そんな御無体な……!」
雲羽:「どっか行け早く!“慧妙”のアポ無し折伏隊呼ぶぞ」
多摩:「そこは報恩坊じゃねーのかよw」
[同日17:13.天候:晴 同地区 ミヤコーバス鶴巻バス停]
雲羽:「それじゃ行こう」
AD:「本番いきまーす!5、4、3、2……」
🎬カチン!
稲生:「そろそろバスが来ます。また地下鉄に乗る予定ですけど、大丈夫ですか?」
ルーシー:「トラウマに立ち向かうのもまた修行……」
マリア:「もう魔道士なんだから、テロくらいじゃ死なないよ。今は師匠の庇護下にあるしね」
その代わり、受けた傷は体に残ってしまう。
エレーナがマフィアと戦った時に受けた銃弾の痕とか。
その為、マリアが人間時代に受けた暴行の痕が消えたことに対し、門内各所から注目を受けたというわけだ。
それで実際来日したのが、ルーシー達だった。
実質的には、ほとんど日本観光になってしまっているが。
稲生:「あのバスだ」
往路とは違い、別のバス会社のバスがやってきた。
もっとも、オレンジ色のLED表示機には『荒井駅』と書いてある。
仙台市営バスは大型車であるが、ミヤコーバスは中型のワンステップバスがやってきた。
〔「荒井駅行きです」〕
バスに乗り込むと車内には5〜6人ほどの乗客が乗っていた。
1番後ろの席に並んで座る。
このミヤコーバス荒井多賀城線は土休日しか運転しない路線バスで、アウトレット仙台港や松島水族館から移転したうみの杜水族館を経由して来た為、その辺りの乗客だろう。
鶴巻バス停から乗ったのは稲生達だけであった。
〔「発車します。ご注意ください」〕
バスが走り出す。
冬ならもう真っ暗という時間帯だが、この時期は6月の夏至に向けてまだまだ外は明るい。
〔次は岡田西町、岡田西町でございます〕
稲生:「先生が仰るには直接ホテルに行くのではなく、仙台駅周辺で夕食を取りたいということでした」
マリア:「師匠の奢りか。日本のセレブから相当せしめたかな?」
ルーシー:「そういうこと言わないの」
マリア:「店選びは勇太の仕事だよ?」
稲生:「分かってますよ。日本食レストランをメインに選びました」
マリア:「まあ、そうなるかな」
ルーシー:「日本に来てまでローストビーフを食べたいとは思わないでしょ?」
マリア:「そりゃそうよ。勇太だって、イギリスに行って寿司を食べたいとは思わないでしょ?」
稲生:「あー、確かに。むしろローストビーフ食べたいです」
マリア:「そういうものよ」
稲生:「てか、ロンドンに寿司屋あるんですか?」
マリア:「あるよ」
ルーシー:「あるよ」
探せばあるだろう、そりゃあ……。
[同日17:30.天候:晴 仙台市若林区荒井 仙台市地下鉄荒井駅]
〔本日もミヤコーバスをご利用くださいまして、ありがとうございました。次は終点、荒井駅、荒井駅でございます。……〕
西日が車内に差し込む頃、バスは荒井駅前に到着した。
稲生:「日曜日だから夕方のラッシュは無いですね。だからバスも地下鉄も空いてる」
マリア:「混んでるよりはマシだね」
バスを降りた乗客達は殆どが荒井駅の構内に入って行った。
もちろん、稲生達もそうする。
マリア:「大丈夫、ルーシー?」
ルーシー:「ええ。何とか」
既に出発ホームに停車している電車。
まだ各車両には数えるほどの乗客しか乗っていない。
〔お知らせ致します。この電車は、八木山動物公園行きです。発車まで、しばらくお待ち願います〕
〔「17時37分発、仙台方面、八木山動物公園行きです。まもなく発車致します。ご乗車になりまして、お待ちください」〕
始発駅で空いていたので、青い座席に並んで座る。
ルーシーは片手でマリアの手を掴み、もう片手は座席脇の手すりを掴んでいた。
因みに最後尾に乗っているのだが、それは1番テロに遭いにくい車両だからだ。
2005年に起きたロンドンの地下鉄テロでも、爆破されたのは先頭車やそこから2両目である。
日本の地下鉄サリン事件でも、最後尾は直接やられることはなかった。
もっとも、この東西線はたったの4両編成なので、あまり変わらないかもしれない。
え?東京メトロの支線は3両編成だって?
支線はそもそもテロの対象にはならない(利用者が少なく、被害が大きくならない為。オウムやイスラム過激派でさえ、支線は眼中に無かった)。
〔2番線から、八木山動物公園行きが発車致します。ドアが閉まります。ご注意ください〕
発車サイン音が鳴り、車両のドアとホームドアが閉まる。
〔ドアが閉まります。ご注意ください〕
利用者の少ない駅で駆け込み乗車は無く、電車はすぐに走り出した。
〔次は六丁の目、六丁の目、サンピア仙台前でございます〕
〔The next stop is Rokuchonome station.〕
〔本日も仙台市地下鉄をご利用頂き、ありがとうございます。お客様にお願い致します。……〕
稲生:「先生達、新幹線で来るみたいですね」
マリア:「そりゃそうでしょ」
稲生:「それも“はやぶさ”だ。さすが狙い所が違いますね」
マリア:「勇太の影響かもな」
稲生:「ええっ?」
ルーシー:(“はやぶさ”……?)