報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

後日談。というか、続き。

2013-11-23 15:17:55 | 日記
 “ユタと愉快な仲間たち”より。後日談というか、前回の続きだな。

[翌日07:00. 仙台市内のビジネスホテル 稲生ユウタ]

「南無妙法蓮華経ー、南無妙法蓮華経ー、南無妙法蓮華経……」
 ユタは部屋で朝の勤行をしていた。
 こういう時、威吹は部屋の外に出ている。家の場合だと庭で素振りでもやってるか何かしてるのだが、ホテルだと必然的に部屋の外……ロビーまで行ってることが多い。
(東向きの部屋で良かった。すぐに東がどこか分かるもんな)
 ユタの心の中のつぶやきの意味は、恐らく顕正会畑しか歩いていない現役顕正会員には分かるまい。

[同時刻 近隣の部屋 マリアンナ・ベルゼ・スカーレット]

「るりらーるりらーと響く歌ー♪……」
「……それじゃ、本当にボーカロイドだろ。……あれ?」
 目覚まし時計のように、時間になったら突然歌い出した、初音ミクによく似た人形。
「ん……?もう朝……?」
 カーテンが閉じられた窓から、朝日が差し込んでいるのが分かる。
「……全部♪揃った時に♪」
「もういい」
 マリアはポンとミク人形の頭を軽く叩いた。すると、人形は歌うのをやめて開いていた目を閉じた。
(ここ最近、アンジェラの夢を見なくなったな……)
 最近というのは、いつからだろう。
(稲生氏と会ってから……?)

[07:30. ホテル1階ロビー 威吹邪甲]

「……確率は高いですが、用心するに越したことはないかと」
「そうか……」
 威吹はロビーのソファに座っていた。その向かいに座るのは、着物に袴の威吹とは対照的にスーツ姿の男。
 威吹と同じ系統の髪をしているが、威吹が白銀なら、相手の男はシルバー・アッシュと言った方がいいか。
「威吹先生は、今まで予知夢のようなものは?」
「いや、無い。うちのユタはよく見る。そして、それはよく当たる」
「なるほど。恐らく先生のお連れ様が霊力の高い“獲物”と魔道師であるのなら、可能性は高いですね」
「オレみたいに妖力しか取り柄の無い奴でも、感化されて予知夢を見ると?」
「そういうことです」
「しかしなぁ……。確かにオレがあの魔道師を倒す理由はあるにはあるが、それを実行しようものなら“獲物”に嫌われることを意味する。いかにオレでも、そんな短慮な行動をするかどうか……」
 威吹は首を傾げた。
「……取りあえず、話はここまでにしましょう。また何かありましたら、ご連絡ください」
「分かった。ありがとう」
 2人はエレベータから接近してくる強力な気配に気づくと、話を切り上げた。
 相手の男がホテルのエントランスから外に出ると同時に、エレベータのドアが開く。
「あ、やっぱり威吹ここにいた」
「やあ、御両人」
 威吹は微笑を浮かべた。エレベータから降りてきたのは、ユタとマリアだった。他に、宿泊客が数名同乗していた。
「誰か来ていたのか?強力な妖気の“残り香”がある」
 マリアは不快そうな顔で言った。右手で口元を押さえる。
「この近くに住んでいる、オレの知り合いさ。なに、オレがこの町に泊まっていることを知って、面会に来ただけだ。他意は無い」
 威吹は平然とした顔で、そう答えた。
「ふーん……」
 マリアは全く信用していない顔だった。そして、そっと耳打ち。
「お前など、魔道師の私は殺せない」
「なに……!?」
 威吹は大きく目を見開いた。
「魔道師、お前も見たのか?」
「『も』ってことは、あんたもか……。稲生さんも見たそうなんだ」
 ユタが割って入る。
「だからさ、休戦してくれないかな?もっとも、今現在そんな状態のようなものだけど……」
「ユタがそういうのなら従うよ」
「マリアさん、威吹に勝手なことはさせませんから、マリアさんも収めて頂けませんか?」
「収めるも何も、私はこの妖狐に何もしていないから」
「では、それでよろしくお願いしますよ。じゃ、朝食でも……」
 ユタ達は朝食会場に向かった。

[10:00. JR仙台駅新幹線ホーム 稲生ユウタ、威吹邪甲、マリアンナ・ベルゼ・スカーレット]

 11番線に行くと、既に10両編成の列車は入線していた。しかしまだ車内整備中なのか、ドアは開いていない。
〔「11番線に停車中の電車は10時21分発、“やまびこ”134号、東京行きです。……」〕
「師匠から連絡があった。東京駅で落ち合いたいらしい」
「東京駅で?そこからどうするつもりなんでしょう?」
「恐らくは私の屋敷へ向かうつもりだろう。私の魔力が落ちているので、私を連れてくれるみたいだ」
「なるほど」
 東京駅で瞬間移動するつもりか。大騒ぎにならなければいいが……。

 10分後。

〔「お待たせ致しました。11番線、まもなくドアが開きます。乗車口までお進みください。業務連絡、11番1134B、準備できましたらドア操作願います」〕
 駅員の大きな構内放送の後で、エアの音がするとドアが開いた。今のところ、東北新幹線にはドアチャイムが無いようだ。
「やっと帰れるな……」
「結局何しに行ったんだろうね、ボク達……」
「それは言わない方がいいぞ」
 ドアが開くと3人は10号車に乗り込み、指定された席に座った。
〔「ご案内致します。この電車は10時21分発、東北新幹線“やまびこ”134号、東京行きです。停車駅は福島、郡山、宇都宮、大宮、上野、終点東京の順に止まります。……」〕
「何か飲み物買ってこよう」
 威吹がそう言った。
「ああ、頼むよ。これで買ってきて。マリアさんの分も……」
 ユタはそう言って、Suica定期券を渡した。定期券だが、中に数千円くらいの残金があったことを思い出した。
 威吹はユタからカードを受け取ると、列車を降りた。
「稲生さんは、よく夢を見る方?」
 マリアの方から話し掛けてきた。基本的に自分から話し掛けることはないが、ユタは例外のようだ。
「そうですね。毎日というわけではないですが」
「そう。師匠と同じだね」
「イリーナさんも?」
「師匠の予知夢は必ず当たる。師匠も、あなたの魔力には注目しているくらいだから」
「でも、震災は当てられなかったようですが……」
「それには別の理由が考えられてる。けど、稲生さんは知らない方がいい。どうしても知りたかったら、魔道師になる?」
「いやいや……」
 マリアの膝の上には、ミク人形が乗っかっている。
 ユタが来る前は、ただ1つだけ、ぜんまいの付いた緑色の髪の人形というだけだったが、今では強い魔力が備わって、人形達のリーダーにまでなっている。

(全く。もう少し、色つやな話でもしたらいいのに……)
 飲み物を買いに外に出た威吹は、外からユタとマリアの様子を見て、苦笑した。

[同時刻 東京都某区内 日蓮正宗寺院 藤谷春人]

「ああ、そう。じゃ、しばらくレンジャー連中はシャバに出られそうに無いってことか。了解了解。……」
 藤谷はケータイで仙台にいる父親の藤谷秋彦と話をしていた。
「稲生君達はこっちに向かってるんだね。ああ。今、ニュースでやってるよ」
 寺院内にある休憩室のテレビでは、ちょうどケンショーレンジャーについてのニュースをやっていた。
〔「……ケンショーレンジャーと自称する5人組の容疑者は、依然として黙秘を続けており、警察では宗教法人顕正会と何らかのつながりがあると見て、捜査を続けています」「尚、宗教法人顕正会では、『担当者不在』を理由に取材拒否を続けています。特に、ケンショー・イエローと称する容疑者は、現会長の浅井昭衛氏によく似ていると言われているんですが……」〕
「……何か、本部から尻尾切りにされそうだぞ」

[12:24. JR東京駅 ユタ、威吹、マリア、イリーナ]

 列車が東京駅東北新幹線ホームに滑り込む。定刻通りに到着した列車から、ぞろぞろとホームに降り立つ乗客達。その中に、ユタ達の姿があった。
「えーと、あっちの改札口か……」
 新幹線改札口から、丸の内中央口に出る。
「お疲れちゃん」
 改札口の外には、イリーナが立っていた。フード付きの紺色のコートを着ており、相変わらず悠然とした雰囲気だ。
「お疲れちゃんじゃないよ」
 威吹が真っ先に文句を言った。
「あんたのせいで、こっちは奥州くんだりだ」
「ゴメンゴメン。でも、薩摩くんだりよりはマシじゃない?」
「まあ、そりゃそうだが……って、そういう問題じゃない!」
「一体、イリーナさんは何を目的としていたんですか?」
 ユタが当然の質問をした。
「んっふっふー。これよ、これ」
 イリーナはコートのポケットから、3つのビー玉を出した。
「何ですか、このビー玉は?」
「稲生さん、ビー玉じゃなく、水晶玉」
 マリアが代わりに言った。
「こんな小さな水晶玉、何に使うんですか?」
「まあ、この価値は私達にしか分かんないよねー」
 イリーナは弟子に振った。
「え、ええ。(私も全部は分かってない……)」
 マリアは多少引っかかる返事をした。
「おおかた、魔術の実験か何かに使うのか?」
 威吹は髪と同じ白銀色の眉毛を潜めた。
「そうね。そう捉えてもらっても結構よ。そうだ。ユウタ君、マリアが世話になったみたいだから、お礼に1つあげる」
「え?大丈夫ですかね?」
「だーいじょーぶだって!危険物じゃないし、謗法でもないから」
「はあ……。(よく謗法って言葉知ってるな)」
 ユタはビー玉サイズの水晶玉を受け取った。
「……ユタ。なんでもかんでも、受け取らない方がいいよ」
 威吹は相変わらず警戒心を解かないまま言った。
「まあ、せっかくだからさ」
「それじゃ、また会う機会があったら、よろしくね」
「はい」
 ユタはさり気なく右手をマリアに差し出した。が、代わりに握手をしてきたのはミク人形だった。
「…………」
 ユタは目が点になったが、
「あっ、改札の向こうに“ふなっしー”がいる!」
 イリーナの声に、反射的に反対方向を向くユタと威吹。で、視線を戻すと……。
「いない……」
「ベタな消え方しやがって!」
 威吹の言う通り、いかにも魔道師らしい消え方である。
「まあ、いいや。時間あるから、お寺行く?」
「付き合うよ」
「藤谷班長が気にしてるみたいだからね」
「ケンショーレンジャーとかいう、似非妖怪退治屋か……」
「えーと……せっかくだから、丸ノ内線に乗ってみるか」
 2人は東京メトロ乗り場に足を向けた。
「ん?」
 ユタは別れたはずのマリアの声がしたような気がした。
「この水晶玉?」
 ユタはポケットから、ビー玉サイズの水晶玉を取り出した。そこから微かに、
「それじゃ、また。稲生さん」
 というマリアの声が聞こえた。
「あまりいい物じゃないな」
 威吹は不快そうな顔をする。
「さよなら、マリアさん」
 ユタは水晶玉に向けて言った。
 その後、また水晶玉をポケットに入れる。
 ユタの脳裏には、ミク人形を抱えて微笑を浮かべるマリアの姿が残っている。
 そして、ポツリと呟いた。
「マリアさん、また会いたいな……」
 その呟きを聞いた威吹は、ふと気づく。
(もしかして、その水晶玉は……)
 だが、すぐに打ち消した、
(まさか……な)
 ユタと威吹の姿もまた、東京駅の雑踏の中に消えて行った。
                                          終
 
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冨士参詣深夜便 

2013-11-23 00:20:35 | 日記
もらってうれしくなかった年賀状は? - 「子供の自慢」「ばかって書いた紙」(マイナビニュース) - goo ニュース

 既に今年は友人の1人から喪中はがきが届いた。
 しかし、私の勧誡に当たって、今の寺院を紹介してくれた紹介者の方にも年賀状を送らなくてはならないだろう。
 私が使用する年賀はがきは、『ボーカロイド』『アイドルマスター』『東方Project』『鉄道』『バス』のいずれかのイラストまたは写真付きだ。ランダムであり、選択はできないので要注意。
 尚、顕正会時代、ある支隊長に博麗霊夢の年賀状送ったら、メチャクチャ怒られた。はて?東方Projectはお嫌いでしたかな?(←博麗霊夢の職業が【謗法により削除】)清楚な女性が好きだということだったので、その希望に沿ってみたのだが、私の見立ては絶望的であったようだ。

 絶望的と言えば、私のクジ運は最悪なもので、年賀状の抽選には1度も当たったことがない。切手シートすら当たったことがない。
 したがって、私にとって、JRAの年始であるところの金杯は仕事しに行くのであって、馬を買いに行くところではないのだ。来年もオレの初登山は2月かな?何しろ、2月でまだ新年会やる業界だからな。

 来年の話をすれば鬼が笑うので、来月の話をしよう。因みに“ユタと愉快な仲間たち”で、主人公ユタが地獄界の獄卒にして、鬼族の蓬莱山鬼之助にその理由を聞いたが、
「ググれ、カスww」
 と一蹴され、その場にいた威吹に、
「おい、何だキサマ、その態度は!」
 と、くって掛かるシーンがある。結局のところ、鬼族でも分からないという……。
 話が逸れてしまった。どういうわけだか、来月中旬に大石寺へ行くことになった。詳細は追って紹介者氏から説明があるようだが、今のところは無い。フェードアウトでもしてやろうかと思っていたのだが、そうは問屋が卸さないようである。
 取りあえず、信仰上の年末はそれで終わりかな。

 仕事上の年末は30日までコミケの臨警、翌日は泊まり勤務。警備室のテレビで紅白を見て、更にその翌朝勤務明けに休憩室で餅を焼くというのが毎年恒例である。
 料理好きの人が所属していた頃は、お雑煮なんか作ってくれたんだけどな。
 しょうがないから、来年はお汁粉でも作るか。

 ↑一般のサラリーマンなどには無い話だな、きっと。
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