報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

祈りとして叶わざるはなし

2019-06-19 20:40:22 | 日記
 タイトルはよく日蓮正宗で聞く言葉だ。
 布教講演とかでも聞くことが多い。
 意味は、そのままだ。
 これについては、私はあると思う。
 実際、この前の御講の際、御開扉にも参加したわけだが、この時に大御本尊様に仕事での悩み解決を必死に御祈念してみたら、ものの見事に叶ったからね。
 もちろんこれについてはトチロ〜さんや御住職の後押しもあったのだろうが、叶えて下さったからには御礼申し上げに行かざるを得まいと思ったわけである。
 普段の勤行でその気持ちをお伝えすれば良いということだが、かなり早めに叶えて下さったことから、これは直接申し上げに行くべきではないかと思った。
 といっても御開扉に参加できる休みは今月にはもう無い為、来月にはなってしまうのだが。

 今の会社に入ってから15年目になるのだが、あまりにも肌に合わなくて自らギブアップ宣言する現場に送られたのは初めてだった。
 キツい所でもポジティブに考えて、自らのスキルアップの為と頑張り、実際にそうしたつもりであったが、ある程度スキルが身に付いてくると、自分の得意分野や不得意分野がハッキリしてくる。
 で、今の現場は不得意分野だらけの所だったわけだ。
 見た目は私がアップしたスキルに見合う得意分野のように見えたのだが、いざフタを開けてみたら【お察しください】。
 これがまだ入社したてで、どれが不得意分野かも分からない状態ならチャレンジさせるところだろうが、私のような15年選手が、『いや、ここムリ』となったらそれはもう無理なのである。
 で、その悩みについてトチロ〜さんに相談し、御住職にも話をし、その後で参加した御開扉で大御本尊様にもすがってみた。
 後日、会社に直接相談したところ、上司達はかなり早めに動いてくれたというわけである。
 おかげ様で来月に異動確定。
 新天地についての概要を聞く限りでは、今度こそ私の得意分野を生かせる現場であるようだ。

 ギブアップしたから人事考課には響くだろうと思ったのだが、今の現場での評価はやっぱり低いらしい。
 まあ、不得意分野の目立つ所だったから、さしたる活躍もできなかったし、これからもそういう活躍ができる自信が無かったからそれはしょうがない。
 ところが会社側としては、何か大きなミスをして処分されるわけではないから、その点でマイナス評価にはしないという。
 むしろ、『自分の力量を見極め、早めに申し出てくれたおかげでこちらも早く動けた』とのことだった。

 ある程度長く所属して、しかも見た目にスキルアップしたと分かる資格を取り揃えておけば、多少の融通も会社は利かせてくれるようである。
 先月は往復高速バス、今月はカイドウさんの車で往復したから、来月は往路だけでも新幹線に乗ってみようと思った。
 既に復路の高速バスのチケットはゲットしてある。
 順番逆ではないかと思われるだろうが、東京から新富士駅までなんて自由席で十分だし(とある信徒さんは例外であるようだが)、しかし高速バスは全席指定なのだから、押さえる順番としてはやはり高速バスが先ってことになるだろう。

 いずれにせよ、来月までは月一登山の誓願は守られることとなる。
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“大魔道師の弟子” 「ルーシーは鉄道娘?」

2019-06-19 19:14:23 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[5月18日08:00.天候:晴 埼玉県さいたま市中央区 稲生家]

 稲生勇太:「南無妙法蓮華経、南無妙法蓮華経、南無妙法蓮華経……」

 朝の勤行を終えた勇太。

 稲生:「よし、朝の勤行終わり。朝ご飯に行くか」

 勇太は数珠と御経本をしまうと、階下に下りた。
 因みに昨夜からルーシーもこの家に泊まっている。
 ワンスターホテルを引き払った為、ベイカー師匠の迎えがあるまで宙に浮いてしまった。
 その為、勇太が家に呼んだのである。
 元々マリアの屋敷がそういった者の逗留先として指定されているのだが、話の舞台がこういう所になるとなかなか難しい。

 ルーシー:「宿泊代は後でお支払いしますから……」
 佳子:「別にいいのよ。1人も2人も同じだから」

 ルーシーが勇太の母親の佳子に恐縮している。

 勇太:(アナスタシア組が日本拠点として、都内のタワマン一室を買ったというけど、何だかその気持ちが分かるなぁ……)

 そう思いつつ、ダイニングに入る。

 勇太:「ルーシーさん、いいんですよ。門規に『相互扶助』とか『互助精神』とかありますでしょ?」

 ダンテ門内の規則の中に『Mutual aid』とか『Organization theory』とかいう言葉がある。
 これを日本語訳すると、『相互扶助』や『互助精神』という意味になる。

 勇太:「その一環です」

 エレーナの場合は、『ああ?無料とは書いてないぜ』とか言って有料にしてくるのだが。
 その場合、マリアは『有料とも書いてないだろ!』と言い返してケンカになる。

 ルーシー:「ありがとう」
 勇太:「じゃあ早速、食べましょう」

 勇太は朝食のトーストにマーガリンを塗った。

 マリア:「それにしても昨日のチケット……」
 勇太:「ああ、あれですか。いや、確かに本物ですよ。あれで確かに入浴料無料で入れます。ただ、場所が……」

 勇太はトーストに齧りついてから言った。

 勇太:「仙台の大江戸温泉物語じゃ、宿泊できませんから。マリアさんも前に行きましたよね?」
 マリア:「ああ、あそこか。確か、地下鉄とバスで行ったな……」
 ルーシー:「悪魔は代替品と言ってたから、宿泊もできるはずよ!?」
 マリア:「勇太」
 勇太:「確かにあの施設には、宿泊施設が併設されていて、それの宿泊券も入ってはいるんですよ。ただ、あくまでビジネスホテル的なもので、いわゆる観光ホテルとか旅館の類ではありません」
 マリア:「マジか……」
 勇太:「まあ、公式サイトを見る限りではワンスターホテルよりは高級そうですけどね」
 マリア:「あれより低級なホテルはドミトリー(簡易宿所)と言うんだ」

 因みに日本独自のカプセルホテルも簡易宿所の類に入る。
 日本独自である為、外国人観光客が面白がって宿泊するのだとか。

 マリア:「どうする?ベイカー先生がいつ迎えに来るか分からないし、今日行っちゃう?師匠に頼めば交通費くらい……」
 勇太:「今日は土曜日で予約がいっぱいです。明日なら何とか……」
 マリア:「明日か……。そうなると、今日どうするかだな。ルーシー、どこか行きたい所ある?」
 ルーシー:「どこでもいいの?」
 マリア:「日本国内なら、勇太に頼めばどこでもOKよ」
 勇太:「いや、あの、自ずと限界はありますよ?」
 ルーシー:「そう……。それなら1つお願いがあるの」

[同日09:30.天候:晴 埼玉県さいたま市大宮区 JR大宮駅]

〔お待たせ致しました。次は終点、大宮駅西口、大宮駅西口でございます。どなた様もお忘れ物の無いよう、ご注意ください。本日は丸建自動車をご利用頂きまして、ありがとうございました〕

 勇太の家の近所のバス停から、大宮駅に向かう路線バスに乗り込んだ勇太達。
 週末午前中の道路と車内は空いていて、ほぼスムーズに終点へ向かう。

 稲生:「それにしても、意外な行き先を希望しましたね」
 ルーシー:「でも、聞いてくれてありがとう」

 稲生が鞄の中から出したのは1枚のパンフレット。
 それは昔行ったことがある鉄道博物館のものだった。
 バスがアルシェ横の小道沿いにあるバス停に停車する。
 外側に開くスライドドアが開くと、稲生達はバスを降りた。

 勇太:「大人3人です」
 運転手:「はい、ありがとうございました」

 勇太は回数券を3枚千切ると、それを運賃箱の中に入れた。

 勇太:「このバス停からでも鉄道博物館を通るバスには乗れるんですけど、作者が未取材の為、ニューシャトルで行きますか」

 そう言って勇太は2人の魔道士を誘導した。

 マリア:「勇太じゃないけど、意外だね。私は勇太の趣味を知ってて、その博物館の存在も聞かされてはいたけど、誘われはしなかったよ?」
 ルーシー:「父が鉄道職員だったもので」
 マリア:「そうなの!?」

 この話にマリアは目を丸くした。

 ルーシー:「だから、日本の新幹線の話も聞かされていたよ」
 マリア:「それで先日、富士山まで行った時に乗った新幹線で、ルーシーが1番テンション高かったわけね」
 勇太:「その前に寄って行きたい所があるんでいいですか?」
 マリア:「いいよ」

 エスカレーターで2階に上がると、稲生達はみどりの窓口に移動した。

 稲生:「3人席横並びの席が空いているといいんですがね……」

 指定席券売機を慣れた手つきで操作する稲生。

 稲生:「あ、空いてた」

 すぐにゲットする。

 稲生:(仙台止まりの比較的遅い電車だから空いてるのか?)

 稲生は首を傾げたが、日曜日の真っ昼間の列車というのもあるかもしれない。

 稲生:「えーと、料金が……」

 するとルーシーが手持ちのクレカを突っ込んだ。

 稲生:「えっ?」
 ルーシー:「これは私の仕組んだ旅行だから、交通費は私が出すわ」
 稲生:「仕組んだって、たまたまチケットを当てただけじゃないか」

 というより悪魔が仕掛けた罠を壊したどころか、更に仕掛けた本人からせしめたというのが事実だが。

 稲生:「これで明日の出発が確定しました」

 因みに稲生に関しては、父親の宗一郎が出してくれた。

 稲生:「これでルーシーさんは東海道新幹線にプラスして、東北新幹線への乗車体験もできるというわけです」
 ルーシー:「それだけでも日本へ来た甲斐があったというもの。……代償は大きかったけど」
 マリア:「いや、それだけを目的にしないで。それだけだと、あまりにもゼルダとロザリーがかわいそう……」
 ルーシー:「分かってる」
 稲生:「キップは明日まで僕が預かります。それじゃ、今度こそ鉄道博物館に行きましょう」

 みどりの窓口を出ると、3人は今度こそニューシャトルの乗り場へと向かった。
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“大魔道師の弟子” 「悪魔の誤算」

2019-06-19 15:27:20 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[5月17日22:00.天候:曇 東京都台東区上野 東京中央学園上野高校]

 稲生がOBとして仕入れた情報によると、オカルト同好会的に集まった当時の女子生徒5名は、ここで悪魔の召喚術を行ったという。
 その召喚術式が書かれた魔道書は本物だったらしく、本当に悪魔を召喚してしまった女子生徒達はパニックに陥り、悪魔に対して正規の契約を持ちかけるわけでもなく、キャンセルして帰すわけでもなく、ただ犠牲者を増やすだけであったという。
 魔道士であれば持ち前のパケット……もとい、ギガ数……もとい、マジックパワーを使って正規の契約を持ちかけるのだが、そもそもが遊び半分で召喚してしまった少女達は対応に困り、ついには悪魔の召喚術を行うことを始めに言い出し、実際に悪魔を呼び出してしまった少女を責め立てた。
 仲間達のこの行為に少女はブチギレ、悪魔に対し、1人の少女を生贄に、残った全員を抹殺するよう命令した。
 悪魔は大きく頷いてこの契約を遂行した。
 翌朝、この地には少女達のバラバラ死体が散乱しており、悪魔を召喚した少女は今も行方不明になっているのだという。

 稲生:(まるでマリアさんのようだ。どこかで魔道士になっているのかもしれないけど、もしそれがダンテ一門だったらすぐに僕の耳に入るだろうしな)

 ダンテ一門に所属する魔道士は世界中で数百人いるという。
 殆どが欧米諸国に集中しているわけだが、その中で唯一の日本人、それも男性ということで注目を浴びた。
 日本人というだけで注目されるわけだから、件の少女がもしもここで魔道士になっているのだとしたら、稲生の先輩として目の前に現れてもおかしくはない。

 稲生:(他門で魔道士になっているのかもな。東アジア魔道団だったら嫌だな……)

 ダンテ一門とアジア圏内でシェア争いをしている他門もある。
 稲生という日本人を先に入門させた為、軋轢が発生しているのだ。
 そちらには日本人も比較的多く入門していると聞く。

 それよりも、マリアとルーシーが召喚した悪魔のことだ。
 その悪魔がこの学校に伝わる怪談話に登場した悪魔と同一なのかは不明だ。

 悪魔:「これはこれは……。魔道士に召喚されるとは有り難き幸せ。そちらは我に何を望み、そして何を与えてくれる?」
 マリア:「その前に聞きたいことがある。これ、お前のしわざか?」
 悪魔:「! 何の事だか、知らぬな」
 ルーシー:「人間は騙せても、魔道士は騙せないってことは知ってるよな?」
 悪魔:「それは重々承知している。だが、身に覚えが無い。契約のこと以外には興味が無い故、これにて失礼……」
 マリア:「待て!まだ話は終わってない!」
 ベルフェゴール:「おいおい。正直に言った方が身の為だよ?」
 悪魔:「げっ!?べ、ベルフェゴール様?!」

 いきなりの上級悪魔の登場に、中級または下級悪魔は驚愕した。
 ベルフェゴールは人間の前に現れる時と同じように、英国紳士の恰好をしている。
 自分よりも格下の悪魔相手に、わざわざ正体を曝け出す必要も無いということだ。
 ベルフェゴールは山高帽の鍔を持ち上げて言った。

 ベルフェゴール:「最近はキミ達の方も、なかなか人間の契約者すら現れず、不景気だってことは知っている。だからキミの手法を否定する気は無い。『人間を誘き寄せるつもりが、間違えて魔道士様を誘き寄せてしまいました。ごめんなさい』と言えば済む話だ」
 マリア:「いや、勝手に済ますなよ?」
 ベルフェゴール:「え?」
 ルーシー:「騙されたのは私の方だ。私の方の悪魔も出さないといけないか?……サタン!」
 サタン:「は、ここに……」
 ベルフェゴール:「おお、サタンさん。しばらく」

 キリスト教は七つの大罪の1つ、“憤怒の悪魔”サタンである。
 ベルフェゴールのシンボルカラーが緑なのに対し、サタンは白。
 だからルーシーはローブの下には白いTシャツを着ている。

 悪魔:「ひ、ひえええっ!さ、サタン様まで!?」
 ベルフェゴール:「何か、ボク達のマスター方はボク達以上のことをお望みのようだ。素直に聞き入れる方が身の為だと思うがね?」
 悪魔:「お、お助けぇぇぇぇっ!」
 マリア:「逃げるな!」
 ルーシー:「待て!」

 魔女達に追い回される悪魔を見た稲生は……。

 稲生:(本当にこいつが、あの怪談話に出て来た悪魔なのか???)

 と、首を傾げた。
 だが、それを確かめる間も無く、悪魔は魔道士2人に調伏されてしまったのである。

 マリア:「これの本物の景品を出さないと、オマエの存在そのものを消す」
 ルーシー:「マリアンナの言っていることは本気だと分かるよね?」
 稲生:(こ、この人達怖い……)

 稲生もまた心の中で震えていると……。

 マリア:「勇太っ!」
 稲生:「は、はい!」
 マリア:「勇太からも何か言ってやって!」
 稲生「は、はい!……そ、そういうわけだから、言う事を聞かないと流血の惨を見る事、必至であります!」
 悪魔:「け、景品は……ありません」
 マリア:「あぁッ!?」
 ルーシー:「ほう……?サタン!こいつ、ボコボコにして!」
 サタン:「……Yes.」
 悪魔:「ままま、待ってください!代わりにこれを!」

 悪魔は代替品を差し出して来た。

 稲生:「あれ?やっぱり大江戸温泉物語の招待券だ。代わりというか、これそのものじゃないの?」
 悪魔:「そうとも言います!ですから、どうかこれで!」
 稲生:「分かったよ。あまり粘ると電車の時間にも響くから、これで手を打つよ。それでいいですね?」
 マリア:「勇太がそう言うのなら、それでいいだろう」
 ルーシー:「……まあ、しょうがない」

[同日22:50.天候:晴 東京都台東区上野 JR上野駅]

 悪魔からせしめた大江戸温泉物語の招待券を手に、稲生達は再び上野駅の低いホームにやってきた。

〔本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。今度の15番線の列車は、22時50分発、特急“スワローあかぎ”15号、高崎行きです。発車まで、しばらくお待ちください〕

 稲生:「いやあ、間に合った間に合った。危うく乗り遅れるところでしたよ。先に乗っててください。僕はジュース買って行きますから」
 マリア:「ああ、分かった」

 2人の魔女は稲生が買ってくれた指定席特急券を手に、先頭車の7号車に乗り込んだ。

 マリア:「勇太の『ジンクス』、魔法になりつつあるね」
 ルーシー:「15番線で15号。私にはこの数字の一致の方が不吉に感じるよ」

 2人席が2つ取られており、そこに座るマリア達。

 マリア:「『数字のマジック』か。そうならない為に、某魔法学校へ行く特別列車はわざと変な数字にしたんだっけ」
 ルーシー:「15という数字。何か意味があると思う?」
 マリア:「下りには奇数の番号を付けるのよ」
 ルーシー:「何で知ってるの?」

 マリアはホームを歩く勇太を指さして言った。

 マリア:「勇太が得意げに語っていた」
 ルーシー:「なるほど」

 ルーシーはそれを手帳に書き込んだ。

〔「この電車は22時50分発、高崎線の特急“スワローあかぎ”15号、高崎行きです。お待たせ致しました。まもなく発車致します」〕

 微かにホームから発車ベルが聞こえて来る頃、勇太が戻って来た。

 稲生:「お待たせしました」

 そして、マリア達とは通路を挟んだ隣の席に座る。
 通路側で、窓側には既に帰宅途上のサラリーマンと思しき男性客が座っていた。
 終点まで乗るのか、座席を最大まで倒し、カーテンを閉めて既に仮眠モードに入っている。
 そもそもが客層的には、そういった利用者を当て込んだ列車である。

〔15番線、ドアが閉まります。ご注意ください〕
〔「15番線から特急“スワローあかぎ”15号、高崎行き、まもなく発車致します」〕

 全車両指定席の電車に駆け込み乗車はされにくい為か、高崎線を走る最終の特急列車はスムーズに発車した。

〔♪♪(車内チャイム)♪♪。「お待たせ致しました。本日もJR東日本をご利用頂きまして、ありがとうございます。22時50分発、高崎線の特急“スワローあかぎ”15号、高崎行きです。これから先、赤羽、浦和、大宮、上尾、桶川、北本、鴻巣、熊谷、深谷、本庄、新町、終点高崎の順に止まります。……」〕

 マリア:「勇太。さっきの温泉のチケット……」
 勇太:「はい」
 マリア:「多分大丈夫だと思うけど、一応本物かどうか確認して」
 勇太:「分かりました」

 当然ながら日本語で書かれている招待券。
 こういうのは日本人に見てもらった方が良いとマリアは判断したようだ。
 さっきチラッと稲生が見た限りでは本物っぽかった。
 いや、あの上級悪魔2人が圧を掛けている状態で偽物を寄越すとは思えないのだが……。

 勇太:「あっ!」

 確かにそれは本物だったが、やはり中級以下とはいえ、悪魔の方もタダではやられないことを実感することになった。
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