[17:00.さいたま市内の葬祭場 威吹邪甲]
「あれだけ坊主を非難している宗派にいたのに、坊主に読経してもらうとはな……」
河合有紗の葬儀がしめやかに行われた。
彼女の顕正会活動は家族には内緒であったため、葬儀は顕正会式ではなく、菩提寺の曹洞宗で行われた。
無論、葬儀には多くのクラスメートなどが駆け付けた。しかしその中に、ユタの姿は無かった。
(それにしても、恋人の葬儀にすら出席できぬとは……。少々特異な宗派のようだな、顕正会という所は……)
しょうがないので、威吹がユタの名代として参加してきた次第。
着物もいつものではなく、葬儀用に黒を基調としたものを着用している。
[18:00.顕正会青年会館内 稲生ユウタ]
「元気を出すんだよ。こういう時こそ、折伏の誓願を大きく突破して、罪障消滅をしていこうじゃないか」
暗く沈み込むユタに話し掛ける支隊長。
「聞けば河合さんは、家族を折伏しておらず、葬儀は邪宗だそうじゃないか。このままじゃ、地獄界に落ちてしまう。キミが唱題回向しなくてどうする?これは、魔障によるものだよ。こうして稲生君を悲しい目に遭わせて、御本尊様から遠ざけようとしているんだ。ここで負けたら、魔の思うツボだよ」
「…………」
[同時刻 顕正会青年会館前 ???]
「あの、ちょっと失礼」
「何か?」
青年会館前にて立哨している福田衛護隊長に、1人の男が話し掛けてきた。黒いスーツを着用した、一見強面の大柄な男だ。
「ここに『催眠術を使って、不正に入信させている』顕正会男子部員がいると聞いて来たんですがね……」
「は?何言ってるんですか?そんなのいませんよ」
「だけど、実際に何人も証言してるんですよ。大宮公園の中とか、大宮公園駅の前とか、産業道路沿いとか……。1人は取り立てて特徴の無い高校生らしき少年、もう1人は……白い着物に紺色の袴をはいた銀髪の青年だということです」
「紺色の袴……」
「まあ、色柄は証言者によって違うので、何着も別の色柄の着物を持ってるんでしょうね。でも全員が全員、銀髪の男は着物姿だと言ってました。この会館に出入りしてるんじゃないかと思いましてね」
「どちら様ですか、あなたは?」
「あ、失礼。私、こういう者です」
スーツ姿の男は、名刺を差し出した。それを受け取った福田隊長は、サッと顔色を変える。
「法華講員!?」
すると法華講員を名乗る男も、口調を変えた。
「うちの講員も1人、催眠術にやられてこの会館に連れ込まれたと証言してるんだよ。出せよ!いるんだろ、ここに!」
「そんなの知るか!おい!」
「どうしました、隊長!?」
「法華講員だ!絶対中に入れるな!」
「写真撮れ、写真!」
「やれやれ……。ここは1つ、退散しましょうかね……」
男は肩を竦めて、『帰れ』コールをしている顕正会員達に背を向けた。
会館が見えなくなったところで、男は携帯電話を取り出す。
「あ、もしもし。藤谷ですが、全く話になりませんね。でも、あれだけ目立つ格好をしているので、張り込みしておけばすぐ見つかるでしょう。……ええ」
[19:00.大宮公園駅前 威吹邪甲]
「あ、そこのキミ!」
「はい?」
駅から出てきた威吹に話し掛ける者がいた。紺色のスーツを着ているが、胸に鶴丸バッジを着用している。顕正会員であった。
「男子部の稲生班長と一緒に行動している人だよね?」
「はい、そうですが?」
「悪いんだけど、しばらく会館に近づかないでくれるか?」
「は?それはどういうことでしょうか?」
「キミの催眠術を怪しんだ法華講員が、会館にやってきて大変だったんだ。ほとぼりが冷めるまで、会館への出入りを自粛してもらう。これは隊長方、幹部の方々の総意だ。いいね?」
「まあ……ムリに行く所でもないですけど。ボクはただ、ユタを迎えに来ただけですから」
「稲生班長には、産業道路で待っててもらうことにした。あそこなら、法華講員もいない」
「分かりました」
衛護隊員は、日本海庄やの横の道を指さした。
「そっちの道から行ってくれ。そっちからなら、会館の前を通らずに産業道路に出られる」
「分かりました」
威吹は素直に従った。
(やっぱりな。怪しまれるから、乱用はできないと言ったのに……。懸念した通りになったか)
そう思い、溜め息をつく。そして、ふと気づく。
「法華講員って何ですか?」
「御遺命守護の戦いに徹した浅井先生を誹り、顕正会を死罪にも等しい不当な解散処分にした宗門側の信徒のことだ」
「へえ……そうかい。宗門の話はユタから聞いていたけど、檀家って顕正会と創価学会だけじゃなかったんだ」
「一応な。だが奴らは折伏の精神など無きに等しく、墓檀家程度の信心しか無い。本門戒壇の大御本尊様に対し、不敬な御開扉を行って供養集めをして何ら恥じることもない」
(? 普通、本尊に賽銭出したりしないのか?ここの宗派は……)
[19:33.国際興業バス、寿能住宅バス停 ユタ、威吹]
「バス、もうすぐ来るね」
威吹は着物の懐から懐中時計を取り出して言った。
「しかし、あれだけ頑張ったのに、ボクは会館出入り禁止。ユタも恋人を失って、本当に御利益があるのかい?まあ、ボクはどっちでもいいんだけど……」
「……僕は……」
「ん?」
「僕は何がしたかったんだろう……?」
「現世では御利益を得て幸せになって、死後は仏界へ行くという計画ではなかったかい?」
「うん……」
「まあ、ここの仏がどういう考えなんだか知らないし、神仏とは相容れない妖怪のボクが言うのも何だけど、あまり見返りの無い仏のようだね。それとも、もう少し賽銭出せってことかな?でも、顕正会は違うみたいだな」
「…………」
「どうだろう、ユタ?ボクも会館出入り禁止になったことだし、キミも静かに考える時間を設けてみたら?ボクはキミの考えに何でも従うよ」
「…………」
バスが交差点を曲がってくる。循環路線だが、これから駅に向かう方向の便はガラガラのようだ。
〔「大宮駅東口行きです」〕
バスに乗り込む。実際、2人か3人ほどしか乗っていなかった。1番後ろの座席に座った。バスはドアを閉めて、すぐに発車した。
〔次は大宮公園入口、大宮公園入口。冨士大石寺顕正会本部会館へおいでの方は、こちらでお降りください〕
「あっ、ちょっと!」
走り去るバスを見て、ある男が反応した。
顕正会青年会館前で、衛護隊につまみ出された法華講員の男だった。バスの最後部に乗る銀髪に着物姿と、高校の制服らしきブレザーを着ている少年の姿が目に映ったのだ。
「ま、待って……!」
しかし、顕正会本部前の通りから産業道路へ出る交差点には信号機は無く、横断歩道も無い。ましてや、今は交通量も多い時間。
法華講員の男は道路を渡ることができず、また大宮公園入口バス停で乗り降りする乗客もいなかったせいか、バスはそのまま走り過ぎて行ってしまった。
「くそっ……!もうちょっとだったのに……!」
[19:40.国際興業バス車内 ユタ、威吹]
「僕はどうしたらいい?」
「仏への信心があるのなら、彼女の為に祈ればいいさ。だけどね、彼女自身はともかく、例え不正とはいえ、一生懸命頑張ってたキミがこんな目に遭うわけだからね。ここの仏様を拝んでていいのかなっては思うよ」
「不正なことをしていたから……」
「だったら、尚更おかしいと思わないかい?」
「?」
「だったら、罰が当たるのはボク達だけのはず。彼女自身は、何も関わっていないんだ。酷い話だと思わないか?」
「うん……」
「どうもこの団体、裏がありそうな気がする」
「えっ……?」
「仏に祈ること自体は、家でもできるだろ?やっぱり少し考える時間を設けるべぎたと思うな。まあ、ボクが封印される前の頃と違って、今は色んな宗派があるみたいだから、中にはキミの努力を認めて御利益をくれる仏もいるだろう。そういう所を探すという手もあるよ」
「浅井先生を裏切れと……」
「こう、御利益が無いんじゃ、しょうがないと思わないかい?」
「…………」
「まあ、とにかく、後追いだけは絶対にしないことだ。ボクの盟約がオシャカになってしまう」
「分かってるよ」
“獲物”が自殺した場合、盟約者に罰則が下されるのだそうだ。早く“獲物”の血肉を食らいたいばかりに、自殺に見せかけて殺すという事案を防ぐ為だそうである。
[同時刻 大宮公園駅 藤谷春人]
〔「只今、東武野田線は岩槻駅で発生しました人身事故により、上下線とも運転を見合わせております。……」〕
「な、何たるちゃあ……」
電車で追おうとしたが、このザマだ。
ユタの御受誡は、まだ先の話になりそうである。(公開ここまで)
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因みにバスの車内放送に、顕正会のことは出てきません。あくまで、小説オリジナルです。……が、東武バスだと氷川神社のことは出てくるんだよね。『氷川神社へ御参拝の方は、次でお降りください』なんて。
ここからしばらくユタは会館の参詣をやめて、退転状態に。なので、せっかく張り込みを続ける法華講員達は骨折り損のくたびれ儲けとなると。
この約2年後、ユタは魔道師マリアの元を訪れるため、長野県に向かう。
2年も経っていたし、まさか飯田線車内で再会するとは思ってもみなかった藤谷も、特徴的な威吹を見て、この時のヤツだと気付かなかったという。
「あれだけ坊主を非難している宗派にいたのに、坊主に読経してもらうとはな……」
河合有紗の葬儀がしめやかに行われた。
彼女の顕正会活動は家族には内緒であったため、葬儀は顕正会式ではなく、菩提寺の曹洞宗で行われた。
無論、葬儀には多くのクラスメートなどが駆け付けた。しかしその中に、ユタの姿は無かった。
(それにしても、恋人の葬儀にすら出席できぬとは……。少々特異な宗派のようだな、顕正会という所は……)
しょうがないので、威吹がユタの名代として参加してきた次第。
着物もいつものではなく、葬儀用に黒を基調としたものを着用している。
[18:00.顕正会青年会館内 稲生ユウタ]
「元気を出すんだよ。こういう時こそ、折伏の誓願を大きく突破して、罪障消滅をしていこうじゃないか」
暗く沈み込むユタに話し掛ける支隊長。
「聞けば河合さんは、家族を折伏しておらず、葬儀は邪宗だそうじゃないか。このままじゃ、地獄界に落ちてしまう。キミが唱題回向しなくてどうする?これは、魔障によるものだよ。こうして稲生君を悲しい目に遭わせて、御本尊様から遠ざけようとしているんだ。ここで負けたら、魔の思うツボだよ」
「…………」
[同時刻 顕正会青年会館前 ???]
「あの、ちょっと失礼」
「何か?」
青年会館前にて立哨している福田衛護隊長に、1人の男が話し掛けてきた。黒いスーツを着用した、一見強面の大柄な男だ。
「ここに『催眠術を使って、不正に入信させている』顕正会男子部員がいると聞いて来たんですがね……」
「は?何言ってるんですか?そんなのいませんよ」
「だけど、実際に何人も証言してるんですよ。大宮公園の中とか、大宮公園駅の前とか、産業道路沿いとか……。1人は取り立てて特徴の無い高校生らしき少年、もう1人は……白い着物に紺色の袴をはいた銀髪の青年だということです」
「紺色の袴……」
「まあ、色柄は証言者によって違うので、何着も別の色柄の着物を持ってるんでしょうね。でも全員が全員、銀髪の男は着物姿だと言ってました。この会館に出入りしてるんじゃないかと思いましてね」
「どちら様ですか、あなたは?」
「あ、失礼。私、こういう者です」
スーツ姿の男は、名刺を差し出した。それを受け取った福田隊長は、サッと顔色を変える。
「法華講員!?」
すると法華講員を名乗る男も、口調を変えた。
「うちの講員も1人、催眠術にやられてこの会館に連れ込まれたと証言してるんだよ。出せよ!いるんだろ、ここに!」
「そんなの知るか!おい!」
「どうしました、隊長!?」
「法華講員だ!絶対中に入れるな!」
「写真撮れ、写真!」
「やれやれ……。ここは1つ、退散しましょうかね……」
男は肩を竦めて、『帰れ』コールをしている顕正会員達に背を向けた。
会館が見えなくなったところで、男は携帯電話を取り出す。
「あ、もしもし。藤谷ですが、全く話になりませんね。でも、あれだけ目立つ格好をしているので、張り込みしておけばすぐ見つかるでしょう。……ええ」
[19:00.大宮公園駅前 威吹邪甲]
「あ、そこのキミ!」
「はい?」
駅から出てきた威吹に話し掛ける者がいた。紺色のスーツを着ているが、胸に鶴丸バッジを着用している。顕正会員であった。
「男子部の稲生班長と一緒に行動している人だよね?」
「はい、そうですが?」
「悪いんだけど、しばらく会館に近づかないでくれるか?」
「は?それはどういうことでしょうか?」
「キミの催眠術を怪しんだ法華講員が、会館にやってきて大変だったんだ。ほとぼりが冷めるまで、会館への出入りを自粛してもらう。これは隊長方、幹部の方々の総意だ。いいね?」
「まあ……ムリに行く所でもないですけど。ボクはただ、ユタを迎えに来ただけですから」
「稲生班長には、産業道路で待っててもらうことにした。あそこなら、法華講員もいない」
「分かりました」
衛護隊員は、日本海庄やの横の道を指さした。
「そっちの道から行ってくれ。そっちからなら、会館の前を通らずに産業道路に出られる」
「分かりました」
威吹は素直に従った。
(やっぱりな。怪しまれるから、乱用はできないと言ったのに……。懸念した通りになったか)
そう思い、溜め息をつく。そして、ふと気づく。
「法華講員って何ですか?」
「御遺命守護の戦いに徹した浅井先生を誹り、顕正会を死罪にも等しい不当な解散処分にした宗門側の信徒のことだ」
「へえ……そうかい。宗門の話はユタから聞いていたけど、檀家って顕正会と創価学会だけじゃなかったんだ」
「一応な。だが奴らは折伏の精神など無きに等しく、墓檀家程度の信心しか無い。本門戒壇の大御本尊様に対し、不敬な御開扉を行って供養集めをして何ら恥じることもない」
(? 普通、本尊に賽銭出したりしないのか?ここの宗派は……)
[19:33.国際興業バス、寿能住宅バス停 ユタ、威吹]
「バス、もうすぐ来るね」
威吹は着物の懐から懐中時計を取り出して言った。
「しかし、あれだけ頑張ったのに、ボクは会館出入り禁止。ユタも恋人を失って、本当に御利益があるのかい?まあ、ボクはどっちでもいいんだけど……」
「……僕は……」
「ん?」
「僕は何がしたかったんだろう……?」
「現世では御利益を得て幸せになって、死後は仏界へ行くという計画ではなかったかい?」
「うん……」
「まあ、ここの仏がどういう考えなんだか知らないし、神仏とは相容れない妖怪のボクが言うのも何だけど、あまり見返りの無い仏のようだね。それとも、もう少し賽銭出せってことかな?でも、顕正会は違うみたいだな」
「…………」
「どうだろう、ユタ?ボクも会館出入り禁止になったことだし、キミも静かに考える時間を設けてみたら?ボクはキミの考えに何でも従うよ」
「…………」
バスが交差点を曲がってくる。循環路線だが、これから駅に向かう方向の便はガラガラのようだ。
〔「大宮駅東口行きです」〕
バスに乗り込む。実際、2人か3人ほどしか乗っていなかった。1番後ろの座席に座った。バスはドアを閉めて、すぐに発車した。
〔次は大宮公園入口、大宮公園入口。冨士大石寺顕正会本部会館へおいでの方は、こちらでお降りください〕
「あっ、ちょっと!」
走り去るバスを見て、ある男が反応した。
顕正会青年会館前で、衛護隊につまみ出された法華講員の男だった。バスの最後部に乗る銀髪に着物姿と、高校の制服らしきブレザーを着ている少年の姿が目に映ったのだ。
「ま、待って……!」
しかし、顕正会本部前の通りから産業道路へ出る交差点には信号機は無く、横断歩道も無い。ましてや、今は交通量も多い時間。
法華講員の男は道路を渡ることができず、また大宮公園入口バス停で乗り降りする乗客もいなかったせいか、バスはそのまま走り過ぎて行ってしまった。
「くそっ……!もうちょっとだったのに……!」
[19:40.国際興業バス車内 ユタ、威吹]
「僕はどうしたらいい?」
「仏への信心があるのなら、彼女の為に祈ればいいさ。だけどね、彼女自身はともかく、例え不正とはいえ、一生懸命頑張ってたキミがこんな目に遭うわけだからね。ここの仏様を拝んでていいのかなっては思うよ」
「不正なことをしていたから……」
「だったら、尚更おかしいと思わないかい?」
「?」
「だったら、罰が当たるのはボク達だけのはず。彼女自身は、何も関わっていないんだ。酷い話だと思わないか?」
「うん……」
「どうもこの団体、裏がありそうな気がする」
「えっ……?」
「仏に祈ること自体は、家でもできるだろ?やっぱり少し考える時間を設けるべぎたと思うな。まあ、ボクが封印される前の頃と違って、今は色んな宗派があるみたいだから、中にはキミの努力を認めて御利益をくれる仏もいるだろう。そういう所を探すという手もあるよ」
「浅井先生を裏切れと……」
「こう、御利益が無いんじゃ、しょうがないと思わないかい?」
「…………」
「まあ、とにかく、後追いだけは絶対にしないことだ。ボクの盟約がオシャカになってしまう」
「分かってるよ」
“獲物”が自殺した場合、盟約者に罰則が下されるのだそうだ。早く“獲物”の血肉を食らいたいばかりに、自殺に見せかけて殺すという事案を防ぐ為だそうである。
[同時刻 大宮公園駅 藤谷春人]
〔「只今、東武野田線は岩槻駅で発生しました人身事故により、上下線とも運転を見合わせております。……」〕
「な、何たるちゃあ……」
電車で追おうとしたが、このザマだ。
ユタの御受誡は、まだ先の話になりそうである。(公開ここまで)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
因みにバスの車内放送に、顕正会のことは出てきません。あくまで、小説オリジナルです。……が、東武バスだと氷川神社のことは出てくるんだよね。『氷川神社へ御参拝の方は、次でお降りください』なんて。
ここからしばらくユタは会館の参詣をやめて、退転状態に。なので、せっかく張り込みを続ける法華講員達は骨折り損のくたびれ儲けとなると。
この約2年後、ユタは魔道師マリアの元を訪れるため、長野県に向かう。
2年も経っていたし、まさか飯田線車内で再会するとは思ってもみなかった藤谷も、特徴的な威吹を見て、この時のヤツだと気付かなかったという。