報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“大魔道師の弟子” 登場人物とその他紹介

2015-11-12 19:22:24 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
 ダンテ一門:

 ダンテ・アリギエーリが創設した魔道師一門。
 但し、組織化というほどの組織化はしていない。
 従って、ダンテ一門という呼称も第三者からのものによることが多い。
 師範(最高師範)は創設者のダンテであり、直弟子のイリーナやポーリンなどが師範代(正規の師範)格となる。
 魔道師の世界の中では大規模な門流になるものの、折からの科学の発達により、その数は減少している。
 明確な数は知られていないものの、世界中合わせて2桁行けば御の字とのこと。
 “独立と協調”がモットーで、門内における座右の銘は、
「1、仲良きことは美しき哉」
「2、我は我、君は君なり。されど仲良き」
 である。
 武者小路実篤のそれと全く一緒だが、どのような経緯でそうなったかは不明。
 いずれにせよ、門内での争いを禁じている。
 後に争いを招くという理由で、馴れ合いも自重するように指導されることがある。
 但し、もちろんのことながら、いざという時の協力体制、その為の関係構築、その為の親睦を図る為の行動については全く禁止されていない。
 尚、門内での恋愛・結婚も自由。
 実際にそれで門内でカップルが何組が成立し、魔道師における“法統相続”に成功した者達もいるという。
 中には独立して新たな門流を立ち上げる者もいるが、ダンテとしては禁止することはない。
 但し、師弟相対の観点から、基本的に他門との掛け持ちは禁止(掛け持ちを認めている門流もある)。
 他門との個人的な交流は禁止ではないが、紛争となった場合は自己責任で解決する規則になっている。
 組織化されているわけではないので、本部があるわけではない。
 が、他門との交流会の際はイギリスで行われることが多いため(開催場所はダンテ一門などの大規模門流が決めることが多い)、実質的にイギリスだったりする。
 その理由は、大陸だと未だに魔女狩りにこだわる一部のキリスト教団がいる為。
 そこで、イリーナは次回の開催場所を日本にするよう提案している(日本も人口に対してクリスチャンの数が少ない)。
 アジアでの開催は意外と安全だろうという観点から、通りそうな勢いである。
 免許皆伝については明確な試験があるわけではなく、その師匠の判断に委ねられている。
 尚、イリーナが勝手にマリアンナを免許皆伝にした(止むに止まれぬ事情があったにせよ)ことで、門内に混乱を引き起こしたことから、まず直属の師匠が判断し、最終的な判断をダンテが行う形に落ち着いた。
 弟子の審査に関しては、特にダンテが行うことはない。
 直属の師匠が新たに弟子を取った際に確認するくらい(多くはそこで弾くことはない)。
 弟子入りの儀式や免許皆伝の儀式を執り行うのは直属の師匠だが、ダンテも手が空いていれば立ち会いを行う。
 儀式を行う場所は、基本的にその弟子の都合に合わせる。
 つまり、稲生の場合は日本で行った。
 弟子の出身国が戦争中だったり、政情不安でとてもできない場合は、師匠の拠点国で行うことがある。
 大規模門流だからか、“魔の者”に目を付けられており、警戒態勢が取られている。
 魔道書は基本的にダンテが著したものを使用するが、正規の師範クラスになれば自分で魔道書を著すことができるので、それを使用する弟子もいる。
 マリアンナも当初はダンテの魔道書を使用していた。
 その為、魔法を使用する際、唱える呪文の中に“神曲”の一部が入る。
 どういうわけだか法華経もその中に入っており、稲生はその題目を使用することがある。
 過去に交流会がインドのニューデリーで行われたことがある。
 イギリスの植民地だったからというのが表向きの理由だが、ダンテが非常に懐かしがり、現地の料理を美味そうに食べたということから、ダンテと何か所縁があるのではないかと思われる(現在使用している肉体が黒人っぽいところをみると……)。
 1番新しい弟子は稲生勇太。
 大学を卒業し、日本時間4月1日付けで弟子入りしたことから、他の魔道師からは「新卒採用」と呼ばれている。
 一門としては、まだ新弟子を募集しているようである。

 藤谷春人:

 稲生勇太の日蓮正宗時代の紹介者にして直属の上長。
 身長は180cmを超え、体重も100キロを数える巨体。
 それでいて黒スーツにベンツを乗り回し、更に顔も強面である。
 仕事は父親が経営する土建会社の経営を手伝っている(株式会社 藤谷組 専務取締役)。
 会社では地方の仕事を盛り上げる役回りだが、北海道のテーマパーク建設の仕事を取ったことで、前編での“魔の者”との戦いに巻き込まれる(その後、首都圏での仕事を安定的に取れるようになったため、地方の仕事は取らなくなっている)。
 年齢は30代後半で独身。
 元は女嫌いで(しかしLGBTのGでもない)、日蓮正宗に移ってきたのも、それまで信仰していた浄土真宗の末寺に尼僧が着任したことから、本山に物言いを行う。
 が、却下されて退転。
 尼僧のいない宗派を探したところ、先に御受誡していた父親から日蓮正宗への入信を勧められて応じる。
「女人成仏不可の法則!」
 ……日妙聖人や日顕上人の御母堂様のことを知っているのだろうか?
 前編においては稲生達を“魔の者”の潜む城や、そこで捕らわれていたイリーナを救助したり、予め父親に連絡して脱出手配を行っていたり、稲生達に帰りの航空券を譲ったりと終始“魔の者”に負けていたマリアンナよりも活躍を見せる。
 イリーナが弟子入りの勧誘をしないことから、魔道師の資質は無いらしい。
 尚、イリーナを意識したことから、実は女嫌いではなく、意外と熟女は好きなのかもしれない。
 前作“ユタと愉快な仲間たち”ではワトソンのような物語のスターター役をやったりしたが、“顕正会版人間革命”や“妖狐 威吹”では作者をしてバリバリの顕正会員だったことから稲生がバリバリの顕正会員だった為、顕正会員に嫌がらせをする悪役法華講員のような立場になっていた(本部の衛護隊員に恫喝したり、顕正会員を待ち伏せしたりと……)。
 因みに作者の思い入れが強いのは、この藤谷春人である。
 前編の活躍ぶりから、イリーナより何らかの謝礼があったもよう(直後に藤谷組の売り上げが大幅アップした)。
 モデルについて、名前は作者の高校時代の友人より無断で拝借。
 外見については、作者が現在の警備会社に入社して世話になった上司の1人である。
 
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“新アンドロイドマスター” 「リベレーションズ」

2015-11-12 15:25:06 | アンドロイドマスターシリーズ
[11月8日14:00.東京都墨田区・敷島エージェンシー 敷島孝夫、平賀太一、1号機のエミリー、3号機のシンディ、8号機のアルエット、井辺翔太]

「ただいま、戻りました」
 アルエット達が出発の準備をしている最中、井辺とMEGAbyteの3人が戻って来た。
「おー、井辺君、お疲れさん!」
 敷島はピッと右手を挙手する。
「随分と賑やかですが、何かありましたか?」
「ちょっとアルエットを連れて行くよ」
「アルエットさんですか?何かお仕事でも……」
「いや、緊急の点検だよ」
「緊急点検?」
「まあ、大したことじゃないんだけどな。ところで今戻ってきたってことは、車は……?」
「はい。地下の駐車場に留めてあります」
「よし!ちょっとそれ借りるぞ!」
「は、はあ……。(借りるも何も、会社がリースしている車だけど……)」
 ボーカロイド達の移動の為に、ミニバンをリース契約している敷島エージェンシーだった。
「アルエットさんの整備を行うということは、デイライト・コーポレーションさんへ行かれるということですか?」
「そういうことだ」
 奥からシンディとアルエットがやってくる。
「準備できたわよ!」
「よーし!じゃ、行くぞ!」
 事務所から共用廊下に出る。
「平賀先生、行きますよー!」
「はーい!」
 廊下の向こうの喫煙所で煙草を吸っていた平賀だった。

〔下に、参ります〕

 エレベーターにバタバタと乗り込む。
 因みに空気清浄器の付いた最新のエレベーターなのだが、平賀が乗り込むと何かを感知したのか、『急速空気清浄』とかモニタに出た。
(喫煙者の場合、吸った後も匂いがするんだよなぁ……)
 と、吸わない敷島は心の中で思った。

 5階の事務所から地下1階の駐車場まで下りる。
「よし、急ぐぞ!」
 敷島が運転席に座り、平賀が助手席、マルチタイプ3機はリアシートに座った。
 8人乗りなのだが、アルエットを除く2機が重量の為、定員並みに乗っているほどの重さを感じる。
 まずは首都高速の入口を目指した。

[同日15:30.埼玉県さいたま市西区 デイライト・コーポレーション・ジャパン埼玉研究所 敷島、平賀、エミリー、シンディ、アルエット、アリス・シキシマ]

 ロボット科学館としての再建を目指す研究所。
 いわゆる機密事項の多い研究所としては、更に埼玉の奥地へ移転する。
 広く世間に認知してもらう為のパビリオン施設としても、多少交通は不便だが。
 研究所としての機能は、科学館として再出発する頃までは稼働している。
「この道路で激戦が行われたっけなー!」
「そうですね」
 2車線が真っ直ぐ伸びた長閑な一本道。
 レイチェル線の時が1番激戦であった。
 バージョン・シリーズの鉄塊、巻き込まれた車の残骸、そして所々上がる爆発音と炎……。
 敷島があの時も放置されたバスに乗り込み、バージョン4.0軍団に突っ込んで行ったこともある。
 KR団が崩壊してからというもの、バージョン4.0の影は一切見ることはない。

 車で到着すると、すぐにアリスら研究者達が待ち構えていた。
「急いで入って」
「ああ、頼む」
「あの……わたし……」
 物々しい雰囲気に不安な顔を浮かべるアルエット。
「ああ、心配するな。ちょっと不具合のようなものが見つかったから、緊急に点検を行うだけだ。こっちには優秀な技術者の皆さんがいる。お前は何も心配しなくていいぞ」
「じゃ、アルエット。あっちで服脱いできて」
 アリスが赤い縁の眼鏡を掛けて言った。
「行こうか」
 シンディがアルエットを促した。
「一体、何が見つかるか……」
 敷島にできるのは、ここまで。

[同日16:30.同場所1F・小実験室 敷島、エミリー、シンディ]

 アルエットは科学館オープン後は、そこの専属ガイノイドとしての仕事が決まっている。
 要はマスコットガールのようなものだ。
 それだけでは何なので、時折はシンディ達も参加させてもいいのではないかと思った敷島。
「今、ご契約頂けるのであれば、消費税はこちらでサービスしますよ?」
 小実験室と称する部屋の中には、およそ実験室とは思えない設備が整っていた。
 まるで、音楽室ではないかと思うようもの。
 エミリーがピアノを弾いて、シンディがフルートを吹いている。
 ガラス窓を挟んだ隣の部屋では、敷島が何やら交渉をしていた。
 技術に関しては平賀達にお任せだが、営業に関しては敷島の出番ということだ。
「うーむ……。旧型とはいえ、いま稼働しているマルチタイプが集結する所を見られるのは珍しいですからね」
 科学館立ち上げの担当者も考え込んだ。
「しかし、契約料が結構張りますねぇ……」
「マルチタイプは結構有名になっていますのでね、デイライトさんにとっても良いPRになるかと……」
 敷島は揉み手しながら、プレゼンテーションを行った。
 が、それに水を差す出来事が起こる。
「ん?」
 そこへ敷島のケータイが鳴る。
「ちょっと、失礼します」
 敷島が電話に出ると、それはアリスからだった。
「何だ、アリス?商談中に……」
{「それどころじゃないわよ!ちょっと大研究室まで来て!」}
「はあ?」

 敷島は急いで2階の大研究室まで向かった。
 そこは物々しい雰囲気になっていた。
「一体、どうしたんだ!?」
 敷島が中に入ると、まず台の上にはあちこち配線や基盤が剥き出しになっているアルエット。
 そして、どういうわけだか、PCのキーボードを高速で叩いている平賀の姿。
「これは一体……?」
「設計図の中にパスワードがいくつか隠されていたの。でも……」
「くそっ!」
 平賀のPCを覗き込むと、まず平賀がパスコードを入力した。
 すると次に、『今の数字に13を掛け、更に2.5で割った数字を10秒以内に入力せよ!』
「な?な?な……!?」
 残り1秒というところで、平賀が正しい数字を打ち込むと、もっと難しい数学が出て来た。
 敷島は唖然。
「アリス、俺の出番無いじゃないか!」
 アリスはパスコードを解読していた。
「一体、どういうことなんだ!?」
 すると、別の研究員が教えてくれた。
 どうやら、アルエットの体から電波が送信されているらしい。
 その電波はどんな受信機でも、受信できないという不思議なもの。
 出所を調べていたら、パスコードの解析や平賀がやっている計算式の入力などが求められた。
「それをすることで、何が起きるというんです?」
「アルエットの体から、その電波が送信している機器が取り出させるかと」
「え?無理にでも取り出せないの?」
「そうなんです」
「そうなんですって……」
「主任!電波の送信先が分かりました!」
 と、別の研究員が報告した。
「アリスは何か今忙しいようです。何ですか?」
 敷島が代わりに聞いた。
「電波の送信先はここです!」
 研究員がタブレットを操作すると、室内の大きなスクリーンに地図が映し出された。
「はあ!?南東北第2原発!?それ何!?」
 その時、通信機からシンディの声が聞こえて来た。
{「社長、ちょっと変なことがあって……」}
「変なこと?」
{「姉さんが“人形裁判”を弾いていたら、ゴンスケがメモリースティックを持ってきて……」}
「ゴンスケ?」
 すると、研究員が耳打ちした。
「うちの研究所にいる実験用の芋掘りロボットですよ」
 と。
「その芋掘りロボットが何だって?」
{「メモリースティックを見てみたら、バージョン400のが入っていて、『マルチタイプは我々の上位種です。「自爆しろ」と命令されれば従います』ってあったのよ」}
「ま、まさか、アルエットが送っている電波って!?シンディ!福島県沿岸部辺りに稼働しているバージョン・シリーズが無いか検索してくれないか!?」
{「わ、分かった!」}
 だが、すぐにエミリーから通信が入った。
{「バージョン400が・複数機・反応して・します」}
「400!?が、複数!?……や、やりがったな!KR団の奴ら!!」
 敷島が大研究室内に向かって大声を上げた。
「アルエットの電波を早く止めてください!原発が爆破される!!」
 
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“大魔道師の弟子” 主要登場人物紹介 3

2015-11-12 02:33:16 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
 ポーリン・ルシフェ・エルミラ:

 ダンテ一門の中で古参の魔道師で、イリーナの姉弟子に当たる。
 但し、一番弟子ではないもよう(イリーナもダンテも本人も称していない)。
 大師匠ダンテを心酔しているが、弟子入りの経緯は不明。
 魔法の妙薬を作る薬師(ヒーラー)に属する(“魔女の宅急便”でいうなら、キキの母親みたいな感じ)。
 作中では弟子のエレーナを動かす他、件の妙薬を作ることくらいしか出て来ないが、イリーナの先輩であることから、彼女もまた各種様々な魔法が使えると思われる。
 イギリスのブリテン島のどこかに一軒家を構え、そこを拠点としている。
 家にいる時は老婆の姿でおり、外出する時は魔法で肉体を若返させる。
 イリーナと同じ30代の女性程度まで若年齢化させるが、もっと力を出せば更に若返りも可能である(イリーナと違い、こちらは肉体の使用期限に余裕があるため)。
 しかし慎重派なのか、魔力の温存の為にそこまで力を出さない(家にいる時、魔法を解除して老婆の姿に戻るのもその為)。
 容姿はプラチナ色に近く、ウェーブの掛かった髪に丸縁の眼鏡を掛けている。
 性格は生真面目で、自分にも他人にも厳しい。
 他門はもちろん、門内であっても他の魔道師をライバル視している。
 その為か、イリーナからの馴れ馴れしい呼称を嫌がっている。
 また、免許皆伝前の頃、修行を逃げ出したイリーナを軽蔑していた。
 今でも顔を合わせれば何かしらの口ゲンカはするが、最後には穏便な別れ方をすることから、実はケンカするほど仲が良いのではと弟子達に思われている。
 イリーナが修行を投げ出したことでダンテの肩を落とさせた為、当時からダンテに心酔していた彼女は再三に渡ってイリーナの破門を申し出ていた。
 また、イリーナを連れ戻す為、各種様々な手を使っていた。
 さすがに死体にしてでも連れ戻すと、本当に殺傷能力のある魔法を使おうとした時には、他の門下生全員から全力で止められた。
 免許皆伝後、ダンテからの弟子を取るようにとの指示にいち早く呼応した。
 何だかんだでイリーナと気が合うのか、東欧地域に目を付けた。
 その後、イリーナはマリアンナの事を追ってイギリスへ。
 ポーリンは東欧に残って、弟子に相応しい人材を探した。
 ウクライナにて紛争の最中、家族を失って途方に暮れていたエレーナを発見。
 すぐに保護して弟子入りの勧誘をし、こちらもマリアンナと同様、素直に応じた。
 いずれも今の人間としての人生に悲観したものの、死に切れずにいたという状況の故であろう。
 “魔の者”対策は万全で、イリーナと違って先手必勝法を取る。
 アメリカに本部を置く世界的なマフィアのボスに憑依して、魔道師達を狙っていた“魔の者”にエレーナと共に攻撃を仕掛ける。
 弟子が重傷を負わされるなど苦労したが、最後はマフィアの本部ビルごと崩壊させるなど、ハリウッド映画並みの激戦でもって“魔の者”に打ち勝つことに成功した(が、皮肉なことに、エレーナの事は諦めた“魔の者”が、今度はマリアンナに目を付けることになる)。
 得意の薬作りで、新作の試薬を門下生達によく送り付ける(但し、実験台ではなく、ある程度の実験に成功した新作を発表するという感覚である)。
 前編ではエレーナを通して、マリアンナ達にアイテムを含む自作の妙薬を渡している(肝心の回復薬が少なく、戦いの後で疲弊したマリアンナ達の体を全快させるまでには至らなかった)。
 ケンショーレンジャーに下剤入り牛乳を飲まされたマリアンナが服用した下痢止め薬も、ポーリンの作品である。
 このように、薬師としての腕前は断トツで、拠点となっているイギリスの片田舎では、彼女の薬を買い求める人達が後を絶たず、その為に生活には困っていない。
 が、イリーナには高額で売り付ける傾向がある(ものの、最後には逆にイリーナに値引き交渉されたりする)。
 契約している悪魔は“七つの滞在の悪魔”の一柱で、“傲慢”のルシファー。
 色分けは黄色。

 ダンテ・アリギエーリ:

 魔道師の世界では一、二を誇る大規模な門流を統括する師範。
 彼がどこから来て、この世界で何をしているのかは定かではないが、少なくとも世界大戦が勃発した時には弟子達に火消しに当たらせたり、東西冷戦時代にはそれが第3次世界大戦に発展しないよう監視を続けたことから、少なくとも世界に仇なすことはないもよう。
 実際、弟子を持てる資格を持ちながら、まだ持っていないイリーナ達に弟子を取るように促したのも、現状の人員では世界大戦の発生を防ぐのに不十分だと判断したため。
 第2次世界大戦で核兵器の使用を止められなかったことに大きく肩を落としたというから、この出来事が人員増加を決意したと思われる。
 実際それで何人の弟子が入ったのかは不明だが、マリアンナやエレーナ、稲生がその流れで入門することになったわけである。
 イリーナやポーリン以上に気の遠くなる悠久の時を過ごしてきたとされるが、感情に乏しいわけではない。
 大師匠としての威厳を保ちつつ、イリーナに逃げられた時や、20世紀における世界大戦での対応ミスには大きく肩を落としている。
 それでいて弟子達の振舞いには寛容的で、イリーナが脱走した時も彼女を破門にすることはなかったし、その後で実力を付けた彼女に免許皆伝を行っている。
 ただその後、いつまでも弟子を取ろうとしない態度にはさすがに厳しく注意した。
 それでも弟子を取ったという報告が無かった為、いい加減そろそろ仕置きが必要かとロシアの当時イリーナの拠点だった場所に赴くのと、イリーナがマリアンナを連れてイギリスから戻ってきたのはほぼ同時。
 マリアンナのその後について、起こり得る事態を一早く見抜き、イリーナの荒技を許可した。
 その後、命じてもいないのに稲生を弟子入りさせたことを大きく喜んだという。
 名前からしても分かるように、13世紀頃に活躍したダンテ・アリギエーリその人。
 但し、それはその当時の通名で、本名は別にあるという(イリーナ達を弟子入りさせた頃は、まだ哲学者としてのダンテが存在する前だった)。
 代表作である“神曲”の一部が、門下生達の魔法使用時の呪文になっている(例、『パペ、サタン、パペ、サタン、アレッペ!』など)。
 イリーナ達と同様、数百年おきに肉体を交換していると思われる。
 人間界を歩く時は黒いスーツに冬季はコートを羽織り、山高帽を深く被ってステッキを持つ。
 普段の姿は50代前後の姿でいることが多い。
 手袋も着用している為、肌の露出は帽子の下の顔のみ。
 それが色黒で髪も白髪交じりの黒髪であることから、黒人の体を使用している可能性がある。
 彼の著す魔道書や手紙はラテン語で書かれている。
 大魔王バァルとは旧知の仲。
 彼が大魔王を引退することになった際は共に冥界に向かい、そこで悠々自適の生活を送っている。
 弟子達からの信望はとても厚く、特にポーリンからはまるで宗教の教祖のように崇敬されている。
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