報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

スピンオフ“妖狐 威吹”より、「威吹と愉快な仲間たち」ボツネタ部分

2013-11-29 19:29:43 | 日記
[時刻不明 場所不明 威吹邪甲]

 あの時から、どれくらい経ったのだろう。1人震えてた闇の中、ボクは誰かに問うた。何も見えず、何も聞こえず。ただ只管に、時だけが流れていく。
 ボクが犯した数々の罪。両の手には赤色と鎖。両の足首には青色の鎖。自分が死んだのかも分からず、ここが地獄なのかも分からない。
 しかし、無間地獄にもいずれは終わりがあるように、こんな地獄なのかどうかも分からない閉鎖された闇の空間。ここに閉じ込められてた期間も、もう終わりのようだ。
 壁の隙間から現れた、有数の小さな光。この時、ボクはやっと闇の中から解放されたんだ。

「…………」
 気が付くと、見慣れぬ場所にボクはいた。目の前には、人間が1人。だが、あまりきれいな恰好はしていない。ボクと同じ……いや、ボクよりも年下か。
 ほんの一瞬見ただけで、強い霊力を持ち合わせているのが分かった。聖職者のようには見えないが、まあいい。
「ボクを解放してくれたのは、お前か?」
 人間の男は、ボクの姿を見て茫然自失としているようだった。
「ボクの言葉が分かるか?ここはどこだ?見たところ、田無宿や小川宿ではないようだが……」
「き、キミこそ誰!?」
 ほお。日本語(ひのもと言葉)を喋っている。どうやら、言葉の通じぬ大陸などに飛ばされたわけではないようだ。
「ボクの名前は威吹。字は邪甲。威吹と呼んでくれればいい。生の発するところ、魔境の……あれ?」
 しかし、人間の男は一目散に逃げ去ってしまった。封印前なら追いかけて捕まえるところだが……今でも追わなくてはならないな。妖狐族は受けた恩と仇は必ず返すのが掟だ。狐の呪いはしつこいと人間どもは噂するが、理由はそこにある。

「うむ?」
 男はすぐに見つかった。だが、道の真ん中で、男と似た黒い装束(学生服)を着た男3人と何か話しているようだ。むむっ、仲間と結託してボクと対峙するのか?
 しかし、聞き耳を立ててみると、どうも違うみたいだ。何か、
「金貸してくれ」
 とか、聞こえてくる。あの男は、高利貸しか何かか?
「ん!?」
 だが、どうも穏やかならぬ話のようだ。見ると、長身の男がボクの封印を解いてくれた男から、何かを奪い取っている。
(仲間じゃなくて、野盗か?)
 いずれにせよ、ボクも大事な話がある。
「御免」
「あ?何だ、テメー?」
「話はまだ終わらぬか?某(それがし)、この男と話があるのだが……」
「稲生君は歌舞伎の役者さんとも仲良しですか?さすがお金持ちは違いますなぁ……」
 ボクより小柄で、しかし肥満体の男がニヤニヤ笑いながら、ボクの封印を解いてくれた男、稲生と言うようだが、彼を見た。
「もっと持ってるんでしょ?催促無しのある時払いで頼むよー」
「某、歌舞伎者ではござらんが……」
 てか、初めて言われた。この国の歌舞伎者は、ボクみたいな恰好をしているのか?
「某、少々急いでいるので、早くこの男と話をさせて頂きたい」
 ボクはそう言ったが、どうやらこの3人の男は稲生氏とは友好関係の者達ではないなと分かった。友好的な態度で、胸倉は掴まぬだろう。いかにここが他国とはいえ、そういう習慣は恐らく日の本言葉を喋る国では無いだろう。何より、稲生氏の持ち物を勝手に漁っている。
「っせぇ!だったら、てめーも金出せ、オラ!」
 最後の中肉中背の男がボクの胸倉を掴んできた。決定的だな。
「ん?」
 ボクは自分の右手で、そいつの手を掴むと、
「いでででででで!!」
 ひねり倒した。
「な、何だ、テメェ!?」
 相手は刃物を出してきた。が、どうやら小刀のようだ。笑止!
「ぶっ!?」
「げっ!?」
 こんな奴ら、剣も妖術も必要ない。素手で十分。あっと言う間に、倒してやった。
「さて、話の続きだけど……あれ?」
 また逃げられてしまった。逃げ足は速いんだな。まあいい。匂いは覚えた。後でまた訪問しよう。どうせ、住まいはこの近くだろう。

[18:00.宮城県仙台市若林区東部の自宅 稲生ユウタ]

 い、一体、何なんだ……!?
 不良グループから逃げて、稲荷神社に逃げ込んだものの、追いつかれそうになった。その神社は何故か狐の石像が3体もあって、そのうちの1つに触れたら、石像が壊れて、中から……不思議な人が出てきた。銀髪が腰まであって、白い着物に紺色の袴をはいていた。神社のサプライズ?いや、まさか……。
 夕食を食べていると、テレビからニュースが流れてきた。
〔「次のニュースです。今日午後4時頃、仙台市若林区○○で、男子中学生2人が何者かに襲われ、重傷を負うという事件がありました」〕
「……え?」
〔「中学生達は病院で手当てを受けていますが、全員がうわ言で、『狐に襲われた』と……。警察では……」〕
「狐……。ん、2人!?」
 その時、玄関のドアを叩く音がした。両親は多忙で、家にはユタしかいない。
「は、はい」
「たのもー!」
「……え?」
 玄関の外から、聞き覚えのある声がした。
「たのもー!たのもー!」
「やっぱり来た……」
 ガチャとドアを開ける。
「やっぱりここだったか」
「どうして分かったの?」
「匂いを覚えたし、それに……」
「カンベンしてくださいぃぃ……。許してくださぃぃ……」
「わあっ!?」
 威吹は右手で、先ほどユタを襲った不良グループのリーダーの首根っこを掴んでいた。
「この者に案内を頼んだでござる」
 哀れ、リーダーは顔面がボコボコになり、両方の鼻の穴から鼻血をダラダラ流し、口からも血を流していた。
「差し当たり、2度とお前とは金輪際関わらぬと確約させたでござるが、よろしいか?」
「…………」
 ユタは開いた口が塞がらなかった。

[18:30.ユタの家の中 ユタ、威吹]

「あの野盗は取りあえず、件の神社にて簀巻きにしておいたでござる。運が良ければ、発見されるであろう」
「……もういいっス」
「これが奴らよりの手切れ金。この国の……藩札でござるか?……円?これがこの国の通貨でござるかな?」
「そんなものまで……!」
「負けた者は全てを失う。これが命を掛けた男の戦いの掟でござるが……」
 更に威吹は白い紙に包まれた封書を出した。
「詫び状が3通。金輪際、お前と関わらぬことを確約させたでござる」
「……僕に話って何?」
「えー、まず、改めて名前を。某、名を威吹。字を邪甲と申す。威吹と呼んで頂いて結構。見ての通り、人間ではござらん。人間界と魔界の間に、位置し魔境という場所がござる。そこの外れに、“妖狐の里”という郷がござってな、某はそこの出身。つまり、妖狐でござる。妖狐というのは、書いて時の如く、狐の妖怪であるが、動物の狐とはまた違う存在でござる。稲荷大明神の御使いの末裔……のなれの果ての妖(あやかし)で……」

 30分経過。

「……従って、某には新たに“獲物”となって頂く人間が必要でござる。それは詳細を申せば……」
「もういい!で、あなたは僕に何をして欲しいの?」
「それを今から話すつもりであったが……まあ良い。その前に、そなたの名前は?」
「稲生……ユウタ……です」
「ふむ。ではユタと呼ばせてもらおう」
「ええっ、何で!?」
「特に理由は無い。その方が呼びやすいからだ。不満でござるか?」
「いや、別にいいけど……」
「ユタには某の“獲物”になって頂きたい。そしてその素晴らしき霊力を備う血肉を食らいたい」
「……え?」
「無論、今すぐではござらん。もし仮に某の“獲物”になってくれると申すならば、ありとあらゆる災厄からユタ殿を守ろう。例えば、先ほどの野盗共から守ることなど、容易いことだ。盟約の期間は、ユタ殿が寿命で死ぬまで。血肉を食らうのは、ユタ殿が寿命で死亡した時でござる。つまり、ユタ殿の死体を貰い受けたいのだ。無論、遺骨は必要無い。あくまで、血と肉だけ頂ければよろしい。墓に入れなくなるというわけではないので、その点は心配御無用。……いかがでござるか?」
「うん。絶対ヤダ」
「では、また日を改め直すでござる」
 威吹は席を立った。
「……えっ?また来るの!?」
「三顧の礼、というものがござる。無論、三顧どころでは無いつもりだ……」
 威吹はそう言って、家から出て行った。

[翌日16:00.ユタの家の前 威吹邪甲]

「たのもー!」

[翌々日16:00.同場所 同人]

「たのもー!」

[翌々々々々々(中略)々々々日16:00. 同場所 同人]

「たのもー!」
「わーっ!分かったから!」
 ユタは玄関のドアを開けた。
「盟約の締結を……」
「待って!もう少し話を聞かせて」
「質疑応答は随時でござる」
 ユタは威吹を家に上げた。
「して、何の質問でござるか?」
「“獲物”になったら、キミはどういう生活をするの?」
「どうって……。普通に同居させて頂くことになるが……」
「やっぱり!」
「同居することで、常に“獲物”に襲い来る災厄から守ることができるが……」
「僕が勝手に決めらんないよ。父さんや母さんもいるし……」
「さようか。しかしここ数日、その姿を見かけぬが……」
「2人とも忙しくて、家にいない日も多いんだ」
「では、某からご挨拶申し上げよう」
「ええーっ!?」
「ユタ殿も口添え宜しく頼む」
「ぼ、僕は……」
「無論、それに当たってタダでとは言わん」

[その日の20:00.ユタの家の中 威吹邪甲 ユタと両親]

 威吹は畳の上に置かれたテーブルの上に、金色に輝く小判の束を置いた。
「家賃は、お支払い致します。差し当たり、20両で如何?」
「こ、これ、本物かい!?」
 父親は驚愕していた。
「さよう。何より、御前で某の懐から出したことが何よりの証拠」
「威吹?」
 ユタは目を丸くして、
「こんな大金、どこから!?」
「偽金なら、木の葉から変化させる。これでまだ足りないのであれば、更に20両ござる。封印前に稼いだものと、里から持ち出した小遣いも含まれている」
(威吹が封印されたというのは、江戸時代の始め頃。その頃、1両は今の10万円相当だって聞いたけど……)
 ユタは日本史の教科書を見た。
「お父さん……」
 母親は父親を見た。
「本物かどうかは明日、調べてみよう。とにかく、ユウタのお友達なら今夜は泊まって行っていいから」
「かたじけない」
 威吹は両手をついて、深々と頭を下げた。(公開終わり)

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 この時、威吹はまだ自分が異国の地に飛ばされた程度にしか思っていない。この後、ユタの部屋で一夜を過ごすうちに(変な意味ではない)、自分が400年以上も封印されていたことを知って愕然とする。里から全く捜索も出されなければ、救助も無かったこと、つまり見捨てられたことに絶望するシーンがこの後ある。
 見ていて可哀想になったユタは、ついつい盟約書に判を押してしまうというもの。現代と違い、未成年者は保護者の承諾が必要という制限は無い。
 尚、年齢を聞いてユタより年上だとは分かったものの、威吹は別にそういった上下関係は気にしない。
 また、侍言葉は固いので、通常の言葉で喋るようにユタに言われてそうする。

 ユタの視点で物語が進む“顕正会版人間革命”では、ユタが威吹の封印を解いた経緯の詳細と、ユタの学校生活についてもう少し詳しく書かれている。
 つまりこの物語、ユタと威吹、主人公が2人いるということ。

※誤字があったので、11月30日に手直ししました。
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あ、この人まだいたんだw

2013-11-29 17:11:31 | 日記
「街コン」に税金使っていい? 政府の少子化対策で浮上(朝日新聞) - goo ニュース

 どうも今一つ、森大臣のやりたい意味が分からない。ただ単に、合コンに金をつぎ込めばいいってものじゃない。もう少し、コアに使わないと。要するに、
「結婚できるのにしない男女」か「結婚できないからしない男女」では、全く違う。ちゃんとこの差が分かっているのだろうか。前者に使うか後者に使うかで、その結果は違ったものになるだろう。
 私は前者に使うべきだと思う。後者は不毛だ。良い遺伝子を後世に残す為には、後者は切り捨てられてもしょうがないだろう。

 それと……森大臣をそろそろ罷免した方がいいんじゃないかな。もし森大臣が頭の良い方なら、もう気づいてるんじゃないかな。
 どうして、少子化が起きているのかを。ベビーブームの時代とどう違うのかを。その抜本的な対策を取るにはどうしたらいいのかと……。

 ま、私には何の関係も無い話だ。何しろ私は、後者の部類だからだ。

 良い遺伝子を持っている方々、頑張って頂きたい。私のようなクソ遺伝子は残す必要は無い。
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そもそも、あれだ。

2013-11-29 12:45:36 | 日記
 “顕正会版人間革命”改め、“ユタと愉快な仲間たち”シリーズに登場する登場人物について詳しい説明が無かったような気がするので、今更で申し訳無いが紹介させて頂く。“ボカロマスター”はちょこっとしてたけどね。

 稲生ユウタ:いのう・ゆうた

 シリーズの主人公の1人。初登場時、中学3年生。宮城県仙台市生まれ。中学生の頃まではいじめられっ子だった。威吹とは埼玉県さいたま市内の稲荷神社で初めて会う。生まれながらにして強い霊力を持ち、幼少の頃からよく怪奇現象に悩まされていた。稲荷神社の狐の石像に封印されていた威吹も、持ち前の霊力でその封印を解いてしまう。
 下級妖怪なら、触っただけで滅するほどの力を持つ。威吹に目を付けられた後は、威吹と“盟約”を交わすことになる(ありとあらゆる脅威から守る代わりに、寿命後にその血肉を食らわせろという内容)。
 実家ごと引っ越した後、さいたま市内の県立高校に進学。鉄道が好きでJR大宮駅宇都宮線ホームで電車を眺めていたところ、知り合った顕正会員に折伏されて顕正会に入信。その後はめきめきと霊力を強いものにし、班長にまでなる。
 女子部班長の河合有紗とは同校の同級生。実は知り合ったのは学校ではなく、顕正会本部会館。それから交際が始まる(“獲物”利権拡充の為に威吹が肝煎りにした可能性が示唆されている)。
 副長職への推薦を上長に示唆されたことで、誓願達成の為に威吹の妖術を使うという禁じ手を行使するようになる。
 河合の事故死をきっかけに顕正会を退転。ここで、物語は一旦終了を見せる。その後は威吹の視点で物語が進む“妖狐 威吹”に移行。
 高校卒業の旅行で長野県に向かい、魔道師マリアと知り合う。その後、何回か会ううちに彼女に好意を寄せるものの、人間以外の女では何の利権も無い威吹に反対される。
 物語終了の時点では大学4年生になっている。
 日蓮正宗には大学1年生の終わり頃に入信。東京第3布教区、大化山正証寺(架空の寺院)に所属する。
 終盤近くになってイリーナから、正体について『(南光坊)天海僧正の生まれ変わり』と呼ばれている(天海僧正の逸話にも、妖狐が登場している)。
 ユタという愛称は威吹が付けた。ネーミングは不明だが、沖縄のシャーマンとは無関係である。

 威吹邪甲:いぶき・じゃこう

 腰まで伸ばした銀色に白い肌、金色の瞳を持つ妖狐の青年。生まれは1590年代と思われる。魔境(魔界ではない)の外れにある“妖狐の里”生まれ。退屈な生活に飽きて里を飛び出し、人間界にやってくる。
 当初は青梅街道田無宿(今の西東京市田無町付近)を拠点に、旅人を襲ってはその血肉を食らう人喰い妖狐として悪逆の限りを尽くしていたが、小平からやってきた巫女のさくらに調伏されてしまう。この時は殺されず、2度と人間を襲わないという確約をさせられた。
 さくらの強い霊力に引かれた威吹は拠点を田無から小平に移し、彼女が拠点としている神社に出入りするようになる(威吹の記憶から照らし合わせると、西武多摩湖線の青梅街道駅付近らしい)。
 さくらに“盟約”の締結を求めるも、軽くあしらわれていた。しかし、保谷村(今の西東京市保谷町付近)に出没しているという妖怪退治の依頼を受けた時、同行を求められる。これに快諾した威吹は良い働きが評価され、“盟約”の締結を約束される。
 その前夜に初めてさくらと契りを交わすが、翌日、さくらに突然襲われ、稲荷神社の狐の石像に封印される。
 400年も封印されていた理由は、同族の救出が無かったこと。『本来、殺して食う対象の巫女に骨抜きにされ、あまつさえ封印された一族の恥さらし』ということで、救助はあえて出されなかったらしい。
 約400年後の現代、偶然その石像に触れたユタに封印が解かれる。それでも“妖狐の里”とは絶縁状態だったが、同行したユタがその脅威的過ぎる霊力を放った為(威吹に対する懲罰を解除しないと滅亡させるとユタが脅した)、慌てた族長が解除した。この時、既に屋敷は半壊半焼状態だったという。
 妖狐は不老であるため、同じく悠久の時を生きるイリーナとはどこか通じているもよう。
 スピンオフ“妖狐 威吹”では主役を張る。その最後で、自分を封印したさくらはイリーナが追っていた敵の魔道師が化けていたもので、本物は既に殺されていたことが判明する。
 普段の戦いでは剣術を駆使する。妖狐の剣客集団では、班長職に就いているらしい。妖術にも長けており、相手を幻惑する妖術を使って、顕正会員だったユタの誓願達成を不正に手伝ったこともある。
 全ての物語の最後では、ユタが大往生した後も魔境には戻らず、ユタの子孫を代々見守り続ける役をしているもよう。
 法華講員となってから霊力が落ちたユタに対して嘆くシーンがある。
 美しい容姿から女性と間違われたり、他の女性に言い寄られるシーンがある。

 河合有紗:かわい・ありさ

 ユタの高校の同級生。高校入学と同時に顕正会に入信し、女子部班長までなる。但し、入信の経緯については不明。威吹の肝煎りでユタと付き合うことになる。彼女もまたそこそこ霊力があったので、威吹が利権拡大の為にユタと一緒にさせたもよう。
 顕正会本部会館で行われるビデオ放映に向かう途中、信号無視してきた暴走車に跳ね飛ばされ、横から青信号でやってきた大型トラックにも轢かれて、壮絶な死を遂げた。

 藤谷春人:ふじたに・はるひと

 初登場時、29歳。日蓮正宗の信徒で男子部東京地区班長。常に黒いスーツを着用し、大柄な体で強面なので、威吹からヤクザ者扱いされた。
 女嫌い(かといって同性愛者でもない)。かつて浄土真宗門戸講にいて、所属寺院の新しい住職に尼僧が就任したため、総本山に断固抗議するも、受け入れられなかった。この為、浄土真宗を退転。尼僧のいない宗派を探していたら日蓮正宗だったため、そこに受誡した異色の経緯の持ち主。
 今の寺院へは既に日蓮正宗にいた親族の紹介らしい。
 生活は裕福らしく、型落ちの中古車とはいえ、ベンツEクラスを愛車としている。
 ユタの教化親らしく、よく寺院参詣や大石寺登山に誘ったりしている。この辺の面倒見の良さは威吹も一目置いている。
 女嫌いではあるものの、暴走しがちな蓬莱山鬼之助の先走りに悩む栗原江蓮の相談によく乗っていたりする。
 就いている仕事は不明だが、年収は800万円あり、なお上昇中らしい。
 女嫌いになった理由について、「年収200万しか無かった頃は挨拶すらしなかったくせに、800万円になった途端、手のひらを返してすり寄ってくるそのいやらしさに吐き気がした」とのこと。
 大型自動車免許を所有しており、所属寺院が悪質妖怪の包囲を受けた際、乗り捨てられた都バスで包囲網へ突入するという荒業を見せている。

 蓬莱山鬼之助:ほうらいさん・きのすけ

 愛称キノ。栗原江蓮を慕って人間界へやってくる。八大地獄のうち、1つを総べる鬼族の出。実家は大家族で、親兄弟合わせて10人いるらしい。赤銅色の肌に黒髪という“赤鬼”で、正体を現す時には威吹に負けず劣らずの鋭い牙が覗き、頭に一本角が生える。普段はそれらを隠し、ただ単に色黒の青年といった感じになっている。威吹とは剣術が互角のライバル同士という認識。
 藤谷とは対照的に女好きで、江連一筋を豪語しつつ、江蓮の同級生にも手を出そうとして、江蓮にブン殴られている。
 実家には祖母がいるもよう。
 他の作家の作品からの流用キャラで、その作家の元ではキノと江蓮の18禁ネタがオンパレードらしい。

 栗原江蓮:くりはら・えれん

 さいたま市内の女子高に通う女子高生にして、日蓮正宗・正証寺支部法華講の女子部埼玉地区信徒。元は1970年代に事故死した川井ひとみという名のスケバングループのリーダーだったが、地獄界の手違いで、たった30年後の世界に転生。ソウル・ロンダリングが済んでいなかったため、生前の記憶を一部残したまま同時に心臓発作で死亡した本物の栗原江蓮と肉体交換する形となる。
 今は栗原江蓮として生きている。川井時代と違って、栗原江蓮は生真面目で気弱な性格だったらしく、学校の成績は良かったが、いじめられっ子であった。川井ひとみという名のスケバンの魂が宿ったことを知らないいじめっ子達は、退院して復学した彼女から、ものの見事に逆襲を食らうことになったという。
 地獄界で獄卒をしていたキノに一目惚れされ、栗原江蓮として生き返った後も、追ってきたキノに付きまとわれることになる。
 何故か女嫌いの藤谷に、キノや学校生活について相談することが多い。
 キノから剣術の手ほどきを受け、学校の剣道部に所属してから、一気に頭角を現し、今では埼玉県でも屈指の剣豪になった。
 で、それまで江連に嫌がらせしていた連中に「倍返し」したかどうかは【お察しください】。人間、悪いことはできぬものですな。
 モデルは真倉翔先生の“霊媒師いずな”のいずな。

 マリアンナ・ベルゼ・スカーレット

 長野県内の広大な森の奥に構えた屋敷に住む魔道師。自称、愛称ともにマリア。初登場時23歳。但し、魔道師もまた不死である。不老ではないが、魔道師が老化するのには、人間の10倍掛かる。ヨーロッパのどこかの国の生まれらしいが、そこからどのような理由、経緯で来日したのかは不明。
 18歳の時までは普通の人間だった。但し、不幸な境遇であったらしい。親友だというアンジェラという少女の死に耐えられず、自らも飛び降り自殺でもって後を追おうとするが、地面に激突する直前、弟子候補を探していたイリーナに救われる。
 その後は魔道師として生きる決心をし、イリーナの元で厳しい修行を積んだ結果、『人形使い』となる。
 一人前といっても、魔道師としての基本が押さえられただけの状態だというだけであって、免許皆伝後も鍛練は引き続き必要とのこと。
 魔道師になると全てを手に入れることができる反面、全てを失うとされる。マリアにはそれが何なのかまでは、まだはっきりとは分かっていない。ただ、少なくとも『笑い』を失ったことは分かった。笑う事ができなくなっても、感情としての笑いが無くなったというだけで、微笑や冷笑などは出せる。
 屋敷内では手作りしたフランス人形を使役し、屋敷の維持・修繕や身の回りの世話、また自身は魔法使用中は全く無防備になるので、その際の護衛などをさせている。元々は普通の人間であったため、最初から迷い込んできた訪問者を取って殺したり……ということはしない。普通に泊めてあげているようだ。但し、彼女に危害を加えたり、屋敷のものに手を出したり、人形を粗末に扱う者には容赦しない。屋敷の地下に設けた魔術の実験場で、実験台にされるという。
 初音ミクによく似た人形が一体あり、特にお気に入りというわけでもなかったのだが、ユタと会ってから、めきめきと魔力を伸ばし、今では歌まで歌えるようになったことから、1番大事にするようにしている。背中に唯一ぜんまいが付いているが、実は鍵で、イリーナが大事なものを保管している場所の鍵だという。
 何回か会っているうちにユタから好意を寄せられるが、結局最後までユタと結ばれることは無かったもよう。
 当初は固い口調で語るが、徐々にユタと打ち解けるうちに、幾分柔らかくなる。

 モデルは東方Project“東方妖々夢”に登場する魔法使い、アリス・マーガトロイド。性格については悪ノP先生の“悪ノ娘”に登場する魔道師グーミリア。

 イリーナ・レヴィア・ブリジッド

 悠久の時を生きる女魔道師。生まれは西暦1100年代とされるが、弟子のマリアからは『サバ読んでる』と言われ、実際は西暦3桁の頃の生まれではないかとされる。
 それだけ長命であるため、常に悠然とした態度を取っている。一方その割に、おきゃんな面もよく見せる。
 悠久の時を1人で生きてきた彼女が、魔道師になった理由は不明。何故今の時期になって弟子を必要としたのかも不明だが、
「仲間がいるのもいいわね」
 と、発言している。マリアからは無二の師匠として頭の上がらない存在のはずだが、マリアが独り立ちして『人形使い』となってからは、彼女の人形の扱いに対することについては口が出せない(但し、師匠として指導はできる)。
 常に歴史の裏で、何かやっていたらしい。尚、鎌倉時代にヨーロッパの某国で魔術の実験に失敗し、日本に向けて“大きな光玉”を放ったとのこと。
 鎌倉時代はヨーロッパにいたので、日蓮大聖人について面識は無い。但し、江戸時代の初期は日本にいたらしく、南光坊天海と面識があったらしい。ユタの顔を見て、すぐにその生まれ変わりだと気付いたが、それを口にしたのは物語も終盤に差し掛かってきてからだった。また、敵の魔道師と争いをしていた。他人に化けるのが得意なヤツだったらしく、巫女に化けて威吹を封印したことも知っている。
 物語終了後の後日談で、マリアに自身の魔術の全てを託し、使用していた肉体が滅んで、他人の体に転生したことが明らかにされている。
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