[5月16日10:00.天候:雨 東京都台東区 とある総合病院]
稲生とマリアはルーシーの退院の時間に合わせて、件の病院にやってきた。
稲生:「あいにくの雨でしたねぇ……」
マリア:「これも“魔の者”の嫌がらせじゃないだろうな」
稲生:「まさか……」
そんなことを話しながら、入院病棟に向かう。
イリーナ:「やあやあ、よく来てくれたねぇ」
イリーナは目を細めて2人の弟子をハグした。
稲生:「せ、先生……!」
イリーナの巨乳に挟まれる稲生。
マリア:「師匠、勇太にはそれやめてください」
ハグは欧米人にとっては当たり前の行為だが、それが稲生の下半身には毒だということをマリアは知っていた。
イリーナ:「お〜、ゴメンね。ちょっとテンション上がっちゃってねぇ!」
稲生:「先生、それよりルーシーは?」
イリーナ:「ちょっと今、着替え中。見る?」
稲生:「いえ、結構です!後が色々怖いんで」
イリーナ:「あらそう。見たら結構面白いのに」
マリア:「師匠、不謹慎ですよ」
イリーナ:「ゴメンゴメン」
稲生:(面白いって何だろう???)
しばらくしてルーシーが病室から出て来た。
マリア:「ルーシー、治って良かったね」
ルーシー:「マリア、心配掛けてゴメンね」
こちらの魔道士2人のハグは、特にエロさは無い。
イリーナ:「さてと、私は入院代を払って来ようかね」
稲生:「大丈夫なんですか?」
イリーナ:「こっちにはプラチナカードがあるでよ〜、なんてね」
稲生:「さすがです」
マリアでも、渡されているのはアメリカンエキスプレスの一般カード(グリーンカード)なのに。
イリーナ:「早くブラックカードをもらって、戦車でも買いたいね〜」
稲生:「どことどこの国を戦争させるつもりですか!」
イリーナ:「勇太君には新幹線1台買ってあげねからねー」
稲生:「E5系の変形ロボットタイプをお願いします」
イリーナ:「シンカリオンはさすがに買えないなぁ……」
マリア:(何の話してるんだろう……?)
[同日10:50.天候:雨 東京都江東区森下 ワンスターホテル]
その後稲生達は病院前からタクシーに乗り、一先ずはワンスターホテルに行くことにした。
フロントガラスの上をワイパーが規則正しく動く中、タクシーはホテル前に到着した。
ここでもタクシー代はイリーナがカードで払う。
ルーシー:「先生!」
ベイカー:「ルーシー、無事で良かったわね」
ホテルのロビーに入ると、ソファには1人の魔道師が座っており、ルーシーを見つけると立ち上がってハグをしてきた。
ルーシー:「先生、ごめんなさい!私、ゼルダとロザリーを助けられなかった……!」
ベイカー:「しょうがないわよ。あなた1人だけでも無事で良かったわ」
マリア:「ベイカー先生、お久しぶりです。イリーナ組のマリアンナ・ベルフェゴール・スカーレットです」
マリアは片膝をついて上席者たる大魔道師に挨拶した。
相手はイリーナやアナスタシアと同等なのである。
稲生:「同じくイリーナ組の稲生勇太です」
稲生も挨拶をした。
が、またもや日本式の御辞儀をしてしまっている。
本来は片膝をついて挨拶をするのが、ダンテ門内では常識。
だが、ベイカーはさほど気にする様子は無い。
ベイカー:「ベイカー組のアネット・ベイカーです。よろしくね」
イリーナが長身のモデルスタイルなのに対し、ベイカーに関してはふっくらとして眼鏡を掛けている。
どちらかというと、ベイカーの方が家庭的な雰囲気を感じる。
ベイカー:「ああ、因みにダンテ門内にはもう1人アネットという者が弟子持ちをしているから、名前被りする場合は名字の方を組名にするのね」
という補足説明を忘れない。
イリーナ:「やあ、ゴメンゴメン。あの運転手、英語通じなくてさぁ……。ロシア語はさすがに分からないだろうけど」
やっとイリーナがタクシーから降りて来て、ホテルに入って来た。
マリア:「自動通訳魔法具は?」
イリーナ:「ルーシーの荷物の中に入れちゃった」
ルーシー:「えっ、私の?!」
オーナー:「皆さん、もしよろしければ会議室が空いていますから、そちらをお使いになっては如何でしょうか?」
イリーナ:「それもそうね。そっちに移動してお話ししましょう」
稲生:「はい」
魔道師達はホテル1階奥の会議室に移動した。
ベイカー:「あのレストランがキャシーが経営しているお店なの?」
イリーナ:「そうよ。結構、繁盛しているみたい」
ベイカー:「魔法薬を料理の材料に転用するなんて、さすがキャシーね」
貸会議室はそのレストランの手前にある。
[同日12:00.天候:雨 同ホテル1Fレストラン“マジックスター”]
店員:「いらっしゃいませー。何名様でございますか?」
稲生:「5名です」
店員:「かしこまりました。それではあちらのテーブル席へご案内致します」
店員には褐色肌の女性店員が多い。
それもそのはず。
その正体はキャシーの使役する使い魔のカラスだからだ。
“ベタな魔女の使い魔の法則”にはいくつかあるが、黒猫の他にカラスもその1つである。
稲生:「この時間はランチタイムですね」
ベイカー:「遠慮しないで好きな物食べてね。ここは私が御馳走するから」
稲生:「あ、ハイ。ありがとうございます」
マリア:「ありがとうございます」
そしてその売り上げで同門の者が潤う。
正に相互扶助の精神である。
創価学会もそのようにして結束力を高めていったのだろう。
稲生:(それにしても……)
稲生はサービスランチのセットを注文してから、会議室内でのことを思い返していた。
サービスランチは客寄せのサービス商品という位置づけであることから、普段のグランドメニューのものより安くなっていたり、そもそもそこには載っていない限定商品であったりする。
会議室に入ると、イリーナとベイカーが魔法陣を描き、そして稲生も含めて全員でその魔法陣を取り囲んで儀式を執り行った。
言葉はラテン語を喋っていた為、稲生には何のことが分からなかったが、恐らく死んだゼルダやロザリーに対する魔道師達の追善供養だったのだろうと思われる。
稲生は稲生で日蓮正宗信徒として2人の追善供養、つまり塔婆供養を行ったが、イリーナ達は同門の者としてそれに則った追善供養の儀式を行ったというわけだ。
まあ、魔道師達が立場上、神に祈るわけがないので、謗法にはならないだろうが……。
あと強い口調で何か言っていたが、それは恐らく、この事態を引き起こした“魔の者”に対する呪詛か何かだったのかもしれない。
ま、稲生達としては仲間を2人も無残に殺されたわけだから、呪いの言葉の1つや2つ吐きたいものであるが。
マリア:「ルーシーはいつ帰国するんですか?」
ベイカー:「そうねぇ。私がせっかく日本に来たわけだから、ここにいる仲間達に挨拶してから帰りたいわ。幸い、ナスターシャもこっちにいるみたいだしね」
イリーナ:「ナスっちは神出鬼没だからねぇ……」
アナスタシアのことである。
イリーナ:「アタシからベイカーが来てるから、ちょっと日本から出るのは待っててって言っておこうか?」
ベイカー:「そうね。そうしてくれると助かるわ。だから、あと2〜3日ってところね。それまでの間、ルーシーはマリアンナ達と楽しくやってなさい」
ルーシー:「はい、分かりました」
稲生とマリアはルーシーの退院の時間に合わせて、件の病院にやってきた。
稲生:「あいにくの雨でしたねぇ……」
マリア:「これも“魔の者”の嫌がらせじゃないだろうな」
稲生:「まさか……」
そんなことを話しながら、入院病棟に向かう。
イリーナ:「やあやあ、よく来てくれたねぇ」
イリーナは目を細めて2人の弟子をハグした。
稲生:「せ、先生……!」
イリーナの巨乳に挟まれる稲生。
マリア:「師匠、勇太にはそれやめてください」
ハグは欧米人にとっては当たり前の行為だが、それが稲生の下半身には毒だということをマリアは知っていた。
イリーナ:「お〜、ゴメンね。ちょっとテンション上がっちゃってねぇ!」
稲生:「先生、それよりルーシーは?」
イリーナ:「ちょっと今、着替え中。見る?」
稲生:「いえ、結構です!後が色々怖いんで」
イリーナ:「あらそう。見たら結構面白いのに」
マリア:「師匠、不謹慎ですよ」
イリーナ:「ゴメンゴメン」
稲生:(面白いって何だろう???)
しばらくしてルーシーが病室から出て来た。
マリア:「ルーシー、治って良かったね」
ルーシー:「マリア、心配掛けてゴメンね」
こちらの魔道士2人のハグは、特にエロさは無い。
イリーナ:「さてと、私は入院代を払って来ようかね」
稲生:「大丈夫なんですか?」
イリーナ:「こっちにはプラチナカードがあるでよ〜、なんてね」
稲生:「さすがです」
マリアでも、渡されているのはアメリカンエキスプレスの一般カード(グリーンカード)なのに。
イリーナ:「早くブラックカードをもらって、戦車でも買いたいね〜」
稲生:「どことどこの国を戦争させるつもりですか!」
イリーナ:「勇太君には新幹線1台買ってあげねからねー」
稲生:「E5系の変形ロボットタイプをお願いします」
イリーナ:「シンカリオンはさすがに買えないなぁ……」
マリア:(何の話してるんだろう……?)
[同日10:50.天候:雨 東京都江東区森下 ワンスターホテル]
その後稲生達は病院前からタクシーに乗り、一先ずはワンスターホテルに行くことにした。
フロントガラスの上をワイパーが規則正しく動く中、タクシーはホテル前に到着した。
ここでもタクシー代はイリーナがカードで払う。
ルーシー:「先生!」
ベイカー:「ルーシー、無事で良かったわね」
ホテルのロビーに入ると、ソファには1人の魔道師が座っており、ルーシーを見つけると立ち上がってハグをしてきた。
ルーシー:「先生、ごめんなさい!私、ゼルダとロザリーを助けられなかった……!」
ベイカー:「しょうがないわよ。あなた1人だけでも無事で良かったわ」
マリア:「ベイカー先生、お久しぶりです。イリーナ組のマリアンナ・ベルフェゴール・スカーレットです」
マリアは片膝をついて上席者たる大魔道師に挨拶した。
相手はイリーナやアナスタシアと同等なのである。
稲生:「同じくイリーナ組の稲生勇太です」
稲生も挨拶をした。
が、またもや日本式の御辞儀をしてしまっている。
本来は片膝をついて挨拶をするのが、ダンテ門内では常識。
だが、ベイカーはさほど気にする様子は無い。
ベイカー:「ベイカー組のアネット・ベイカーです。よろしくね」
イリーナが長身のモデルスタイルなのに対し、ベイカーに関してはふっくらとして眼鏡を掛けている。
どちらかというと、ベイカーの方が家庭的な雰囲気を感じる。
ベイカー:「ああ、因みにダンテ門内にはもう1人アネットという者が弟子持ちをしているから、名前被りする場合は名字の方を組名にするのね」
という補足説明を忘れない。
イリーナ:「やあ、ゴメンゴメン。あの運転手、英語通じなくてさぁ……。ロシア語はさすがに分からないだろうけど」
やっとイリーナがタクシーから降りて来て、ホテルに入って来た。
マリア:「自動通訳魔法具は?」
イリーナ:「ルーシーの荷物の中に入れちゃった」
ルーシー:「えっ、私の?!」
オーナー:「皆さん、もしよろしければ会議室が空いていますから、そちらをお使いになっては如何でしょうか?」
イリーナ:「それもそうね。そっちに移動してお話ししましょう」
稲生:「はい」
魔道師達はホテル1階奥の会議室に移動した。
ベイカー:「あのレストランがキャシーが経営しているお店なの?」
イリーナ:「そうよ。結構、繁盛しているみたい」
ベイカー:「魔法薬を料理の材料に転用するなんて、さすがキャシーね」
貸会議室はそのレストランの手前にある。
[同日12:00.天候:雨 同ホテル1Fレストラン“マジックスター”]
店員:「いらっしゃいませー。何名様でございますか?」
稲生:「5名です」
店員:「かしこまりました。それではあちらのテーブル席へご案内致します」
店員には褐色肌の女性店員が多い。
それもそのはず。
その正体はキャシーの使役する使い魔のカラスだからだ。
“ベタな魔女の使い魔の法則”にはいくつかあるが、黒猫の他にカラスもその1つである。
稲生:「この時間はランチタイムですね」
ベイカー:「遠慮しないで好きな物食べてね。ここは私が御馳走するから」
稲生:「あ、ハイ。ありがとうございます」
マリア:「ありがとうございます」
そしてその売り上げで同門の者が潤う。
正に相互扶助の精神である。
稲生:(それにしても……)
稲生はサービスランチのセットを注文してから、会議室内でのことを思い返していた。
サービスランチは客寄せのサービス商品という位置づけであることから、普段のグランドメニューのものより安くなっていたり、そもそもそこには載っていない限定商品であったりする。
会議室に入ると、イリーナとベイカーが魔法陣を描き、そして稲生も含めて全員でその魔法陣を取り囲んで儀式を執り行った。
言葉はラテン語を喋っていた為、稲生には何のことが分からなかったが、恐らく死んだゼルダやロザリーに対する魔道師達の追善供養だったのだろうと思われる。
稲生は稲生で日蓮正宗信徒として2人の追善供養、つまり塔婆供養を行ったが、イリーナ達は同門の者としてそれに則った追善供養の儀式を行ったというわけだ。
まあ、魔道師達が立場上、神に祈るわけがないので、謗法にはならないだろうが……。
あと強い口調で何か言っていたが、それは恐らく、この事態を引き起こした“魔の者”に対する呪詛か何かだったのかもしれない。
ま、稲生達としては仲間を2人も無残に殺されたわけだから、呪いの言葉の1つや2つ吐きたいものであるが。
マリア:「ルーシーはいつ帰国するんですか?」
ベイカー:「そうねぇ。私がせっかく日本に来たわけだから、ここにいる仲間達に挨拶してから帰りたいわ。幸い、ナスターシャもこっちにいるみたいだしね」
イリーナ:「ナスっちは神出鬼没だからねぇ……」
アナスタシアのことである。
イリーナ:「アタシからベイカーが来てるから、ちょっと日本から出るのは待っててって言っておこうか?」
ベイカー:「そうね。そうしてくれると助かるわ。だから、あと2〜3日ってところね。それまでの間、ルーシーはマリアンナ達と楽しくやってなさい」
ルーシー:「はい、分かりました」