報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

起承転結の「転」?

2013-11-18 14:57:58 | 日記
[18:30.仙台市東部 同メンバー]

 仙台東部道路を越えると、景色が一変した。
 この高速道路が大津波に対して堰の役目を果たし、そこから西部への被害を最小化してくれたというのが分かる。
 今では瓦礫も撤去され、更地になっていたり、荒地になっていたりする。
〔「次のニュースです。宮城県仙台市の太白区と若林区で、不審者情報が相次いでいます」〕
 タクシーのラジオからは、地元のローカルニュースが流れてくる。
〔「不審者の特徴ですが、5人組の男女で、自らを『ケンショーレンジャー』と名乗っており、主に東京都内で目撃されていた集団ですが……」〕
「マジかよ?」
 助手席に座るユタは、目を丸くした。
 運転手はラジオの音量を下げた。
「そろそろ、目的地ですが……」
「あっ、それじゃそこのバス停の前でお願いします」
「はい」
 タクシーはバス停の前で止まった。
「はい、稲生氏」
 ユタが財布を出していると、マリアがスッと紙幣を出した。
「え?いいんですか?」
「言っただろう?費用は私が持つ」
「すいません。一応、領収証ください」
「はい」
 運転手はお釣りと領収証をユタに渡した。
「? 運転手さん、どこかで……?」
「前にもご利用頂きましたか?」
「あ、いや、どうなんだろう……?」
 ユタは首を傾げて、タクシーを降りた。タクシーはすぐに走り去った。
「ん?」
 領収証を見ると、こう書いてあった。
『個人タクシー 横田タクシー』と。
(横田……まさかね)

[18:35.ユタ達が降りた場所から少し離れた所 横田高明]

「横田です。先般の総幹部会における大感動は、未だ冷めやらぬものであります」
 運転席から降りた横田は、白い帽子を助手席に放り投げると携帯電話でどこかに掛けていた。
「……はい。予定通り、“対象者”達は例の場所に運びました。後はよろしくお願い……え?私も合流ですか?……はあ、分かりました。では、後ほど……」
 横田は電話を切った。
 その時、誰も乗っていないはずのタクシーが揺れる。
「全く……」
 横田は運転席のドアを開けて、シート脇のレバーを引いた。トランクが開く。
「んーっ!んーっ!!」
 トランクには両手両足を縛られ、猿ぐつわをされている本物の運転手がいた。
「困りますね。同じ横田のよしみで、もう少しご協力願えませんかね」
「んーっ!」
「仕方が無いですね。広宣流布の決戦の為です。ある程度の犠牲は覚悟して頂かないと……」
 横田はポケットから、ある物を取り出した。それは、若い女性が穿くショーツだった。
「むーっ!!」
「もう少し、辛抱してください。これも、罪障消滅の為です」
 ショーツを鼻に当てられた横田運転手は、また意識を失った。
「そう、あなたはいつも誓願を破っていた。従いまして、その遅れを取り戻すため、ケンショーレンジャーに協力するのは当然のこと。クフフフフフ……。よろしくお願いしますよ。707隊横田班長?クフフフフフ……」

[18:45.ユタの生家跡 ユタ、威吹、マリア]

「狐火!」
 威吹は左手から青白い炎を出し、
「ミク、ライト点けて」
 マリアはミク人形の両目を光らせた。
「明かりならある。心配は無い」
 マリアは無表情でユタに言った。
「わざわざコンビニで、懐中電灯買う必要無かったのか」
 ユタは危うくorzの体勢になる所だった。
「それより、あなたの家はどこ?」
「ああ……。この辺ですかね。周りの風景もすっかり無くなっちゃって……」
「一体、ユタの生家が何だっていうんだ?こう言っては何だが、既に他人の手に渡っている上に、跡形も無いじゃないか」
 威吹は抗議するように言った。しかし、マリアはそれには答えない。
「……ここ!」
 マリアはある場所を指さした。
「ん?」
 それは地面だった。ユタは懐中電灯を地面に向ける。
「これが一体何だと?」
「あなたの家には、地下室が無かったか?」
「あー、そう言えばあったな。でも、ただの物置で、大した物は無かったはずですけど……」
 それも引っ越しの時に、あらかた処分したという。
「それより、先行してるはずのお師匠様はどうしてるんだよ?ここにいるんじゃなかったのか?」
 威吹は刀の柄を握って言った。
「ああ。おかしい。この地下が怪しいはずだけど、師匠は辿り着けなかったのか?」
 と、その時だった。
「いいですか。見てごらんなさい。“無二の師匠”なら、ここにましますのですね」
「そ、その声は……」
 恐る恐るユタが振り向くと、そこには……。
「次回に続きます。以上!」
「いや、先に名乗れよ!」(威吹)
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震災に踏み込む話が、ボツになった。

2013-11-18 09:25:50 | 日記
 [17:33.JR仙台駅 稲生ユウタ、威吹邪甲、マリアンナ・ベルゼ・スカーレット]

〔「ご乗車ありがとうございました。仙台、仙台です。12番線到着の電車は、各駅停車の“やまびこ”67号、盛岡行きです。……」〕

 列車は定刻通り、JR仙台駅新幹線ホームに滑り込んだ。もう外は暗い。
「あの、マリアさん……」
 列車を降りてから、ユタは恐る恐る女魔道師に聞いてみた。
「なに?」
「もう外が暗いんですけど……」
「もうすぐ冬だから、当たり前だろう」
 威吹は相変わらず淡白なマリアに溜め息をついて言った。
「ユタが心配してるのは、そろそろ夜更けの、それも月の無い日に被災地に行くことだよ」
「しかし急がないと、師匠と合流できない。申し訳無いけども、このまま行ってもらえるか?」
「……分かりました」
(しかし……)
 と、威吹は思う。
(いかに朔の日が魔力低下の日とはいえ、師匠と連絡が取れないというのはマズいんじゃないのか?)
 と。

[18:00.JR仙台駅→仙台市東部 同メンバー]

{「え、なに?今、仙台にいるって?」}
「そうなんです」
 ユタは藤谷と電話していた。因みに今、タクシーで移動中である。
{「成り行きで?そりゃまあ、ご苦労なことで」}
「他人事だと思って……」
{「まあ、他人事ですな。俺には成り行きで、旅行できるほどの時間は無いよ。いいなぁ、学生は」}
「だから顕正会では、思いっきり無茶な誓願を割り当ててましたね」
{「まあな」}
 仙台でも珍しくなった、白い帽子を被った運転手がチラッと助手席のユタを見る。
{「いざとなったら、うちのお寺の仙台地区の人達を頼っていい。分かるよな?」}
「ええ。ていうか、その地区長さんが班長のお父さんじゃないですか。高血圧は仏法だけで治るものじゃないと思いますよ」
{「分かってるよ。普段の食生活にも気を付けろって言ってんだけどさ。ったく、年寄りのくせにメシだけは俺よりバクバク食いやがって」}
「はは……。この前の支部登山、弁当のおかわり希望してましたもんね」
{「最初、ネタかと思ったよ。……で、ここからマジメな話だ」}
 藤谷が改まった。
{「ケンショーレンジャー、知ってるよな?」}
「え……ああ!あの、戦隊ヒーローのコスプレ!大石寺で大暴れして、栗原さんに倒された……」
{「その連中が、仙台市周辺に出没しているらしい」}
「ええっ!?」
{「仙台地区の人達が最近、顕正会仙台会館を中心に折伏に力を入れた今週に入ってからなんだけどな。ただのおバカ連中だけども、野良犬に手を噛まれてもつまらんだろう?気をつけろよ」}
「わ、分かりました!」
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